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再会~敵か味方か~
幼馴染な彼女
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俺は学校に戻ると、怪我の検査の名目で、保健室へと向かった。
他の生徒は授業を受けていて誰もおらず、養護教諭と二人だけの時間を過ごすことになった。
甘い展開が待っていて…なんてそんなことは当然なくて、俺達の間にあるのは仕事の話だけだ。
「早乙女エリカという人物に心当たりはないか?」
俺の問いかけに、真崎は眉を潜めた。
闇ギルドの者が派遣されているならば、彼女が知らないはずはない。
この島は海に囲まれ、隔離されている。真崎の力なくしては外と連絡を取ることは難しい。
年に一度、年度の終わりにのみ出ることが許されるが、それではギルドに活動の報告をすることが出来ない。そんな状況下でわざわざ潜入してくるメリットはないだろう。
「聞いていないね。もしかしたら報告なしに来ている可能性はあるけれど…。殺した後の処理も大変でしょうし」
真崎も俺と同意見だったようで、眉を顰めるばかりだ。
真崎は介護教諭の立場を生かし、死人が出たときには最初に触れることが出来る。彼女のさじ加減ひとつで、証拠を隠滅することも可能なのだ。
とは言え、あまり無茶をすれば怪しまれることは間違いないので、力を借りないに越したことはない。
「それもそうだな。また何か分かれば教えてくれ」
外に出ようと立ち上がったその瞬間…目の前で扉が開いた。
「嘘だろ…」
そこにいたのはエリカだった。
あり得ない、気配を全く感じなかった。
廊下には窓や壁が無数にある。その影を全く踏まずにここまでやってくるなんて不可能だ。
「どうしてそんなに驚いているのかな?」
エリカは優しく微笑むと、青い2つの目を見開いた。
不快だ。こいつに見つめられると、妙な拒絶反応が出る。
「不思議だなあ。私の目は人の感情を読み取れるんだけどぉ、カケルだけは全く見えないんだよねぇ。感情がないのか…何かで隠されているのか」
ゆっくりと近づいてくると、俺の肩に手を当て、下から覗き込んでくる。
その手は徐々に下に降りてきて、胸元で止まった。
「女の子に触られたら、心臓の鼓動は早くなるはずだけど…すごいね。平常通りだ。それとも男好きだったりする?」
「いいや、俺は男より女のほうが好きだぞ。レイモンドが男好きだと思って、寝る時に枕元に剣を置いたぐらいだ」
エリカまだ満足していないようで、腕や腹。いろいろなところに触れてくる。
「ごほん。ここは確かに保健室だが、そういうことは別の場所でやってほしいな」
真崎が注意すると、ようやく俺から離れた。そして、全く気にした様子もなく答えた。
「これは失礼しました、先生」
「それはいいのだが、何をしにここに?」
「保健室に行ったクラスメイトが戻ってこないので、心配して見に来ました」
エリカは室内を見渡すと、俺に背を向けた。
まただ。彼女の背中でポニーテールが揺れる度に、既視感に包まれる。
「それでお二人はどんな話をしていたんですか?」
ベッドに座ると、居心地が悪いのか体を上下させている。
つまらなさそうな横顔を、紅く染まり始めた夕日が照らす。
これにも既視感がある。まさか俺は、こいつを知っている…?
ふと下を向いて気が付いた。
夕日は影を照らし出す…のだが、床に映し出されているのはベッドだけだ。座っているはずのエリカはいない。
「大したことじゃない。体におかしなところがないか聞いていただけさ」
「その様子だと、問題なしと」
「そうだな」
真崎は何事もなかったかのように頷いた。
エリカはベッドの感触に飽きたのか、今度は指先で髪をくるくるしだした。
その動きはやはり、床には映し出されない。
「凄いですよね。あれだけの怪我をしたのに、こんなに早く治ってしまうなんて」
「全くだ。若さの賜物だね」
「あくまでもシラを切ると」
「なんのことだろうか」
「ふふふふ…あはははは」
エリカは立ち上がると、高笑いを始めた。
瞳孔は開き、他人の視線など気にせず口を大きく開ける。
「さっき、私が入ってきた時に驚いていたね。それはなぜ?ねえ答えてよ、カケル」
「大事な話をした後だから、聞かれたくなかったんだよ」
「体は無事なんでしょ?」
「だとしても心は別だ。なにせ目の前で死なれたんだからな」
「いいねえ…いいねえ…ねえカケル、気が付いている。その言い方って、他人事みたいだよ?」
気づくと、エリカの顔が真ん前にあった。
まただ。こいつの動きは全く分からない。
「いいねえいいねえ…『なんで?』って顔してる。その顔好きだなあ…嬉しすぎて教えてあげちゃう!私ね、影がないの」
エリカは俺から離れると、その場で一回転した。
動きの前兆も、目の前で動いている事実も俺には伝わってこない。
俺の視界ー影の世界に、彼女は存在していないのだ。
「何かの病気か?私で良ければ診察するが…」
心配したように声をかける真崎を、エリカは一蹴する。
「大丈夫。理由は分かっている。私ね、目の前でたくさんの人が死んだことがあるんだ。ずっとずっと昔、小さい時に。その時にね、男の子が助けてくれたの。それにしても凄かったなあ…その子は大けがをしていたんだけどね、目の前で治っていったの。他の子の影を吸いながら」
「君は何を言って…」
「真崎、もういい。エリカ、お前は何者だ。いや、どこの派閥の者だ」
エリカは立ち止まると、獲物を見つけた獣の如く、嬉しそうに笑った。
「紅蓮よ。黄泉の影使いカケル」
「やはり、俺のことを知っていたのか」
「ひどいわね。その言い方じゃあ、私だけが一方的に知っているみたいじゃない」
差し込む夕日の量が増えていて、ベッドや机の影が長くなる。
真っ赤な日差しに黄色の髪。
そして、手を上げると、彼女は言う。
「また明日…なんちゃって」
「まさかお前は、エリス!?」
真っ赤な二つの目に、無邪気な笑顔を浮かべた少女は、俺の知っている姿そのままだった。
他の生徒は授業を受けていて誰もおらず、養護教諭と二人だけの時間を過ごすことになった。
甘い展開が待っていて…なんてそんなことは当然なくて、俺達の間にあるのは仕事の話だけだ。
「早乙女エリカという人物に心当たりはないか?」
俺の問いかけに、真崎は眉を潜めた。
闇ギルドの者が派遣されているならば、彼女が知らないはずはない。
この島は海に囲まれ、隔離されている。真崎の力なくしては外と連絡を取ることは難しい。
年に一度、年度の終わりにのみ出ることが許されるが、それではギルドに活動の報告をすることが出来ない。そんな状況下でわざわざ潜入してくるメリットはないだろう。
「聞いていないね。もしかしたら報告なしに来ている可能性はあるけれど…。殺した後の処理も大変でしょうし」
真崎も俺と同意見だったようで、眉を顰めるばかりだ。
真崎は介護教諭の立場を生かし、死人が出たときには最初に触れることが出来る。彼女のさじ加減ひとつで、証拠を隠滅することも可能なのだ。
とは言え、あまり無茶をすれば怪しまれることは間違いないので、力を借りないに越したことはない。
「それもそうだな。また何か分かれば教えてくれ」
外に出ようと立ち上がったその瞬間…目の前で扉が開いた。
「嘘だろ…」
そこにいたのはエリカだった。
あり得ない、気配を全く感じなかった。
廊下には窓や壁が無数にある。その影を全く踏まずにここまでやってくるなんて不可能だ。
「どうしてそんなに驚いているのかな?」
エリカは優しく微笑むと、青い2つの目を見開いた。
不快だ。こいつに見つめられると、妙な拒絶反応が出る。
「不思議だなあ。私の目は人の感情を読み取れるんだけどぉ、カケルだけは全く見えないんだよねぇ。感情がないのか…何かで隠されているのか」
ゆっくりと近づいてくると、俺の肩に手を当て、下から覗き込んでくる。
その手は徐々に下に降りてきて、胸元で止まった。
「女の子に触られたら、心臓の鼓動は早くなるはずだけど…すごいね。平常通りだ。それとも男好きだったりする?」
「いいや、俺は男より女のほうが好きだぞ。レイモンドが男好きだと思って、寝る時に枕元に剣を置いたぐらいだ」
エリカまだ満足していないようで、腕や腹。いろいろなところに触れてくる。
「ごほん。ここは確かに保健室だが、そういうことは別の場所でやってほしいな」
真崎が注意すると、ようやく俺から離れた。そして、全く気にした様子もなく答えた。
「これは失礼しました、先生」
「それはいいのだが、何をしにここに?」
「保健室に行ったクラスメイトが戻ってこないので、心配して見に来ました」
エリカは室内を見渡すと、俺に背を向けた。
まただ。彼女の背中でポニーテールが揺れる度に、既視感に包まれる。
「それでお二人はどんな話をしていたんですか?」
ベッドに座ると、居心地が悪いのか体を上下させている。
つまらなさそうな横顔を、紅く染まり始めた夕日が照らす。
これにも既視感がある。まさか俺は、こいつを知っている…?
ふと下を向いて気が付いた。
夕日は影を照らし出す…のだが、床に映し出されているのはベッドだけだ。座っているはずのエリカはいない。
「大したことじゃない。体におかしなところがないか聞いていただけさ」
「その様子だと、問題なしと」
「そうだな」
真崎は何事もなかったかのように頷いた。
エリカはベッドの感触に飽きたのか、今度は指先で髪をくるくるしだした。
その動きはやはり、床には映し出されない。
「凄いですよね。あれだけの怪我をしたのに、こんなに早く治ってしまうなんて」
「全くだ。若さの賜物だね」
「あくまでもシラを切ると」
「なんのことだろうか」
「ふふふふ…あはははは」
エリカは立ち上がると、高笑いを始めた。
瞳孔は開き、他人の視線など気にせず口を大きく開ける。
「さっき、私が入ってきた時に驚いていたね。それはなぜ?ねえ答えてよ、カケル」
「大事な話をした後だから、聞かれたくなかったんだよ」
「体は無事なんでしょ?」
「だとしても心は別だ。なにせ目の前で死なれたんだからな」
「いいねえ…いいねえ…ねえカケル、気が付いている。その言い方って、他人事みたいだよ?」
気づくと、エリカの顔が真ん前にあった。
まただ。こいつの動きは全く分からない。
「いいねえいいねえ…『なんで?』って顔してる。その顔好きだなあ…嬉しすぎて教えてあげちゃう!私ね、影がないの」
エリカは俺から離れると、その場で一回転した。
動きの前兆も、目の前で動いている事実も俺には伝わってこない。
俺の視界ー影の世界に、彼女は存在していないのだ。
「何かの病気か?私で良ければ診察するが…」
心配したように声をかける真崎を、エリカは一蹴する。
「大丈夫。理由は分かっている。私ね、目の前でたくさんの人が死んだことがあるんだ。ずっとずっと昔、小さい時に。その時にね、男の子が助けてくれたの。それにしても凄かったなあ…その子は大けがをしていたんだけどね、目の前で治っていったの。他の子の影を吸いながら」
「君は何を言って…」
「真崎、もういい。エリカ、お前は何者だ。いや、どこの派閥の者だ」
エリカは立ち止まると、獲物を見つけた獣の如く、嬉しそうに笑った。
「紅蓮よ。黄泉の影使いカケル」
「やはり、俺のことを知っていたのか」
「ひどいわね。その言い方じゃあ、私だけが一方的に知っているみたいじゃない」
差し込む夕日の量が増えていて、ベッドや机の影が長くなる。
真っ赤な日差しに黄色の髪。
そして、手を上げると、彼女は言う。
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