可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

文字の大きさ
37 / 105

36☆

しおりを挟む
『推し』

分かる。ファンだったってことだよね?

「私…悪役令嬢の後ろに隠れる…その…貴方が凄く儚げで…っ…あぁあっ…好きぃっ…!」

「ブッ…儚…っ!」

「黙れジルコン。」

「初めて会った時…儚い雰囲気は無かったけど…でも、それが更に可愛さを引き立てて…好きすぎて…目も合わせられなくて……どうしよう…ガーネット…!」

「ハイハイ…ベリーは、兄様に憧れすぎて近寄れなかったのよね。」

「他のみんなには寄れたのに?」

「転生後の混乱でゲームの世界で夢なら…って思っちゃって…少しでも貴方の近くにいたくて…はぁぁぁ…っ…穴があったら入りたい…」

「兄様をすれば良かったのにね。」

「もう!だから言ってるじゃない。ヘリオドール様は隠れキャラだったのよ!攻略が難しくて…私は恋愛というより尊すぎてそれ以上だから近くで拝むので十分だったの。それに…ヘリオドール様は…」

「フフッ…『ヤンデレキャラ』だっけ?」

「ガーネット!」

『尊過ぎ』『拝む』…言ってることが元日本人の俺でも理解に苦しむが…ヤンデレ……確か…

「束縛が強くて、結婚後はヒロインを監禁するんですって。」

おおぅ…何してはりますのん、ヘリオドール。あ、俺か。

「ふ~ん…ヤンデレ…ねぇ…」

「ベリル。」

何でそこに反応するんだよ。

「…フフッ…お前になら…束縛されても良いな、チュッ。」

「「ひゃぁ♡」」

ん?今、ベリルに頭をキスされたけど…
パール以外にもう1人声がした?

「…ストロベリー様……」

「…ベリーで結構よ…パールさん…」

「…私もパールで結構…ところで…よろしければ近々私ともお話をしませんか?」

___ガシッ!___

「…喜んでっ。」

聖女とパールが熱く握手する。
何だろう…不安が増えた気がする。
食事の後にガーネットと聖女は部屋へと戻り、ベリルは王宮から迎えが来たので俺は見送ることにたんだけど…只今…

「…帰りたくない…」

「パールに見つかる…それに…聖女もっ…」

移動中に空いてる部屋に引き込まれ、ベリルにキスされそうになったが俺は顔を反らした。

「見せれば良い。」

「俺にそういう趣味は…ない。」

「チュッ…残念。」

「あ…んっ…だから…」

首筋にキスをされて昨日のことを思い出す。
…ヤバい…っ…ガーネット達のところに戻れなくなるじゃん!

「…俺は…チュ…束縛しても…良いからな…チュ。」

「ん……それは…俺じゃ…んぅ…」

首筋から耳裏へと唇が移り、俺の唇に合わさった。

「チュ…リオ…ん…」

「ふっ…ベリ…ん…っ…」

「…チュク…リオ……もう…その顔…俺がお前を閉じ込めたくなる…誰にも見せるなよ。」

「ふぁ……ん…どんな…顔…だよ…」

「その顔……レロッ。」

「んぅっ…」

キスの後に耳の中を舐められると、もっとして欲しくなる。

「…本当に帰りたくないけど、そろそろジルコンが来そうだから名残惜しいけど帰るよ。今度…休みに旅行に行こう、チュ。2人だけで。」

「旅行…」

そういえば、入学してから行ってなかったな。

「うん、分かった。」

繋がった手が離れて、指先が離れると喪失感がドッと押し寄せる。
王宮まで…一緒に着いて行きたい。

俺は馬車の姿が見えなくなるまで見送った後は、俺とガーネット・聖女と話をすることになった。



*****************



「…で、聖女は…」

「あ、私のことはベリーと呼んで下さい。実は孤児院ではベリーと呼ばれてたんです。」

「分かった。じゃぁ、俺のことはリオって呼んでね。」

「リリリリ…リオ…様…っ!」

「フフフッ、そんなに固くならなくても。ただのリオで良いよ。友達はみんなそう呼んでる。」

「でも…」

「推し…だっけ?でも、俺って儚くないんでしょ?」

「ここはゲームの世界と同じなのにキャラクターはみんな微妙に違ってて…」

「じゃぁ、緊張する必要ないじゃん。ここにいるリオは…その…ベリー…の…違う世界なんだから。」

「…はい…」

可愛い子に呼び捨てって…初めて言ったよ。
顔を真っ赤にして嬉しそうに返事をするベリー。

「ねぇ…ベリー…俺は…俺だよ?君のそのゲームのリオはどうか分からないけど…ゲームや物語のリオなら、きっと儚くて…脆くて…そして…病んでるんだよね?」

「フフ…全く違いますね。」

「うん、俺は束縛嫌いだしね。」

…付き合った彼女達が束縛系が多かったからなぁ…嫌なんだよねぇ。

「俺と君は初めましてだよ。だから…そんなに畏まらないで。俺は貴族だけど…君は聖女だ。下手したら君の方が身分は上だよ。」

「でも…私は…」

「チャームの魔法は…俺達もビックリだったけどさ。でも、ちゃんと罪は償ってる。そうだ!ベリーの転生前の話を聞かせて。」

「兄様、ベリーの話はとても面白いのよ。聞いたら驚くんだから。」

日本の話を…俺の生まれた故郷の話も聞けるだろうか。

「…信じていただけるのであれば。」

「フフッ、ガーネットにもだけど俺に敬語はいらないよ。」

ベリーは深い溜息をつくとゆっくりと話し出した。
ベリーは転生前の名前を忘れたらしいが、東京で育った。
小学時代は満点で過ごした優等生が、中学で躓きコミュニケーション能力も低かったとかであっという間に孤立したそうだ。
イジメは無かったようだが、相談できる友達もいなかったので学力も次第に落ちていき自信も気力も無くなって、ある日ベッドから起き上がれなくなった。
色々な病院で診てもらいながら原因不明が続いたある日、ある病院で1つの病気が見つかり…そして入院して目覚めたらここだった…らしい。

「私…親に認めてもらいたかった。親は完璧だったから。」


___私…どうしたら良いのか…___


そういや…おばさんも言ってたな。


「どうせ何言っても信じてくれない。」
___何を言っても「ママは今まで充実した人生だから絶対理解してくれない。」と、拒否される___


「私は…あの世界で1人だった…」
___私達は大事なあの子を助けたいのに___


母と叔母が話してた、叔母の不登校のイトコの話。


「話たいのに…」
___話たいのに___


そっか、ベリーの話を聞いて何となく分かった。
同じ方向を向いているのに…お互いを向いていなかったかもしれない。


「ねぇ…俺も…聞いた話をしても良い?」


転生したからもう遅いけど…この子の心の澱を無くしたい。
人を抱き締める代わりにクッションを抱きしめて小さくなっているこの子に、もしかしたらベリーのお母さんもそう思ってたかもしれない。
この世界でも同じ勘違いをして欲しくない。
そんな気持ちで、ベリーの手にそっと触れて俺は話し始めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。

竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。 自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。 番外編はおまけです。 特に番外編2はある意味蛇足です。

処理中です...