36 / 105
35
しおりを挟む
___コンコン___
「……開けて良いか?」
ん?いつもはノックしたらすぐに入ってくるベリルが入って来ない。
あれから何度もイかされて陰茎が擦れて痛くなってしまい、慌てたベリルにヒールの魔法を掛けてもらったのだが、流石に反省したのかそこからクリーンの魔法もかけてもらい部屋も魔法で整えた。
俺も出来るんだけど、ベリルほど綺麗に出来ないしベリルがさせてくれない。
ベッドでイチャイチャはしてたけど、入っても大丈夫なんだけどなぁ。
「うん、大丈夫だよ。」
___カチャ___
「失礼致します。ヘリオドール様…この度はご婚約、おめでとうございます。」
…ジルコン敬語だ、何か寂しい。
「……と、挨拶終わり。おはよ、リオ。昨日は泣かされてねぇか?」
___ボッ!___
「泣か…っ!」
「…目が赤いし…縁が腫れて………殿下…俺…言ったよな…」
「いやっ!違っ…‼︎」
「フフッ…冗談だよ。泣く程よくしてもらったんだな。最後まで「わぁぁぁああ!」…ないか。頑張ったな、殿下。」
「リオが大事だからな。」
「安心したよ…任せたぞ。」
「あぁ。」
…何2人で語ってんの?
俺…嫁に出るの?…あ、出るのか。
「氷水に浸けた布だ。殿下の着替えの間に目に乗せとけ…では、殿下、先にお着替えを。」
手慣れた手つきでベリルの着替えをジルコンが手伝う。
終わった後は俺も着替えたんだが…
「ふぅん…」
「い゛にゃぁぁあああっ‼︎」
「……っ!」
俺の身体はキスマークだらけだった。
「このケダモノ。」
「見るなぁっっ!」
「…本当に…すまないと…思っている。」
朝日に浴びる俺の身体のキスマーク…
「まぁ…殿下の背中の引っ掻き傷といい勝負じゃん。親には内緒にしておくよ。」
「「……っ!」」
ジルコンが人差し指を自分の唇に当てて笑った。
…うぅ…ジルコンには一生頭が上がらない。
___コンコン___
「失礼致します。」
服を着替え終わった後にパールがガーネットと聖女を連れてきた。
「ごめんね、ベリーの目がまだ落ち着いてないからこちらで食事をどうかなと思って。お父様達には話しているわ。ベリーにはもう1泊してもらおうと思って。」
「じゃぁ、俺も「殿下は白馬の馬車で王子が迎えに来るから勉学に励め。」」
容赦ないな、ベリル。
「なぁ、ガーネット…ベリーって…」
聖女のことだよな?
「あぁ、聖女様のことよ。昨日パジャマパーティをしたの♪」
ガーネットと聖女が手を繋ぎ、姉妹のように笑って見つめ合う姿は本当に信頼し合っているんだな。
パールも一緒だと…おかしい…パールが年長者なのに、1番幼く見える。
「えぇ、とても楽しかったです。まるで…日本に戻ったような…」
___日本___
この子、日本人なんだ。
パールとジルコンが食事のセッティングをしてみんなで席に着く。
「フフッ、日本なんて言葉はここにないですよね。私…実は転生者なんです。」
「あ…っ…あぁ…転生者…なんだ。」
「兄様、知ってたの?」
「え?」
「反応薄いから。」
「え…あっ!いやいやいや‼︎驚いてるよ!驚きすぎて反応出来なかったの!」
…うん、何となく気付いてた。
でも、『転生者』という言葉も『日本』という言葉も今は文献の中での話だ。
「…?…天…せい…2本…?意味が分からない。」
ジルコンのような反応が普通だよな。
「転生者、他の世界の者が生まれ変わってこの世に誕生することだよな。」
「ベリル、知ってるの?」
「あぁ、文献でな。確か前の転生者は…100年前の冒険者だっけ?その冒険者も日本からだったよな。」
「えぇ、私も王宮に来て教えられました。その冒険者は私が記憶している時代と同じくらいだったと思います。」
100年も離れてるのに同じくらいの時代なんだ。
「これ以上は長くなるので省きますが、この世界にいると覚醒した時…私は転生前の14歳に戻っていました。孤児院で暮らしていた不便でも当たり前というストロベリーの記憶と、日本にいた時の便利で当たり前の記憶が混乱して…私は王宮に来た時は何としても孤児院へ戻りたくないと思ってしまいました。」
お金が掛かるが、蛇口を捻れば消毒された綺麗な水が豊富に流れ、今の日本では心配しなくてもいい病気にも罹らない。
孤児院では味わえなかった日本を感じることができる。
愛されて育ったと聞いてはいるけど、乗り物は昔でも日本の環境に近い王宮や貴族の暮らしぶりには懐かしさを感じることもあっただろう。
それに…
「それに…この世界は…私が知っている世界でした。」
ゲームか小説の世界なんだろう。
「俺達を知ってたの?」
「えぇ、ベリル殿下、ロード殿下…アウィン・コーラル・オニキス…貴方達はヒロインの恋愛対象者。そして…ごめんなさい、ガーネット…貴女は『悪役令嬢』」
「フフ…何度も謝らないで。貴女の前の世界でのお話でしょ?」
「えぇ…でも、私は貴女に失礼な態度をとったわ。」
「そして…貴女は…そのヒロイン…だったのよね。」
「そうなの。私…学校に行けなくなって色々な病院で検査を受けているうちに重い病気も見つかって…そのまま…だったと思う。記憶が曖昧で。でも、このゲームは…大好きだったから。」
ゲーム…そっか。
ゲームかぁ。
「ゲーム?」
「あ、ごめんなさい。この世界ではボードゲームが主流よね。何て言えば良いのかしら…」
「そうだわ、今度コーラルのお父様とかにお願いして映し出す鏡を作ってもらいましょう!」
「え゛っ…それは…その…」
ん?聖女が急に口籠ったな。
「いえ…そうね、意志で調節出来るなら…良いかもしれない。あと……ヘリオドール様!」
「はいっ!」
今まで俺に目を合わせなかった聖女が真っ赤な顔でガーネットの手を握りしめて俺を見つめた。
「私……そのゲームの中で……貴方が1番…私の……推しでした!」
「押し?」
「お…何?」
ベリルとジルコンが『推し』について混乱している横で、事情を聞いているガーネットとパールの2人は微笑ましく笑っていた。
「……開けて良いか?」
ん?いつもはノックしたらすぐに入ってくるベリルが入って来ない。
あれから何度もイかされて陰茎が擦れて痛くなってしまい、慌てたベリルにヒールの魔法を掛けてもらったのだが、流石に反省したのかそこからクリーンの魔法もかけてもらい部屋も魔法で整えた。
俺も出来るんだけど、ベリルほど綺麗に出来ないしベリルがさせてくれない。
ベッドでイチャイチャはしてたけど、入っても大丈夫なんだけどなぁ。
「うん、大丈夫だよ。」
___カチャ___
「失礼致します。ヘリオドール様…この度はご婚約、おめでとうございます。」
…ジルコン敬語だ、何か寂しい。
「……と、挨拶終わり。おはよ、リオ。昨日は泣かされてねぇか?」
___ボッ!___
「泣か…っ!」
「…目が赤いし…縁が腫れて………殿下…俺…言ったよな…」
「いやっ!違っ…‼︎」
「フフッ…冗談だよ。泣く程よくしてもらったんだな。最後まで「わぁぁぁああ!」…ないか。頑張ったな、殿下。」
「リオが大事だからな。」
「安心したよ…任せたぞ。」
「あぁ。」
…何2人で語ってんの?
俺…嫁に出るの?…あ、出るのか。
「氷水に浸けた布だ。殿下の着替えの間に目に乗せとけ…では、殿下、先にお着替えを。」
手慣れた手つきでベリルの着替えをジルコンが手伝う。
終わった後は俺も着替えたんだが…
「ふぅん…」
「い゛にゃぁぁあああっ‼︎」
「……っ!」
俺の身体はキスマークだらけだった。
「このケダモノ。」
「見るなぁっっ!」
「…本当に…すまないと…思っている。」
朝日に浴びる俺の身体のキスマーク…
「まぁ…殿下の背中の引っ掻き傷といい勝負じゃん。親には内緒にしておくよ。」
「「……っ!」」
ジルコンが人差し指を自分の唇に当てて笑った。
…うぅ…ジルコンには一生頭が上がらない。
___コンコン___
「失礼致します。」
服を着替え終わった後にパールがガーネットと聖女を連れてきた。
「ごめんね、ベリーの目がまだ落ち着いてないからこちらで食事をどうかなと思って。お父様達には話しているわ。ベリーにはもう1泊してもらおうと思って。」
「じゃぁ、俺も「殿下は白馬の馬車で王子が迎えに来るから勉学に励め。」」
容赦ないな、ベリル。
「なぁ、ガーネット…ベリーって…」
聖女のことだよな?
「あぁ、聖女様のことよ。昨日パジャマパーティをしたの♪」
ガーネットと聖女が手を繋ぎ、姉妹のように笑って見つめ合う姿は本当に信頼し合っているんだな。
パールも一緒だと…おかしい…パールが年長者なのに、1番幼く見える。
「えぇ、とても楽しかったです。まるで…日本に戻ったような…」
___日本___
この子、日本人なんだ。
パールとジルコンが食事のセッティングをしてみんなで席に着く。
「フフッ、日本なんて言葉はここにないですよね。私…実は転生者なんです。」
「あ…っ…あぁ…転生者…なんだ。」
「兄様、知ってたの?」
「え?」
「反応薄いから。」
「え…あっ!いやいやいや‼︎驚いてるよ!驚きすぎて反応出来なかったの!」
…うん、何となく気付いてた。
でも、『転生者』という言葉も『日本』という言葉も今は文献の中での話だ。
「…?…天…せい…2本…?意味が分からない。」
ジルコンのような反応が普通だよな。
「転生者、他の世界の者が生まれ変わってこの世に誕生することだよな。」
「ベリル、知ってるの?」
「あぁ、文献でな。確か前の転生者は…100年前の冒険者だっけ?その冒険者も日本からだったよな。」
「えぇ、私も王宮に来て教えられました。その冒険者は私が記憶している時代と同じくらいだったと思います。」
100年も離れてるのに同じくらいの時代なんだ。
「これ以上は長くなるので省きますが、この世界にいると覚醒した時…私は転生前の14歳に戻っていました。孤児院で暮らしていた不便でも当たり前というストロベリーの記憶と、日本にいた時の便利で当たり前の記憶が混乱して…私は王宮に来た時は何としても孤児院へ戻りたくないと思ってしまいました。」
お金が掛かるが、蛇口を捻れば消毒された綺麗な水が豊富に流れ、今の日本では心配しなくてもいい病気にも罹らない。
孤児院では味わえなかった日本を感じることができる。
愛されて育ったと聞いてはいるけど、乗り物は昔でも日本の環境に近い王宮や貴族の暮らしぶりには懐かしさを感じることもあっただろう。
それに…
「それに…この世界は…私が知っている世界でした。」
ゲームか小説の世界なんだろう。
「俺達を知ってたの?」
「えぇ、ベリル殿下、ロード殿下…アウィン・コーラル・オニキス…貴方達はヒロインの恋愛対象者。そして…ごめんなさい、ガーネット…貴女は『悪役令嬢』」
「フフ…何度も謝らないで。貴女の前の世界でのお話でしょ?」
「えぇ…でも、私は貴女に失礼な態度をとったわ。」
「そして…貴女は…そのヒロイン…だったのよね。」
「そうなの。私…学校に行けなくなって色々な病院で検査を受けているうちに重い病気も見つかって…そのまま…だったと思う。記憶が曖昧で。でも、このゲームは…大好きだったから。」
ゲーム…そっか。
ゲームかぁ。
「ゲーム?」
「あ、ごめんなさい。この世界ではボードゲームが主流よね。何て言えば良いのかしら…」
「そうだわ、今度コーラルのお父様とかにお願いして映し出す鏡を作ってもらいましょう!」
「え゛っ…それは…その…」
ん?聖女が急に口籠ったな。
「いえ…そうね、意志で調節出来るなら…良いかもしれない。あと……ヘリオドール様!」
「はいっ!」
今まで俺に目を合わせなかった聖女が真っ赤な顔でガーネットの手を握りしめて俺を見つめた。
「私……そのゲームの中で……貴方が1番…私の……推しでした!」
「押し?」
「お…何?」
ベリルとジルコンが『推し』について混乱している横で、事情を聞いているガーネットとパールの2人は微笑ましく笑っていた。
0
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
愛しい番はいつも僕の傍に居たらしい
こんぶ
BL
高校に入学したばかりの佐藤大輝。
これから始まろうとしている青春に心躍らせて呑気に歩いていると車に轢かれた。気がつくと真っ白い空間にいて…?
主人公が悪役に転生しますが、悪役要素一っミリもありません。主人公いい子です。
執事(一応護衛)×第四王子、男性妊娠ありです。
閲覧注意には*つけます。
一応完結まで書いてますが、続きを更新するかもです。更新するかは、作者の気力次第です。すみません。
また、「ここ意味がわからない」とかあれば言ってください!直します!
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる