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学園の入学式は問題なく終わった。
クラス発表は警護を考慮されたのか、俺達兄妹・ロード、そして聖女が同じクラスとなった。
ロードは聖女を連れて学園内の王宮関係者への話で少し遅れてくると言われ、俺とガーネットは先にクラスへと移動した。
そして…
___ザワザワ___
乙女ゲームや小説の世界の必ずいる登場人物。
「そうだな…」
「…うん、ヨロシクね♪」
「……」
聖女の言葉を借りるとしたら、キラッキラな見たらすぐに分かる『イケメン攻略対象者』達がいた。
「あちらは魔術師志望のコーラル様と…騎士志望のアウイナイト様とオニキス様ね。同じ騎士志望の兄様とはこれから一緒に選択授業で一緒になることが多いんじゃないかしら。」
「じゃぁ、あのキャーキャー言ってる中に入るのかぁ…」
正直イヤだ…あ、目が合った。
「…あ、失礼。」
令嬢に囲まれたアウイナイトと目が合ったかと思うと、嬉しそうにこちらへやって来た。
ロードの婚約者であるガーネットがいるせいか、みんな遠巻きに眺めている。
「初めまして、俺はアウイナイト。アウィンって、呼んで下さい。そしてこちら大きいのがオニキス。人見知りで今は黙ってるけど、慣れたら結構話すと思います。そしてこちらがコーラル。オニキスとは幼馴染ですが、コーラルは少し前に父に紹介されて知り合ったばかりです。君は……ヘリオドール君…ですよね?」
キラッキラなイケメンは何をしてもイケメンだ。
濃い水色の髪にキラキラ光る瑠璃色の瞳。
毎日の鍛錬は欠かしてないのだろう。引き締まった身体が証明している。
隣の寡黙なオニキスは更にガッシリしていて綺麗な黒髪に陽に当たると少し紫ががった変わった髪の色をしている。瞳は…綺麗な黒曜石のようだ。
「あぁ、みんな敬語もいらないし俺のことはリオと呼んでくれ。よく俺を知ってたな。」
「ありがとう…お隣のガーネット嬢と一緒だからね。ガーネット嬢は魔術の勉強をするんだよね、じゃぁ、コーラルがこれから一緒になることが多そうだ。」
「ヨロシクね。」
ニッコリと笑うコーラルは媚びた感じは全く無く、ヒロインじゃないかと思う程可憐で可愛らしい。俺と同じくらいの身長かな?
綿菓子のようなフワフワとしたベビーピンクの髪に、ラベンダーの瞳。
小柄で優しい声は周りを癒やす。
デカくて可愛いもふもふウサギのヌイグルミ、抱えてくれませんかね……これで女の子だったらなぁ…俺の好みドンピシャなんだけど。
「えぇ、よろしく。私も敬語は結構よ。私より、兄の方が気が合いそうだわ。」
「え、そうなんですか?」
おいおい、俺は最初からタメ口でガーネットは敬語かよ。
いや…いいんだよ。コーラル、可愛いし。
でも、これじゃガーネットが年上の扱いだ。
「ウフフ、敬語はいらないと申し上げたでしょ?私とも仲良くしてね。」
「は…っ、うん!もちろん♪」
美人と可愛いの笑顔の融合…あぁ…マイナスイオン…癒やされる。
「そういや、さっきクラスのやつにきいたけど、聖女様も一緒のクラスなんだよね?」
「そうなんだよ。ガーネットが相談役?みたいな感じで同じクラスになったみたいなんだ。」
「その聖女様は?」
「えぇ、もうすぐいらっしゃると思うんだけど…」
___ザワッ___
教室でざわめきがあったのは、ロードの腕に自分の腕を絡めた聖女の姿だった。
「「「「…っ!」」」」
「なっ…!」
ワナワナと身体を震わせて、ガーネットが2人の前に向かっていった。
「ストロベリー様、婚約者がいる殿方の前に…まず、王太子という高貴な方の腕に絡ませて歩いてくるというのはいかがなものですか?聖女として…いえ、淑女として慎みなさいっ!」
「え…?だって…ロード様ぁ…怖いっ…」
聖女がそう言うとロードの後ろに隠れた。
「貴女っ!離れなさい!!」
「よさないか、ガーネット!」
信じられないことにロードが後ろに隠れた聖女を庇った。
「聖女は何も分からずここに来た。だから君に任されたんだろう?何故そんなキツイ言い方をするんだ!」
「だけどっ…!」
「こんなに震えさせる程、君は…そんな人だったのか?」
「……え…?」
「…っ…そんな人は思わなかった…聖女、こんな気持ちのまま説明を受けるのは大変だ…説明は王宮の者が伝えに行く。取り敢えずここを出よう。」
「はい、ロードライト様♡」
教室のドア付近で揉めて速攻退場。
……嵐のような展開で、何が何やら……
「……あ……みなさま…騒いでしまってごめんなさい…折角の入学式に…楽しい雰囲気を壊してしまったわ……」
「……あ、まぁまぁ…俺もあの聖女に驚いたよ…」
「そうだよ、何あの子。最近ここに来たんでしょ?何でそんなに殿下と親しげなの?古い付き合いでも幼馴染で婚約者のガーネット様の前で失礼極まりないでしょ。」
「殿下も…何故…」
あ、オニキス喋った。結構美声。
「聖女も緊張してたかもしれないしな。に、しても…」
ちょっと空気が重い……
俺達は説明を受けた後、それぞれの屋敷へと戻っていったのだが、ロードは聖女と先に城に戻ったとかで俺達は代わりの馬車で帰ることとなった。
「……ガーネット…」
「…ごめんなさい…こんなこと…初めてで…」
確かにな。
あんなにラブラブだった2人のあんな光景、10歳前後の覚醒辺りの記憶は曖昧だがこんな後継を見たことがない。
ガーネットが戸惑って当然だろう。
「俺も聖女のあの態度はどうかと思うぞ。」
王都の街の一般家庭なら大丈夫かもしれないが、ここは貴族もいる学園。
そこそこのマナーや教養は必要だ。
しかも王太子。
攻略対象にしても…ちょっと急接近過ぎないか?
屋敷に到着した後、俺はジルコンに頼んでロードに手紙を渡すという建前で、王宮の様子を見に行ってもらうことにした。
クラス発表は警護を考慮されたのか、俺達兄妹・ロード、そして聖女が同じクラスとなった。
ロードは聖女を連れて学園内の王宮関係者への話で少し遅れてくると言われ、俺とガーネットは先にクラスへと移動した。
そして…
___ザワザワ___
乙女ゲームや小説の世界の必ずいる登場人物。
「そうだな…」
「…うん、ヨロシクね♪」
「……」
聖女の言葉を借りるとしたら、キラッキラな見たらすぐに分かる『イケメン攻略対象者』達がいた。
「あちらは魔術師志望のコーラル様と…騎士志望のアウイナイト様とオニキス様ね。同じ騎士志望の兄様とはこれから一緒に選択授業で一緒になることが多いんじゃないかしら。」
「じゃぁ、あのキャーキャー言ってる中に入るのかぁ…」
正直イヤだ…あ、目が合った。
「…あ、失礼。」
令嬢に囲まれたアウイナイトと目が合ったかと思うと、嬉しそうにこちらへやって来た。
ロードの婚約者であるガーネットがいるせいか、みんな遠巻きに眺めている。
「初めまして、俺はアウイナイト。アウィンって、呼んで下さい。そしてこちら大きいのがオニキス。人見知りで今は黙ってるけど、慣れたら結構話すと思います。そしてこちらがコーラル。オニキスとは幼馴染ですが、コーラルは少し前に父に紹介されて知り合ったばかりです。君は……ヘリオドール君…ですよね?」
キラッキラなイケメンは何をしてもイケメンだ。
濃い水色の髪にキラキラ光る瑠璃色の瞳。
毎日の鍛錬は欠かしてないのだろう。引き締まった身体が証明している。
隣の寡黙なオニキスは更にガッシリしていて綺麗な黒髪に陽に当たると少し紫ががった変わった髪の色をしている。瞳は…綺麗な黒曜石のようだ。
「あぁ、みんな敬語もいらないし俺のことはリオと呼んでくれ。よく俺を知ってたな。」
「ありがとう…お隣のガーネット嬢と一緒だからね。ガーネット嬢は魔術の勉強をするんだよね、じゃぁ、コーラルがこれから一緒になることが多そうだ。」
「ヨロシクね。」
ニッコリと笑うコーラルは媚びた感じは全く無く、ヒロインじゃないかと思う程可憐で可愛らしい。俺と同じくらいの身長かな?
綿菓子のようなフワフワとしたベビーピンクの髪に、ラベンダーの瞳。
小柄で優しい声は周りを癒やす。
デカくて可愛いもふもふウサギのヌイグルミ、抱えてくれませんかね……これで女の子だったらなぁ…俺の好みドンピシャなんだけど。
「えぇ、よろしく。私も敬語は結構よ。私より、兄の方が気が合いそうだわ。」
「え、そうなんですか?」
おいおい、俺は最初からタメ口でガーネットは敬語かよ。
いや…いいんだよ。コーラル、可愛いし。
でも、これじゃガーネットが年上の扱いだ。
「ウフフ、敬語はいらないと申し上げたでしょ?私とも仲良くしてね。」
「は…っ、うん!もちろん♪」
美人と可愛いの笑顔の融合…あぁ…マイナスイオン…癒やされる。
「そういや、さっきクラスのやつにきいたけど、聖女様も一緒のクラスなんだよね?」
「そうなんだよ。ガーネットが相談役?みたいな感じで同じクラスになったみたいなんだ。」
「その聖女様は?」
「えぇ、もうすぐいらっしゃると思うんだけど…」
___ザワッ___
教室でざわめきがあったのは、ロードの腕に自分の腕を絡めた聖女の姿だった。
「「「「…っ!」」」」
「なっ…!」
ワナワナと身体を震わせて、ガーネットが2人の前に向かっていった。
「ストロベリー様、婚約者がいる殿方の前に…まず、王太子という高貴な方の腕に絡ませて歩いてくるというのはいかがなものですか?聖女として…いえ、淑女として慎みなさいっ!」
「え…?だって…ロード様ぁ…怖いっ…」
聖女がそう言うとロードの後ろに隠れた。
「貴女っ!離れなさい!!」
「よさないか、ガーネット!」
信じられないことにロードが後ろに隠れた聖女を庇った。
「聖女は何も分からずここに来た。だから君に任されたんだろう?何故そんなキツイ言い方をするんだ!」
「だけどっ…!」
「こんなに震えさせる程、君は…そんな人だったのか?」
「……え…?」
「…っ…そんな人は思わなかった…聖女、こんな気持ちのまま説明を受けるのは大変だ…説明は王宮の者が伝えに行く。取り敢えずここを出よう。」
「はい、ロードライト様♡」
教室のドア付近で揉めて速攻退場。
……嵐のような展開で、何が何やら……
「……あ……みなさま…騒いでしまってごめんなさい…折角の入学式に…楽しい雰囲気を壊してしまったわ……」
「……あ、まぁまぁ…俺もあの聖女に驚いたよ…」
「そうだよ、何あの子。最近ここに来たんでしょ?何でそんなに殿下と親しげなの?古い付き合いでも幼馴染で婚約者のガーネット様の前で失礼極まりないでしょ。」
「殿下も…何故…」
あ、オニキス喋った。結構美声。
「聖女も緊張してたかもしれないしな。に、しても…」
ちょっと空気が重い……
俺達は説明を受けた後、それぞれの屋敷へと戻っていったのだが、ロードは聖女と先に城に戻ったとかで俺達は代わりの馬車で帰ることとなった。
「……ガーネット…」
「…ごめんなさい…こんなこと…初めてで…」
確かにな。
あんなにラブラブだった2人のあんな光景、10歳前後の覚醒辺りの記憶は曖昧だがこんな後継を見たことがない。
ガーネットが戸惑って当然だろう。
「俺も聖女のあの態度はどうかと思うぞ。」
王都の街の一般家庭なら大丈夫かもしれないが、ここは貴族もいる学園。
そこそこのマナーや教養は必要だ。
しかも王太子。
攻略対象にしても…ちょっと急接近過ぎないか?
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