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最終章 それが俺達の絆
第439話 明暗夜光のルクガイア・破③
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「お、おい! こりゃ、どないなっとるんや!?」
「頭領! 暴徒の勢いが収まりません!」
レイキースが起こした王都の異変。
その渦中には頭領シシバと参謀長コゴーダを始めとした、ギャングレオ盗賊団の面々も居合わせていた。
幹部クラスはこの二人しかいなかったが、その場にいた下っ端クラスの構成員達を総動員し、なんとか事態の収拾にあたっていた。
「ア、アカンで! 数が多すぎる! どんだけどついても起き上がりおるし……そもそも、なんでこないにゼロラはんに恨みを吐いとるんや!?」
それでも状況は最悪だった。
居合わせている構成員だけではとても手が回らず、民衆はただひたすらに暴言を吐き散らす。
ゼロラへの恨み。レイキースへの称賛。
事情を知っているシシバを始めとしたギャングレオ盗賊団には効果がなかったが、事情を全く知らない民衆には、"レイキースの言葉が事実"としか聞こえていなかった。
<ライトブレーウォ>による民衆の洗脳――
王宮で起こっている事態を知らないシシバ達に、この状況を理解することはできなかった。
「喝ッ!! カァァアアツッ!! ほれ! もっと腹から声を出すのじゃ!」
「オッケーね! ミスター・チャン! カァァアアツッ!!」
「カァァアアツッ!! で、押ぉおお忍!!」
「……喝ッッッ!!」
「喝ばい! 喝入れるばい!!」
「チャン老師に黒蛇部隊……? な、何やっとるんや……?」
困惑するシシバ達の近くで、民衆に向けて喝を入れる声が聞こえた。
チャン老師先導の元、黒蛇部隊の隊員四人と一緒に大声で喝を入れているのがシシバの目に映った。
「おお! シシバ殿! やはり無事であったか! どうやらこの暴動は、ゼロラ殿のことをよく知らぬ民衆が起こしているらしい!」
「それは分かったんやが、なんで黒蛇部隊と一緒に大声で喝なんか入れとるんや?」
「微力ではあるが、こうすることで民衆の意識を元に戻すことができそうなのじゃ。黒蛇部隊の面々も無事だったので、こうして助力してもらっておるのじゃ」
チャン老師達の行動が分からなかったシシバだが、とりあえず味方となってくれていることは分かった。
事実チャン老師が言う通り、喝を入れられた民衆は頭を抱えて、何かに抗うように苦しんでいる。
「しっかし……完全に戻せるわけやないみたいやな……」
「うむ……。わしが思うにこの暴動は、洗脳の類と見える。そうなれば、民衆を操っている元凶を叩くのが一番なのじゃが……」
チャン老師は悩みながらも、シシバに思いつく打開策を伝える。
このまま民衆の意識に喝を入れるだけでは、状況が好転することはない。
シシバもその状況が分かっているからこそ、元凶の居場所を探そうとした。
「……こういう時ってな、大体親玉が一番偉そうなところに控えてるもんやと思わへんか?」
「確かにそういうものかもしれませんが……。そう簡単に行くでしょうか?」
シシバは思ったことをそのままコゴーダに尋ねた。
実に短絡的な発想ではあるが、実際にその考えは的を得ていた。
――シシバの想定通り、暴動の元凶であるレイキースは、この王都の中枢に潜り込んでいた。
「コゴーダ! 俺は今から王宮に行ってくる! お前は救援要請を手当たり次第に出しとけ!」
「一人で大丈夫ですか? 救援を待った方が――」
「そないに悠長なことも言ってられへん! もしも俺の考えが正しければ、王宮にはリョウもおるんやで!?」
冷静な対処を提案するコゴーダだったが、シシバにそんな余裕はなかった。
もしも自身の想定通り、騒動の元凶が王宮にいるのならば、妹のリョウの身が危険であることは想像に難くない。
それを考えるとシシバは自らの危険を顧みず、王宮に向かわずにはいられなかった。
「とにかく、戦力になる人間を集めるんや! とりあえず、サイバラ呼んでこい! ジフウの兄貴も入院しとるが、この騒動を聞けば駆け付けてくれるやろ!」
「わ、分かりました! 私の方ですぐに手配します!」
鬼気迫る形相で命じるシシバに、コゴーダもこれ以上の意見はできなかった。
シシバは王宮へ。コゴーダは援軍の要請へ。
それぞれ二手に分かれ、王都の中を大急ぎで駆け始めた。
残ったギャングレオ盗賊団も、チャン老師や黒蛇部隊と共に、暴徒の鎮圧を続ける。
混乱を極めた王都での事態は、更なる展開を迎えようとしていた――
■
「こ、これは……。一体、王都で何が起こってるんだ……?」
――そんな王都に、ゼロラもついに姿を現した。
「頭領! 暴徒の勢いが収まりません!」
レイキースが起こした王都の異変。
その渦中には頭領シシバと参謀長コゴーダを始めとした、ギャングレオ盗賊団の面々も居合わせていた。
幹部クラスはこの二人しかいなかったが、その場にいた下っ端クラスの構成員達を総動員し、なんとか事態の収拾にあたっていた。
「ア、アカンで! 数が多すぎる! どんだけどついても起き上がりおるし……そもそも、なんでこないにゼロラはんに恨みを吐いとるんや!?」
それでも状況は最悪だった。
居合わせている構成員だけではとても手が回らず、民衆はただひたすらに暴言を吐き散らす。
ゼロラへの恨み。レイキースへの称賛。
事情を知っているシシバを始めとしたギャングレオ盗賊団には効果がなかったが、事情を全く知らない民衆には、"レイキースの言葉が事実"としか聞こえていなかった。
<ライトブレーウォ>による民衆の洗脳――
王宮で起こっている事態を知らないシシバ達に、この状況を理解することはできなかった。
「喝ッ!! カァァアアツッ!! ほれ! もっと腹から声を出すのじゃ!」
「オッケーね! ミスター・チャン! カァァアアツッ!!」
「カァァアアツッ!! で、押ぉおお忍!!」
「……喝ッッッ!!」
「喝ばい! 喝入れるばい!!」
「チャン老師に黒蛇部隊……? な、何やっとるんや……?」
困惑するシシバ達の近くで、民衆に向けて喝を入れる声が聞こえた。
チャン老師先導の元、黒蛇部隊の隊員四人と一緒に大声で喝を入れているのがシシバの目に映った。
「おお! シシバ殿! やはり無事であったか! どうやらこの暴動は、ゼロラ殿のことをよく知らぬ民衆が起こしているらしい!」
「それは分かったんやが、なんで黒蛇部隊と一緒に大声で喝なんか入れとるんや?」
「微力ではあるが、こうすることで民衆の意識を元に戻すことができそうなのじゃ。黒蛇部隊の面々も無事だったので、こうして助力してもらっておるのじゃ」
チャン老師達の行動が分からなかったシシバだが、とりあえず味方となってくれていることは分かった。
事実チャン老師が言う通り、喝を入れられた民衆は頭を抱えて、何かに抗うように苦しんでいる。
「しっかし……完全に戻せるわけやないみたいやな……」
「うむ……。わしが思うにこの暴動は、洗脳の類と見える。そうなれば、民衆を操っている元凶を叩くのが一番なのじゃが……」
チャン老師は悩みながらも、シシバに思いつく打開策を伝える。
このまま民衆の意識に喝を入れるだけでは、状況が好転することはない。
シシバもその状況が分かっているからこそ、元凶の居場所を探そうとした。
「……こういう時ってな、大体親玉が一番偉そうなところに控えてるもんやと思わへんか?」
「確かにそういうものかもしれませんが……。そう簡単に行くでしょうか?」
シシバは思ったことをそのままコゴーダに尋ねた。
実に短絡的な発想ではあるが、実際にその考えは的を得ていた。
――シシバの想定通り、暴動の元凶であるレイキースは、この王都の中枢に潜り込んでいた。
「コゴーダ! 俺は今から王宮に行ってくる! お前は救援要請を手当たり次第に出しとけ!」
「一人で大丈夫ですか? 救援を待った方が――」
「そないに悠長なことも言ってられへん! もしも俺の考えが正しければ、王宮にはリョウもおるんやで!?」
冷静な対処を提案するコゴーダだったが、シシバにそんな余裕はなかった。
もしも自身の想定通り、騒動の元凶が王宮にいるのならば、妹のリョウの身が危険であることは想像に難くない。
それを考えるとシシバは自らの危険を顧みず、王宮に向かわずにはいられなかった。
「とにかく、戦力になる人間を集めるんや! とりあえず、サイバラ呼んでこい! ジフウの兄貴も入院しとるが、この騒動を聞けば駆け付けてくれるやろ!」
「わ、分かりました! 私の方ですぐに手配します!」
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シシバは王宮へ。コゴーダは援軍の要請へ。
それぞれ二手に分かれ、王都の中を大急ぎで駆け始めた。
残ったギャングレオ盗賊団も、チャン老師や黒蛇部隊と共に、暴徒の鎮圧を続ける。
混乱を極めた王都での事態は、更なる展開を迎えようとしていた――
■
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――そんな王都に、ゼロラもついに姿を現した。
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