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第22話 新しい従者
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長年つかえていたわだかまりが無くなった二人は離れていた時間を埋めるように、ほとんどの時間を一緒に過ごしていた。
私達はと言うと、ガゼボでハーブティーを飲んで会話をして一面に広がるハーブ園を眺めてゆったりとした時間を楽しんでいた。
男の子達は元気よくハーブ園の周りを駆け回り遠くで笑い声が聞こえた。
後を着いて行く従者は、余裕のある顔をして追いかけて行く。体力凄いな。
そう、我が家にも従者、雇いましたよ。
父が今後のことを考えて身の安全のためにと、従者兼護衛を五人。
アルベルトさんの紹介で、彼等は強い上に優秀しかも一番信頼できる人達だそうだ。
有難い。
マーカスくんとバリーくんを追いかけているのが、四人の中で最年少のカールさん。
カールさんは二十二歳ということだが、少年のように見える。
明るくて優しい陽気なお兄ちゃんといったところかな。
アッシュさんは、父の護衛が主で常に父に付き従って行動している。
彼は責任感がとても強いらしい。
後の二人は門番で、ランドさんとヘルドさん。
二人は兄弟だ。
朝夕交代で見張りをしてもらっている。
もう少し余裕があれば良かったんだけど、暫くの間はこの体制で我慢してもらわなきゃ、ごめんね。
ようやく貴族の生活らしくなってきたかな。
前世庶民の私には慣れない慣習だけど。
「お嬢様ぁ、新しいティーポットとクッキー、お持ちしましたぁ!」
ああっ、アリスさん。
慌てないで、落ち着いてね。
トレーの上でカップがカチャカチャと忙しなくぶつかる音がして危なっかしい。
そこへゴツゴツとした手がサッと伸びた。
「アリスさん、手伝います。重いので俺が運びます」
彼はジークさん。
私達の従者兼護衛だ。
アッシュさんの次にガッシリとした体格をしており、強い上に気配り上手だ。
「ありがとうございます。では私はお茶の用意をしますね」
空になったティーポットとカップを下げて、新たに用意したカップにハーブティーを淹れる。
「このハーブティーは昨日とは違う香りと味がしますね。このハーブティーも美味しいです」
アンナさんからの言葉に母も私も笑みが零れた。
「ええ、最近肌寒くなってきたからこのハーブティーを飲むことが増えたんだけど、身体がポカポカと温まってぐっすり眠れるの。今一番のお気に入りなの」
口調は相変わらずおっとりとしているのだが、今日はいつもより擬音が少ない。
何処からどう見ても、立派な伯爵夫人にしか見えない。
「そうなのですか?……私、これからの季節はどうも辛くて。手足が冷たくて体調が優れないんです」
アンナさんは冷え性なのか。
私はふむ、と小さく頷き渡すお土産を決めた。
「それなら尚更このハーブティーをお勧めしますわ。薬効がありますから朝晩飲むと随分良くなりますわ」
今日の母は、とても饒舌に会話を進めていく。
「やっこう、ですか?……あ、薬ということですね!帰りにこちらで買い求めたいと思います!」
「まあ、私達は家族でしょう。差し上げますわ。遠慮なさらないでね」
ニッコリと微笑む母は、慈愛に満ちていて美しかった。
私達はと言うと、ガゼボでハーブティーを飲んで会話をして一面に広がるハーブ園を眺めてゆったりとした時間を楽しんでいた。
男の子達は元気よくハーブ園の周りを駆け回り遠くで笑い声が聞こえた。
後を着いて行く従者は、余裕のある顔をして追いかけて行く。体力凄いな。
そう、我が家にも従者、雇いましたよ。
父が今後のことを考えて身の安全のためにと、従者兼護衛を五人。
アルベルトさんの紹介で、彼等は強い上に優秀しかも一番信頼できる人達だそうだ。
有難い。
マーカスくんとバリーくんを追いかけているのが、四人の中で最年少のカールさん。
カールさんは二十二歳ということだが、少年のように見える。
明るくて優しい陽気なお兄ちゃんといったところかな。
アッシュさんは、父の護衛が主で常に父に付き従って行動している。
彼は責任感がとても強いらしい。
後の二人は門番で、ランドさんとヘルドさん。
二人は兄弟だ。
朝夕交代で見張りをしてもらっている。
もう少し余裕があれば良かったんだけど、暫くの間はこの体制で我慢してもらわなきゃ、ごめんね。
ようやく貴族の生活らしくなってきたかな。
前世庶民の私には慣れない慣習だけど。
「お嬢様ぁ、新しいティーポットとクッキー、お持ちしましたぁ!」
ああっ、アリスさん。
慌てないで、落ち着いてね。
トレーの上でカップがカチャカチャと忙しなくぶつかる音がして危なっかしい。
そこへゴツゴツとした手がサッと伸びた。
「アリスさん、手伝います。重いので俺が運びます」
彼はジークさん。
私達の従者兼護衛だ。
アッシュさんの次にガッシリとした体格をしており、強い上に気配り上手だ。
「ありがとうございます。では私はお茶の用意をしますね」
空になったティーポットとカップを下げて、新たに用意したカップにハーブティーを淹れる。
「このハーブティーは昨日とは違う香りと味がしますね。このハーブティーも美味しいです」
アンナさんからの言葉に母も私も笑みが零れた。
「ええ、最近肌寒くなってきたからこのハーブティーを飲むことが増えたんだけど、身体がポカポカと温まってぐっすり眠れるの。今一番のお気に入りなの」
口調は相変わらずおっとりとしているのだが、今日はいつもより擬音が少ない。
何処からどう見ても、立派な伯爵夫人にしか見えない。
「そうなのですか?……私、これからの季節はどうも辛くて。手足が冷たくて体調が優れないんです」
アンナさんは冷え性なのか。
私はふむ、と小さく頷き渡すお土産を決めた。
「それなら尚更このハーブティーをお勧めしますわ。薬効がありますから朝晩飲むと随分良くなりますわ」
今日の母は、とても饒舌に会話を進めていく。
「やっこう、ですか?……あ、薬ということですね!帰りにこちらで買い求めたいと思います!」
「まあ、私達は家族でしょう。差し上げますわ。遠慮なさらないでね」
ニッコリと微笑む母は、慈愛に満ちていて美しかった。
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