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第23話 将来について

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 叔父さん達を王都に送り出していつもの日常が戻ったある日のこと。
 私は執務室に呼び出されていた。

「ミリー、こんなこと言えた義理ではないが、そろそろ先のことを考えてみてはどうだ?」

 ソファで座って待っていた父は、部屋に入るなり唐突に切り出した。
 将来について聞かれるとは思ってもみなかった私は、自分が貴族の令嬢であることを思い出した。

「……先のこと。すみません。何も考えてませんでした」

 目の前のことで手一杯だったからそんな余裕は全くなかった。
 これからやりたいことと言っても今まで通り、領地を盛り上げて行きたいだけだし。
 恥ずかしくて俯いた。

「気にしなくていい。本来ならお前が幸せになれるよう私が考えなければならないことなんだが、お前は普通の貴族の娘のように扱うのは違うと思ってな。好きにしていい、と言ってやりたいが……」

 甘えさせてくれるのは嬉しいが、そうもいかないのだろう。
 申し訳ないと顔が物語っている。

「……貴族ですから。理解しているつもりです。もしかして…婚約の話しでも出ているのでしょうか?」

 そう、この世界では十三歳で婚約者がいるのは当たり前。
 王族や高位貴族だと、生まれた時に既に婚約者がいる者だっている。
 会ったこともない異性と婚約なんて有り得ないし不安しかない。

「ああ、いや、ミリーは好きな相手と結婚してもらって構わない。そうじゃなくて学園についてだ。以前、粉薬を作りたいと言っていただろう?ポーションは高額だから、安価な粉薬を作りたいと」

 父は慌てて話しを続けた。
 そう言えば、そんなことを話したかもしれない。

「はい、言いました。魔法に頼らずに安価に手に入れば、子供達の生存率が上がり悲しむ親も減るのではと思ったので。ですが、私にはその知識がありません。学園も大事でしょうが、私は薬師の勉強がしたいのです」

 貴族が学園に通うのは当然なのだが、我が家の財政状況では少し厳しいだろうし、何より私自身貴族とは言え中身は庶民だ。
 貴族に囲まれて学園生活を送るのは避けたい。
 神経をすり減らしそうだし、出来れば平穏に過ごしたい。

「そうか。良く分かった。腕のいい薬師がいるから相談して来よう」

 うんうんと頷いて、頭を優しく撫でると笑みを浮かべてソファに座りなおした。

 良かった!学園に通わなくて大丈夫そうだ。
 それに結婚も好きな人と出来る。
 内心、狂喜乱舞だ。

 きっと父の心配事は私を貴族令嬢として幸せにしてやれない、ということだろう。
 問題ありませんよ!私は十分幸せですから!
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