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慌てて一番上の石を退けて見ると、幸いまだそこまで焦げてはいなかった。
「セーフセーフ。はい、これが常夜ので、これが黎月。こっちが紅羽と白氷の分」
一人あたり二匹ずつの計算だ。
「いただきまーす」
ガブッと噛みつくと、パリッとした皮のあとにふわっとした身の食感が感じられる。
うんまっ! え、全然臭くない! なにこれ!?
「これはうまいな。ハシバは焼いても煮ても平凡だったが、この作り方はなかなか合ってるぞ」
へー、この魚ハシバって言うんだ。
常夜以下四名は、爪やら角やらを使いながら器用に小骨を避けている。この子たち、私の想像以上に繊細なのかもしれない。
「そういえば、残りどうする? 」
そう言って私が指したのは、こんもりと積まれた残りの百十匹。これから毎食三食二匹ずつハシバを食べるとしても、二週間近くかかる。いくら異世界の魚でも流石に腐るぞ?
「すで保存の魔法をかけた。三ヶ月は持つだろう」
答えたのは白氷。片側を食べ終わって、頑張ってひっくり返しているところだ。くるっと手でひっくりかえしといてあげた。
「感謝する」
「なら大丈夫か。でもどうやって持ち運ぶつもり? 」
「ふむ・・・たしかにこの量は大変だな」
「うーん・・・。じゃあしばらくここに住んじゃう? 」
ゆっくりと魔法の練習もしたいし、森での生活にはちょっと憧れてたんだよね~。
「シエルがいいなら」
「じゃあそうしましょう! 」
転生一日目。森暮らしが決まりました!
***
「そうと決まれば早く家を建てなくちゃね! 」
「我に任せろ」
即断即決とばかりにはしゃいだ紅羽の声にすぐさま常夜が答え、尻尾を一叩き。
「うわっ!? 」
ドシンッ! と突然幾本もの木が倒れ、きれいな断面をした切り株だけがその場に残った。ご丁寧に枝まで落としてくれている。
「風で切った。これを使え」
「ありがとう・・・」
先に言ってくれ! 心臓に悪い!
でも丸太なら比較的加工しやすいから、作りやすくて助かる。
「まずは乾燥させたいんだけど・・・」
確か木材って乾燥させたら割れるんだっけ? 中学校で習った気がする。先に切り込みを入れておかなきゃ。
「誰か斧かなにか出せる方いる? 」
「斧は出せないが、なにか切りたいのか? 」
「ここに十字の切れ込みを」
「ならば風で切ってやる」
「お、ナイス! 全部同じ感じでやってくれると嬉しんだけど」
ヒュン! ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ・・・。
瞬く間に、流れ作業のように全ての木材の断面に切れ込みが入った。
「うん、ありがと! いい感じ! 」
「紅羽、乾燥させて水分抜ける? 」
「ええ、任せなさい」
ゴウッとほんの一瞬とてつもない熱風が襲いかかって来たと思えば、丸太の水分が抜けて、一回り小さくなっていた。割れ目も切れ込み通りだ。
じゃああとは周りを削って・・・。道具がないな。
「うーん、あ、そうだ! 小さい砂の粒を混ぜた風って起こせるかな? 」
「小さい砂の粒を混ぜた風か・・・。ふむ、こんなものか? 」
「もうちょっと威力落として」
「これぐらいか? 」
「ああそれぐらい! それを丸太の周りで回転させたら・・・、そうそうそんな感じ! 」
そんな調子で、気づけば撥水コーティングまでされた木材が出来上がっていた。
「セーフセーフ。はい、これが常夜ので、これが黎月。こっちが紅羽と白氷の分」
一人あたり二匹ずつの計算だ。
「いただきまーす」
ガブッと噛みつくと、パリッとした皮のあとにふわっとした身の食感が感じられる。
うんまっ! え、全然臭くない! なにこれ!?
「これはうまいな。ハシバは焼いても煮ても平凡だったが、この作り方はなかなか合ってるぞ」
へー、この魚ハシバって言うんだ。
常夜以下四名は、爪やら角やらを使いながら器用に小骨を避けている。この子たち、私の想像以上に繊細なのかもしれない。
「そういえば、残りどうする? 」
そう言って私が指したのは、こんもりと積まれた残りの百十匹。これから毎食三食二匹ずつハシバを食べるとしても、二週間近くかかる。いくら異世界の魚でも流石に腐るぞ?
「すで保存の魔法をかけた。三ヶ月は持つだろう」
答えたのは白氷。片側を食べ終わって、頑張ってひっくり返しているところだ。くるっと手でひっくりかえしといてあげた。
「感謝する」
「なら大丈夫か。でもどうやって持ち運ぶつもり? 」
「ふむ・・・たしかにこの量は大変だな」
「うーん・・・。じゃあしばらくここに住んじゃう? 」
ゆっくりと魔法の練習もしたいし、森での生活にはちょっと憧れてたんだよね~。
「シエルがいいなら」
「じゃあそうしましょう! 」
転生一日目。森暮らしが決まりました!
***
「そうと決まれば早く家を建てなくちゃね! 」
「我に任せろ」
即断即決とばかりにはしゃいだ紅羽の声にすぐさま常夜が答え、尻尾を一叩き。
「うわっ!? 」
ドシンッ! と突然幾本もの木が倒れ、きれいな断面をした切り株だけがその場に残った。ご丁寧に枝まで落としてくれている。
「風で切った。これを使え」
「ありがとう・・・」
先に言ってくれ! 心臓に悪い!
でも丸太なら比較的加工しやすいから、作りやすくて助かる。
「まずは乾燥させたいんだけど・・・」
確か木材って乾燥させたら割れるんだっけ? 中学校で習った気がする。先に切り込みを入れておかなきゃ。
「誰か斧かなにか出せる方いる? 」
「斧は出せないが、なにか切りたいのか? 」
「ここに十字の切れ込みを」
「ならば風で切ってやる」
「お、ナイス! 全部同じ感じでやってくれると嬉しんだけど」
ヒュン! ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ、ガッ・・・。
瞬く間に、流れ作業のように全ての木材の断面に切れ込みが入った。
「うん、ありがと! いい感じ! 」
「紅羽、乾燥させて水分抜ける? 」
「ええ、任せなさい」
ゴウッとほんの一瞬とてつもない熱風が襲いかかって来たと思えば、丸太の水分が抜けて、一回り小さくなっていた。割れ目も切れ込み通りだ。
じゃああとは周りを削って・・・。道具がないな。
「うーん、あ、そうだ! 小さい砂の粒を混ぜた風って起こせるかな? 」
「小さい砂の粒を混ぜた風か・・・。ふむ、こんなものか? 」
「もうちょっと威力落として」
「これぐらいか? 」
「ああそれぐらい! それを丸太の周りで回転させたら・・・、そうそうそんな感じ! 」
そんな調子で、気づけば撥水コーティングまでされた木材が出来上がっていた。
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