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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第24話】

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「それは、私のキンコジュ!!」
 部屋に戻って来た蜘妹アンドロイドメイド長が恭しくクッションに乗せて運んできた銀色の輪に驚きの声をあげるサン博士。
『ごめんなさいね、ここに連れて来たあなたを私好みに着替えさせる時に荷物の中かから回収しておいたの。
 お願い、フトウちゃん……これを貴女の手で私に巌めてくれないかしら?』
 そう言いつつサン博士に頭を差し出すリュート。
 このセクシーランジェリーはマリィ店長の趣味だったのか……と言うのはさておき自身が倒さねばならぬミクラ・ブレインに最も近い配下であろう上位管理者アンドロイドが自ら不戦敗を認めるような行為にサン博士は思わず目を疑う。
『ねえ、フトウちゃんは私を壊したいの?』
「えっ……」
 またもや心を読まれたような発言に思わずドキッとしてしまうサン博士。
『そうなった場合私は貴女が抵抗できないように四肢をもぐか脳だけを摘出して特殊生体液タンクに入れて主様に差し出さなくてはいけなくなるわ……お願い、そんな悲しい事させないで』
『くっ……』
 仮に完全武装状態でフルチャージ状態の電撃銃を無抵抗の彼女にあてていたたとしてもリュートにそれを引くことは出来ない。
 それを分かっていたサン博士は悲しそうな声で懇願するリュートの頭に震える手でキンコジュを嵌める。

『……ダメみたいね』
「ええ、そうね……」
 待てど暮らせど銀色のままのキンコジュを前に言葉を無くすサン博士とリュート。
『ああ、なんて事!! 私の手でアレをしなくてはならないなんて!! ああ、ああ、ああ!!』
 突如取り乱し、顔を抑えてむせび泣きながら叫びだすリュートは貴賓室の扉をバァンと突き破って廊下に飛び出す。
『やむを得ぬ……皆の者、博士を取り押さえよ!!』
「えっ?」

「きゃああああああ!!」
『この声は、博士だ!!』
 新たな仲間となったカッパマンの案内で複雑な樹海迷宮を最短ルートで駆け抜け、エデン第一区画中央管理施設となっているかつての来客宿泊施設であった森奥の洋館に到着したモンキーマン。
 人質に取られたサン博士を救出すべく巨木の樹上に隠れてモンキーセンサーや目視での敵地調査中にその悲鳴を聞きつけたモンキーマンは思わず叫ぶ。
『モンキーマン殿、しーっ!! だがこれはまずいですぞ!? おそらくリュート様の計画は失敗し、先ほど私があなた様にお話ししたかのサブプランが実行に移されようとしています!!』
 同じく樹上に隠れカッパセンサーと熱探知で敵地調査を行っていたカッパマンは戸惑いの声を上げる。
『ならば突入あるのみ!! あそこの窓の部屋だ、殴りこめ!!』
『同委でございます、モンキーマン殿!!』
 カッパマンとモンキーマンは各々の武器を抜き、着地地点の狙いを定めて巨木の枝を蹴り飛ぶ。
『博士えええ!!』
『カッパマンキイッツツク!!』
 間違いなく命の危機にあるであろう博士から気をそらさせるべく、わざと大声を上げながら派手に窓を蹴破って悲鳴の発生源・貴賓室に突入した2体の人型アンドロイド。
 天蓋付きのゴージャスなベッドもソファーも件の粘糸まみれになり、倒れたアンティークなテーブル&椅子周りには割れた食器片が床に散乱して脱ぎ捨てられたであろうバスローブは紅茶に浸って茶色く変色。
 そんな異様な部屋に蹴り込んだ2人はすぐに戦闘態勢に入って室内を見回すが囚われのサン博士はおろかあの7体の蜘妹アンドロイドメイド軍団の1人もいないと言う現実に戸惑う。
『モンキーマン殿、サン博士殿は地下室にいらっしやるはずです!! 急ぎましょう』
『おうよっ!!』
 荒れ果てた貴賓室を出た2人はすぐに廊下を駆けだす。

【MMS 第25話に続く】
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