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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第十話)】「ガチャ&ポンッ!! アランと恐怖のトイカプセル!?」
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平日午前中、都内S区にあるスーパー・エブリデイ。
「合計1240円になります! ポイントカードはお持ちですか?」
「ポイントは貯めて置いて、支払いは現金でお願いします」
「はいっ!」
夕食の買い出しに来たアランはポイントカードと現金1250円をトレイに置く。
「10円のお返しです! こちら3階に新オープンしたカプセルトイコーナーのクーポンとなります! よろしければご利用ください」
レジのお姉さんがレシートとお釣りと共に渡してきたチケットには『カプセルトイ3回無料券! エブリデイS区店』と言うポップなフォント文字と共に大きな丸い頭を持つ白い三頭身ロボットがカラフルなボールでお手玉するイラストが描かれている。
「カプセルトイ……? とりあえずありがとうございます!」
アランは爽やかな笑顔と共にそれらを受けとる。
(これがカプセルトイと言う物らしいが? 何なんだろう、よくわからないな)
そのまま3階にやって来て受付のおばちゃんにカプセルトイ専用コインをもらったアランはアミューズメントコーナーの一画に置かれた恐竜や動物、アニメキャラクターや特撮ヒーローのポスターが貼られた回せる取っ手がついた白い四角い機械を見て回る。
「んっ……何だこれは?」
『立体魔族図鑑大全II』と言うとあるカプセルトイマシンの前で足を止めたアラン。
荘厳な金文字表題の下に描かれているのは立派な髭とシルクハットに礼服姿のニヒルダンディ『インキュバス』。
頭に立派な角を持ち、黒いロングヘアと官能的なポーズで魅惑する紫アイシャドウ&ルージュのボデイコングラマラス美女『サキュバス』。
黒い翼を背中に生やした黒山羊の頭と下半身を持つ人型悪魔『バフォメット』。
大蛇の下半身と鱗に覆われて先端が割れた舌をちろつかせる美女の上半身を持つ『ラミア』。
黒い蜘蛛の下半身頭部から不気味に笑う複眼少女の上半身が結合した『アラネイア』。
良く知っている魔界の者達が描かれた謎の機械を見ていたアランは恐ろしい事実に気づく。
(わかったぞ、このカプセルトイと言うのは……人類が琥珀の虫から再現した恐竜やエクソシストが倒した魔族、悪の組織が複製した異能者のクローンを封じ込める危険な違法魔導器具なんだ! そしてこの機械の中に閉じ込められているのは……魔界人に違いない!!)
未だに失われていなかった人間の残虐非道さに青ざめるばかりのアランはここにいては自分も違法魔導器具で拘束封印されてしまう可能性に気づき、恐怖に駆られるあまりすぐに逃げ出そうとする。
(ダメだ! せめて今助けられる者は助けなくては!)
アランは機械に書かれた遊び方を見つつ震える手でコインを投入し、取っ手を回す。
それからしばらくして、都内S区にあるマンション805号室。
「……とりあえず、どうにか救出成功した3人はどうしたらいいんだろうか?」
夕食の材料を冷蔵庫に入れたアランは、ちゃぶ台上にタオルを敷いて安置したピンクで中身が需ががった『カプセルトイ』と名付けられた球体型違法魔導器具3つとにらめっこしつつ考え込む。
「解放した瞬間襲ってくる可能性も否めないし、封じたエクソシストが罠をしかけている可能性もある、それに……開けるにはキーワードや特定の儀式が必要となる可能性さえある…… ううん。しかしこの魔力反応の無さはどういう事だろう?」
魔界スマホの魔力探知アプリで違法魔導器具を解析していたアランはその無反応っぷりに首をかしげる。
「とりあえずキアラと僕だけでは危険が及ぶ可能性があるし、明日ラビオ刑事が戻ってきたらキアラと共にこれを解析してもらわねば……」
アランはひとまず明日までこれらを安置できる場所を探す。
それから数時間後、夜。
「アラン君、お皿は何枚必要かしら?」
「2枚でお願いします、ミキさん!」
夕食の支度を手伝うミキちゃんが食器棚を開けたその時、ピンク色の何かが転がり落ちてしまう。
「あらっ、今のは……ごめん、アラン君! 今食器棚からカプセルのおもちゃが落ちてきて開いちゃったんだけど、壊れ物かしら?」
「!!」食器棚奥に安置しておいたはずの物が転げ落ちてしまうと言う最悪の事態にサラダボウルをテーブルに置いたアランは、台所に駆け戻る。
「あれっ…… ?」
ミキちゃんの足元で上下二つに開いてしまったカプセルの中に入っていたのはもみくちゃのビニール袋に入った細々としたプラスチックと紙のみで、中に封じられているはずの魔族は影も形も無い。
「へえ、今のカプセルトイって随分カラフルで細かいのねえプラモデルみたいだわ……お兄ちゃんが昔バッファローニャンのニャン消しとか集めてたけど全然違うのねぇ。 どうしたのアラン君?」
「いや、別に……何も。さあ、ご飯にしましょうミキさん!」
「うんっ! いただきます!」
ミキさんのおかげでカプセルトイなるものの正体を完全に理解できたアラン。
思い込み勘違いでキアラやラビオ刑事も巻き込んだ大事にせずに済んだアランはミキさんに感謝しつつ、シーザードレッシングを冷蔵庫から出すのであった。
【完】
「合計1240円になります! ポイントカードはお持ちですか?」
「ポイントは貯めて置いて、支払いは現金でお願いします」
「はいっ!」
夕食の買い出しに来たアランはポイントカードと現金1250円をトレイに置く。
「10円のお返しです! こちら3階に新オープンしたカプセルトイコーナーのクーポンとなります! よろしければご利用ください」
レジのお姉さんがレシートとお釣りと共に渡してきたチケットには『カプセルトイ3回無料券! エブリデイS区店』と言うポップなフォント文字と共に大きな丸い頭を持つ白い三頭身ロボットがカラフルなボールでお手玉するイラストが描かれている。
「カプセルトイ……? とりあえずありがとうございます!」
アランは爽やかな笑顔と共にそれらを受けとる。
(これがカプセルトイと言う物らしいが? 何なんだろう、よくわからないな)
そのまま3階にやって来て受付のおばちゃんにカプセルトイ専用コインをもらったアランはアミューズメントコーナーの一画に置かれた恐竜や動物、アニメキャラクターや特撮ヒーローのポスターが貼られた回せる取っ手がついた白い四角い機械を見て回る。
「んっ……何だこれは?」
『立体魔族図鑑大全II』と言うとあるカプセルトイマシンの前で足を止めたアラン。
荘厳な金文字表題の下に描かれているのは立派な髭とシルクハットに礼服姿のニヒルダンディ『インキュバス』。
頭に立派な角を持ち、黒いロングヘアと官能的なポーズで魅惑する紫アイシャドウ&ルージュのボデイコングラマラス美女『サキュバス』。
黒い翼を背中に生やした黒山羊の頭と下半身を持つ人型悪魔『バフォメット』。
大蛇の下半身と鱗に覆われて先端が割れた舌をちろつかせる美女の上半身を持つ『ラミア』。
黒い蜘蛛の下半身頭部から不気味に笑う複眼少女の上半身が結合した『アラネイア』。
良く知っている魔界の者達が描かれた謎の機械を見ていたアランは恐ろしい事実に気づく。
(わかったぞ、このカプセルトイと言うのは……人類が琥珀の虫から再現した恐竜やエクソシストが倒した魔族、悪の組織が複製した異能者のクローンを封じ込める危険な違法魔導器具なんだ! そしてこの機械の中に閉じ込められているのは……魔界人に違いない!!)
未だに失われていなかった人間の残虐非道さに青ざめるばかりのアランはここにいては自分も違法魔導器具で拘束封印されてしまう可能性に気づき、恐怖に駆られるあまりすぐに逃げ出そうとする。
(ダメだ! せめて今助けられる者は助けなくては!)
アランは機械に書かれた遊び方を見つつ震える手でコインを投入し、取っ手を回す。
それからしばらくして、都内S区にあるマンション805号室。
「……とりあえず、どうにか救出成功した3人はどうしたらいいんだろうか?」
夕食の材料を冷蔵庫に入れたアランは、ちゃぶ台上にタオルを敷いて安置したピンクで中身が需ががった『カプセルトイ』と名付けられた球体型違法魔導器具3つとにらめっこしつつ考え込む。
「解放した瞬間襲ってくる可能性も否めないし、封じたエクソシストが罠をしかけている可能性もある、それに……開けるにはキーワードや特定の儀式が必要となる可能性さえある…… ううん。しかしこの魔力反応の無さはどういう事だろう?」
魔界スマホの魔力探知アプリで違法魔導器具を解析していたアランはその無反応っぷりに首をかしげる。
「とりあえずキアラと僕だけでは危険が及ぶ可能性があるし、明日ラビオ刑事が戻ってきたらキアラと共にこれを解析してもらわねば……」
アランはひとまず明日までこれらを安置できる場所を探す。
それから数時間後、夜。
「アラン君、お皿は何枚必要かしら?」
「2枚でお願いします、ミキさん!」
夕食の支度を手伝うミキちゃんが食器棚を開けたその時、ピンク色の何かが転がり落ちてしまう。
「あらっ、今のは……ごめん、アラン君! 今食器棚からカプセルのおもちゃが落ちてきて開いちゃったんだけど、壊れ物かしら?」
「!!」食器棚奥に安置しておいたはずの物が転げ落ちてしまうと言う最悪の事態にサラダボウルをテーブルに置いたアランは、台所に駆け戻る。
「あれっ…… ?」
ミキちゃんの足元で上下二つに開いてしまったカプセルの中に入っていたのはもみくちゃのビニール袋に入った細々としたプラスチックと紙のみで、中に封じられているはずの魔族は影も形も無い。
「へえ、今のカプセルトイって随分カラフルで細かいのねえプラモデルみたいだわ……お兄ちゃんが昔バッファローニャンのニャン消しとか集めてたけど全然違うのねぇ。 どうしたのアラン君?」
「いや、別に……何も。さあ、ご飯にしましょうミキさん!」
「うんっ! いただきます!」
ミキさんのおかげでカプセルトイなるものの正体を完全に理解できたアラン。
思い込み勘違いでキアラやラビオ刑事も巻き込んだ大事にせずに済んだアランはミキさんに感謝しつつ、シーザードレッシングを冷蔵庫から出すのであった。
【完】
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