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【ミキちゃんちのインキュバス2!(第九話)】「3匹よればもふもふ天国!? 再進撃のマッスルGUY現る!」
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都内S区にあるマンション508号室、平日日中。
「イザベラ様、キュウリはこのトゲトゲを取るのが大事ですわ! ピーラーはこう、垂直に当てて……」
「ええと、こうかしら……」
アランのお料理講座の2人目の生徒となったアランの姉、イザベラ・インマ。
キアラと共にマカロニサラダ講座を受けていた彼女は見たことも無いコーンの缶を開けるのに苦戦し。ハムの食材肉感触におっかなびっくりながらも一生懸命取り組む。
「うん良く出来ているよ姉さん。あとはこの皮とトゲを取ったキュウリを切るんだけど……今お手本を見せるね」
アランが包丁を手に取って猫の手でキュウリを切ろうとしたその時、廊下からトランクを引きずるような音と音痴な鼻歌が聞こえる。
「この魔力反応は……」
「ヤツですわ!!」
「姉さん! すぐに猫に化けて!!」
「ねっ、猫? アラン、どういう……」
「いいから早く!!」
鍵をガチャガチャする音にアランは叫ぶ。
「アランちゃん!! 優しいおじちゃんが来ましたよぉ!!」
守屋家長男にしてボディビルダースポーツ医学者、守屋剛(もりやつよし)。
日本での研究調査データ収集を終え、帰国前に妹の家に立ち寄ったジーンズにポロシャツ、セーター姿のマッスルGUYはトランクを玄関に置き、靴を脱いで上がり込む。
「ミキはいないが……さあ、アランちゃんにキアラちゃんはどこかなぁ? くんかくんか、くんくん……」
四つん這いになった剛は妹に飼われている白ソックス黒猫のアランと白猫キアラの気配を探す。
「ふふふ……みいつけた!! よいしょっと」
「アラアァァン!」「キイアアアアア!」
ベッドの近くで動きを止めた剛はその剛腕怪力でベッドを難なく持ち上げ、隠れていた二匹を見つける。
「キアラちゃん初めまして!! おじちゃん怖くないよ、お友達だよお!! むむっ……これは、新しい猫ちゃんか!?」
アランとキアラに守られるようにベッド下奥に隠れて震えている灰色の長毛種に気が付いた剛。
その美しい毛並みと蠱惑的なまでに優雅なプロポーション、美しい瞳にメロメロになった剛はポケットに手を入れ、とある物を取り出す。
「かわいい猫ちゃん、おいちいおいちい猫おやつですよお? 早い物勝ちだから出ておいでえ?」
「にゃあ……」「きぁん……」「イァァァ……」
紙める猫ちゃんペーストおやつを目の前で開封し、その芳香を嗅がせる剛。
淫魔とは言え猫の姿では我慢できない極上の誘惑に即堕ちした二人は言われるがままにベッドの下から出て来てしまう。
それからしばらくして、株式会社サウザンド。
(お兄ちゃんは明日の夕方来るはずよね……うん)
仕事の合間にスマホでスケジュールを確認した守屋美希・通称ミキちゃんはアランに用事があった事を思い出し自宅コールする。
「もしもし、アラン君?」
『おお、ミキ!! 猫ちゃんに電話とは中々メルヘンではないか!!』
アランの代わりに電話にでた野太い男の声。
「おっ、お兄ちゃん!? 明日の夕方まで仕事じゃなかったの?」
『ああ、仕事先の研究職さんにアランやキアラちゃんの写真を見せたら後のデータ処理はやってやるから今すぐ行ってやれ! と言われて早く仕事が終わったから来たんだ!!』
妹の問いに剛は豪快に笑いながら答える。
「ああ、そうなのね……それは良かったわ」
『おう! そしてついに3匹目まで飼い始めたんだな!! ミキもついに猫道は死狂いと見出せたようでお兄ちゃんうれしいぞ!!』
「3匹目?」
『ィァァ! ィザァァァ! !』
「ああ、うん! その子はここの近くに置き去りにされていた女の子で名前はイザベラよ」
アランのお料理教室にイザベラも通い始めていた事を知っていたミキちゃんはいつもの巻き込み展開と察してアドリブで話を合わせる。
『どれどれ……』
『ギニャアァァァァァ!!』『うぎゃあああああ!!』
「兄さん!? 兄さん!?」
イザベラ猫の絶叫と兄の悲鳴にミキちゃんは電話を耳に押し当てる。
『大丈夫だ、ミキ。俺の足元にいたイザベラちゃんのおちりを見ようとしたら……本気で引っ掻かれたんだ。まさか俺の自慢の筋肉を引き裂くとは、コイツ出来るぞ!!』
「……兄さん、だからあなたは猫に嫌われるのよ。とりあえず私は遅くなるから」
猫の姿とは言え兄にセクハラされたイザベラさんには後日謝っておかないと…… ミキちゃんは心の中にメモする。
『おう! 今日はハワイ出身の格闘家から教わったツヨシ特製ロコモコ丼作っとくから腹は空かしておけよ!』
「わぁ、楽しみ!!」
それから数時間後、夜の守屋家。
「流石は本場流ロコモコ丼!! ただひたすらに美味いぜ!!」
「うん、甘幸いソースをからめたご飯も最高だわ!」
巨大なハンバーグにデミグラスソース、黄身がとろける目玉焼き……本格ハワイアンロコモコ丼を味わう守屋兄妹はその美味さのあまり丼を抱えてしまう。
「にゃあん、みゃおぉん?(アランにキアラちゃん、あの挽肉と米と卵の料理はそんなに美味しいのかしら?)」
そんな2人をベッドの上に並んで立って凝視する三匹の淫魔猫はマカロニサラダの代わりにキッチンの剛兄さんを観察して習得したロコモコ丼の作り方を脳内復習しつつ食べっぷりに舌鼓を打つ。
「キァァン……(さあ、私は食べたことがないので……でもシンプルに美味しそうですね!!)」
「あらぁん、にゃああん(マカロニサラダはまた次回にしましょう!)」
三匹の淫魔猫はテレパシーで意思疎通しつつ、仲良く食卓を囲む守屋兄妹を見守るのであった。
【完】
「イザベラ様、キュウリはこのトゲトゲを取るのが大事ですわ! ピーラーはこう、垂直に当てて……」
「ええと、こうかしら……」
アランのお料理講座の2人目の生徒となったアランの姉、イザベラ・インマ。
キアラと共にマカロニサラダ講座を受けていた彼女は見たことも無いコーンの缶を開けるのに苦戦し。ハムの食材肉感触におっかなびっくりながらも一生懸命取り組む。
「うん良く出来ているよ姉さん。あとはこの皮とトゲを取ったキュウリを切るんだけど……今お手本を見せるね」
アランが包丁を手に取って猫の手でキュウリを切ろうとしたその時、廊下からトランクを引きずるような音と音痴な鼻歌が聞こえる。
「この魔力反応は……」
「ヤツですわ!!」
「姉さん! すぐに猫に化けて!!」
「ねっ、猫? アラン、どういう……」
「いいから早く!!」
鍵をガチャガチャする音にアランは叫ぶ。
「アランちゃん!! 優しいおじちゃんが来ましたよぉ!!」
守屋家長男にしてボディビルダースポーツ医学者、守屋剛(もりやつよし)。
日本での研究調査データ収集を終え、帰国前に妹の家に立ち寄ったジーンズにポロシャツ、セーター姿のマッスルGUYはトランクを玄関に置き、靴を脱いで上がり込む。
「ミキはいないが……さあ、アランちゃんにキアラちゃんはどこかなぁ? くんかくんか、くんくん……」
四つん這いになった剛は妹に飼われている白ソックス黒猫のアランと白猫キアラの気配を探す。
「ふふふ……みいつけた!! よいしょっと」
「アラアァァン!」「キイアアアアア!」
ベッドの近くで動きを止めた剛はその剛腕怪力でベッドを難なく持ち上げ、隠れていた二匹を見つける。
「キアラちゃん初めまして!! おじちゃん怖くないよ、お友達だよお!! むむっ……これは、新しい猫ちゃんか!?」
アランとキアラに守られるようにベッド下奥に隠れて震えている灰色の長毛種に気が付いた剛。
その美しい毛並みと蠱惑的なまでに優雅なプロポーション、美しい瞳にメロメロになった剛はポケットに手を入れ、とある物を取り出す。
「かわいい猫ちゃん、おいちいおいちい猫おやつですよお? 早い物勝ちだから出ておいでえ?」
「にゃあ……」「きぁん……」「イァァァ……」
紙める猫ちゃんペーストおやつを目の前で開封し、その芳香を嗅がせる剛。
淫魔とは言え猫の姿では我慢できない極上の誘惑に即堕ちした二人は言われるがままにベッドの下から出て来てしまう。
それからしばらくして、株式会社サウザンド。
(お兄ちゃんは明日の夕方来るはずよね……うん)
仕事の合間にスマホでスケジュールを確認した守屋美希・通称ミキちゃんはアランに用事があった事を思い出し自宅コールする。
「もしもし、アラン君?」
『おお、ミキ!! 猫ちゃんに電話とは中々メルヘンではないか!!』
アランの代わりに電話にでた野太い男の声。
「おっ、お兄ちゃん!? 明日の夕方まで仕事じゃなかったの?」
『ああ、仕事先の研究職さんにアランやキアラちゃんの写真を見せたら後のデータ処理はやってやるから今すぐ行ってやれ! と言われて早く仕事が終わったから来たんだ!!』
妹の問いに剛は豪快に笑いながら答える。
「ああ、そうなのね……それは良かったわ」
『おう! そしてついに3匹目まで飼い始めたんだな!! ミキもついに猫道は死狂いと見出せたようでお兄ちゃんうれしいぞ!!』
「3匹目?」
『ィァァ! ィザァァァ! !』
「ああ、うん! その子はここの近くに置き去りにされていた女の子で名前はイザベラよ」
アランのお料理教室にイザベラも通い始めていた事を知っていたミキちゃんはいつもの巻き込み展開と察してアドリブで話を合わせる。
『どれどれ……』
『ギニャアァァァァァ!!』『うぎゃあああああ!!』
「兄さん!? 兄さん!?」
イザベラ猫の絶叫と兄の悲鳴にミキちゃんは電話を耳に押し当てる。
『大丈夫だ、ミキ。俺の足元にいたイザベラちゃんのおちりを見ようとしたら……本気で引っ掻かれたんだ。まさか俺の自慢の筋肉を引き裂くとは、コイツ出来るぞ!!』
「……兄さん、だからあなたは猫に嫌われるのよ。とりあえず私は遅くなるから」
猫の姿とは言え兄にセクハラされたイザベラさんには後日謝っておかないと…… ミキちゃんは心の中にメモする。
『おう! 今日はハワイ出身の格闘家から教わったツヨシ特製ロコモコ丼作っとくから腹は空かしておけよ!』
「わぁ、楽しみ!!」
それから数時間後、夜の守屋家。
「流石は本場流ロコモコ丼!! ただひたすらに美味いぜ!!」
「うん、甘幸いソースをからめたご飯も最高だわ!」
巨大なハンバーグにデミグラスソース、黄身がとろける目玉焼き……本格ハワイアンロコモコ丼を味わう守屋兄妹はその美味さのあまり丼を抱えてしまう。
「にゃあん、みゃおぉん?(アランにキアラちゃん、あの挽肉と米と卵の料理はそんなに美味しいのかしら?)」
そんな2人をベッドの上に並んで立って凝視する三匹の淫魔猫はマカロニサラダの代わりにキッチンの剛兄さんを観察して習得したロコモコ丼の作り方を脳内復習しつつ食べっぷりに舌鼓を打つ。
「キァァン……(さあ、私は食べたことがないので……でもシンプルに美味しそうですね!!)」
「あらぁん、にゃああん(マカロニサラダはまた次回にしましょう!)」
三匹の淫魔猫はテレパシーで意思疎通しつつ、仲良く食卓を囲む守屋兄妹を見守るのであった。
【完】
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