【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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終章

199:初夜の前哨戦・1

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 ヴィンセントは俺のズボンの
ボタンを一つ、外した。

今着ている服は、リタの勧めで
身体を締め付けないような
少し大きめのものを選んで着ていた。

馬車移動が長くなるし、
温泉にもすぐに入るつもりだったから
俺はそれを受け入れたのだ。

そんなわけでズボンだって、
ボタンを1つ外したら
あとはすぐに脱げるぐらいの
大きなサイズを着ている。

かろうじてウエスト部分を
腰にひっかけて着ていたようなものだ。

そのボタンが無くなれば、
どうなるのかなんて、すぐにわかる。

俺の下着の上からでもわかるぐらい
興奮している男根があっという間に
あばかれる。

俺は恥ずかしすぎて
ヴィンセントにしがみついた。

ヴィンセントはそんな俺の背を
軽く撫でてから、俺の男根を
下着の上からなぞる。

「ココも、可愛いな、イクス」

それは誉め言葉と受け取ればいいのだろうか。
男としてそれでもいいのか?
と一瞬だけ思った。

が。

大きな手が下着の中に潜り込み、
そんな些細なことは一気に
頭から抜け落ちた。

大きな手が俺の男根を
包み込み、そして擦る。

元々甘く反応していたところに
刺激を与えられたのだから
ひとたまりもない。

俺は思わず息を漏らす。

「いいぞ、声を出しても。
誰にも聞こえない」

耳元で囁かれ、
俺は体を震わせる。

「ヴィンス……もっ」
俺はシャツから手を離し、
ヴィンセントの下半身に手を伸ばす。

「僕……だけじゃ、ヤダ」

ヴィンセントはあんなに勃起していたのに
何故こうして俺ばかり追いつめられる?

俺がヴィンセントを見上げると
乱暴に口づけられた。

唇が重なり、ずるり、と
下着が脱がされる。

俺だけじゃ嫌だと言っているのに、と
文句を言う暇もなく、
熱い舌が俺の口内に潜り込み、
舌を吸われた。

涎が垂れて、喘ぐことすらできない。

不意に俺の下半身に、
熱い何かが当たった。

ヴィンセントの熱い塊だと
気が付いたときには、
俺は口づけられたまま
ヴィンセントのモノと
俺の男根は重ね合わ去った状態で
ヴィンセントの大きな手で
上下に扱かれている。

先ほどの布地の上から感じたものとは
比べようもないほどの快感が
背中に走る。

俺のモノか、ヴィンセントのモノか、
先走りの液がでたのだろう。

ぐちゃぐちゃと音が部屋に響く。

口付から解放された途端、
「あぁあっ」と俺の口から
喘ぎが漏れた。

キモチイイ。
でも、それだけじゃない。

目の前にヴィンセントの顔が見える。

いつも後ろから、俺だけキモチイイに
させられていたけれど、
今は違う。

ヴィンセントも気持ちよさそうに
俺の頬に、唇にキスをしながら
手を動かしていた。

俺と一緒に、ヴィンセントが
キモチイイになっている。

俺はそれだけで興奮してくる。

ヴィンセントの荒い呼吸も、
絶頂が近いのか、
眉をひそめる顔も。

そのすべてが愛おしいと思った。

「ヴィンス、好きに……動いて」

恐らく俺の身体を気遣って
ヴィンセントは手の動きを
セーブしていると思う。

俺はもう達してしまいそうだけれど、
それを必死に我慢した。

俺が精液を放ってしまえば、
ヴィンセントはそれで終わりに
してしまうと思ったからだ。

そして今の刺激ではきっと
ヴィンセントは射精するまでに
至らないのだろう。

俺は思い切って手を伸ばす。

「イクスっ」

驚くヴィンセントに、俺は大丈夫と
伝えるためにそっとキスをして
ヴィンセントの手に自分の両手を絡めた。

大きな手に合わせて
一緒に二つの熱い欲棒を擦る。

手の大きさが違うし、
早さも違うので、
なかなか動きは重ならないが
その不規則さが良かったのだと思う。

俺が我慢できずに、
とうとう液を吐き出した時、
ヴィンセントもほぼ同時に
射精をした。

二人の両手に熱い液がしたたり落ちる。

あぁ。
と俺はヴィンセントを見た。

幸せな気持ちが膨れ上がる。

と、その想いが溢れるような感覚がして、
すっと俺の身体から何かが出て行った。

ヴィンセントも気が付いたようだ。

「魔力……?
イクス、大丈夫か?」

「う……ん、平気」

魔力が勝手に溢れ出た?

本来なら気恥ずかしい情事の後だが
予想外のことに甘い空気が無散する。

ヴィンセントはタオルで俺の手を拭き、
辛くないか?と聞いて来る。

俺は首を振る。
だって本当に何もないのだ。

体調も万全っぽいし、
身体がだるいこともない。

と、考えて、あれ?と思う。

いつもだったらヴィンセントと
こう言う行為をしたらいつも
疲れて眠くなるのに、
今は大丈夫……というか、
むしろ元気だ。

今の魔力で俺の体力が回復したとか?

え?
俺、治癒魔法とかは
使えないと思うんだけど。

というか、何故今、発動する?

俺はヴィンセントに視線を向け、
「あ」と呟いてしまった。

「なんだ?」

「う。ううん、なんでもない」

顔が熱くなるのがわかって
俺は思わずシーツに潜る。

「イクス?」

「なんでもない」

「なんでもないことはないだろう?」

シーツの上からそう言われるが
俺は恥ずかしくて顔を出すことなど
できそうにない。

だって。
俺は気が付いてしまったのだ。

ヴィンセントの顔を見て、
俺は幸せだって思った。

ヴィンセントと一緒に
キモチイイになって。

たったそれだけで幸せだって、
そう思った気持ちが魔力となって
溢れ出てしまった。

それは……俺の体力が回復するための
魔力放出だったのかもしれない。

だって、そうだって。

俺がヴィンセントと抱き合って
幸せを感じたら俺は体力が
回復するんだろう?

それって、
俺は無限に体力が生まれるから
時間がある限りずっと、
ヴィンセントの体力がある限り
ずっと二人でイチャイチャして
抱き合えるってことになるじゃないか。

あのイクスオレ至上主義の
前世バカ妹の考えそうなことだ。

そういや最近、あの設定集を
開いてなかった。

俺に新たな能力が
加わっているのかもしれない。

それとも、もともと
そんな能力が合ったけれど
今まで発動しなかっただけ、とか?

これは早めに確かめねばならないぞ。

と思ったが。
その前にヴィンセントだ。

この恥ずかしすぎる現象を
どう説明すればいいのか。

俺は何も言えずに、
ぎゅうとシーツにしがみついた。

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