【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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終章

198:初夜の前哨戦?

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 俺はふと目を覚ました。
温かいものに包まれていて、
俺はその心地よさに
つい、頬が緩む。

そっと目を開けると
思った通りヴィンセントが
俺を抱きしめたまま眠っていた。

ヴィンセントが俺の前で
こうして寝顔を見せるのは
いつぶりだろうか。

ヴィンセントは俺のことを
守らねばならないと思っているようで
寝る時だっていつも俺が先だ。

一緒にベットに入るっても
俺が先に寝てしまうし、
起きるのはいつもヴィンセントの
方が早い。

それが不満なのではない。
でも、俺だってヴィンセントを
堪能したいのだ。

俺はじっと目の前の顔を
じっと見つめた。

ヴィンセントの顔立ちが良いことは
昔から知っている。

まつげが長くて、
俺の前では優しい顔ばかりだけれど、
内緒で騎士団の訓練を見に行ったら
めちゃくちゃ怖い顔だったから
もしかしたらヴィンセントは
他の人たちには怖がられているのかもしれない。

でもって思ったら
それだけで嬉しくなる。

ヴィンセントの顔は綺麗だけれど、
身体は傷だらけなのも俺は知っている。

騎士なんだから当たり前だって
ヴィンセントは笑うけれど。

その傷のいくつかは、
きっと、たぶん、俺を守るために
ついたものだってことも俺は
成長して理解した。

俺が木から下りれずに泣いた時。
川で滑って転んだ時。
池で泳ごうとして溺れたと時。

いつもヴィンセントは助けてくれたが
木から飛び降りた俺を
抱き止めて無傷だったはずがないし、
溺れる俺を助けるために
落ちていた枝で腕を切ったことだってあった。

でもヴィンセントはいつも
「たいしたことない」って
俺に笑うのだ。

俺な言いようのない感情が沸き上がり
ヴィンセントにしがみつく。

と、俺の下半身に何か固い……
熱いものが当たっていることに気が付いた。

なんだ?って思って、
すぐにその正体に思いつく。

も、も、もしかして
ヴィンセントの……。

眠っている間に、
生理的に勃起することぐらい
俺だって知っている。

前世では立派な成人した男だったし
経験ゼロでも知識ぐらいある。

悲しいことに今の身体では
ヴィンセントに触れられて
ようやく、射精?っぽい感じに
なるだけだから、
朝起きて、生理的に固くなるとか
そんな経験はまだないけれど。

女性の身体は繊細だとよく言われるが、
男の身体だってそうだと思う。

肉体的な意味ではなく
精神が関与するという意味で。

疲れたり、ストレスが溜まると
性欲とは関係なく勃起したり、
今まで気にしなかったことにでも
性欲を感じることがあると
前世では聞いたことがあった。

ヴィンセントも疲れているのかもしれない。

俺は学校に通って楽しく遊んでいるだけだが
ヴィンセントはそうではないもんな。

俺はヴィンセントを癒してやりたいと
思うが、ではどうするかというと謎だ。

温泉で背中を流せばいいのか?

いや、その前に……

俺は下半身に当たる熱にドキドキした。

ヴィンセントは成長してから
俺に肌をあまり見せなくなったから。

無性にドキドキする。

夜にベットに入ってイチャイチャするときも
いつのまにか俺はヴィンセントに
背中から抱きしめられて、
射精を促されている。

まるでヴィンセントの男根を
俺に見せないようにしているのでは
ないかと俺は思ってしまう。

だからいつもヴィンセントに
キスされたり、身体に触れられたり。

それこそ、射精を促されるような
ことをされたとしても、
どこかふわふわした感覚で、
肉欲を伴った生々しさ、というのを
俺は感じて来なかった。

けれど。
俺は急にヴィンセントのを感じ、
身体が熱くなる。

俺はなかなかヴィンセントとの関係が
進まないって不満に思っていたけれど。

けれど、本当にこんなに固く
熱いヴィンセントの男根に触れ、
受け止めることができるのかと
聞かれると、ちょっと躊躇した。

いや、ふわふわした感覚が消え、
現実にヴィンセントと意味を
理解したと言えばいいのか。

無性に恥ずかしくなる。

俺はミゲルたちに、初夜がどうとか
よく明け透けに相談できたよな。

こんな、こんな……

俺は羞恥に悶えてしまう。

でも。
俺はゴクリ、と唾を飲む。

恥ずかしい。
恥ずかしいけれど、
生々しい感覚に、俺はどこか
興奮していた。

だって体の奥が熱くなり
もっと触れたい、
触れられたいって思えてきたのだ。

「イクス……?」

俺が動いたせいか、
ヴィンセントがゆっくりと目を開けた。

「悪い、俺まで寝てたようだ」

まだ少し眠そうな声で
ヴィンセントは笑う。

そして俺の髪を撫でるが、
その仕草に無性に色気を感じて
俺は思わずヴィンセントの胸に
顔を押し付けた。

ヤバイ。
顔も熱いし、なんかダメだ。

何がダメってよくわからんが、
体が熱くて、ヴィンセントに
触れていたくなって……

「どうした?」

と言われるが、
俺は恥ずかしくてどう言えばいいかわからない。

だって俺の下半身も、
ヴィンセント同様に熱を持ち始めているのだ。

「イクス?」

「あぅぅ」

思わず呻き、俺は視線を下に向けた。

ヴィンセントもそれにつられたように
下半身に視線を向ける。

「……あ、悪い、その」

ヴィンセントが言い訳するように声を出す。

でもそうじゃない。
嫌だとかそうじゃなくて。

「僕……僕、も」

俺はヴィンセントの胸のシャツを握った。

「身体……熱くて、変」

思い切ってシャツを握ったまま
顔を上げると、驚いたような
ヴィンセントの顔がある。

「だ、だって」

何か言わなければと思い、
身体を動かすと、ヴィンセントの
熱い塊と、俺の男根が擦れた。

布地の上からだったけれど、
俺はしびれるような甘い
感覚が下半身から沸き起こる。

「ふぅ……ぅ」

必死で息を吐くと、
ヴィンセントの指が俺の目尻に触れた。

「そんな涙目になって……
可愛い顔で誘われると、
俺も止まれなくなるぞ」

誘ってない、と思う。
いや、誘ってるのか?

明確な言葉は紡いでいないが、
甘い空気になっていることは確かだ。

俺の目尻に触れていた指が、
俺の腰を引寄せる。

また互いの熱い塊が、
ずり、っと擦れた。

あぁ、ダメだ。
我慢できずに俺は腰を揺らしてしまう。

そんな俺をあやすように
ヴィンセントは俺の背中を撫でた。

「可愛いな、顔が真っ赤だ」

もっと気持ちいいことするか?

そう耳元で囁かれて、
俺は……ただ黙って頷いた。




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