【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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高等部とイケメンハーレム

104:急激に進む結婚話

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 レオナルドの存在はとても目立っていた。

何故って公爵家子息である俺に懐く駄犬だからだ。

ましてや、そのレオナルドの妹は
公爵家に嫁いで来ることがすでに決まっている。

なんというか、義兄弟で仲良しだね、
というほのぼのになれば良かったのだが、

やたらと俺はレオナルドを
説教して歩いているので、
周囲の認識は、他国の王族と
自国の公爵令息ではなく、
「駄犬とその主」という目に
なってしまっている。

だって。
とにかくレオナルドは
考えもせず行動してしまうのだ。

勉強ができないとか、
頭の回転が悪いとかではない。

ただ、発想力と行動力がずば抜けているのだ。

もしもレオナルドが平民だったら。

もし俺の前世の世界で生きていたら
何の問題もなかった。

だが王族として、
その発想や考え方、
行動はいかがなものか。
と思わせるようなことばかりするのだ。

しかも子供のように
やりたいと思ったら、
考えることなくすぐに行動しようとする。

バカじゃないから
何故ダメなのかを説明すると
きちんと理解するのだが、
次の瞬間、それを忘れて
興味がある方向に意識を向け、
なおかつ暴走してしまう。

普通ならそれでも行動できずに
がっかりして終わってしまうのだが
なまじ王族なものだから
実際にそれが可能なのだ。

だからこそ、たちが悪い。

たとえば先日、昼休みに
ミゲルとヴァルターも含めて
4人でのんびりしていた時だ。

レオナルドは勉強よりも
身体を動かすのが好きらしく、
剣を使うのも上手いらしい。

授業も剣術や馬術の授業など
騎士になるための授業を
メインに受けているので、
ヴァルターとも仲良くやっている。

その二人がなにやら
剣のことで盛り上がっていた。

俺とミゲルは意味不明だったが
どうやら隣国には
めちゃくちゃ固い金属があって
それを剣に使用しているらしい。

この国ではまだその技術はないので
ヴァルターが、いいなー、と
羨ましそうに言ったのだ。

俺もその剣を使ってみたい、と。

するとレオナルドは「使えばいい」
と言ったかと思うと、
この国の騎士たちとこの学校の
騎士科の生徒たち全員分の剣を
プレゼントすると言い出した。

ヴァルターが慌てて止めたら、
プレゼントがだめなら
安い価格で販売すると言う。

そしてそばに控えていた侍従に
販売ルートの確保を指示しようとしたのだ。

この時の俺は、おそらくだが
仁王像のようになっていたと思う。

生まれて初めて、
自分でもびっくりするぐらい
大きな声が出た。

それぐらい焦ったのだ。

そりゃまあ、王子殿下が言うのだから
プレゼントも安い価格での販売も
できるかもしれない。

だが、こんな学生が学校で話して
実現できる話ではないのだ。

両国の関係もあるし、
関税をどうするのか。

流通の確保と言っても
そう簡単なものではない。

剣の1本や2本ならともかく
そんな大量な剣を、
どこでどうやって作って、
どのように運ぶのか。

その金や労働力はどこから発生するのか。

国同士の輸出入とは
そんな簡単にできるものではないはずだ。

俺はレオナルドを椅子の上に正座させ、
キリキリと胃を痛めながら
そう言ったことを説明した。

が。
レオナルドは、「なるほど」と
呟いて、「じゃぁ、俺が指示を出すのではなく
父に頼めばいいんだな?」などと言うから
俺は脳の血管が切れそうになった。

ミゲルとヴァルターが心配して
俺を必死で宥めたが、
呼吸困難で息切れするぐらい
俺はレオナルドを叱りつけた。

おかげで午後の授業は休んで
保健室に直行になってしまい、
連絡が行ったのだろう。

仕事中であるはずの
ヴィンセントが迎えに来た。

父に言われたのだろうが、
仕事は大丈夫だったのか
心配になる。

だがそのまま授業を
受けることもできそうになく
俺はヴィンセントと一緒に
その日は帰宅してしまった。

ほんと、ヴィンセントには
申しわけないし、
レオナルドは頭が痛い。

その日以降、
俺がレオナルドを叱っていると
周囲からやたらと心配そうな
視線を向けられるようになった。

だがレオナルドの行動は
なかなか収まらない。

自分の行動した先のことを
予測できずに動いてしまうのだ。

俺はそんなレオナルドを
ひたすら矯正すべく、
声を掛け、未来予測をして
レオナルドを反省させる。

それを繰り返していると、
とうとう、第二王子のクルトにまで
「レオナルド殿下が最近、
犬に見えてきたのだが
大丈夫だろうか」と
声を掛けられる始末だ。

俺にとっては駄犬でしかないが、
さすがに他国の王子殿下に
それはダメだろう。

と思うのだが。

やっぱりレオナルドは駄犬だ。

何度言っても同じことをする。

今日も今日とて、
学校の食堂で俺は
レオナルドに説教していた。

俺の隣にはミゲルとヴァルター。
前には、しゅん、とうなだれる
レオナルドが座っている。

「だからね、レオ。
何度も言うけれども、
王族だからと言って、
何でもできるわけじゃないの。

それに、本当にできたとしても、
強引にそれをするべきではないんだ」

俺が言うとレオナルドは
だって、という。

「だいたい、ここの食堂を
使っているのは
学生だけでなく、教師や
学校関係者だっている。

年配の人もいる。
なのに、自分の都合だけを
押し付けて、それで良いと
本当に思っているのであれば
王族の資格なしです」

きっぱりと言ってやると
レオナルドの瞳に涙が浮かぶ。

「イクス。
その辺でいいんじゃない?」

可愛そうになったのか
ミゲルが助け舟を出した。

それを受けてヴァルターも言う。

「そうそう、あまり他国の王族を
泣かすのも外聞が悪いだろう。

それに忠犬のごとく
イクスが甘い物を好きだから
この食堂のメニューを
すべてお菓子にしようとしただけだし」

しただけ、ってめちゃくちゃ
大迷惑な話ですが?

それに、ここはレオナルドの
国じゃないんだよ?

他国で何をしようとしてるわけ?
しかも学校のメニューをお菓子にするって、
どう考えてもオカシイだろう。

「忠犬の証ってやつだから、な。
許してやれよ」

ヴァルターが
俺の肩を叩いて言うが、

おまえ、
隣国の王子殿下を
犬扱いしてるの、バラしてるぞ。

「まぁ、とにかく僕のことを
喜ばそうとしてくれたんですよね?
ありがとうございます」

というと、レオナルドは
物凄く嬉しそうな顔をした。

はぁ、この駄犬、メンドクサイ。
なまじ権力を持ってるだけあって
やっかいだ。

「イクス、イクス」

「なんです?」

「俺、気が付いたんだが」

レオナルドはさきほどまで
俺に叱られていたと言うのに、
物凄い笑顔を俺に向けて来た。

「俺をこうやって
叱ってくれるのも、
俺のために時間を使って
何がダメなのか教えてくれるのも
イクスだけだ」

まぁ、そうかもしれない。
なんたって王子様だからな。

「だからな。
結婚してくれ!

俺と一生一緒に居て、
一生俺を叱ってくれ!」

「え? 嫌。
……めちゃくちゃ、
全力で、嫌です」

俺が思わず素で言うと
レオナルドの瞳がうるっとなる。

「うわーん!」

と大きく泣きマネをするが
何故俺が了承すると思った?

「一生、レオを叱り続けるって
僕には生涯をかけた
罰ゲームにしか思えないけど?」

「そんな!」

いや、何故傷付く?

「それに僕はヴィー兄様がいるし」

「兄だろ?」

「婚約者だよ」

俺の言葉に、レオナルドは
がたん、とイスを倒して
立ち上がった。

どうした?
大丈夫か?

「イクスの馬鹿やろー!」

そして何故か急に走り出し、
どこかに行ってしまった。

あわてて、少し距離を置いて
レオナルドを護衛していた
騎士と侍従がその後を追いかけて
走っていく。

「なんだったんろう?」

俺が呆然と見送ると
ミゲルとヴァルターは顔を見合わせた。

「こりゃ、失恋だな」

「そうだね、イクスに物凄く
派手に失恋したみたいだね」

失恋?
何を言っている?

俺が二人を見ると
二人は揃って肩をすくめた。

「いいんじゃないか?
イクスはそのままで」

ヴァルターが言うと、
ミゲルも頷く。

「でも、公爵様やヴィンセント様には
このこと、伝えておいた方が
良いと思うよ」

「え?
僕の罰ゲームを?」

俺の言葉に二人は苦笑したが、
大きく頷いた。

 その日、学校が終わってから
俺は二人が言うのであれば、と
夕食後、父に時間を取ってもらい、
レオナルドの話をした。

兄は仕事でまだ帰ってきてなかったので
チャンスだと思ったのだ。

恋愛バカになった兄だが、
一応まだ弟大好きな兄バカなので、
兄がいたらまた、
ややこしいことになるかもしれない。

俺が父に罰ゲームの話をすると
父は何故か硬直したように動かなくなる。

え?
大丈夫?

「イクス」

「はい、父様」

「イクスはヴィンセント君と
結婚したいのだろう?」

「はい、もちろんです」

今更何を言っている?
それは決定事項だろう。

「そうか。
そうだな、わかった」

父はふーっと息を吐く。

「なら話を進めよう」

ん?
なんの?

「結婚しても
学校に通いたいのであれば
通えばいい」

「え? は?」

「他国の王族にプロポーズされたなど
公になっては面倒だ」

いや、めちゃくちゃ
公になりましたが?

なんたって学校の食堂だったし。

だがプロポーズって、
駄犬が主人に、一生叱ってね、なんて
わけのわからんプレイを
要求してきただけだぞ?

「大丈夫だ。
父に任せておきなさい」

と、父は頼もしい感じで言うが。

全然任せられない気がするのは
俺だけだろうか。

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