【完結】「誰よりも尊い」と拝まれたオレ、恋の奴隷になりました?

たたら

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高等部とイケメンハーレム

105:新妻になりました

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 父に『駄犬罰ゲーム』の話をした翌日、
父は朝早くから出かけて行き、
俺は学校を休むように言われた。

俺が思っていた以上に、
罰ゲームの話は大事になっているようだ。

大丈夫だろうか。

ただの学生のお遊びってことで
話を収拾して欲しいのだが。

俺は学校に行くことができないので
昼頃までのんびり過ごし、
ランチは中庭で食べた。

何故か兄も母も今日は
忙しいみたいで、
屋敷には俺一人だ。

あの駄犬、
いや違った。

レオナルドの不用意な
罰ゲーム発言のせいで、
俺、とんでもないことに
まきこまれてないよな?

俺は中庭のガゼボで
こめかみを押さえてしまう。

目の前にはランチ後の
ケーキとお茶がある。

いつもの俺なら
大喜びで食べるのだが
嫌な予感がしすぎて食欲がわかない。

そう、じつはランチも少し
残してしまった。

俺の大好きなハムのサンドイッチだったのに。

残して申し訳ない、と
シェフに伝えて欲しいとリタに言ったら、
あっという間にケーキとお茶が準備された。

食後はいつもクッキーなのに。

ケーキなら俺が食べるとでも
思ってるんだろうな。

いや、食べるけど。
食べたいけれど。

しかし、レオナルド。
あんなのが俺の義兄になるのか。

いや、あれが公爵家に来るのではなく
その妹が嫁いでくるのだ。

なんの問題もない。

あの駄犬の留学は1年だけだし
1年間だけ面倒を見れば
あれは隣国に帰るのだ。

帰ったら野放しは止めて欲しい。
いや、本気で。

あの無駄な発想力と行動力は
俺一人では手に負えない。

つーか、なんだ?
あの「一生俺を叱ってくれ」ってやつ。

プロポーズ?
そんなわけあるか。

そんな愛の告白が合ったら
いくらなんでもビックリするぞ。

どんなドMだってな。

だが、周囲はそうは受け取らないんだろうな。

隣国の王子が、プロポーズまがいの
言葉を言ってしまったから、
大事になってるんだろうな。

だからあれほど、
言動には気を付けろって
何度も何度も言ったのに。

俺はイラっとして、
目の前のお茶を飲む。

くそ。
次に学校で会ったらまた説教してやる!
今度は椅子でも芝生の上でもなく

グラウンドに正座させてやるからな!

と、俺が闘志に燃えていると、
リタがやってきた。

「イクス様、お客様がいらっしゃいました。
こちらにお通し致しますか?」

「お客様?」

誰だ?

「はい、ハーディマン侯爵家の
ヴィンセント様でございます」

「ヴィー兄様?」

また呼び出されたのか?
ほんとに、父にいいように使われている……。

申し訳ないというか、不憫というか。
断っていいんだぞ、ほんと。

「応接室の方がよろしいでしょうか」

俺がすぐに返事をしなかったせいか
リタがそばに居た別の侍女に
合図をしようとしたので、
俺は慌ててそれを止めた。

「ううん、ここでいい。
ヴィー兄様のお茶もお願い」

「かしこまりました」

リタが頭を下げると
後ろに控えていた侍女も
同じ様に頭を下げる。

リタもすっかり新米侍女を
サポートする教育係に成長したようだ。

「イクス」

すぐに新米侍女に連れられて
ヴィンセントが中庭にやって来た。

「大丈夫か?
大変だったな」

と開口一番に言われて
俺は首を傾げるしかない。

「大変なことは何も……
あの駄犬…、んと。

レオナルド殿下が僕に
一生かけた罰ゲームに参加しろって
言うから、絶対に嫌、って言っただけ」

俺が駄犬の言葉を言い直すと
ヴィンセントは口元を
手で隠すようにして笑った。

うん、まぁ、他国の王子だからな。
不敬になるかもしれんし。

でも俺は学友だから関係ない。

すぐにリタがヴィンセントの
お茶を準備して、下がっていく。

ヴィンセントは俺の目の前にある
ケーキを見て、食べないのか?と言うが。

「もう、駄犬のせいで、食欲ない~」

俺は行儀が悪いと理解しつつ
テーブルに突っ伏した。

ヴィンセントの前だから
つい、甘えたことを言ってしまう。

駄犬と公言したが、
誰のことかは言ってないぞ。

ヴィンセントは優しい顔をして
俺の髪をなでなでする。

「ほら、そう言わずに」

そして俺のフォークを持つと
ケーキを切り崩して
おれの口元に運んでくれた。

ちなみに、ヴィンセントの前には
お茶だけだ。

どうやらあらかじめ
茶菓子は辞退していたらしい。

俺は顔を上げて
ヴィンセントを見る。

ほら、と言われ、
俺が拒否できずに、あーん、と
口を開けると
すぐに甘い味が口の中に広がる。

俺は小さいころから
ヴィンセントに餌付けされてたから
こうやってフォークを
差し出されると、弱い。

「美味いか?」

と聞かれれば、「うん」と言ってしまう。

「なぁ、イクス」

俺がケーキをヴィンセントに
食べさせてもらっていると、
何度目かのフォークの後、
ヴィンセントが躊躇いがちに俺を呼ぶ。

「今すぐ俺と、結婚するか?」

「ん?」

俺は思わず、ケーキを味わうことなく飲み込んだ。

「陛下が特例で、
俺との結婚を許可してくれた。

ただ、成人するまでは、
何も変わらない。

イクスはこのまま公爵家にいればいい。

ただ、婚約者から伴侶に
名前が変わるだけだ」

えーっとつまり。
あの駄犬が本気で俺と
結婚するとか言う前に、
先に俺とヴィンセントを結婚させておくということか。

陛下は俺を他国に渡すつもりは
ないだろうし、婚約だけなら
破棄もできるかもしれないが、

まさか隣国の王家であっても
他国の貴族の婚姻を割いてまで
俺を嫁に、なんて言い出すことは
ないだろう。

俺はヴィンセントを見た。

優しい、と思う。

きっとヴィンセントは俺を望んでくれていて
俺も、ヴィンセントとの結婚を
望んでいる。

ただ、今すぐではないけれど。

俺はまだ未成年だし、
急に結婚と言われても
正直困る。

ヴィンセントは好きだが
今すぐ結婚するほどの
覚悟はない。

ヴィンセントは俺の
そんな気持ちを理解して
結婚するか?と聞いてくれたのだ。

きっと俺との結婚話は
陛下から王命で出たのだと思う。

だって昨日に今日だ。

俺は学校を休むように言われ
俺以外の家族は王宮にでかけている。

つまり、俺の結婚は
覆すことができないものなのだ。

なのに、ヴィンセントは
俺の意志を確認する。

もし俺が「嫌」と言ったら
きっと、違う方法を必死で
探してくれるに違いない。

ほんとに、ヴィンセントって
兄バカというか、イクスオレバカだよな。

「ヴィー兄様」

「なんだ?」

「僕と結婚して」

王命だから、でも、
ヴィンセントに言われたからでもない。

望んだから結婚するんだ。

俺の言葉にヴィンセントは目を大きくして笑った。

「もちろんだ。
愛してるよ、イクス」

って急にヴィンセントは腰を浮かして
俺の頬に唇を当てる。

突然のことに俺は体が熱くなって。

ヴィンセントの胸に顔を押し付けたけれど、
きっと顔は真っ赤になっていたはずだ。

そして俺は、罰ゲーム提案の翌日、
気が付けば新妻になってしまった。

とはいえ、生活は今と
変わらないみたいだし、
ま、いっか。

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