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57.北の魔族領と白兎 (残虐表現あり閲覧注意)
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何も変わった感じがしないが、アレは何処に行ったのだろうか?探索をかけるか?
魔王城に何かが起きたのかも知れない。勇者一行が攻めて来るのは、まだ先だ。なら、魔族同士で何か始まったのか?
ダンジョンの様子がおかしいのも、そのせいだろう。
まぁ、魔王になんて興味がないから誰がなっても、未練もないが……アレは探しておくべきか?
幻影兎のまま、様子を伺う事にした。誰も俺だとは思わないだろう。
面倒だな。
シェリルの所に戻るべきか?
とりあえず、アレを回収しに行くか?
探索をかけて見る。また随分と離れた所にいる。
仕方がない。
『瞬間移動』
と、呟いた。
ダンジョンの最下層。
人では来れない場所に、彼はいた。
「これは、また」
「だ……れだ?」
ボロボロに割かれた服、片足がない。両の手は杭により固定されていた。魔族の証である、角も折られている。美しい黒い長い髪は、色が抜けおちて白銀になっていた。
「レノア」
「───クロフィスさ、ま」
幻影兎から元の姿に戻る。シェリルに見せた事が無い、角のある魔族としての姿だ。
「誰にやられた?」
「クロフィス様……申し訳ございません。助けなくてかまいません。ここから逃げて下さい。きっと罠が……」
腕に刺さっている杭を壊し、レノアを抱きかかえる。
「俺にそんなモノは効かない」
切り落とされただろう、足の残骸を引き寄せた。
レノアの足の切断部分にそれをあてる。
『再生』
「う……く……」
「我慢しろ。角は、厳しいな。魔力もほとんどないか……」
「もう、十分です。ここに捨てて……いいえ、クロフィス様に処分していただければ」
「面倒だ。幻影兎にでもなっとけ」
「は?」
白銀の幻影兎を腕に抱える。何か言いたそうに口をモゴモゴしているが、無駄に魔力を消費させたくない。
「回復するまで、幻影兎のままだ。後で事情を聞く。それから俺の恋人にちょっかい出すな。後もう一つ魔族と知られるな……今から勇者達と合流するからな」
レノアが、綺麗な深紅の瞳を見開いて固まっている。
「ああ。勇者が恋人じゃない。勇者一行の一人なんだ。可愛いからって手を出したらここに戻すからな」
小刻みに白兎が頷く。
「さて、痕跡を隠して……しばらく時間稼ぎをするか。まあ、俺に辿り着くのは無理だろう。いずれ、魔王城に行くのだから……面白くなりそうだ」
戻るぞ……レノアは、しばらく眠れ。そう言うと、白兎は丸くなり眠りにつく。
ああ、シェリルの声がする。遅れてすまない。今から行く。
そして、ここから姿を消した。
魔王城に何かが起きたのかも知れない。勇者一行が攻めて来るのは、まだ先だ。なら、魔族同士で何か始まったのか?
ダンジョンの様子がおかしいのも、そのせいだろう。
まぁ、魔王になんて興味がないから誰がなっても、未練もないが……アレは探しておくべきか?
幻影兎のまま、様子を伺う事にした。誰も俺だとは思わないだろう。
面倒だな。
シェリルの所に戻るべきか?
とりあえず、アレを回収しに行くか?
探索をかけて見る。また随分と離れた所にいる。
仕方がない。
『瞬間移動』
と、呟いた。
ダンジョンの最下層。
人では来れない場所に、彼はいた。
「これは、また」
「だ……れだ?」
ボロボロに割かれた服、片足がない。両の手は杭により固定されていた。魔族の証である、角も折られている。美しい黒い長い髪は、色が抜けおちて白銀になっていた。
「レノア」
「───クロフィスさ、ま」
幻影兎から元の姿に戻る。シェリルに見せた事が無い、角のある魔族としての姿だ。
「誰にやられた?」
「クロフィス様……申し訳ございません。助けなくてかまいません。ここから逃げて下さい。きっと罠が……」
腕に刺さっている杭を壊し、レノアを抱きかかえる。
「俺にそんなモノは効かない」
切り落とされただろう、足の残骸を引き寄せた。
レノアの足の切断部分にそれをあてる。
『再生』
「う……く……」
「我慢しろ。角は、厳しいな。魔力もほとんどないか……」
「もう、十分です。ここに捨てて……いいえ、クロフィス様に処分していただければ」
「面倒だ。幻影兎にでもなっとけ」
「は?」
白銀の幻影兎を腕に抱える。何か言いたそうに口をモゴモゴしているが、無駄に魔力を消費させたくない。
「回復するまで、幻影兎のままだ。後で事情を聞く。それから俺の恋人にちょっかい出すな。後もう一つ魔族と知られるな……今から勇者達と合流するからな」
レノアが、綺麗な深紅の瞳を見開いて固まっている。
「ああ。勇者が恋人じゃない。勇者一行の一人なんだ。可愛いからって手を出したらここに戻すからな」
小刻みに白兎が頷く。
「さて、痕跡を隠して……しばらく時間稼ぎをするか。まあ、俺に辿り着くのは無理だろう。いずれ、魔王城に行くのだから……面白くなりそうだ」
戻るぞ……レノアは、しばらく眠れ。そう言うと、白兎は丸くなり眠りにつく。
ああ、シェリルの声がする。遅れてすまない。今から行く。
そして、ここから姿を消した。
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