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56.ダンジョンへ
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王宮内では歓迎され、神殿側の態度とは温度差があった。彼らは神聖魔法派の聖騎士に聖騎士の耳飾りを付けさせたいだけだ。
それなのに、ダンジョンと言う場所を冒険者が行く所として、自分達で探す気になれないみたいだった。
「都合がよすぎる」
きっと、探し出して欲しいだけ。それを身内につけさせて加護を得た上で参加したい。そんな感じに思えた。
しばらく、王宮で接待を受け、ダンジョン内の説明等を聞いた。荷物の補充も充分に出来たのは、王家の方々に感謝すべき事だった。神殿の神官達とは対応が全然違ったのは救いだ。ようやくダンジョンに行ける。
クロに会いたい。考えないようにしても、どうしてもクロの事ばかり考えてしまう。
馬での移動も、相変わらず僕はカイル様と一緒だ。
マリア様は、テオ様の後ろを断り一人で騎乗した。恐ろしくバランスが良くてキース様にべた褒めされている。マリア様って実は、騎士なのでは?と思うレベルだった。
この国のダンジョンの中で、一番規模が大きい所だ。
そして、何ヶ所か怪しい場所があるらしい。聖遺物は、意思を持っている為、その意思に従い隠される場合が多いそうだ。
勇者様の聖遺物だけは、必ず前勇者の思いを受け継いで、いつかの時に力を貸してくれるとか。だから必ず勇者様の聖遺物から見つかる。そして、仲間を集める勇者のカイル様も、次の聖遺物場所が分かる一人になる。
「中々に厄介だから、気を引き締めて行こう。何度か行ってる俺が前を行く。カイルとそれからシェリル……頼って悪いが聖遺物の場所を感じたら教えてくれ。特に黒兎なら場所が分かる気がする。合流出来たら頼む。聞いてみてくれ」
「はい」
きっと、来てくれる。
そう思い、クロからもらったネックレスの石の部分を握りしめる。
『クロ。会いたい。お願い、戻って来て』
でも、それらしい反応が無かった。
大丈夫。呼べって言ってた。もう少し時間を空けてから呼んで見る事にした。
「シェリル?」
カイル様が心配そうに見ている。
「なんでもありません」
クロ。怪我でもしたのかな?こんな時に助けに行けない。
「心配事があったら、頼ればいい」
隣を歩きながら、カイル様がそんなことを言う。
クロが見つからないから、探しに行っていいかなんて言えない。
大丈夫。クロは、絶対来てくれる。
そう信じる事しか出来ない。
「シェリル」
そう言って、カイル様が頭を撫でて来た。
「カイル様?」
「あの黒兎がいないと寂しいか? 我慢はするな。もう少し、俺を頼ってくれ」
全部、気持ちがバレていて恥ずかしい。
「大丈夫です。きっとクロは戻ってきます」
「俺としては、居なくても良いんだが……シェリルのそばに来るとアイツに蹴られるからな」
「あはは」
そう、だった。いつもクロはカイル様にポコポコ歯向かっていた。
ちょっとおかしくて、笑ってしまう。
「少しは、笑えるな」
そうだ。弱気になっては駄目だ。クロも思ってたより遠くに行って直ぐに戻れないだけかも知れない。
「カイル様。ありがとうございます」
今は、聖騎士の耳飾りの事を優先しよう。
そして、ダンジョンの奥へと向かって行く。
それなのに、ダンジョンと言う場所を冒険者が行く所として、自分達で探す気になれないみたいだった。
「都合がよすぎる」
きっと、探し出して欲しいだけ。それを身内につけさせて加護を得た上で参加したい。そんな感じに思えた。
しばらく、王宮で接待を受け、ダンジョン内の説明等を聞いた。荷物の補充も充分に出来たのは、王家の方々に感謝すべき事だった。神殿の神官達とは対応が全然違ったのは救いだ。ようやくダンジョンに行ける。
クロに会いたい。考えないようにしても、どうしてもクロの事ばかり考えてしまう。
馬での移動も、相変わらず僕はカイル様と一緒だ。
マリア様は、テオ様の後ろを断り一人で騎乗した。恐ろしくバランスが良くてキース様にべた褒めされている。マリア様って実は、騎士なのでは?と思うレベルだった。
この国のダンジョンの中で、一番規模が大きい所だ。
そして、何ヶ所か怪しい場所があるらしい。聖遺物は、意思を持っている為、その意思に従い隠される場合が多いそうだ。
勇者様の聖遺物だけは、必ず前勇者の思いを受け継いで、いつかの時に力を貸してくれるとか。だから必ず勇者様の聖遺物から見つかる。そして、仲間を集める勇者のカイル様も、次の聖遺物場所が分かる一人になる。
「中々に厄介だから、気を引き締めて行こう。何度か行ってる俺が前を行く。カイルとそれからシェリル……頼って悪いが聖遺物の場所を感じたら教えてくれ。特に黒兎なら場所が分かる気がする。合流出来たら頼む。聞いてみてくれ」
「はい」
きっと、来てくれる。
そう思い、クロからもらったネックレスの石の部分を握りしめる。
『クロ。会いたい。お願い、戻って来て』
でも、それらしい反応が無かった。
大丈夫。呼べって言ってた。もう少し時間を空けてから呼んで見る事にした。
「シェリル?」
カイル様が心配そうに見ている。
「なんでもありません」
クロ。怪我でもしたのかな?こんな時に助けに行けない。
「心配事があったら、頼ればいい」
隣を歩きながら、カイル様がそんなことを言う。
クロが見つからないから、探しに行っていいかなんて言えない。
大丈夫。クロは、絶対来てくれる。
そう信じる事しか出来ない。
「シェリル」
そう言って、カイル様が頭を撫でて来た。
「カイル様?」
「あの黒兎がいないと寂しいか? 我慢はするな。もう少し、俺を頼ってくれ」
全部、気持ちがバレていて恥ずかしい。
「大丈夫です。きっとクロは戻ってきます」
「俺としては、居なくても良いんだが……シェリルのそばに来るとアイツに蹴られるからな」
「あはは」
そう、だった。いつもクロはカイル様にポコポコ歯向かっていた。
ちょっとおかしくて、笑ってしまう。
「少しは、笑えるな」
そうだ。弱気になっては駄目だ。クロも思ってたより遠くに行って直ぐに戻れないだけかも知れない。
「カイル様。ありがとうございます」
今は、聖騎士の耳飾りの事を優先しよう。
そして、ダンジョンの奥へと向かって行く。
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