【本編完結】 ふたりを結ぶ古書店の魔法

Shizukuru

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75.覚悟

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「ジェイド……」
「ミカエル様。琥珀様と二人でここに泊まっても問題ありませんよね?」

「ええ。どうぞ。明日には浄化に向かいますので、ここから一緒に向かいましょう。ゆっくり……話し合って下さいね」

「ミカエル様。心配しなくて大丈夫です」
「でも寝て下さいね」

 大丈夫。呪いはちゃんと隠れてる。明日出発なのだ、今日は拒んでも許してくれるはずだ。

「ミカエル様、何言ってるんだろうね。まるで、ジェイドとの事がバレてるみたいだね。だとしても、今日そんなことする訳ないのにね」
 手を握られて、部屋に入ると。ジェイドは結界を張った。

「どうしたの? 今日は元々ここにお世話になるから、王宮でエドワード様達と浄化の手順とか確認しといてって言ったよ俺」
「──ライゼ様に会ってから、様子がおかしい」
流石にバレている。でも笑って話を逸らすくらいなら、出来るかな。

「当たり前だよ……両親の話をして来たんだから。 ジェイドにとってはさ……記憶の欠片くらいに薄まってるんだよね?」

「覚えてる」

「それでも……俺は、より一緒にいた感が強いんだ。 もう戻れない上にさ。子供がいないことになってるみたい」
「覚えてて、探し回られる方が辛いと思う」
「そうだね。分かっていても、俺は……覚えてて欲しかったんだよね。いや、ほら……やっぱり、大好きだったんだ」

「俺も、好きだったよ」
「うん。だから、ライゼ様にお願いしたんだ。父さんと母さんの間に子供が生まれますようにって。そしたら、浄化頑張れそうだなって思って。怖い事我慢するの嫌だろ? 少しご褒美的に頼んだ……それだけだよ」

 本心だよ。ジェイド……俺、あの二人にも幸せになって欲しいんだ。全部終わらせて、もう、聖女召喚も必要なくなって。この世界と両方が幸せに終わったら……俺が生まれた意味あるかな?って思うんだ。

「琥珀は、帰りたい?」
「帰ったら、ジェイドと恋人になれないから。ここで頑張るよ。神使として役目を果たせば、ずっと一緒に居られる」

 ギュッと抱きしめて貰えば、痛みを忘れられそうだった。
 聖女様……痛かったね。俺のせいで巻き込まれて、大変だったね。ここに残っても、元の世界に戻っても……キミが幸せになりますように。

「ね。今日は抱き締められるだけがいい。明日の為に、ゆっくり寝たい」

「──分かった」
「そんな顔しないでジェイドは、一回じゃ終わってくれないから。我慢してよね」
   ジェイドが少しばつの悪い顔をする。
 ───大丈夫。
 俺は、笑顔を作れてる。
 ジェイドが、俺を思い出しませんように。
 でも、今日はその温もりを忘れないように……俺にちょうだい。

「あ、おやすみのキスはして」
 優しいキスをしてもらった。愛しくてたまらない。
 ごめん。ただ謝る事しか出来ない。
 その腕に閉じ込めてもらう。
 覚えててもらう事は、やっぱり止めて正解だと思う。ジェイドが俺を忘れて幸せになりますように。
     好きな人の体温と匂い。その腕の中で眠りについた。





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