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41.琥珀の発熱 side ジェイド

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 魔法剣で、直ぐに倒せばよかったのに。琥珀様を傷つけないようにした為に反応が遅れた。エドワード殿下の声に反応して迫って来たあいつを、狙うことが出来なかった。攻撃範囲を絞りにくい、駄目だ巻き込んでしまう。

 琥珀様が、突然俺の剣の刃先に腕を這わせる。傷を抑え、馬から飛び降りると走り出した。

 あいつは、ダンと地面を踏み込み向きを変えた。もちろん狙いは、琥珀様に変わった。

 血の匂い──囮になる気か!!
『ジェイド!』
 ──呼ばれた気がした。アイツを倒せと言ってる。
 琥珀様が、俺の反応の鈍さ故に怪我を負った。研ぎ澄ませ、狙いを定めろ。血牙の大熊ブラッディファングの核を狙い魔法剣から魔法を放つ。

「消えろっ」
 雷光が走り、核を貫いた。魔石を残し跡形もなく散霧していった。
俺に倒す機会をくれたのだ。すぐに琥珀様に駆け寄ろうしとした時、それは起こった。
 組んだ手を見つめ、その後瞳を閉じた。琥珀様を中心に広がる浄化の波紋。俺自身にも、白銀の光が通り抜けて行った。

 清廉な空気に包まれて、あまりにも琥珀様が綺麗すぎた。

 これが、神使様の力。
 なんて、清廉な空気だ。皆が惚けてしまっている。

 我に返り急ぎ駆け寄ると、笑顔の琥珀様が手を伸ばして来た。

「浄化出来た……かな?」
「手当が先です!!」

 その手から血が流れている。こんなに血が流れたままだったなんて。
 腕の中で意識を失ってしまった。

 傷に布を巻き付け止血をする。

「浄化は終わってます。急ぎ、琥珀様を連れて野営地へ戻ります」
 殿下が魔石を拾い、俺を見た。

「ジェイド手を貸す」
 馬上に戻り、琥珀様を受けとる。琥珀様と抱き合う形で、固定する。振り落とさないようにする為だ。

「ジェイド。魔法で、野営地の方に連絡を入れる。早駆けしてくれ」

 頷いて、馬を走らせる。

 皆も後から付いて来るはずだ。振り返るな。殿下は皆に任せた。

 顔色が悪い、体も冷えてきている。これから熱が上がるかも知れない。、野営地までこんなに遠かったか? どうして、こんなことになるんだ。いつもしまう。

 天幕が見えた。連絡は届いていたようで、治癒を出来る者が用意をして待っていた。

 まず傷を洗う。薬を塗り込んで止血の布で傷口を覆う。魔法剣の傷は、魔法による治癒は難しい。対魔物、敵に対する剣だ。簡単に癒せないように魔法が施されているからだ。
それこそ、聖女様の治癒のようなものが早いはずだ。琥珀様自信で治療するには、魔力が足りない。
化膿止めの薬を受け取った。他には、発熱する可能性があるため解熱剤だ。後は目が覚めた時のための果物や、飲み物が用意された。

止血は上手くいってる。
着替えをさせる為に、治癒士を追い出した。そして、会いに来るだろう殿下への伝言を頼んだ。

「殿下達が戻ったら、琥珀様は、発熱する可能性がある。今夜は、にして欲しい。朝には状況を報告すると伝えてくれ」

 琥珀様の体を他人に、見せる訳にはいかない。
 血で汚れた服を脱がした。
洗浄クリーン
 呟くと、汗のベタつきを取る。
綺麗な服に着替えさせる。水を口に含み、琥珀様の唇を口を塞いだ。流し込むように水を飲ませる。溢れた水分を布で拭き取った。

簡易ベッドに寝かせると、琥珀様が小さく呟いた。

「寒い……」
ガタガタと震え始め、ブランケットを増やしても震えは止まらない。

「──結」
その名を聞くと苦しい。
なぜ? 俺を呼んでくれないのか?
結界を張った。この天幕に誰も来ないように。そして灯りを暗くする。これで誰も来ないはずだ。

自分にも洗浄クリーンをかけて、上半身裸になった。琥珀様に着せたシャツを脱がせる。ベッドに入り胸の中に閉じ込めた。

肌が触れ合う方が温かいはずだ。

熱があがれば、薬を飲ませて、首や脇を冷やして対応しよう。

今はただ、震える体を温めてあげたかった。


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