43 / 81
42.神使の治癒 ※
しおりを挟む
少し過信していた。自分で治癒出来ると思っていたからだ。
治癒してから、浄化をしたら良かったのかな?そんな事してたら、また別の魔物が寄ってきたかも知れない。だからきっと間違っていないはずだ。
ごっそりと抜けた魔力。治癒の力が出せない。寒くて痛くて……泣きそうになる。震える体を誰かが抱きとめてくれている。
そう、子供の頃。
結が少しだけ、熱を出した。冬休みで学校は休みだ。
母さんも父さんも、平日に仕事を休むのは難しかった。その時の結は微熱程度だ。だから結も、お兄ちゃんと一緒だから平気って笑ってたんだ。
水とか果物とか用意してくれたから。食料もある。夕方まで、平気だと思った。
「任せて!」
自慢げにそう言ったのに。寒いって震え出した結の熱はどんどん上がっていく。体温計を握りしめて怖くて、泣きながらお母さんに電話をしたんだ。
「もう少しだけ、待ってて」
「ごめんなさい。早く帰ってきて」
言われた通りに氷と冷たいタオルを用意した。結の隣に寝て、抱きついた。
「大丈夫、僕がついてるから!!」
自分が怖くて仕方がないから、本当は抱きついてたんだ。
「お兄ちゃん、いなくならないよね? ずっと一緒だよね?」
「何があっても、一緒にいる」
結。結は、どこにいるの?
こんな所まで、追いかけてきた俺って間違いだった? 俺、このまま死んだりするのかな?
「約束……した」
ずっと一緒だって。
寒かったのに、今は温かい。そう思ったのも少しだけ。今度は、熱くて苦しくなってきた。
「あ、つ……」
痛い。熱い。誰か……助けて。
冷たい水が口内に流れていく。美味しい。もっと、もっと頂戴。
「薬、飲んで」
クスリ……?
「琥珀……」
名前を呼ぶ人を見たくて、ゆっくりとまぶたをあげた。
「琥珀さま!!」
結……だ。思わず抱きついて、腕に激痛が走った。
「いっ、た」
「気が付いた? 痛みは? 俺が分かりますか? 」
「ジェイド……?」
泣きそうな顔をしている。心配させた?
「ごめん。俺、倒れた?」
「まだ、熱が高いから。薬を飲ませました。明日にでも治癒に特化した神官の所へ連れて行きます」
治癒……魔力が足りないから、治せないんだった。
「魔力って、増やす?戻すのかな?そんな方法……あった?」
なんか、書いてた気がする。体液交換とか?魔力譲渡とか?
「薬……効くといいけど。迷惑かけて、ごめん。魔力譲渡って。誰かに頼んだら、傷の治りが早いかな?」
「誰に……頼みたいですか?」
「誰? 譲渡って苦しいの? 相手に痛みがあるなら、頼めない」
「──相性がいい相手なら、琥珀様の傷の痛みが軽減するはず。俺が試してもいい?」
「ジェイドが、大丈夫ならお願いしたい。剣で少しの傷が付けば良かったのに、こんなに深く切れると思わなかった。ばかだね……ごめん」
「琥珀様。最後まではしません。繋がるのが一番早いけど。治癒の為の魔力を馴染ませる行為だと思って欲しい。ただ、俺以外としないと約束して欲しい」
真剣な顔のジェイドを見て頷いた。
「──わかった」
ジェイドの顔が近付いてきた。キスをされている。不思議と嫌ではない。舌が絡むと、何かが流れ込んでくる。
優しくて気持ちいい。
ジェイドの魔力? 何度と繰り返すキスは、これは治療の一環だと言い聞かせる。
お腹がポカポカし始めだ。これって魔力? お腹がキュンってしてくる。触って欲しくなるのは、魔力がここで止まってるからかな?
トンと、ジェイドの胸を叩くと、唇が離れると同時に銀糸を引いた。
ジェイド、色気がダダ漏れ過ぎ……胸が苦しくなる。
「どうかしましたか? やっぱり不快?」
「平気……ただ、お腹の当たりに何か溜まってきて。嘘だ……勃ってる?」
俺何興奮してるんだ。やばい。抜かなきゃだめかも。
こんな、治療してもらってるのに。興奮するとか。恥ずかし過ぎて、まともに顔を見れない。
「俺……なんか、興奮するとか、恥ずかしい」
「それで大丈夫。相性がいいって事だから身を任せて。俺だけをみて」
この反応が正解?
「いや、でも生理現象だから。抜けば落ち付くはずだから」
「手伝います。俺も、興奮してるから」
一緒にさせて欲しい。ズボンを下ろされてしまった。先走りがでていて本当に困る。 俺、変態なのか?
「大丈夫、俺の魔力も馴染ませるから」
そう言って、体を引き寄せられて二人分一緒に掴まれた。すり合わされて上下に動かされば、逃げたいのに。逃げられない。
「俺の魔力に馴染めば、魔力が回復して行くから」
体が温まる。気持ちよくて、変になるのに……これで正解?
キス……したい。そんな風に思ってしまう。
それが通じたのか、深くキスをされる。ただ身を任せると腕の痛みが、不思議と消えて行くのがわかった。
治癒してから、浄化をしたら良かったのかな?そんな事してたら、また別の魔物が寄ってきたかも知れない。だからきっと間違っていないはずだ。
ごっそりと抜けた魔力。治癒の力が出せない。寒くて痛くて……泣きそうになる。震える体を誰かが抱きとめてくれている。
そう、子供の頃。
結が少しだけ、熱を出した。冬休みで学校は休みだ。
母さんも父さんも、平日に仕事を休むのは難しかった。その時の結は微熱程度だ。だから結も、お兄ちゃんと一緒だから平気って笑ってたんだ。
水とか果物とか用意してくれたから。食料もある。夕方まで、平気だと思った。
「任せて!」
自慢げにそう言ったのに。寒いって震え出した結の熱はどんどん上がっていく。体温計を握りしめて怖くて、泣きながらお母さんに電話をしたんだ。
「もう少しだけ、待ってて」
「ごめんなさい。早く帰ってきて」
言われた通りに氷と冷たいタオルを用意した。結の隣に寝て、抱きついた。
「大丈夫、僕がついてるから!!」
自分が怖くて仕方がないから、本当は抱きついてたんだ。
「お兄ちゃん、いなくならないよね? ずっと一緒だよね?」
「何があっても、一緒にいる」
結。結は、どこにいるの?
こんな所まで、追いかけてきた俺って間違いだった? 俺、このまま死んだりするのかな?
「約束……した」
ずっと一緒だって。
寒かったのに、今は温かい。そう思ったのも少しだけ。今度は、熱くて苦しくなってきた。
「あ、つ……」
痛い。熱い。誰か……助けて。
冷たい水が口内に流れていく。美味しい。もっと、もっと頂戴。
「薬、飲んで」
クスリ……?
「琥珀……」
名前を呼ぶ人を見たくて、ゆっくりとまぶたをあげた。
「琥珀さま!!」
結……だ。思わず抱きついて、腕に激痛が走った。
「いっ、た」
「気が付いた? 痛みは? 俺が分かりますか? 」
「ジェイド……?」
泣きそうな顔をしている。心配させた?
「ごめん。俺、倒れた?」
「まだ、熱が高いから。薬を飲ませました。明日にでも治癒に特化した神官の所へ連れて行きます」
治癒……魔力が足りないから、治せないんだった。
「魔力って、増やす?戻すのかな?そんな方法……あった?」
なんか、書いてた気がする。体液交換とか?魔力譲渡とか?
「薬……効くといいけど。迷惑かけて、ごめん。魔力譲渡って。誰かに頼んだら、傷の治りが早いかな?」
「誰に……頼みたいですか?」
「誰? 譲渡って苦しいの? 相手に痛みがあるなら、頼めない」
「──相性がいい相手なら、琥珀様の傷の痛みが軽減するはず。俺が試してもいい?」
「ジェイドが、大丈夫ならお願いしたい。剣で少しの傷が付けば良かったのに、こんなに深く切れると思わなかった。ばかだね……ごめん」
「琥珀様。最後まではしません。繋がるのが一番早いけど。治癒の為の魔力を馴染ませる行為だと思って欲しい。ただ、俺以外としないと約束して欲しい」
真剣な顔のジェイドを見て頷いた。
「──わかった」
ジェイドの顔が近付いてきた。キスをされている。不思議と嫌ではない。舌が絡むと、何かが流れ込んでくる。
優しくて気持ちいい。
ジェイドの魔力? 何度と繰り返すキスは、これは治療の一環だと言い聞かせる。
お腹がポカポカし始めだ。これって魔力? お腹がキュンってしてくる。触って欲しくなるのは、魔力がここで止まってるからかな?
トンと、ジェイドの胸を叩くと、唇が離れると同時に銀糸を引いた。
ジェイド、色気がダダ漏れ過ぎ……胸が苦しくなる。
「どうかしましたか? やっぱり不快?」
「平気……ただ、お腹の当たりに何か溜まってきて。嘘だ……勃ってる?」
俺何興奮してるんだ。やばい。抜かなきゃだめかも。
こんな、治療してもらってるのに。興奮するとか。恥ずかし過ぎて、まともに顔を見れない。
「俺……なんか、興奮するとか、恥ずかしい」
「それで大丈夫。相性がいいって事だから身を任せて。俺だけをみて」
この反応が正解?
「いや、でも生理現象だから。抜けば落ち付くはずだから」
「手伝います。俺も、興奮してるから」
一緒にさせて欲しい。ズボンを下ろされてしまった。先走りがでていて本当に困る。 俺、変態なのか?
「大丈夫、俺の魔力も馴染ませるから」
そう言って、体を引き寄せられて二人分一緒に掴まれた。すり合わされて上下に動かされば、逃げたいのに。逃げられない。
「俺の魔力に馴染めば、魔力が回復して行くから」
体が温まる。気持ちよくて、変になるのに……これで正解?
キス……したい。そんな風に思ってしまう。
それが通じたのか、深くキスをされる。ただ身を任せると腕の痛みが、不思議と消えて行くのがわかった。
25
お気に入りに追加
833
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる