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42.神使の治癒 ※

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 少し過信していた。自分で治癒出来ると思っていたからだ。

 治癒してから、浄化をしたら良かったのかな?そんな事してたら、また別の魔物が寄ってきたかも知れない。だからきっと間違っていないはずだ。

 ごっそりと抜けた魔力。治癒の力が出せない。寒くて痛くて……泣きそうになる。震える体を誰かが抱きとめてくれている。

 そう、子供の頃。
 結が少しだけ、熱を出した。冬休みで学校は休みだ。
 母さんも父さんも、平日に仕事を休むのは難しかった。その時の結は微熱程度だ。だから結も、お兄ちゃんと一緒だから平気って笑ってたんだ。

 水とか果物とか用意してくれたから。食料もある。夕方まで、平気だと思った。
「任せて!」
 自慢げにそう言ったのに。寒いって震え出した結の熱はどんどん上がっていく。体温計を握りしめて怖くて、泣きながらお母さんに電話をしたんだ。
「もう少しだけ、待ってて」
「ごめんなさい。早く帰ってきて」

 言われた通りに氷と冷たいタオルを用意した。結の隣に寝て、抱きついた。

「大丈夫、僕がついてるから!!」
 自分が怖くて仕方がないから、本当は抱きついてたんだ。
「お兄ちゃん、いなくならないよね? ずっと一緒だよね?」

「何があっても、一緒にいる」

 結。結は、どこにいるの?
 こんな所まで、追いかけてきた俺って間違いだった? 俺、このまま死んだりするのかな?

「約束……した」
 ずっと一緒だって。
 寒かったのに、今は温かい。そう思ったのも少しだけ。今度は、熱くて苦しくなってきた。

「あ、つ……」
 痛い。熱い。誰か……助けて。

 冷たい水が口内に流れていく。美味しい。もっと、もっと頂戴。
「薬、飲んで」
 クスリ……?

「琥珀……」
 名前を呼ぶ人を見たくて、ゆっくりとまぶたをあげた。

「琥珀さま!!」
 結……だ。思わず抱きついて、腕に激痛が走った。

「いっ、た」
「気が付いた? 痛みは? 俺が分かりますか? 」

「ジェイド……?」
 泣きそうな顔をしている。心配させた?

「ごめん。俺、倒れた?」
「まだ、熱が高いから。薬を飲ませました。明日にでも治癒に特化した神官の所へ連れて行きます」

 治癒……魔力が足りないから、治せないんだった。

「魔力って、増やす?戻すのかな?そんな方法……あった?」

 なんか、書いてた気がする。体液交換とか?魔力譲渡とか?

「薬……効くといいけど。迷惑かけて、ごめん。魔力譲渡って。誰かに頼んだら、傷の治りが早いかな?」

「誰に……頼みたいですか?」

「誰? 譲渡って苦しいの? 相手に痛みがあるなら、頼めない」

「──相性がいい相手なら、琥珀様の傷の痛みが軽減するはず。俺が試してもいい?」

「ジェイドが、大丈夫ならお願いしたい。剣で少しの傷が付けば良かったのに、こんなに深く切れると思わなかった。ばかだね……ごめん」

「琥珀様。最後まではしません。繋がるのが一番早いけど。治癒の為の魔力を馴染ませる行為だと思って欲しい。ただ、俺以外としないと約束して欲しい」

 真剣な顔のジェイドを見て頷いた。

「──わかった」

 ジェイドの顔が近付いてきた。キスをされている。不思議と嫌ではない。舌が絡むと、何かが流れ込んでくる。

 優しくて気持ちいい。
 ジェイドの魔力? 何度と繰り返すキスは、これは治療の一環だと言い聞かせる。

 お腹がポカポカし始めだ。これって魔力? お腹がキュンってしてくる。触って欲しくなるのは、魔力がここで止まってるからかな?

 トンと、ジェイドの胸を叩くと、唇が離れると同時に銀糸を引いた。

 ジェイド、色気がダダ漏れ過ぎ……胸が苦しくなる。

「どうかしましたか? やっぱり不快?」
「平気……ただ、お腹の当たりに何か溜まってきて。嘘だ……勃ってる?」

 俺何興奮してるんだ。やばい。抜かなきゃだめかも。
 こんな、治療してもらってるのに。興奮するとか。恥ずかし過ぎて、まともに顔を見れない。

「俺……なんか、興奮するとか、恥ずかしい」

「それで大丈夫。相性がいいって事だから身を任せて。俺だけをみて」

 この反応が正解?
「いや、でも生理現象だから。抜けば落ち付くはずだから」

「手伝います。俺も、興奮してるから」
 一緒にさせて欲しい。ズボンを下ろされてしまった。先走りがでていて本当に困る。 俺、変態なのか?

「大丈夫、俺の魔力も馴染ませるから」

 そう言って、体を引き寄せられて二人分一緒に掴まれた。すり合わされて上下に動かされば、逃げたいのに。逃げられない。
「俺の魔力に馴染めば、魔力が回復して行くから」

 体が温まる。気持ちよくて、変になるのに……これで正解?
 キス……したい。そんな風に思ってしまう。
 それが通じたのか、深くキスをされる。ただ身を任せると腕の痛みが、不思議と消えて行くのがわかった。
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