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呪いを解くため
解呪
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「フォース起きて!! 」
少年に起こされて、私は意識を現実に戻された。
床が柔らかい。
マットレスとは違う感覚。
人肌の温もり、そして肉感……
「貴方は? 」
「わらわはスカサア、この国の長だ。」
私はスカサアという名前を聞き、ハッと我に返ってから、彼女から起きあがろうとした。
だが、体がいうことを聞かない。
どうやら私が眠っていたのは、ここ二、三日では無かったようである。
「無理をしなくて良い。」
「あ、ありがとうございます。」
「礼なら、彼らに言うといい。」
私はアスィールとアスピを見た。
心なしか、少し大人になったような気がする。
いや、彼女たちは大人になったのであろう。
成長とは、毛や爪が伸びるのと似ている。
日々伸び続けているものではあるが、その変化を裸眼で追うのは難しい。
「ありがとう二人とも。手間をかけた。」
そしては私は脳に突っかかっていた一つの問題について、彼らに訊くことにした。
「僕たちが殺しました。」
彼らは口を揃えてそう答える。
幻術よし
どうやら、ここは現実だし、この子たちが、暗示を受けた形跡もない。
「どうやら夢を見ているわけでも見せられている訳でもないらしい。」
身体にだいぶ力が入るようになったので、貴婦人の身体から起き上がる。
「あっ、もう良いのか?」
「いつまでも貴方のお膝をお借りする訳にはいけません。」
「曲者め!! 」
「何事か!! ここは玉間であるぞ。」
気がつくと、執事らしき男が、兵士に奥襟を掴まれている。
「どうやら女王様に、この国の情勢はうまく伝えられたようだな。」
「よく喋るな!! 」
老人は勝ち誇った顔で、鼻を鳴らした。
「ワシはナーンも喋っとらん。貴様らとの約束はちゃんと守ったぞ。」
もう一人の兵士が、私たちに、一枚のスクロールを差し出した。
「勇者を名乗る卑き奴隷、アスィール。貴様を、逃亡罪及び、国家転覆罪で拘束させてもらう。」
「待て!! なんの権利があって、お前のような一兵卒にそのような権利が。」
後ろからゾロゾロと鈍色に光る鎧たちが姿を現す。
「勇者の加護が途切れた貴方に、何ができますかね。閣下、邪魔をされるというのなら、貴方も拘束します。」
「貴様っ。」
アスィールは困った顔をすると、手に取ったアペシュの兜を被り、立ち上がった。
「女王様、必ず三国の国王たちに働きかけ、この国を変えてみせます。」
「ぼくのやり方で。」
せめて、アスィールが逃げる時間を……
くっ身体が動かない。
---飛鷹---
刹那、視界が兵士たちの間を突っ切り、ガラス張りの壁をぶち破ると、城の上空へ。
重力の理にガッチリ掴まれると、身体が自由落下を始める。
「アスィール、お前!! 」
気がつくと私は、アスィールに担がれていて、アスピと共に城の外へと放り出されていた。
「人間は殺さない。そうだろアスピ。」
「だとしても、普通に犯罪だと思うけど。逃亡を幇助した罪で、私もお尋ね者ね。」
「奴隷が逃げたぞ。」
奴隷? アスィールが?
そういえば、王宮に集められたマスター・リーの継承者たちは、みな孤児だと。
「フォースには、聞かれたく無かったかな。」
「女王様のところに行く前に、備品の補充をしておいて良かった。」
「まぁ、最初からこうなることは分かっていたからさ。アスピ!! 魔導船まで走るよ。」
「言われなくとも!! 」
このままでは私の監督者としての威厳が……
「アスィール。私の武器はあるか? 」
「ごめんフォース。十字架みたいな銃は置いてきちゃった。アレ、重くてさぁ。」
代わりにナイフを受け取る。
やはりこの十字架のグリップは手に馴染む。
私は受け取るや否や、それを、店の看板へと投げつけた。
看板が、兵士の一人の後頭部に落ちてきて、怯む。
それに突っかかった兵士が次々とドミノ倒しに倒れていく。
「コラァーうちの自慢の標識、うわーなんじゃアンタら。」
アスィールが乾いた笑い声を上げる。
「器物損壊罪どころか殺人未遂だよ。」
「アレぐらいで死ぬのなら、国なんて守れないさ。心配するな。すぐにメイジが奴らを回復させるだろう。」
屋根を見た。
「何が来てるぞ。」
「知ってるよ。さっきから僕らと並走して、僕らの出方を伺っている。」
「気に食わないわね。いつでも捕まえられるってことかしら。」
私はアスィールに言われる前に、ナイフを黒フードの男へと投げつけた。
彼は、投げつけられた私のナイフをササっと避ける。
ナイフが黒を切り裂き、中から煌びやかな装飾武具が姿を現した。
「何? あの重装備は。」
おそらく30キロ近くもある重装備をつけなから、身体強化をしているアスィールたちと互角のスピードで走っている。
コイツは手練だろう。
「フハハハ。バレてしまったのならしょうがない。」
「私は王宮騎士騎士長…あっ、ちょっと待て。」
待てと言われて待つ方がお人好しだろう。
「待てって言っているだろ!! 」
私は騎士の垂直斬り下ろしを、教会のナイフでしっかり受け止める。
数週間、触れていなかったこの短剣にも、教会の加護がキッチリ宿っていることを確認できた。
「ほう、貴様は聖職者か。貴様のような高貴な人間が、なぜ犯罪の片棒を担ぐのか。知りたくなった。」
「こちとら知られたくないけどね。」
アスィールとアスピは高く跳躍すると、今度は自分たちが、街の屋根へと飛び乗った。
「おおっと。」
雪国は屋根の角度が急だ。
「落っこちても助けてあげないわよ。」
「そう言いながら、僕が捕まったら助けてくれるんだろ? 」
「なんか、ムカつく。」
「ハハハハ、最近の若者は活きが良いな。」
「アスィール。スピード落ちているわよ。」
「無茶言わないでよ。人を担いでいるんだから。」
そうだ。身体もだいぶ調子を戻してきた。
「おろせ。少年。」
「フォース。まだ動いちゃダメだよ。」
「もう走れる。」
アスィールから抜け出すと、両手に短剣を構えた。
「フハハハ。ブランクを感じさせない走りだ。流石、十二使徒のフォース様。」
素性が割れている。
まずい。
私たちは、王都の門前のアーケードへと駆け込んだ。
人混みをかき分けながら、婦人の買い物籠を吹き飛ばしたり、老人のカツラを走行風で攫っていく。
「ヘヤッ。」
騎士の横からの攻撃を右手の探検で上に受け流す。
衝撃で騎士が跳ね上がった。
「ナイス、フォース。」
「ありがとよ。俗物がよく見えるぜ。」
アーケードの屋根を勢い良く蹴り飛ばすと、急降下して、再び接近してくる。
急な上昇と降下。常人なら失神する速さだ。
ソレをなんの身体強化も無しに。
「もうっ!! しつこいな!! 」
アスィールは、そのエネルギーをドゥルガの盾で弾き飛ばした。
反動で、騎士は青果店へと突っ込む。
「このドアホ。また騒ぎ起こしとんかいな!! 」
あの騎士様には悪いが、コレも日頃の行いってやつだろう。
この後も、ノースランドの港町までの深い森を抜けるまで奴は私たちを追ってきた。
少年に起こされて、私は意識を現実に戻された。
床が柔らかい。
マットレスとは違う感覚。
人肌の温もり、そして肉感……
「貴方は? 」
「わらわはスカサア、この国の長だ。」
私はスカサアという名前を聞き、ハッと我に返ってから、彼女から起きあがろうとした。
だが、体がいうことを聞かない。
どうやら私が眠っていたのは、ここ二、三日では無かったようである。
「無理をしなくて良い。」
「あ、ありがとうございます。」
「礼なら、彼らに言うといい。」
私はアスィールとアスピを見た。
心なしか、少し大人になったような気がする。
いや、彼女たちは大人になったのであろう。
成長とは、毛や爪が伸びるのと似ている。
日々伸び続けているものではあるが、その変化を裸眼で追うのは難しい。
「ありがとう二人とも。手間をかけた。」
そしては私は脳に突っかかっていた一つの問題について、彼らに訊くことにした。
「僕たちが殺しました。」
彼らは口を揃えてそう答える。
幻術よし
どうやら、ここは現実だし、この子たちが、暗示を受けた形跡もない。
「どうやら夢を見ているわけでも見せられている訳でもないらしい。」
身体にだいぶ力が入るようになったので、貴婦人の身体から起き上がる。
「あっ、もう良いのか?」
「いつまでも貴方のお膝をお借りする訳にはいけません。」
「曲者め!! 」
「何事か!! ここは玉間であるぞ。」
気がつくと、執事らしき男が、兵士に奥襟を掴まれている。
「どうやら女王様に、この国の情勢はうまく伝えられたようだな。」
「よく喋るな!! 」
老人は勝ち誇った顔で、鼻を鳴らした。
「ワシはナーンも喋っとらん。貴様らとの約束はちゃんと守ったぞ。」
もう一人の兵士が、私たちに、一枚のスクロールを差し出した。
「勇者を名乗る卑き奴隷、アスィール。貴様を、逃亡罪及び、国家転覆罪で拘束させてもらう。」
「待て!! なんの権利があって、お前のような一兵卒にそのような権利が。」
後ろからゾロゾロと鈍色に光る鎧たちが姿を現す。
「勇者の加護が途切れた貴方に、何ができますかね。閣下、邪魔をされるというのなら、貴方も拘束します。」
「貴様っ。」
アスィールは困った顔をすると、手に取ったアペシュの兜を被り、立ち上がった。
「女王様、必ず三国の国王たちに働きかけ、この国を変えてみせます。」
「ぼくのやり方で。」
せめて、アスィールが逃げる時間を……
くっ身体が動かない。
---飛鷹---
刹那、視界が兵士たちの間を突っ切り、ガラス張りの壁をぶち破ると、城の上空へ。
重力の理にガッチリ掴まれると、身体が自由落下を始める。
「アスィール、お前!! 」
気がつくと私は、アスィールに担がれていて、アスピと共に城の外へと放り出されていた。
「人間は殺さない。そうだろアスピ。」
「だとしても、普通に犯罪だと思うけど。逃亡を幇助した罪で、私もお尋ね者ね。」
「奴隷が逃げたぞ。」
奴隷? アスィールが?
そういえば、王宮に集められたマスター・リーの継承者たちは、みな孤児だと。
「フォースには、聞かれたく無かったかな。」
「女王様のところに行く前に、備品の補充をしておいて良かった。」
「まぁ、最初からこうなることは分かっていたからさ。アスピ!! 魔導船まで走るよ。」
「言われなくとも!! 」
このままでは私の監督者としての威厳が……
「アスィール。私の武器はあるか? 」
「ごめんフォース。十字架みたいな銃は置いてきちゃった。アレ、重くてさぁ。」
代わりにナイフを受け取る。
やはりこの十字架のグリップは手に馴染む。
私は受け取るや否や、それを、店の看板へと投げつけた。
看板が、兵士の一人の後頭部に落ちてきて、怯む。
それに突っかかった兵士が次々とドミノ倒しに倒れていく。
「コラァーうちの自慢の標識、うわーなんじゃアンタら。」
アスィールが乾いた笑い声を上げる。
「器物損壊罪どころか殺人未遂だよ。」
「アレぐらいで死ぬのなら、国なんて守れないさ。心配するな。すぐにメイジが奴らを回復させるだろう。」
屋根を見た。
「何が来てるぞ。」
「知ってるよ。さっきから僕らと並走して、僕らの出方を伺っている。」
「気に食わないわね。いつでも捕まえられるってことかしら。」
私はアスィールに言われる前に、ナイフを黒フードの男へと投げつけた。
彼は、投げつけられた私のナイフをササっと避ける。
ナイフが黒を切り裂き、中から煌びやかな装飾武具が姿を現した。
「何? あの重装備は。」
おそらく30キロ近くもある重装備をつけなから、身体強化をしているアスィールたちと互角のスピードで走っている。
コイツは手練だろう。
「フハハハ。バレてしまったのならしょうがない。」
「私は王宮騎士騎士長…あっ、ちょっと待て。」
待てと言われて待つ方がお人好しだろう。
「待てって言っているだろ!! 」
私は騎士の垂直斬り下ろしを、教会のナイフでしっかり受け止める。
数週間、触れていなかったこの短剣にも、教会の加護がキッチリ宿っていることを確認できた。
「ほう、貴様は聖職者か。貴様のような高貴な人間が、なぜ犯罪の片棒を担ぐのか。知りたくなった。」
「こちとら知られたくないけどね。」
アスィールとアスピは高く跳躍すると、今度は自分たちが、街の屋根へと飛び乗った。
「おおっと。」
雪国は屋根の角度が急だ。
「落っこちても助けてあげないわよ。」
「そう言いながら、僕が捕まったら助けてくれるんだろ? 」
「なんか、ムカつく。」
「ハハハハ、最近の若者は活きが良いな。」
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「無茶言わないでよ。人を担いでいるんだから。」
そうだ。身体もだいぶ調子を戻してきた。
「おろせ。少年。」
「フォース。まだ動いちゃダメだよ。」
「もう走れる。」
アスィールから抜け出すと、両手に短剣を構えた。
「フハハハ。ブランクを感じさせない走りだ。流石、十二使徒のフォース様。」
素性が割れている。
まずい。
私たちは、王都の門前のアーケードへと駆け込んだ。
人混みをかき分けながら、婦人の買い物籠を吹き飛ばしたり、老人のカツラを走行風で攫っていく。
「ヘヤッ。」
騎士の横からの攻撃を右手の探検で上に受け流す。
衝撃で騎士が跳ね上がった。
「ナイス、フォース。」
「ありがとよ。俗物がよく見えるぜ。」
アーケードの屋根を勢い良く蹴り飛ばすと、急降下して、再び接近してくる。
急な上昇と降下。常人なら失神する速さだ。
ソレをなんの身体強化も無しに。
「もうっ!! しつこいな!! 」
アスィールは、そのエネルギーをドゥルガの盾で弾き飛ばした。
反動で、騎士は青果店へと突っ込む。
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