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5章

商業ギルド

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ご飯を済ませて待っているとブラン団長達が来てくれたので商業ギルドに向かう。
ベーネさんも一緒に商業ギルドに向かい、レシピの話をするらしい。

商業ギルドは日本の地方にある木造の小学校の様な見た目だった。
日本みたいで親近感がある。
フレディ副隊長が言うには敷地は広く、中も空間拡張されているらしい。


中に入ると登録だけなのになぜか応接室に案内された。
ブラン団長達が一緒だからだろうか?

ソファでブラン団長とグレンの間に座って待っていると、気の強そうなおばあちゃんと壮年の男性が部屋に来た。

「待たせたね。あんたが噂の子供かい?」
気の強そうなおばあちゃんが値踏みをする様にジロジロと見てくる。

「噂?」
なんの話か分からず首を傾げる。

「小さな少女がムレナバイパーサーペント倒したって噂さ。ブラン様が一緒ならあんただろう?」

「だったら?」
鑑定をかけられているのを感じて跳ね返すイメージで結界を張りながら答える。

「ふーん。人は見かけによらないとは良く言ったもんだね。あたしの鑑定で何も見えないとはね」
鑑定をかけた事を悪びれもせずに言う。

「登録しに来ただけなのに嫌味を言われるんですか?」
イラッとしたもののニッコリと返す。

「ハッハッハ!不躾ぶしつけで悪かったよ。すまないね。冒険者ギルドに登録している子が商業ギルドに登録しに来たって聞いて大丈夫なのかと思ったのさ」

「へぇー…」

「悪かったからそこの人。殺気を飛ばすのを止めとくれ」

よく見るとおばあちゃんはじっとりと汗をかき、おばあちゃんの隣りに座っている壮年の男性は顔面蒼白だった。

〈フンッ。われは殺気など飛ばしていない。ほんの少し威圧しただけだ〉
グレンが不愉快そうにおばあちゃんに言う。

いつの間にか威圧していたらしい。
しかもブラン団長達は平気そうだからおばあちゃんと壮年男性にだけピンポイントで。

「悪かったよ。あんた達なら大丈夫そうだ。王家から褒賞としてメダルももらうんだろう?下手な貴族や商人が相手にしても返り討ちにしそうで安心したよ」

私が子供だから心配してくれてたらしい。試したってところだろうか?

「さて、自己紹介が遅れたね。あたしがここ王都の商業ギルドの代表のサルースだよ。で、こいつがサブギルドマスターのゲハイトさ」
おばあちゃんが自己紹介をする。

「ゲハイトです。よろしくお願い申し上げます」
顔色が戻らないまま壮年男性が頭を下げる。

「セナです」

「で、なんでまた商業ギルドに登録しに来たんだい?」

サルースさんの質問にベーネさんが答えていく。
この説明のために来てくれたらしい。
面倒な説明を担当してくれてありがたい!

「なるほどね。そりゃあ確かに登録した方が良いだろうね。許可を得ているかどうかで本物かどうかが分かるからね。じゃあ早速登録しようかね。ゲハイト」

「はい。こちらの紙に記入をお願い致します」

ゲハイトさんが出してくれた紙に記入していく。

名前:セナ・エスリル・ルテーナ
年齢:5歳
種族:人間
形態:

(形態?事業形態って事?)

「形態って?」

「あぁ。説明してなかったね。個人、行商人、屋台、店舗、小型商会、中型商会、大型商会と分かれているんだよ。
この形態によってかかる税金が変わってくるんだ。
冒険者ギルドは納品の時に諸費用として冒険者から回収しているけど、商業ギルドは回収出来ないからね。年に1度税を納めてもらうのさ」

個人→知識を教えて報酬を得る人。
行商人→行商をする人。
屋台→屋台販売をする人。
店舗→個人の店舗を持つ人。
小型商会→個人の商会。
中型商会→いくつか支店のある商会。
大型商会→いくつも支店を持つ大規模な商会。

「あんたは冒険者だろ?個人か行商人だろうね。個人は知識のみ売るからアイテムや雑貨なんかは売れないんだ」

(なるほど。作ったポーションとか売るなら行商人になるのか)

さっきの紙に“行商人”と書いておばあちゃんに渡す。

「へぇー。行商人かい。何か他にも売るのかい?」

「旅するからポーションとか売るかもしれない。見ず知らずの人に無償で何か物をあげるつもりはないから、私が持っている物を売るってなると転売って事になるかなって。後で面倒な問題になるよりは先にそうしておこうと思って」

「なるほどねぇ。“安く仕入れて高く売る”商人の基本を理解していて、なおかつ先の事を考える事も出来ると。気に入った!」
パシッと膝を叩きながらサルースさんがニコニコになる。

何故か気に入られたらしい。

「そうだね。ちゃんと許可された店舗は商業ギルドが記録しておこう。宿の渡り鳥でキーウィのスムージーだね。他にもあるのかい?」

「…カリダの街のパン屋パネパネでドライフルーツパンとナッツパンとジャムパンだな」
ブラン団長がサルースさんに答える。

「えぇー!ドライフルーツパンとナッツパンまで?あれすぐマネ出来るよ?」

「…そうだな。既にマネする店が出て来ている」

(マジか…)

「甘いねぇ。なんでも1番ってのがミソなのさ。1番最初に披露した所は人気は落ちにくいんだよ。
お店の名前と商品名を記録しておけば問題になった時に、王家からメダルをもらったあんたの名前が出てくる。大抵の貴族や商人は諦めるだろうね」

「なるほど。元祖と抑制力か…」

「冒険者ギルドのカードを渡して貰えるかい?商業ギルドカードとしても使える様にしよう。
渡り鳥からのレシピ使用料はそのままカードに振り込まれるよ。
税金は、払いにくるのと引き落としとどっちが良いんだい?」

「忘れる自信があるから引き落としで!」
サルースさんにカードを渡しながら言う。

「ハッハッハ。既にこれだけ入ってたら残高不足にはならなさそうだね」

笑うサルースさんの隣りでゲハイトさんが冒険者ギルドの機械と似ている機械をいじる。

「お待たせ致しました。カードをお返し致します」
ゲハイトさんからカードを受け取る。

「これでそのカードは冒険者ギルドと商業ギルド兼用のカードになったよ。
ところで、ムレナバイパーサーペントはもう冒険者ギルドに売ったのかい?」

「まだです。でも売る約束はしました」

「そうかい…冒険者ギルドが買い取り出来なかったのをウチにも売ってくれないか?」

(あぁ…なるほど。心配してとか言ってたけどこれが目的か)

「元々全部売るつもりはないので、売る分のうちで冒険者ギルドが買い取れなかった分のみで良ければいいですよ」

「それで良いさ。今日商業ギルドに来てくれなかったら買い取りさえ出来なかったんだからね」

〈フンッ。白々しい。最初からこの話が目的だったくせに〉
グレンはサルースさんが気に入らないらしい。

「そりゃあ商人だからね。来てもらえて助かったよ。まぁ安心おし。商業ギルドは世界共通だ。この国の商業ギルドは全面的に協力する事を約束するよ」


冒険者ギルドに売った後で商業ギルドに来る事を約束して商業ギルドを出る。
ベーネさんに数日冒険者ギルドで解体する事を伝えてベーネさんと別れて冒険者ギルドに向かう。





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