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5章
タルトとスムージー
しおりを挟む宿に着き、ベーネさんにブラン団長がキッチンを借りる様にお願いをすると快諾してくれた。
なぜかキッチンの料理人さんに見守られながら作る事に。
大量のアーモンドを攪拌して粉々にしてタルト生地から作り始める。
昨日と同じ様にタルトとスムージーを作ってみんなに配る。
「んん!美味しいっ!」
またピョッコーンと耳を飛び出させながらパブロさんが目をキラキラと輝かせながら食べる。
「…美味いな」
「見た目が芸術的で華やかで綺麗ですね。酸味と甘みが絶妙でとても美味しいです」
ブラン団長とフレディ副隊長もお気に召したらしい。
3人で1ホール食べ切った。
「こ、こちらは…セナ様のアイディアでございますか?」
見守っていたベーネさんがおずおずと質問してくる。
「違うよー。私は真似してるだけ」
「この様な調理方法は見た事がありません。私共にも作っていただける事は可能でしょうか?」
「大丈夫だよ。ちょっと待ってね」
またタルトとスムージーを作り、今度はベーネさん達宿屋の人達に出してあげる。
「こっ、これは!なんて素晴らしいお味でしょう!ぜひ我が宿で出したいのですが、可能でしょうか?」
カスタードクリームとジャムも教えなきゃいけないな…
ドーグルさん達でもジャム難しいって言ってたけど、この人達は作れるんだろうか?
「…セナの料理は手間がかかっているから直ぐには無理だと思う。最後にタルトの方にかけていたのはジャムだろ?」
「そうだよ!良く分かったね!」
「…以前パン屋でセナが教えていたが、約1ヶ月経つがまだセナの様に美味く出来ないらしく、販売されていないからな」
(マジか!あれから行ってないから知らなかったけど、そんなに苦戦してるの?)
「そんなに難しいのですね…」
ベーネさんが肩を落とす。
「タルトは中のクリームも作らなきゃだけど…スムージーなら簡単だから直ぐに出来るんじゃないかな?」
「本当ですか!?ぜひ教えて頂けませんか!?」
初対面時の落ち着きはどこへやら。
興奮した様子で聞いてくる。
「良いよー」
「セナ様。ぜひ商業ギルドへの登録をお願いいたします」
ベーネさんが真面目な顔になる。
「商業ギルド?なんで?」
「セナ様のこのレシピは大変貴重にございます。悪用されないためにも登録をした方がよろしいかと。こちらのスムージーを我が宿にてメニューに加えさせて頂きましたら、売り上げの一部をセナ様にお支払い致します」
「えぇー!そんなの気にしなくて良いのに」
「セナ様。この様なレシピは本当に大変貴重なのでございます。従業員一同レシピを口外する事はありません。ぜひ商業ギルドへの登録をお願い致します」
ベーネさんが頭を下げるとベーネさんの後ろにいた料理人さんも頭を下げる。
「そんな大げさな…第一、ドーグルさんに教えた時そんな話にならなかったのに」
「…セナ。クラインが絶対口外せず教えてもらったレシピを守ると断言していたぞ」
「えぇ!?気にしなくて大丈夫なのに…」
「…これからの事を考えたら登録しておいた方が良いだろう。セナの料理は全部美味いから真似する所も出てきそうだ。許可した店を登録しておけば問題も起きにくい」
「登録しないとドーグルさん達が危ないって事?」
「…極端に言えばそうだな」
「分かった。登録する。ドーグルさん達が危険な目に会うのは嫌だもん」
「ありがとうございます!」
ベーネさんがお礼を言う。
「…登録は明日で良いだろう。冒険者ギルドへは俺達が伝えておこう」
「ありがとう!2、3日は冒険者ギルドに解体で泊まるから先に作り方教えるね」
私が言うと、料理人さん達はメモを用意して真剣な顔になる。
(簡単だからそんな真剣な顔されると申し訳なくなるわ。そもそも私のアイディアじゃないのに…)
作りながら説明していく。
作り終わると質問タイム。
質問に答えていく。
質問が終わるとこれなら出来そうだとホッとした様子で喜んでいる。
全部終わった頃には夜ご飯の時間。
冒険者ギルドに明日の事を伝えに行ってくれるブラン団長達とバイバイして部屋でご飯を食べる。
ブラン団長達は明日商業ギルドに案内してくれるらしい。
コテージでゆっくりお風呂に入って宿のベッドでおやすみなさい。
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