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第7話『君が今代の聖女か。アメリアの子だね。つまりは私の子だ』 3/3
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「こんな事ではない!! 君が奪われたのだ。陛下もすぐさま許可を出したし。国連議会も君の保護を特定依頼としてギルドに……」
「へぇ。世界国家連合議会か。未だに聖女を諦められないみたいだね。不愉快だな」
殿下の言葉に反応して、どこからか冷たい声がする。
その声は、それほど大きな声では無かったのに。何故かハッキリと耳に届いた。
そして、いつの間にか。私と殿下たちの間に、小柄な女性が立っているのだった。
「レーニか」
「瞬。緊急事態が起きたらすぐに呼べって言っておいただろう? 楓が教えてくれなければ、また議会の連中に奪われてしまう所だった」
「この程度」
「俺なら問題なく切り抜けられるって? 馬鹿を言うな。お前やそこの鎧は無事だろうが、聖女は女の子なんだ。か弱い。無茶をさせるな」
「……分かっている」
「なら、良いけどね」
その、まるで人形の様に整った顔立ちをしたたれ目の女性は、どこか気だるい雰囲気を見せていたが、私を見て、少し笑う。
不器用な人が誰かを笑わせようとする様に。
「君が今代の聖女か。アメリアの子だね。つまりは私の子だ」
「……? えと?」
「気にするな。レーニは少々頭がおかしいんだ」
「失礼だな。瞬。まぁ、良いか。ゆっくりと話をするのは後にしよう。まずはここから脱出する」
レーニさんはやはりと言うべきか。その種族特有の高い魔力で騎士さん達を吹き飛ばし、魔力を制限されている筈の王都で私とオーロさん。シュンさんを空中に浮かせる。
「瞬。間違っても抜くなよ」
「分かっている」
その言葉に私はハッとしながら、シュンさんの腰を見て、神刀が鞘に収められている事を確認し、例の魔力を弾くという特性は、その刃だけの特性なのだなと頷いた。
「ま、待て! 逃がすな!!」
「レーニ? レーニ・トゥーゼか!! いかん! ミラ! その女を信用してはいけない! そいつは幾人もの聖女を誘拐した危険人物だ!! ミラ!!」
私はお兄様の言葉にハッとなりながら、その特徴的な耳と青白い肌を持つ女性に目を向ける。
歴史書に何度か名前が出てきた人物。
近年になっては、その悪行によって名前が刻まれている人物だ。
『レーニ・トゥーゼ』
永遠の時を生きると言われるエルフという種族の存在でありながら、エルフではなく人類と共に生きてきたと言われる方である。
まさに歴史の生き証人という訳だ。
「さ、行くぞ」
「ミラ!!!」
そして私は、お兄様の叫び声を背に受けながら、オーロさんやシュンさんと共に空を飛んで、北の方へ向かうのだった。
「へぇ。世界国家連合議会か。未だに聖女を諦められないみたいだね。不愉快だな」
殿下の言葉に反応して、どこからか冷たい声がする。
その声は、それほど大きな声では無かったのに。何故かハッキリと耳に届いた。
そして、いつの間にか。私と殿下たちの間に、小柄な女性が立っているのだった。
「レーニか」
「瞬。緊急事態が起きたらすぐに呼べって言っておいただろう? 楓が教えてくれなければ、また議会の連中に奪われてしまう所だった」
「この程度」
「俺なら問題なく切り抜けられるって? 馬鹿を言うな。お前やそこの鎧は無事だろうが、聖女は女の子なんだ。か弱い。無茶をさせるな」
「……分かっている」
「なら、良いけどね」
その、まるで人形の様に整った顔立ちをしたたれ目の女性は、どこか気だるい雰囲気を見せていたが、私を見て、少し笑う。
不器用な人が誰かを笑わせようとする様に。
「君が今代の聖女か。アメリアの子だね。つまりは私の子だ」
「……? えと?」
「気にするな。レーニは少々頭がおかしいんだ」
「失礼だな。瞬。まぁ、良いか。ゆっくりと話をするのは後にしよう。まずはここから脱出する」
レーニさんはやはりと言うべきか。その種族特有の高い魔力で騎士さん達を吹き飛ばし、魔力を制限されている筈の王都で私とオーロさん。シュンさんを空中に浮かせる。
「瞬。間違っても抜くなよ」
「分かっている」
その言葉に私はハッとしながら、シュンさんの腰を見て、神刀が鞘に収められている事を確認し、例の魔力を弾くという特性は、その刃だけの特性なのだなと頷いた。
「ま、待て! 逃がすな!!」
「レーニ? レーニ・トゥーゼか!! いかん! ミラ! その女を信用してはいけない! そいつは幾人もの聖女を誘拐した危険人物だ!! ミラ!!」
私はお兄様の言葉にハッとなりながら、その特徴的な耳と青白い肌を持つ女性に目を向ける。
歴史書に何度か名前が出てきた人物。
近年になっては、その悪行によって名前が刻まれている人物だ。
『レーニ・トゥーゼ』
永遠の時を生きると言われるエルフという種族の存在でありながら、エルフではなく人類と共に生きてきたと言われる方である。
まさに歴史の生き証人という訳だ。
「さ、行くぞ」
「ミラ!!!」
そして私は、お兄様の叫び声を背に受けながら、オーロさんやシュンさんと共に空を飛んで、北の方へ向かうのだった。
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