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第二章 後編
第十九話
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戦いはまだまだ終わらない。
蔦は先程よりも早く激しくのたうち回り、風を切りながら打ち付ける。
私は前方から迫る蔦を、「風射」で移動してギリギリの距離を保ちつつ、「火球」より大きく、「大火球」より手頃な「中火球」で根元から刈り取った。
そこで右手側からもう一本が現れ、一瞬にして私の横を通過して行った。
「ぐっ…うっ」
脇腹にいつかのように焼き焦げるような痛みを覚え、思わず座り込む。
尖った先端に切り裂かれたようだ。もしかしたら内臓もやられているかもしれない。
少し弱気になったが、何とか立ち上がり、戻ってきた先程の蔦による追撃を「風射」の使用で軽く飛び上がって回避する。
そして「中火球」で根本を焼き切る。脅威は無くなった。今だ。
「風射」を応用して滑空し、花の真上に達した。
根に近い位置にある短い茎。その断面に降り立ち、両掌を乗せた。
茎が徐々に赤く発光し、遂には爆ぜるように高く燃え上がった。
炎はさらに、屋根の下に張り巡らされている部分へも伝染し、今度こそ文字通り敵を「根絶やし」にした。
私は屋根に座り込み、上着を脱ぎ、腹にきつく巻いて応急処置をした。
素肌に雨の冷たさが染み、私は思わずくしゃみをした。気付けば鼻水も出ている。
自己犠牲だけで済めば良かったのだが、私は結局失敗したのに気付いた。
…屋根の内側から煙が上がり始めた。
その後、私は腹の傷は数時間で完治したものの、重い風邪を患った。「太陽」は病気については治してくれないようだ。
結局三日間ほろ苦い薬を飲みながらもずっと寝続け、外に出向いての情報収集はその間お預けとなった。
だが、クオーテがやたらと見舞いに来て、色々と情報を渡してくれた。
火事は、たまたま雨の中外に放置してあったバケツや水瓶を使って鎮められたらしい。基本的に石造りなので大して燃えなかったという。
城を襲ったのは「巨人花」という植物系の魔物だった。巨大な種子の内部に大量の魔力と栄養を圧縮した状態で蓄え、十分な水分と日光さえあれば数時間で成体にまで生長出来るという、驚異的な特性で名が通っているという。
この事件は悪意を伴って人為的に引き起こされたものだと断定された。というのも、「巨人花」は大陸の南方の一部地域にしか自生していないのだ。
だが肝心の事件の犯人については特定できなかった。
街の住民は巨大な赤い鷹だとか、緑色の不思議な服を着た人間だとか色々言っているが、現在懸賞首として挙げられている者の中にも、他地域で目撃された奇妙な事柄の中にもそれらしいのはなく、真相は不明である。
「グレアさん」
クリロンでの六日目にして、風邪に罹って三日目の夕方、今日もやって来たクオーテがふと優しい笑顔で語りかけてきた。
「明日辺りに風邪は治るだろうってお医者さんは言っていますよね。もしそうなったら、僕と一緒に出掛けてみませんか? きっと失望させませんから。剣や魔法の訓練の後でも前でもいいですよ」
「一つ聞いてもいいですか。どうして、そんなに私に拘るのですか?」
「そりゃ、グレアさんのことは尊敬していますから。…ねえ、駄目でしょうか?」
悪い気はしない。それに、クオーテには利用価値があるはずだ。
「分かりました。そこまで熱心に言うなら」
「やった。ありがとうございます」
このようにして、翌日の城下町巡りの''連れ''ができた。
蔦は先程よりも早く激しくのたうち回り、風を切りながら打ち付ける。
私は前方から迫る蔦を、「風射」で移動してギリギリの距離を保ちつつ、「火球」より大きく、「大火球」より手頃な「中火球」で根元から刈り取った。
そこで右手側からもう一本が現れ、一瞬にして私の横を通過して行った。
「ぐっ…うっ」
脇腹にいつかのように焼き焦げるような痛みを覚え、思わず座り込む。
尖った先端に切り裂かれたようだ。もしかしたら内臓もやられているかもしれない。
少し弱気になったが、何とか立ち上がり、戻ってきた先程の蔦による追撃を「風射」の使用で軽く飛び上がって回避する。
そして「中火球」で根本を焼き切る。脅威は無くなった。今だ。
「風射」を応用して滑空し、花の真上に達した。
根に近い位置にある短い茎。その断面に降り立ち、両掌を乗せた。
茎が徐々に赤く発光し、遂には爆ぜるように高く燃え上がった。
炎はさらに、屋根の下に張り巡らされている部分へも伝染し、今度こそ文字通り敵を「根絶やし」にした。
私は屋根に座り込み、上着を脱ぎ、腹にきつく巻いて応急処置をした。
素肌に雨の冷たさが染み、私は思わずくしゃみをした。気付けば鼻水も出ている。
自己犠牲だけで済めば良かったのだが、私は結局失敗したのに気付いた。
…屋根の内側から煙が上がり始めた。
その後、私は腹の傷は数時間で完治したものの、重い風邪を患った。「太陽」は病気については治してくれないようだ。
結局三日間ほろ苦い薬を飲みながらもずっと寝続け、外に出向いての情報収集はその間お預けとなった。
だが、クオーテがやたらと見舞いに来て、色々と情報を渡してくれた。
火事は、たまたま雨の中外に放置してあったバケツや水瓶を使って鎮められたらしい。基本的に石造りなので大して燃えなかったという。
城を襲ったのは「巨人花」という植物系の魔物だった。巨大な種子の内部に大量の魔力と栄養を圧縮した状態で蓄え、十分な水分と日光さえあれば数時間で成体にまで生長出来るという、驚異的な特性で名が通っているという。
この事件は悪意を伴って人為的に引き起こされたものだと断定された。というのも、「巨人花」は大陸の南方の一部地域にしか自生していないのだ。
だが肝心の事件の犯人については特定できなかった。
街の住民は巨大な赤い鷹だとか、緑色の不思議な服を着た人間だとか色々言っているが、現在懸賞首として挙げられている者の中にも、他地域で目撃された奇妙な事柄の中にもそれらしいのはなく、真相は不明である。
「グレアさん」
クリロンでの六日目にして、風邪に罹って三日目の夕方、今日もやって来たクオーテがふと優しい笑顔で語りかけてきた。
「明日辺りに風邪は治るだろうってお医者さんは言っていますよね。もしそうなったら、僕と一緒に出掛けてみませんか? きっと失望させませんから。剣や魔法の訓練の後でも前でもいいですよ」
「一つ聞いてもいいですか。どうして、そんなに私に拘るのですか?」
「そりゃ、グレアさんのことは尊敬していますから。…ねえ、駄目でしょうか?」
悪い気はしない。それに、クオーテには利用価値があるはずだ。
「分かりました。そこまで熱心に言うなら」
「やった。ありがとうございます」
このようにして、翌日の城下町巡りの''連れ''ができた。
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