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第二章 後編
第一話
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腹を中心に上下に分離した敵の亡骸。
その近く、バセリアは穴だらけで血溜まりの中に臥していた。
ほのかな諦念とともに駆け寄ってみる。
近付いてみて初めて分かった。
バセリアの身体は「過剰な」程の魔力を帯びている。
自然治癒力を過活性化しようとしたのか、攻撃の威力を高める為なのかは分からないが、武術が誇る「技」の一つなのだろう。
真髄を観ただけに、彼女の死は呆気なく、もの寂しかった。
せめて遺体は回収しようと、体力の血液を出来る限り落としてから担ぐと、耳元にくすぐったさを感じた。
常人にとっては致命的な傷を幾つもその身に負った彼女は、なんと生きていたのだ。
その呼吸と鼓動は安定している。
急いでいると、ラーラに出会った。
彼女は何やら大量の書物を持ち出そうとしている。
「ラーラ様、急ぎますよ」
「どうしたのですか?」
「バセリアはまだ生きています」
「…分かりました」
私達は各々「収穫物」を背負ったまま走った。
「ごめんなさい。一人で馬に乗ってくれませんか?」
ラーラはバセリアを後ろに縛りながら私に言った。
以前、魔法練習の合間に馬術を、基礎に限っては教えてもらった。だが実戦経験の乏しさ故に山のてっぺんまでラーラ任せだった。
とはいえ、バセリアの回収を提案したのは私だ。
私が気張らぬ訳にはいかないのだ。
覚悟を決めて鐙を踏んだ。
バセリアは生還した。
私も世話になった、あの医師が処置を施してから暫くすると、彼女は意識を取り戻し、彼の説明に頷いていた。
一命は取り留めたものの、消化器系が破れてまともな食事は当分取れず、ましてや運動は控えた方がいい、と彼は診断した。
「結局、近接攻撃習得はお預けですね」
ラーラは自分の事であるかのように残念がった。
翌朝、自室の窓から馬に乗った一団の帰還を見た。
「あれはなんだったのでしょう?」
私は木陰で何気なく師に尋ねた。
「ああ…」
彼女は読んでいた本をぱたんと閉じ、
「私が捕らえる筈だった教団の教祖です。手足だけ落として後は任せていたんですよね」
ラーラはやはり「魔王」だった。
その近く、バセリアは穴だらけで血溜まりの中に臥していた。
ほのかな諦念とともに駆け寄ってみる。
近付いてみて初めて分かった。
バセリアの身体は「過剰な」程の魔力を帯びている。
自然治癒力を過活性化しようとしたのか、攻撃の威力を高める為なのかは分からないが、武術が誇る「技」の一つなのだろう。
真髄を観ただけに、彼女の死は呆気なく、もの寂しかった。
せめて遺体は回収しようと、体力の血液を出来る限り落としてから担ぐと、耳元にくすぐったさを感じた。
常人にとっては致命的な傷を幾つもその身に負った彼女は、なんと生きていたのだ。
その呼吸と鼓動は安定している。
急いでいると、ラーラに出会った。
彼女は何やら大量の書物を持ち出そうとしている。
「ラーラ様、急ぎますよ」
「どうしたのですか?」
「バセリアはまだ生きています」
「…分かりました」
私達は各々「収穫物」を背負ったまま走った。
「ごめんなさい。一人で馬に乗ってくれませんか?」
ラーラはバセリアを後ろに縛りながら私に言った。
以前、魔法練習の合間に馬術を、基礎に限っては教えてもらった。だが実戦経験の乏しさ故に山のてっぺんまでラーラ任せだった。
とはいえ、バセリアの回収を提案したのは私だ。
私が気張らぬ訳にはいかないのだ。
覚悟を決めて鐙を踏んだ。
バセリアは生還した。
私も世話になった、あの医師が処置を施してから暫くすると、彼女は意識を取り戻し、彼の説明に頷いていた。
一命は取り留めたものの、消化器系が破れてまともな食事は当分取れず、ましてや運動は控えた方がいい、と彼は診断した。
「結局、近接攻撃習得はお預けですね」
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翌朝、自室の窓から馬に乗った一団の帰還を見た。
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「ああ…」
彼女は読んでいた本をぱたんと閉じ、
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ラーラはやはり「魔王」だった。
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