魔王メーカー

壱元

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第二章 前編

最終話

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 あいつはまた例の魔法を使った。

再び天地がひっくり返り、私の身体は上に落下開始する。

「これで君の魔力も尽きるでしょ」

確かにそうだ。

向こうは傀儡師にでもなったつもりでほくそ笑んでいる。

この程度で己の勝利を確信している。

だが「現実」は本当にそんなに都合のいいものだろうか?

私は「光槍グシャルボーレアス」を敵の顔面に、というより網膜に照射した。

「うわ」

結界で威力は殺される。だが、烈光はそれ自体が脅威。

案の定、目を焼かれた敵は魔法を解除した。

着地し、素早く「火球パシア」二発を打ち当てると、結界は崩壊した。

だが三発目を放つと、敵は回避し、「火球」で反撃してきた。

私の方も辛うじて回避したが、向こうより不格好だろう。

相変わらず敵に視力はない。だが、その危機回避がまぐれでないことは、その巧みな体捌きから見て取れた。

「俺のお袋は『泰然流』の剣士だ。全盲だが、魔力を読んで全てが分かる。俺はその技を習っていたんだ。お前なんかのヘボい攻撃は当たらないぞ」

敵は再び「絹糸セーア」を放ってきた。

私はまた柱に隠れようとしたが、身体が壁の方に強く引き寄せられた。

自由落下で、どんどん速度が増していく。

これを止める手を画策したが、どれも結界と体力を無駄に消費するだろう。

私は敢えて身を委ねた。

衝撃を緩和し、全ての液体魔力が消費される。

これからは双方「裸」の乱打戦だ。

 再び重力が変化し、私は天井に向かって落下する。

同じ手は通用しない。敵もそれを理解し、狙いは他にある。

私が「風射フォリム」で落下速度を下げると、敵は案の定「絹糸」を使おうとした。

だから敵の頭上、天井に「穹砲スラーヴォルト」を放った。

私は飛行の要領で脅威から逃れ、敵は崩落を避けるのに徹した。

柱にしがみつきながら、手と、天井の中に魔力を溜める。

「隠れたつもり? お前の居場所は分かるぞ」

足音が近づく。

だが、私が魔法を使うとそれも止まった。

天井に生えた、立派な氷の棘たち。

瓦礫は落ちず、相手は余裕げに鼻を鳴らした。

「ふん、失敗だったな」

「いや、これでいいんだよ」

私は手にした「光槍」を、天井の「凍棘レーセシャンガ」に投擲した。

視覚によってしか捉えられないツヤツヤとした質感を持つ氷肌は光線を複雑に反射し、裁きの光のように生身の人間に降り注ぐ。

怠慢と視力の喪失に依る予測失敗。

「見ていたのは、悪神か…」

炎上する人体から、そんな声が聴こえた気がした。

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