7 / 153
第一章
第六話
しおりを挟む
あの日以来、アルクとは顔を見かける度に一緒に話すようになった。
とは言っても、私はほとんどの場合は家に閉じこもっていたので、彼の方から訪ねてくることが多かった。
「一緒に遊ぼうぜ」
「うん」
恐る恐るドアの縁から、明るい昼の日光の下に出ようとする私の手を取って、引っ張った。
「わっ」
「へへっ」
笑い合い、走り出し、畑の横を駆け抜け、いつもの芝の上に二人寝転がった。
私は息を切らしていたが、彼は平気そうだった。
「アルク、やっぱり、改めて考えると、体力、すごいね」
私は息を詰まらせながらも、何とか彼にそう称賛の言葉を送った。
「おう。いつも『みんな』と遊んでるからな!」
そう言うと、空気を吸うのに必死で何も言えない私をよそに、何か考えているようだった。
「そうだ!」
と彼は上体を起こし、こちらを向いた。
「お前も『みんな』と遊ぼうぜ!」
「ふえ…!?」
私も思わず上半身を起こしてしまった。
無理もない。アルクは「例外」なのだ。
「い、一応訊くけど、そのみんなっていうのは?」
「俺がいつも一緒に遊んでる奴らだよ。アレスとか、パポとか、グリオスとか。ああ、あのお前が狼をぶっ飛ばした時に一緒に居た奴らだ」
ああ、やっぱりそうか。
あの中の何人かには今まで色々な形で激しい感情をぶつけられた。
あの事件以降、何かあった訳ではないが、まだ嫌われているだろうか?
「大丈夫だ」
アルクが力強く断言した。
「俺がみんなに紹介する。きっとあいつらも、お前が本当は『悪魔』じゃなくて、良いヤツだってこと、わかってくれるよ」
「だといいけれど」
もしその「みんな」と簡単に仲良く出来ていれば、今までこんなに悩んできていない。
「信じていい?」
「おう!」
こういうわけで、翌日、私はアルクに連れられて彼の友達の元に行くことになった。
とは言っても、私はほとんどの場合は家に閉じこもっていたので、彼の方から訪ねてくることが多かった。
「一緒に遊ぼうぜ」
「うん」
恐る恐るドアの縁から、明るい昼の日光の下に出ようとする私の手を取って、引っ張った。
「わっ」
「へへっ」
笑い合い、走り出し、畑の横を駆け抜け、いつもの芝の上に二人寝転がった。
私は息を切らしていたが、彼は平気そうだった。
「アルク、やっぱり、改めて考えると、体力、すごいね」
私は息を詰まらせながらも、何とか彼にそう称賛の言葉を送った。
「おう。いつも『みんな』と遊んでるからな!」
そう言うと、空気を吸うのに必死で何も言えない私をよそに、何か考えているようだった。
「そうだ!」
と彼は上体を起こし、こちらを向いた。
「お前も『みんな』と遊ぼうぜ!」
「ふえ…!?」
私も思わず上半身を起こしてしまった。
無理もない。アルクは「例外」なのだ。
「い、一応訊くけど、そのみんなっていうのは?」
「俺がいつも一緒に遊んでる奴らだよ。アレスとか、パポとか、グリオスとか。ああ、あのお前が狼をぶっ飛ばした時に一緒に居た奴らだ」
ああ、やっぱりそうか。
あの中の何人かには今まで色々な形で激しい感情をぶつけられた。
あの事件以降、何かあった訳ではないが、まだ嫌われているだろうか?
「大丈夫だ」
アルクが力強く断言した。
「俺がみんなに紹介する。きっとあいつらも、お前が本当は『悪魔』じゃなくて、良いヤツだってこと、わかってくれるよ」
「だといいけれど」
もしその「みんな」と簡単に仲良く出来ていれば、今までこんなに悩んできていない。
「信じていい?」
「おう!」
こういうわけで、翌日、私はアルクに連れられて彼の友達の元に行くことになった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる