魔王メーカー

壱元

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プロローグ

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 薄暗い部屋の中、僅かに浮遊する巨大な水晶玉を挟んで、「灰色の影」と「黒色の影」とが、向き合って座っていた。

周辺のモノトーンを嘲笑するように、玉の中には無限の彩りがあった。

だが、それらは単なる色そのものではなかった。

薄い障壁を隔てて存在する球体の表面を覆っていたのは、正真正銘の、野や海や、山、谷、雲。そして夥しい数の正真正銘の生命であった。

「やられたぜ」

「灰色」が空気中に留まっているサイコロたちを手に取り、笑う。

「今回は俺の完全勝利だな。やっぱりお前には『こっち側』は向いてねえよ」

「黒色」が得意げに言う。

それに対し、「灰色」は手の中のダイスたちを震わせてカチャカチャ鳴らしつつ、

「でも悔しいな。もう一回だけやらねえか? 次は俺は得意分野で行くから、もしお前が勝てたら完全にお前の勝ちってことにしよう。どうだ?」

と提案した。

「黒色」は笑顔で頷き、

「いいぜ。一回だけな」

と答えた。

彼らは椅子に深く座り直した。

「今回は『継続』で行くか? 『リセット』か?」

「黒色」が質問する。

相手は一瞬思考した後、応答した。

「いや、『継続』でやろう」

「オーケー。じゃあやるぜ」

球体の中に、黄金の点がちょうど二つ落ちた。

一つは小さな山の中。

もう一つは、世界最大の城下町の中心部へと。









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