メサイアの灯火

ハイパーキャノン

文字の大きさ
上 下
129 / 405
ガリア帝国編

第三部プロローグ

しおりを挟む
 読者の皆様方こんにちは、ハイパーキャノンと申します。

 いつもいつも小説を読んで下さりまして誠に有り難う御座います(大変感謝しております)、さて本日は突然ですがこの場をお借り致しまして皆様方にお聞きしてみたい事柄が御座います(どうか最後までお付き合い下さいませ)。

 今日はちょっと難しい話は抜きにしまして思い切って皆様方の心や精神に、直に訴え掛けたいと思いますが、あなた方に“愛の生贄となれ”と申し上げた時に一体、どれ位の数の方々が“解りました”と言って頭を垂れて下さるでしょうか(それを受け入れて下さるでしょうか)。

 あまり良い例えでは無いのですが(と言うよりも自分でもこんな事はあまり書きたくは無いのですが)皆様方は第二次世界大戦の終盤において、日本がアメリカから、それも二発も原爆を投下された事を御存知でしょう?

 実はあの時、アメリカの国家予算は底を突きかけており、何としてでも早期に日本を降伏させる必要があったそうですが(勿論、それ以外でも戦後の国際情勢を睨んでだったり、はたまた日本を新兵器の実験台にした、と言う側面もあったのでしょうけれど)、ハッキリと申し上げて私は核兵器なんて大嫌いです、早く無くなれば良いと思っております(あんなモノを使用するのはまさに悪魔の為せる業以外の何ものでもない、と思っておりますから)、皆様方も勿論、そうでしょうけれどもしかし、“それ”をされた側の日本はアメリカの行為をあえて許したのです。

 かつてアメリカにある学校が実際に広島で被爆した方にインタビューを実施した事が御座いましてその折、アメリカ人の女子学生が“アメリカに謝罪や保証を求めるか?”と聞いたのに対して被爆者の方は首を横に振り、“我々が望んでいるのはただ一つ、二度とこんな事を起こさないで欲しいと言う事だけだ”と仰られていました。

 今一度申し上げます、原爆や水爆等の核兵器の使用等は言語道断であり、それらのもたらす惨状や苦しみ、悲しみは筆舌に尽くしがたいモノがあります(皆様方は生きたまま数千度の炎で焼かれる苦しみや痛みを想像できますか?)、またこれがもし、韓国人やアメリカ人なら彼等は絶対に許さないのだそうです(いつまで経ってもやられた事を忘れられないのだそうです←そしていつか必ず報復するのです、復讐するのです)。

 それを(曲がり形にも)許して忘れて乗り越えられたのは、世界中でも日本人だけなのだそうです、(こんな事を言うと外国の方に怒られそうですが)そう言う意味では日本人だけが“真なる平和”を体現できる資質を持っているのだそうです(“日本人は愛の生贄たれ”とある物理学者の方は仰られておりました)。

 私は決してクリスチャンではありませんが(と言うよりも宗教はちょっと怖いのです、ある意味で人を狂わせる特効薬のようなモノですから)、かのイエス・キリストも仰られております、“汝の敵を愛せよ”、“右の頬をぶたれたら左の頬を差し出せ”と(それってつまり、“愛の生贄となれ”って言う事じゃないですか)。

 残念ながら私にはまだ、それだけの覚悟はありませんが、しかしこの話を聞いた時に私はこの第三部以降の話を思い付きました(愛する人が野心を持ってしまった時に、果たしてその人にどう相対するか、と言う事についてもです)。

 そう言う人と決別するのは得てして簡単です、そして戦うのもいと容易い事でしょう、ですけどね。

 それまで共に過ごして来た時間や重ねて来たエピソード、育んできた愛情はどうなってしまうのでしょうか、アッサリと雨散雲消してしまうのでしょうか(結局最後は力に頼ってしまうのでしょうか、相手を殺し、殺される、そう言う関係になってしまうのでしょうか?)。

 そして全てを忘れてお互いを倒すために全力を尽くす事になってしまうのでしょうか?

 いいえ、そうではない筈です、それはおかしいと思いました(そこに救いは無いと思ったんです)。

 ずっと後のお話で出て参りますが、だからこそ私は蒼太君に、“あの質問”をさせた挙げ句にメリアリアちゃんへと向けて彼の思いを告げさせました(些か手前味噌ながら決して間違いではない、と思っております)、そしてそんな夫からの、真摯で熱烈な気持ちを聞いた瞬間にメリアリアちゃんも気が付いたのです←それで彼に対する自らの愛情をより一層、深めると同時に改めて覚悟を決めたのです(自分の全てをさらけ出してでも、体と心と命を捧げてもこの人を受け止めるんだ、野心を忘れさせるんだ、と)。

 それが書きたかったのです(私の知っている蒼太君とメリアリアちゃんならば、きっと互いにそう誓い合ったと思うんです)、もしよろしければ皆様方も何度でも読み直してみて下さいね?

 ちなみに皆様方は如何ですか?“愛の生贄”となる勇気はおありですか?

 だけどそこまでの覚悟が無ければ“性善説”は唱えられません(自分の感情や都合によって人を許す、許さないと言うのでは、最終的には理屈が通らなくなるからです)。

 もっともそれをやるのは、簡単なようで実は物凄く難しい事なのです←私もまだまだ迷いまくっている人間であり、またもう一つ、言わせていただけるならば自分は口ほどの者ではありません。

 それに私だって完璧ではありませんから時には間違える事だってあります(要するに皆様方と同じく一小市民の、それも未熟者に過ぎません)、その時はどうか許して下さい、お願いします皆様方(にも関わらず偉そうにこんな事を言ってしまい、本当に申し訳御座いません)。
 
              敬具。

        ハイパーキャノン。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

思い付き短編集

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:121

【短編集】あなたの身代わりに

恋愛 / 完結 24h.ポイント:475pt お気に入り:579

職も家も失った元神童は、かつてのライバルに拾われる

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:34

いっぱいの豚汁

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

限界集落で暮らす専業主婦のお仕事は『今も』あやかし退治なのです

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:1

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:795pt お気に入り:6,425

処理中です...