星降る国の恋と愛

モノポールエンジン

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ガリア帝国編

アンチ・クライスト・オーダーズ

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 皆様方、大変長らくお待たせ致しました、コイツらがドラクエVで言うところの“ゲマ”、“ジャミ”、“ゴンズ”に当たる存在ですが、ただし。

 どう考えてもゲマ(デュマ)はまぁ、ともかくと致しましても、今の蒼太君達(即ちリュカやビアンカ)の実力と、ガイヤールとデアーグ(ジャミとゴンズ)のそれらとを比較した場合、正直な話としてことここに至ってしまうとどうやっても彼等じゃ歯が立たないんですよね(もっとハッキリと言ってしまえば、この二匹相手に手こずった経験が本気で無いです)。

 特にゲームの世界で例えるのでしたならば、この時点での蒼太君と言うのは既に石化が解けて“ドラゴンの杖”にすら認められ、“光の教団”を撃破した後の“彼”です、魔界のモンスターでさえその邪気を打ち払って清め、仲間にする事が出来るくらいの光、実力を誇っている彼に対してあの二匹では現実的に、レベルも装備も違い過ぎると思いますし・・・。
ーーーーーーーーーーーーーー
 エウロペ連邦国家群の一つ、永世中立国“チューリッヒ”、その首都であり“人、“金”、“物流”の一大集約拠点、“ベルン”ー。

 その中枢部の一角、“チューリッヒ国立図書館”の地下深くに、“それ”はあった、“世界征服”と“天意抹殺”とを何よりの悲願として掲げる秘儀秘承呪術師組織“ハウシェプスト協会”。

 その最高意思決定機関である“アンチ・クライスト救世主的・オーダーズ指令団”の中枢部、通称“祭祀本部”である。

「“噛ませ犬”どもがやられたそうだな・・・?」

「ハッ、メイヨール・・・」

「誠に恐れ多き事ながら・・・」

「“予言”の通りになりましたね・・・」

 地底に設えられていた暗渠、その闇の中で蠢く幾つかの“影”から言葉が漏れるがその内の一つは初老であり、二つは男性、一つは女性のそれだった。

 彼等はフードを被っていた、そのフードは皆、暗闇よりも漆黒であり、それが彼等の姿を光の差さないこの空間へと溶け込ませていたのである。

 その全身の佇まいや体型などはだから全く分からず辛うじて、僅かに露出している顔からは各々の輪郭と鼻筋、そして“眼光”のみが伺い知れるのみであったがその瞳は皆一様にオレンジ色にランランと不気味に輝いており、血色は悪くてまるで死人か何かのようであったが、しかし。

 その全身からは、不思議な生命力が漲っていてだからさながらにしてその風体は“生ける屍”、所謂(いわゆる)一つの“ゾンビ”のような雰囲気、風体を醸し出していたのである。

「エカテリーナ。お前、他人事に過ぎるぞ?お前が“万に一つの失敗もない”と言ったから、メイヨールは任されたのだ。それを・・・」

「だけどガイヤール。メイヨールはこうも仰っていたはず。“お前の企ては破砕する”と・・・」

 エカテリーナと呼ばれた女性が男性の一人にそう答えると、言われた方は“むうぅ・・・”と呻いて押し黙ってしまっていた。

「大体、最終的にはあんたらだって賛同したじゃん。“それなら確かに問題はなかろう”って言ってね、それを今更、私一人のせいにするつもり!?冗談じゃ無いわ!!」

 “自分達だって知ってて行かせたんだろうが”と“エカテリーナ”が鼻息を上げると“ガイヤール”と呼ばれた男は流石に忌々しい眼差しを彼女へと向ける。

「なにさ、その面倒臭い目は!!」

「・・・貴様、口の利き方に気を付けろ!!この場で食い殺してやっても良いんだぞ?」

「返り討ちにしてやるよ、“無様な負け犬のガイヤール・デュポン”!!」

「お前達なぁ・・・」

 するとそれを黙って聞いていた、もう一つの“影の男”が溜息交じりに口を開いた“いい加減にしろよ”とそう告げて。

「メイヨールの、御前(おんまえ)なんだぞ!?口を慎め!!」

「なんだと!?」

「偉そうに!!」

 と、それを聞いたガイヤールとエカテリーナが揃って“ソイツ”の方を向くモノの、その視線は怒りと嫉妬に燃えており先程よりも赤々と、不気味に光り輝いていた。

「やかましいっ。いいとこ取りしやがって!!」

「“愚図のデアーグ”の分際で、偉そうに指図するな!!」

「なんだとっ!!」

 すると今度はそれを聞き咎めた“デアーグ”が激昂し、三者は互いに三竦みのまま睨み合いを演じるモノの、そこへー。

「止さないか」

 メイヨールと呼ばれた男から静かにして重々しい、静止の言葉が響いて来るモノのしかし、それには有無を言わさぬ迫力があり、尚かつ三人に思い知らせるには充分な程の凶兆を含んでいた、即ち、もしこれに逆らったならば、単に“死ぬ”だけでは済まされない、“地獄を見る事になる”と言うそれである。

「あ、あ・・・っ!!」

「うう・・・っ!!」

「くうぅぅ・・・っ!!」

 三人は明らかに怯えていた、そしてー。

 それは“メイヨール”にも伝わった、それで彼もまた満足したのである、“これで静けさ”は保たれる、とー。

 ただー。

「ガイヤール、デアーグ、エカテリーナ。お前達は相性が悪すぎるな、お互いのする事に一々反応していたならば、気が触れてしまうであろうに・・・!!」

「・・・・・っ!!」

「・・・・・」

(確かにね・・・)

 と三人はその時はそう思うモノの所詮は一時の事であり、腹の内ではお互いに罵り合い、憎しみ合ってもいた彼等はだから、何か切っ掛けがあればまた、抗争状態に陥る事は想像に難くない事象であった。

 しかしー。

(それを否定はせぬ)

 それがメイヨールと呼ばれている存在の基本方針であり揺るがない指針であった、相手に対する憎しみと闘争本能こそは彼等の生き抜く術であり、傾けうる熱情の、全てであった、と言ってよい。

「しかしメイヨール。次は誰を差し向けましょうか?」

「放置をすれば些かに、面倒な事になりますまいか・・・!!」

「なにさ、そんなの」

 “レウルーラに任せておけばいいよ”とエカテリーナがまたもや言い返した。

「あの子達はまだ、全力を出し切ってはいないわ。聞くところによると“それ”と認めた相手には全力以上の極限状態、“極超新星(ハイパーノヴァ)”と化して戦いを挑む場合があるのだとか。先ずはそれをじっくりと拝ませてもらわないとね」

「ほうぅ・・・?」

 とその言葉を聞き付けたメイヨールが初めて面白そうな顔をする。

「“ハイパーノヴァ”とはまた大層な名称ではあるが・・・。さてさて如何ほどのモノか・・・」

「ご期待に添えるかと、メイヨール・・・」

「ならば良いがな・・・」

 そう言ってメイヨールはまた目を瞑っては何やら意識を集中させるが、やがて瞳を開くとゆっくりと難しそうな面持ちとなる。

「それでもやはり、厳しいやも知れんなぁ・・・」

「・・・・・っ。まさか!?」

「ふっ、ふはははははっ!!!」

「どうした、どうしたっ。エカテリーナ!!」

 それを聞いて狼狽する彼女をガイヤールとデアーグが嘲笑するモノの、二人にしてみれば先程の自分達に対する反駁の意趣返しであると同時に“あの威勢は何だったのか”と言う事の、一種の侮蔑も込められていたのだ。

「口ほども無いな、エカテリーナ!!所詮は単なる敗残兵なんだよ、貴様は!!」

「俺達の後ろに隠れて大人しくしてな!!」

「ちいぃぃ・・・っ!!」

 そんな二人を半ば本気の殺意を込めた眼差しで見やるとエカテリーナはそれでも何も言えなくなってしまい、ただただほぞをかんだ。

「ガイヤール、デアーグ。この件は取り敢えずエカテリーナに任せておけ。それはそれとしてお前達にも任せておいた役割があるはずだが・・・?」

「は、はっ!!」

「承知しております、メイヨール・・・!!」

 と、その言葉に二人はすかさず頭を下げるがそうだった、彼等とて決して、他人様に対してマウントを取っている場合ではない、各々やらなくてはならない事があったのである。

「“キング・カイザーリン”も“その日”が来るのを今か今かと待ち望んでおられる・・・!!三者共々抜かるで無いぞ!?」

「ははっ。メイヨール!!」

「万事、手抜かり無く・・・!!」

「我々に全て、お任せを、デュマ様!!」

 そう言って再び恭しく頭を下げる3名を見て、メイヨールは静かにその目を閉じて何事かを思案し始めるモノの彼の名前は“アレクセイ・デュマ”、人呼んで“メイヨール・デュマ長老のデュマ”。

 この“ハウシェプスト協会”における特別一式最高司祭、通称“密儀”と呼ばれる役職に、就いている存在であるモノの、彼等は基本、たった一つのある目標の為に活動していた、何かと言えばそれは至って簡単な事である、即ちー。

 “人間の恐竜化”それであったが元々、この地球には様々な生命、存在、意識体が共存して暮らしていた、それは例えば地球由来の動植物や人類であり、或いは他の天体からやって来た、もしくは“持ち込まれて来た”それらであり、そしてそんな先史文明的な人類が神々との協力の元に生み出した新人類であったりと、実に多種多様な“生命の揺り籠”としての役割を任されていたのであるモノの、そんなある時ー。

 この地球上にある種族が生み出された、それが超大型爬虫類、後に“恐竜”と呼ばれる種族であった。

 彼等は当時温暖だった地球の気温に適応する形でドンドン巨大化していった、当初は数メートルしかなかったその体長が10メートルを遥かに超えて伸長して行き、更に体重も10トン近くに達するなどその強大化に歯止めが掛かる事は無かったのである。

 肉体が巨大化した彼等は確かに、この地球上においての“覇者”の地位を確立していったモノの、それは同時にある問題をもたらした、所謂(いわゆる)一つの“食糧事情”であると同時に“排泄物”の問題である。

 食べる量が凄まじい彼等はだから、出るモノもまた多量でありその“エネルギー消費量”および“汚染率”は歴代のどんな生物たちのそれよりも、飛び抜けて圧倒的であり、その結果彼等は“意識的にせよ”、“無意識的にせよ”、地球の自然環境や生態系と言ったモノに、バカにならないほどの負荷を掛け続けていったのである。

 だがこの時点ではまだ地球は持ち堪えられていたし、また神々や他の人類達も“困った奴らだ”程度の認識でしかなかったのであるがその内、特に“人類側”からある動きが起き始めた。

 恐竜に“遺伝子操作”を加えて肉体改造を施させ、人間と同じくらいの体格、体型に改変させた“恐竜人間(レプティリアン)”を生み出そうとしたのである。

 これに対して流石に神々は“待った”を掛けた、“止めるように”と、“いつか必ずとんでもない事になるから”と、しかし。

 人類達にはどうしても、それを強行しなければならない理由があったのであるが、それは所謂(いわゆる)一つの“労働力問題”だったのであり、もっと言ってしまえば恐竜等の大型生物達が跋扈する外の世界での建築、農業、防衛等を担当する事の出来る程の“危険な力仕事請負人”が欲しいと思っていた故であった。

 それに白羽の矢が当たったのが当の恐竜達だったのであり、元々が強靱且つ強大な肉体を有していた彼等は知能においてもある程度以上のモノを誇っていたのであって、それ故に後は自分達の姿形に似るように、また心理思考をなぞれるように遺伝子配列を組み替えれてやれば万事は解決する、その筈であったのだが。

 果たして現実は彼等の願った通りには、決して働かなかったのであり、それどころか神々の危惧された通りになった、元々がただただただただ本能の赴くままに生きていた生物だった“恐竜人間(レプティリアン)”達は直ぐさま、与えられる仕事に対して不平不満ばかり言っては働くことをしなくなり、そればかりか人間並みの高い知性と感性を得てしまった事で、元の恐竜の時よりも遥かに発達した自我を持ってしまった彼等はますます快楽を求めて退廃的な生活を送るようになっていってしまったのだ。

 終いには生み出した親である筈の、人間達の度重なる譲歩、説得にも耳をかたむける事をせずに、その態度は次第に横柄かつぞんざいなモノへと変化していってしまったのであるモノの、その理由は至って簡単明快、至極当然の事であった。

 と言うのはそもそも論として“理性”や“恥”と言った概念自体が非常に希薄であった彼等はその上、更に言うのであればそれらを十全に発揮する為に必要となる“霊格”、“霊性さ”と言ったモノが全くと言って伴っておらずにそれ故、計画段階において人間達が予想していた通りの“愛に基づいた生活”、“人間らしい生き方”の、それも“最低限度はこれくらいやってくれるだろう”等というモノすらも、からっきし見る事が出来なかったのであるモノの、ちなみにこの霊格や霊性さとは何の事を言うのかと言えばそれは、“真実なる己の中”、即ち魂自身でどれ程までに“愛”を理解して感じ取り、それと一体化しているのか、また或いは“真理の光”とでも言うべきをモノを自分自身のモノとして取り込む事ができているのか、と言った事柄に由来するのであり、要するに“宇宙の大元たる根源”である“始まりの大神”に対する“魂的完成度”と言ったモノが、人間達のそれよりも圧倒的なまでに劣ってしまっていた恐竜人間(レプティリアン)達はそれ故に、ただひたすらに欲望のままに喰らい、眠り、セックスしては力尽きて死ぬ、と言った生活を何の疑問も抱くこと無く、延々と繰り返し続けていたのだった。

 それどころか。

 “道徳心”や“真実なる自分自身に対する思い”、“自分自身を省みる自意識”と言ったモノが薄かった彼等はどんなに些細な事であっても平気で仲間内で相手を罵り合っては死傷事件を度々起こし、挙げ句の果てにはその異常なまでに歪んでしまった性欲、性癖の赴くままに他の生物達との結合すらをも平然と繰り返しては、“存在の倫理”を無視した“嵌合体”とでも言うべき輩を次々と排出する事までさせ始めて来たのであり、事ここに至って人間達は漸くにして悟ったのであった、自分達がとんでもないモノを生み出してしまったのだと言うことを、神々の言われた事は正しかったのだ、と言うことを。

 しかしー。

 時は既に遅し、もはや生態系を破壊され尽くしてしまった地球は生命の楽園からカオスの星へと移り変わって行こうとしていた、その矢先の出来事だった、“やはりこれは捨ててはおけぬ”と判断された神々は、最終的な手段として宇宙の更なる深淵に住まう神々に願い出て、一度地球そのものを完全浄化する事にしたのだ、即ちー。

 “大禊ぎ”と呼ばれる、不要不純な歪みの大元となっている存在を完全に除去し尽くして、地球を元の“自然の揺り籠”に戻すための、大手術を行う事とされたのである、そしてその為にー。

 先ずは地球上に残ってい人類達に説明を施して協力を要請し、彼等と共同で自然の摂理に則って生み出されてきた生き物達の中から必要最低限度の個体を選別しては宇宙船で方々の植民惑星やスペースコロニーへと運び込み、その生命と種族とを保護させる運びとなった、そしてその直後にー。

 直径10キロを超える程の、“超大型隕石”が生成、放出されては地球に落着して行ったのだがその結果、地球上の全生命の、実に80%が死滅してリセットされ、レプティリアン達も、その彼等が生み出してしまっていった、おぞましい“嵌合体”ごと抹殺され尽くした筈だったのである。

 所が。

 確かに肉体は滅び去ったが彼等の“魂”は残ってしまった、恐竜の時よりも遥かに発達した自我を持ってしまった彼等はそれ故に、“感情”と言ったモノを取得しており、そしてだからこそ、自分達を生み出した存在を、そして自分達を抹殺した神々を悉くに恨んだ、“自分達の都合で生み出した癖に、都合が悪くなると殺すのか!?”と、“俺達を見捨てやがったんだな!!”と。

「お前達は人の話に耳をかたむける、と言った事を一切しなかったではないか」

 後で彼等に神々は言われたのである、“お前達自身の意識と行いとが、お前達を滅ぼしたのだよ”と。

「お前達はいつも自分が享楽を得ることのみを考えて、他者を思いやる心を持たない。いつも誰かを、そして何かを踏み躙っては自分自身を省みる、と言う事もなにもしなかったではないか。その所業、存在共に極悪非道、残虐無比であり、およそ霊性さの欠片も無い。ハッキリと言って醜悪そのものだ」

(絶対に許さない!!)

 自省の心を持つことをしないどころか、話に耳も貸そうとはしなかった自分達の事は棚に上げて、彼等は人間を、神々を恨みに恨んだモノの、そこにはもう一つの感情である“無念さ”も加わっていたのだ。

 即ち。

 “もう美味いものも食えない”、“心地好い眠りも得られない”、“したくなってもセックスも出来ない”、“ちくしょう”、“まだまだしたりねぇ”、“やりてぇやりてぇっ。やりてえよおおおぉぉぉぉぉーーーっっっ!!!!!!!”

 それであったがそんな生前の感覚である“生理的欲求”に基づく報われない悦楽への渇望は、彼等の憎悪をより深いモノにした、死してなお欲望に対する執着を増幅させ続けて来た彼等はしかし、その後にとんでもない光景を目の当たりにする事になるモノの、それこそが神々と人間達とが新たに生み出した種族、“地球人類”の誕生であったのだ。

 それは恐竜人類(レプティリアン)達が滅び去ってから実に5700万年後に行われたモノであり、しかもその間、一度たりとも人類が地球に来なかった訳では決して無かった、それどころか“大量絶滅”から3700万年後には既に、再生のなった地球を訪れており、そこで生まれ変わった地球の姿を探る為にも入植がてらに波動や生態系の調査等もキチンと行われていたモノの、そこにはもはや、かつての覇者“恐竜”の姿は無くなっており、生物達は全く違った姿、形、サイズとなって再びの、それぞれの生存競争を生き抜くための“平穏にして懸命なる毎日”を送り続けていたのである。

「これで全てはリセットされた」

「もう安心だ!!」

 人々は口々に宇宙と神々への感謝を叫び、再び1からやり直そうと決意する。

 その為にはまた、コミュニティから作り始めなくてはならずに些か頭を悩ませるモノの兎にも角にも彼等は取りかかり始めた。

 この時人々は夢中になって文明を築き上げて行った、彼等にはもう、生命を作り出したいと言う願望は毛ほども無くて、またその必要も無かった、地球は以前よりもずっと住みやすい星となっており、各々が与えられた役割を、精一杯に熟して行くだけで充分に日々の糧を得ることが出来るようになっていたのである。

 その後、人類は度々地球へとやって来ては立ち去って行った、ここ2000万年の間に4度来て4度とも最終的には、その創造した文明、被造物諸共に引き上げていってしまったのであるが、しかし。

「神よお願いだ。もう一度だけ我々に機会を!!」

「・・・・・」

 最後となる5回目は、再び生命の倫理の是非を巡って議論が交わされる日がやって来た、切っ掛けとなったのは、ある異性文明の若者の言葉である。

 彼は言った、“この星に今一度人類を創造して、そして今度は彼等に干渉する事無くその有り様を見てみたい”と。

 “彼等の生き様、思考等から何か学べる事があるであろうから”と。

「今回は他の生物等は使わない。いや、仮に使ったとしてもキチンと我々自身の血肉を与えて創造を行う。それだけではない、脳の構造、組成なども我々のそれと同一にする。これならばどうだ?」

「・・・・・」

「前の連中がやったのは単に“人型恐竜”を作っただけの事だったのだ、だから彼等は失敗した。しかし我々は違う。それから学び、今回は我々、純粋なる人類から血肉を与えて作り出すのだ、しかもそれを基幹に据えてな!!」

「・・・・・」

「勿論、“進化”に余計な手等は加えたりはしないっ。だから、どうかっ!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「神よっ!!」

「・・・・・」

「・・・良いでは無いか!!」

 その時に。

 あくまで反対の立場を崩さなかったのが、後の世において“日本神界”と呼ばれる神世を形成して行く神々であり、一方で賛成に転じたのがギリシアや北欧、エジプトと言った、西洋世界の神々だった。

「面白そうではないか、ちょうど何もする事も無くて暇だったし。・・・それに“魂”も有り余っとる事だしのぅ!!」

「彼等の生き様を見て学ぶ、勉強をするか。ワクワクするなぁっ!!」

「人間達が、一体どう言った世界を造ってくれるのか、くれないのか。確かに興味もありますしね」

「・・・・・」

 周囲が次々と賛成に転ずる中でしかし、“大八洲の神々”のみは“うん”とは言わなかったのである、モノの・・・。

「なんじゃ、大八洲の神々は、反対か?」

「お主達と来たら、全く頭が固いのぅ!!」

「良いじゃないですか、少しくらい人間達の好きにさせても・・・!!」

「・・・・・」

 他の神々からの非難も出る中においては衆寡敵せず、結局日本の神々も折れて創成が開始された。

「私達も一度、受肉して地上に降りるとしよう!!」

「人間達に自らの血肉を与えてあげたいですからね!!」

「・・・・・」

 他の神々はウキウキとして、反対に日本の神々は暗く沈んだ表情のままで、それでも自らもまた、新たに創成される事になった“地球人類達”にその血肉を分け与えるべく、一度だけわざと“人間”として生まれ変わり、“天照大神”等の主要な神々を除いては一斉に“大八洲”へと降臨する事となった。

「・・・はあぁぁっ!!」

 神々は気が進まなかった、と言うのは以前、“レプティリアン”達が地球上において猛威を振るっていた際に、“天御中主神”を始めとする宇宙の神々、所謂(いわゆる)“造化三神”に“地球をお救い下さいますように”と願い出たのが日本の神々だったからである。

「・・・・・」

(また同じ事を繰り返すのか・・・!!)

(人間などに期待をして、一体何になることやら・・・)

 そう言った事があったためにだから、日本の神々は当初全く乗り気で無かったモノの、しかし兎にも角にも一度は決定してしまった事である、やむを得ずに“三種の神器”と共に地上へと下って行く事となったが。

 いざ実際に地上に降りてみると想像していた以上に生活は苦しくなくて、自然の風観も色とりどりで面白く、海の幸、山の幸に恵まれていた国土は“贄”(神様に供されるご飯の事)も非常に美味であって、また居心地も頗(すこぶ)る良かった。

 そんな中で事件は起きたがある日、俄にそらが掻き曇ったかと思うと猛烈な稲光が辺りを覆い、轟音と同時に雷が何度となく地上へと向けて降り注いで来るモノの、その中の一発が事もあろうに極東方面における、人類創成の要であった研究所の、それも“遺伝子保管管理所”に直撃してしまったのだ。

「・・・・・っ!!」

「何という事だ!!」

「やはりこれは“こんな事はするでない!!”と言う宇宙(おおうなばら)の深淵からの、お叱りなのであろうか!!」

「・・・・・?」

 人に転生した神々から、ざわめきと響(どよ)めきが巻き起こり、皆が(多分もう、ダメであろうな)と思いながらもそれでも一応と、恐る恐る“遺伝子カプセル”の中を確認して見たところー。

 そこにはハッキリとした変異が起きており、そしてそれと同時に彼等の見える、“後の世”の景色にも劇的な変化が訪れていた、正直に言って“どうせ失敗するであろうなぁ・・・”、“実に下らないモノだった”と言うのが大勢を占めるのがそれまでの未来の世界観だったのであるが、それが俄(にわか)に書き換えられ始めていったのである。

「おお・・・っ!!?」

「こ、これは・・・っ!!」

「信じられんっ!!!」

 それまで絶望していた神々の中に、希望と感動とが生まれ始め、そしてそれは他の日本の神々にまでも伝播していった、それまで神々は“人間など所詮は神に及びもつかぬ、不完全な存在だ”としか思っていなかった筈であったが即座にそれは間違いであったと思い知らされたのだ。

「ふうぅぅぅ・・・っ!?」

「やれやれ・・・っ!!」

「いやはや。“人間などは大した事は無い”と思っておったが、どうしてどうして・・・っ!!」

 それだけこの時に生まれ出でたる人類と言うモノは、実に大したモノだったのであり、そして神々はその未来を更に完全なモノにするべく遺伝子に、ありったけの願いを込めた己の血肉を限界ギリギリまで分け与えてはその完成と創成とを、即ち“大和民族の誕生”の瞬間を、見守る事となったのだった。

 一方で。

 レプティリアン達の魂もまた、それら人類の躍動を捉え始めていたモノのその結果として、彼等は嫉妬と憎しみに怒り狂っていた、“我々は破滅へと追いやられたと言うのに何故なのか!!”、“本来であれば我々こそが、この地球の支配者であった筈なのに、何故こんな奴らに乗っ取られるのか!?”と。

 “自分達に代わって神々に愛され、自然に囲まれては美味しいモノを食べたいだけ食べ、フカフカの草のベッドで眠り、享楽に耽るのだな!?”とー。

 それを思った時には確実に怒り心頭に怒り心頭に達していた彼等であったが、しかし。

 “いや、待て?”とほくそ笑んだ、“これはチャンスだ”と明確に思った、何故ならば今までの人類は既に霊的に基本部分が完成された存在であり、“愛”や“自分自身とは何者で、どう言ったモノを言うのか”、“肉体と魂とは全く違うモノである”と言う事を理解する事が出来ていた為につけ込む隙が全くなかった。

 神々に至ってはそれ以前に強すぎて、もしも真面に戦ったのならば自分達では歯が立たないためどうする事も出来なかったがこれから生み出されて来る人類達ならば話は別だ。

 “自分とは何で何の為にいるのか”、“心とは何か”、“肉体とは何処からどこまでを言うのであろうか”と言った事を、何一つも知らないでいる極めて無知蒙昧な輩。

 要するに無防備極まりない存在であり、であるからこそ幾らでもつけ込んで引っ掻き回す隙がある。

 見れば、そして聞けば神々は、そして異星の文明人達は今度の人類には恐ろしい程に期待を寄せているようだし、また入れ込んでもいるようだ。

 挙げ句に我々の時には有り得なかった、自分達の血肉さえも分け与えて肉体に宿る魂の、霊的な質をも確保する事に努めている事から見ても、相当に心を砕いている事が伺える。

 だからこそこれはチャンスなのだと、彼等は大いに考えるがもし、そこまで色々なモノを与えられている人類を、霊的に堕落させてやることが出来たなら。

 必ずや自分達を造り出した異星の文明人共や神々の鼻を明かしてやれる。

 霊性さを与えられた人類を、それも文明人達や神々の血肉、波動、そしてありったけの願いまでをも分け与えられて造り出された人類達を無知蒙昧な内にとは言えども霊的に堕落させる事が出来たのならば、それは即ち“魂の持つ霊性さなど、肉体のもつ快楽の前には何の役にも立たない”と言う事のなによりの証明になるし、それは=で“自分達は何も間違ってはいなかった”と言うことの立派な自己弁論に繋げる事が出来る。

 本能こそが最も強くて確かな判断基準であり、それに従って生きてきた自分達こそ“正義である”と主張する事が出来るからであり、自分達の行動、判断、感覚こそが自然界における正義であり本質である、と訴える事が出来るからである。

 そしてそれはもっとハッキリと言ってしまえば宇宙に向けて”神々や文明人達が間違っていたのだ!!”と言う自身の憤慨を叩き付けると同時に“彼等ですらも一皮剥けば自分達と同じじゃないのか!?”と言う疑問をぶちまける事が出来る事さえ意味するのであるが、一体彼等がそこまでして何がしたいのか、と言えばそれは、極めてシンプルな答えであり、要はするに“不適合者”の烙印を押されて滅亡へと追いやられていった自分達の名誉を挽回して見せたいのであり、“自分達が間違っていたのではない”と言う事を証明して見せたいのである。

 自分達が至らなかったから滅ぼされたのでは無くて、ただただただただ、神々の一存によって、その理不尽さによって滅ぼされてしまったのだ、と言う事を訴えて行きたい、と思っている訳であって、その為にこそ、ありとあらゆる手段を用いて人類を堕落させようとしていたのだった。

(何が霊性さだ、笑わせやがる!!俺達は俺達のやりたいようにやる、それを邪魔するヤツは許さねぇ!!だがまずはやられた事に対する落とし前ってヤツを、キッチリと着けさせねぇとな!!)

 この期に及んでもまだ、自分がやられた事に対する不平不満を並べ立てては、その反対に己の生き様に対する反省の念を持つ事等は何一つとして出来ないでいた彼等はしかし、何も解ってはいなかった、自分達が本当に、許されない存在になりつつあったのだ、と言う事を。
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(何が霊性さだ、笑わせやがる!!俺達は俺達のやりたいようにやる、それを邪魔するヤツは許さねぇ!!だがまずはやられた事に対する落とし前ってヤツを、キッチリと着けさせねぇとな!!)
          ↑
 コイツらは書いていて本当に腹が立って来る奴らでした、彼等は基本的には自分達の享楽を得ることしか考えていません、だから滅ぼされたのです。

 ちなみに皆様方には彼等の思考回路って解りますか?自分はようやく読めてきましたが、彼等は基本的には“イキッている奴ら”なんです(ようするに何処にでもいる、人を自殺にまで追いやっておきながらも平然としている、ああ言う連中と一緒です)。

 それもどのような“イキり”かと申しますと、例えば武器を持っていない相手に自分達は武器を持った状態で、それも1人に対して集団で襲い掛かったりしても、または無抵抗だったり、抵抗したくても出来ない状態に追いやられている人間に敢えて喧嘩をふっかけてボコボコにしたとしても。

 彼等の中ではそれは“誇り”になるんです(“見たかよ、俺スゲーだろ!?”、“ここまでやっちゃうよ?俺”みたいな感じです)、で、そういうのも連中にとっては立派な武勲に(つまりは真剣勝負をした上での勝利みたいに)映るらしいんです、そしてその結果として“俺達は戦い続けて、暴れ続けてここまで来たんだよ、スゲーだろ!?”って言うのが彼等の意識、感覚、思いの全てなんです(要するに“自分達の実力だけでここまでのし上がって来たんだぜ!?”みたいな感じに思っているらしいんです。そしてそんな連中だからこそ、とでも申しましょうか、それに対して異を唱えたり、“待った”を掛けようとして来たりする人に対しては、これ以上無い程の憎しみを覚えるらしいんですよ、自分達でもどうにもならない位にまでの腹立たしさを覚えてしまい、仕方が無くなるみたいなんです←例え相手が目上、年上であったとしても、それでも尚も“俺達に逆らいやがった”、“生意気だ!!”と思うものらしいんですよ、完全に上から目線ですよね?本当にどうしようもない連中なんです、自分達がそれ程のモノでも無いと言うのに・・・)。

 これが彼等の正体であり“イキり”の正体です(ところがコイツらの本性と言うモノは、単なる腰抜けのビビりです、私の知り合いにこう言うことを現実にしつこくやられた人がいて、それらがあまりにも酷かったので、ある日ぶち切れて“タイマンをしてやるから来い!!”、“仲間にも伝えとけ、1週間待ってやる!!”と伝えた所、1週間経っても誰も来なかったそうです)。

 要するに手を出すことが出来ない存在をいたぶっているだけのくせに(自分が圧倒的に有利な立場で相手を一方的に嬲るとか、攻撃を加えるとか、そういう事しか出来ない癖に)、根拠なく“自分はスゲー強えーヤツだ”と、意味不明な自信を持っている奴ららしいのです(一対一での正々堂々とした勝負なんか、何にも出来ない奴らなのにも関わらずです、要するに散々、バカにしておきながら、いざこっちが腹を決めて反撃しようとすると逃げてっちゃうって言う、あれです)。

 或いは勝負に応じたとしても、さっきも言ったようにたった1人を集団でボコるような事しか出来ない連中って事です、にも拘わらずに何故か“俺には度胸がある、男気がある”、“俺って強えー”とか言っているだけの、ただの雑魚なんです。

 なんで彼等がそうなってしまうのか、と言うことに関しましては、実はよく解ってはおりません(彼等自身がそう言う“因子”を持っているのか、育って来た家庭環境の問題なのか、はたまたその両方か、それは一概には言えないとは思いますけれども)ただし少なくとも、彼等は小さい時からそうであり、そして“物心を付いた時から”、“そう言う人間としてのスタートダッシュを切ってしまう”のでしょうね(つまりは“人を踏み躙っては自身のイキり具合を示す”と言うような、“俺はスゲー!!”と言うような事を自分と周囲に見せびらかすようなスタートを切ってしまうのでしょう)、もうそうするとその後はズルズルと、本人の性格、性質のままにそう言った道を転がり落ちて行くのでしょうね、それが“当然の状態”、即ち“普通”になってしまうのでしょう←彼等は基本、同種同様の人間同士で連(つる)む性質を持っていますので、そうしますと尚更に、盛り上がってしまうと言いますか、“場の力”とでも言うべきモノが生まれて働き、その結果として余計に自分を止められなくなってしまうのでしょう。

 長々と書かせていただきましたが、それが彼等の正体です、だからこう言う存在に対して間違っても“優しさ”等を掛けてしまってはいけません。

 それは連中にとっては有り難い暖かさ、情けの気持ちでもなんでもなくて、“バカが見せる隙”に映るからです(感謝も反省もありませんよ、こう言う連中は。言い方が悪いとは思いますけれども敢えて正直に言わせていただければおよそ人としては終わっていると思います)。
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