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運命の舵輪編
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“感覚”と言いますか。
より正確に言うのならば“意識”こそが“自分”です、この世界を、周囲を、存在達を感じて認識している部分こそが即ち“自分”なのです(だから“自ら分かる”って書くのです)
またメリアリアちゃんと言うのはとても一途で真面目で誰よりも深い愛情を蒼太君に抱いています(本当の彼女は非常なまでに純粋でいじらしく、そして健気な女性なのです)、なので何があっても蒼太君の事を忘れられないのです。
そんな彼女がもし、誰かに掠(さら)われて酷い事をされたとしても、それでもメリアリアちゃんは蒼太君の事を思い続けるでしょう(“自分の事は忘れて”等と口先では言ったとしてもです)。
このお話ではもし仮にそうなってしまった場合のメリアリアちゃんの心情も描写しています(蒼太君目線で話は進みますがもし何かあった場合は“彼女”は間違いなくこうするでしょう)、ピンと来られた方にお尋ねしますが皆様方の中でその時、“彼女”はどう言った行動や反応を示しますか?
それらを思い浮かべながらお読み下さると幸いです(またこのお話は前話であります“許しの刻と報われの空”、そして第三部冒頭の“心の働き”、“セイレーンの岐路”も合わせてお読みいただきますとより理解が深まろうかと思われます)。
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「ま、まあその話はおいて置くとして・・・。でもまあ好きな人がいない子供達に交わり合う事の楽しさを広げる事自体は、問題ないと思うんだぁ~(´▽`)ノ(´▽`)ノ(´▽`)ノ」
「いやいや問題、大ありでしょ!?」
ノエルの言葉に蒼太がすかさず突っ込むが仮に女性同士の行為の場合であっても、それが元で心に傷を負ってしまう娘だっているのだし、それに処女膜(ハジメテ)だって破れてしまう可能性もある、確かに子供が出来るリスクは無いからそこら辺に関して言えば、遊びの延長線上のような感覚で出来るのであろうが決して万全でも無ければ安全とも言えないモノであった。
「でもさぁ~、ソーくん不思議だよねぇ?こんな事をしている私が言うのもなんだけれども、“セックス”って愛が無くても出来ちゃうモノなのかなぁ~(・_・;)(・_・;)(・_・;)だってエッチしている私にも、あの娘達にも恋愛感情なんて無いんだよぉ~っ???」
「“セックス”=必ずしも“愛”ではありませんからね」
そんなノエルの言葉に蒼太が答えた。
「でもやっぱり、僕としては“最高の愛情表現の一つ”であると思っているんですよ。例えばノエルさんなんかも実際に、相手を選ぶ際って必ず自分の好みだったり、“この娘だったらいいかな?”って言う子を選んでいるんでしょ?決して無作為に選んでいる訳では無いじゃないですか」
「まあ、そりゃね?」
とその言葉を受けてノエルが頷くモノの確かに言われる通りで、ノエルが相手となる少女を選ぶ場合は必ず先ずは年齢の確認と好きな人の存在の是非、そしてー。
その娘が、“あり”か“なし”かを見極めるのだが例えばこれが従妹だったり親戚だったりする場合だとそうそう無い事なのであるが、反対に、赤の他人が相手となってくるとどうしても、ちょっと申し訳ない言い方をすれば中には“清潔感が足りない”だったり“感性が合わない”、もしくは“生理的に受け付けない”等の理由で却下する場合が結構多く、選り好みにはだから、慎重を期する必要があった。
「僕はやっぱり“セックス”には愛が必要だと思います、それは例えば“恋愛感情”ですとか“純粋なる愛情”とまで言われる程に、真摯で確かで燃え上がるような、そんな崇高でハッキリとしたモノではなかったとしても、それでも“意識しない愛”と言うんでしょうか?とにかく“必要最低限度の愛”と言ったモノは、絶対に必要になってくると思うんですよ。こんな事を言ってしまうのは些か失礼なのですけれども人が自然状態にあるとして、即ち相手を自由に選べる状況下にあるとした場合、やっぱり“自分が嫌だと思う人物や存在”だったり“生理的に受け付けない人”とのセックスって無理があるでしょう?そこには“こんなヤツを相手(合い手)になんかしたくない!!”と言う断固とした強い拒絶の意思、感性が働くからなんです。そこにはもう、愛(合い)は無いんですよ」
「・・・・・」
「なるほどね」
と、そこまで話を聞いた瞬間、ノエルが大きく頷くモノの、つまりは“愛のない(と思われている)セックス”をする際にあってすらもやはり、それでも“最低限、相手を受け入れるに足りるだけの愛が必要不可欠”と言う事であり、これは(そう言った意味で)“経験豊富な”彼女からしてみれば確かに、頷ける言葉ではあった。
「さっきソーくん、言ってたもんね?“嫌だと思う相手と言うのは基本的には自分にとって必要の無い存在だ”と。確かにそれは頷けるわ、それにそんな相手と無理をしてやった所で絶対に気分も乗らないだろうし。ちっとも気持ち良くもなれないだろうしね?」
「ええ、やっぱりノエルさんもそうだと思いますけど、“なんなの?この娘・・・”って言う子とするよりも“可愛い”と思う子の方が燃え上がると思うんですよね?夢中になれるって言うか。それは事実だと思います」
とそれを受けて蒼太が再び頷くモノの確かに、セックス自体はすれば誰もが“それなりの快感”を得ることが出来るのであるが、これは肉体の持つ機能、能力に由来する。
と言うのは考えてみれば当たり前な事なのであるが、男女とも性感帯を的確に刺激されればされる程、気持ち良くなれるモノなのであり、セックスと言うのは基本的には、そんなお互いがもっとも効率的に快楽を得るための方法が形となった行為なのだ。
ただし。
「それだけじゃありません」
蒼太は語るが人間とはどうしても“愛”を求めるモノなのであり、“心”もっと言ってしまえば“気持ち”を大切にする生き物なのである。
これは現に、気持ちが向いている相手とのセックスの方が、単に義務感や仕事で行われるそれよりも段違いに気持ち良く、満たされるモノである事をみても納得の行く思想であるが、では何故、気持ちの向いている相手とのセックスの方が、仮に受け入れる事が出来ていたとしても、特に愛情も何も抱いていないその他のそれに比べて格段なまでに燃え上がるのか、と言われるとそれは、意識や神経と言ったモノが、全てその人へと向き切るからに他ならない。
要するに感覚が相手へと向けて集中し尽くして行くのであり、その結果として与えられる刺激に対して身体が敏感に反応するようになって行き、快楽が倍増して行くからなのであるが、それだけではない。
それが本当に、愛し合っている人との間に為される行為、交わりと言うのはそこに更に“愛情”が加わって来るのであるが、するともう、それ以外の相手の事等問題にならない位にその人の事が愛しくて愛しくて堪らなくなり、“その全てを受け入れて抱き止め”、それどころか“もっと欲しい”、“一つになりたい”とでも言うかのように全身全霊で相手を求めて貪るようになって行く。
つまりどこまでも相手との行為に夢中になって燃え上がる事が出来る訳なのであるが、それに加えてもう一つ、そう言う状態で続けられるセックスにおいてはそれ以外の人物との間に為されるそれらとは比べ物にならない位に、お互いの“気”が奥の奥まで混じり安くなるのであり、特にこれは結合を解かずに二人でずっとラブラブして行っていれば行っている程加速していくモノなのであって、そしてその結果として二人に非常に強い一体感、解け合うような恍惚感をもたらすようになって行くのだ。
それが世間一般で言われている“スローセックス”、もしくは“房中術”と呼ばれているモノの正体であり、愛する人とのセックスで心も身体も満たされる要因の一つとなっているのであるモノの、ただし。
「気を付けなければいけないのは、これらが好きでも無い相手との間にも引き起こされてしまう可能性がある、と言うことだ」
蒼太が再び語り始めるモノのやはり、セックス=必ずしも愛と言う訳では決してなく、それによって得られる快感というのは基本的には単なる肉体の刺激に対する反応でしかない。
「まずはそこの部分を理解していないと、とんでも無い事に陥る場合があるんだよ。勿論さっきも言ったように、気持ちが向いている相手との方が、実際に気持ち良くもなれるし、心地好くもなれるモノなんだよ、確かにね。ましてや愛し合っている者同士なら尚更だけれども・・・。一方で例えば、世の中には“女の人のあしらい方”っていうのかな?要するに“ムード作りやセックスの上手い人”って言うのが確かに居る。で、大抵そう言う人と言うのは大なり小なりこの事については知っているんだ、そしてそれらを利用する形で女の子達を落としに掛かってくる。そう言う“調教の仕方”みたいなのを知っているんだな、そう言う人達のセックスと言うのは実際にはだから、一発やって“はい終わり”では無いんだよ、その後も凄いじっくりゆっくりと、そして時には激しくしながら時間を掛けて続くんだ。“女は一度イカせてからが本番だ”と言う事を知っているからね。僕も」
と蒼太は言った、“異世界も含めて世界中を旅して来たから色んな人から話を聞いたよ”とそう告げて。
「・・・・・」
「色んな、話・・・?」
ノエルの言葉に蒼太が“うん”と言って頷くモノの例えば蒼太はメリアリアを開発する際に、“ある事”をしたのであるがそれは体中を撫でたりキスをしたりした時に、メリアリアがピクッと反応を示す事があった場合、“ここどんな感じ?”と聞いてみて“良く解らない”、“変な感じがする”と言ったらそれは未発見な性感帯である可能性の方が高いと判断、後は彼女の反応を見ながらそこを重点的に刺激したり、また或いは一度イカせた後で身体が敏感になっている内に彼方此方を愛撫しては気持ちの良い部分を見つける、と言った事を焦らず徹底的なまでに繰り返したのだ。
結果。
今ではメリアリアはすっかりと蒼太に開発され尽くしてしまい、言葉責めや焦らしプレイ等の相乗効果も相俟って完全に彼専用の愛妻肉便器と化してしまっていたのであるが、何故蒼太がそんな事をしたのか、と言えばそれは、女の子と言うのは初めての内は快感自体がまだ良く解っていないために“なんかムズムズする”と言った反応を示す事があり、また慣れて来た後でも恥じらいからそれに準じる言葉を返してしまう場合があるから、だったのである。
“神界”を含めた異世界の各地を転戦する内に、その手の匠な人達数名から話を聞かされていた蒼太はだから、早速にしてそれを実際の彼女との性交に活かして取り入れては何度となく試し、その反応を探り続けて、ようやくの事でメリアリアの心と身体とを自分専用へと染め上げて行ったのだ。
(これを連続してやられてしまうと“自分とは何者か”と言う事について、そして“心について”何も知らないでいる女の子と言うモノはほぼ確実に“落ちて”しまう。それは何故かと言うと相手に“心酔”してしまうからだ。“私はこの人によって快楽を教えられた”、“この人によって開発されてしまったんだ”、“作り変えられてしまったんだ”等と思ってしまうからな・・・)
“もし”と蒼太は思うが“もしも最初からメリーがこの事を知っていたとするならば”即ち“自分がやろうとしている事を察知していたのならばどうだったであろうか”と。
(抵抗しただろうか?いいやメリーならば多分、僕の事をそれでも受け入れてくれた筈だ。僕には解る!!!)
改めてそう思うが元々、ずっと直ぐ側にいて彼女を見続けるのみならず、繋がり続けて来た彼にはだから、彼女の気持ちがある程度は感じ取れるようになっていた、即ちー。
“あなたにだったら良い”、“あなただから良いの”と言うそれであって、現に蒼太のメリアリアに対する調教と言ったモノは、恐ろしい程にすんなりと進んでいったし、そしてー。
今現在のこの姿、この関係へと収まっている次第であったがそんな蒼太が一つだけ、気掛かりな点があった。
それは夫として妻に失礼と言うよりも、本来であれば絶対にあってはならない考えなのであったが“もしメリアリアが自分以外の何者かによって掠(さら)われるか何かしてここまでの調教を、それも連続して受け続けてしまっていたとしたならば、その時彼女はどうしたであろうか”と言うモノだったのであり、そしてそれを思った時に蒼太の心の中は、悲しみでいっぱいになってしまった。
(・・・恐らく。メリーの事だから心までが屈服させられてしまうような事は何があっても有り得なかっただろうし、よしんばそこまで行ってしまっていたとしたならばもう、間違っても二度と再び僕の元へと会いに来てくれるような真似は、戻って来てくれるような真似はしなかったに違いない。この子は昔からそう言う所、うんと頑固で絶対に妥協を許さない子だったからなぁ。自分に嘘の付けない子だったから。だから“自分はもう、汚されてしまった”とかなんとか言って、此方の“祈り”が届いて心の傷が癒えるまでは、そして何より自分自身を許せるようになるまでは何があっても決して僕には会おうとはしてくれなかっただろうし、仮にもし、会ってくれたとしてもその後の人生も共に生き続けてくれるような事は、歩んでくれるような事は、間違ってもしてくれなかっただろう!!!)
蒼太が思うがメリアリアはその辺りは凄く不器用で真面目で一本気な女の子だ、そんな彼女だったから恐らくは相手に屈服させられてしまった、もしくは汚されてしまった自分自身がやるせなくて許せなくて仕方が無く、またその事実が彼女の中で絶対的な意味を持って来る訳であって、そしてそれ故にだからこそ助け出された後であっても“自分には最早蒼太に愛される資格はない”、“愛情を向ける資格もない”等と考えてしまい、その結果としてだから、此方がどれ程心の籠もった言葉を投げ掛け続けようとも(祈りが通じるまでの間は)絶対に応じてくれなかったであろうし、またはその口から“側にいて?”とか“側に居させて?”、“愛してる”等と言う台詞が飛び出して来る事自体が、まず有り得なかったであろう事は、想像に難くない事象であった。
それに。
(なによりかによりの話として。この子の放つ“魂の煌めきの迸り”が失われてしまっていた可能性が非常に高い。あれはメリー自身の内側に秘されている“霊性なる根源部分”、その底の底から湧き上がってくる“確かなる愛の輝きの顕現”、“本質の光”そのものが“極限まで凝縮されたモノ”だからな。その根幹と言うべきか、軸となるべき“僕への思い”、“暖かさ”と言ったモノが揺らいでしまっている状況下において発現する事が出来るような代物では、間違ってもないモノなんだ!!!)
そう思って蒼太は改めて妻の魂へと向けて意識を集中させてみるモノの、そのプリズムのように七色に光り輝く崇高なまでに純粋なる霊性の煌めきは些かも損なわされることなく超然とそこにあり続けていたのであって、それどころかいっそ神々しいまでにますます、その照り返しの美しさ、強さを増して来ていた。
その上。
(僕の色が、混じって来ている・・・!!!)
と彼は正確に見て取るモノのそこには確かに白を基調とした、全てを刺し貫いて行くかのような強烈にして眩いばかりの無限なる光の波動が入り交じって放たれるようになって来ており、反対に彼の魂の中にも、どこまでも澄み渡るように無色透明な、それでいて鮮やかなまでの七色の輝きを放つ部分が存在するようになって来ていたのであるが、遙かな時空を超えて響き合う、彼等夫婦の互いへの思いの丈は遂には極限を超えてまで増大して来てしまっており、そしてその結果としてその愛は、“魂同士の共鳴”どころか“混ざり合い”まで引き起こさせていたのであって、それは蒼太をして“ついにここまで来た・・・!!”と言う、ある種の感慨をもたらすのに充分な程の喜びと法悦とを覚えさせていたのである。
「・・・・・っ!!」
「蒼太・・・!?」
ちょっとだけビックリしたような、キョトンとした表情を浮かべたままでメリアリアが此方を見つめて来るモノの、感極まってしまった蒼太はだから、堪らなくなって思わず妻を、少しだけ強めに力を込めて自身へと更に抱き寄せたのだがそんな夫の行動に最初は戸惑いを覚えていたメリアリアも直ぐに自身も嬉しくなって、その身を思いっ切り擦り寄せ返した。
(メリーとここまで来られたのは、本当に良かったのだけれども・・・)
“もし”とそんな妻との幸せな一時を過ごしつつも、蒼太は更に考えを巡らせてみた、“例えメリーが大変な事になってしまったとしてもそれでも、僕達の間に子供がいたとしたならどうだっただろう、違っただろうか?”と、しかし。
想像をしてみた所で結果はやはり同様であった、“こんな汚れてしまった母親などとあなた達は一緒にいてはいけないわ!!?”と言って、此方がどれだけ引き止めても決して聞かずに山奥の村か修道院かにでも籠もって夫や子供達の為にと密かに祈りを捧げ続けながら、毎日をひっそりと過ごし続けていた事だっただろう、メリアリアとはそう言う女性だったのだ。
「・・・・・っ!!!」
そこまで考えた時に蒼太は頭(かぶり)を振って慌ててその考えを振り解くモノの、それはとても痛々しくてどうしようもない物語であり何があってもそんな未来など、来させる訳にはいかなかった。
「・・・はあぁぁっ!!!」
(いけない、いけない。頑張るんだぞ?蒼太・・・!!!)
そんなクソッタレな世界線等を、間違っても生み出させない為にも蒼太は腹の底から息を吐き出すと同時に何としてでも“妻を守る”と言う決意を新たにしたのであった。
「・・・・・っ。蒼太?」
「どうしたの?ソーくん・・・」
そんな彼をメリアリアとノエルは不思議そうな表情を浮かべて見つめるモノの、それに対して蒼太は“ゴメンね、何でも無いよ!!!”とそう告げると話の軌道を元に戻した。
「続けるけれども。基本的にはセックスの快楽と言うモノは、肉体に起因する。あと房中術なんかもそう、あれは男性の気がもっとも集中している男根を、女性の気が溜め込まれている女陰へと挿入して結合させる事で徐々に二人の気が混じり合い、そしてその結果として、強い一体感が生み出されて来る仕組みになっているんだよ。そしてこれが更に進んで来ると、恍惚感までもが生み出されて来る訳なんだけれども。これらは全て肉体に起因している能力であり、当たり前の反応現象でしかない」
“ところが”と蒼太は続けた、“それを何も知らない人が誤解して、勝手に変な風に落ちて行くんだ”とー。
「・・・・・?」
「どう言う事・・・?」
「それを説明する前にまず、人の心とはどう言うモノか、と言う事に対する説明が必要になるんだけれども・・・。まず一つ目として“心”も“肉体の一部”であること、そして二つ目は、心とは単に感情を司っているだけではなくて、“基本的には快楽を求めるように作られている”と言う事が挙げられる。これは例えるならば美味しいステーキを食べた時に、“もっと食べたい”と思うでしょ?気持ちいいマッサージなんかを受けた時にも、“もっとやって欲しいなぁ~”って思いますよね?あれですよ、あれ。何だったら身体が凝っている時に、“伸び”をする感覚って言ったら解りますかね?ああ言ったモノなんです、心の働きって言うモノは。そしてそれと同じ事が」
“セックスにおいても起きるんですよ”と蒼太は続けるモノの元来、セックスは子孫繁栄の為の大切な儀式であると同時にお互いの愛情を確認し合う為の、一番ハッキリした形でのコミュニケーションの一つなのであって、そしてそれ故に、お互いに気持ちが通い合っているモノの方が遥かに官能的で情熱的なそれになることは疑う余地の無い事実であったながそれだけではない、かてて加えて愛し合っているセックス、即ち相手に意識を向けているセックスと言うのは繰り返せば繰り返しただけ、“ある変化”が起きてくる。
何かと言えばそれは、“肉体や性器が相手のそれらに合うように変化してくる”と言うモノであり、そしてその結果として余計にその人との行為においての快感が得やすくなっていくのである。
「ねえ、メリー・・・」
「んん。なぁに?あなた・・・」
「人前で、こんな事を言うのは夫婦におけるマナー違反と言うか、申し訳ない事なんだけれども・・・。君とセックスした時に、恐ろしい位の恍惚感と言うか幸福感と言うか・・・。とにかくお互いに物凄いまでの愛欲と愛情とに満たされて、包まれた事があっただろう?」
「あったわ!!!」
と、唐突に夫から掛けられたその言葉に、それでも彼女(メリアリア)は一も二も無く頷いて答えた。
「本当に頭の中が真っ白くなって、身体が宙に浮いていて・・・。でもそれだけじゃない、深い部分であなたと繋がっているのが、交じり合っているのがハッキリと感じられて。それが凄く尊くて、有り難くて、気持ち良くて心地好かったわ、言葉に出来ない位に凄かった、最高だったの。本当に確かな愛しさが後から後から湧き上がってくる感じなのっ!!!」
「そうだ」
蒼太が頷くモノの正直に言って確かに、魂のレベルにおいても、愛する相手と交わり合うこと、繋がり合う事と言うのは途方もなく愛しくて気持ち良く、心地良いモノであり、そしてそれらをこの三次元的な世界においても“擬似的に”体験する事が出来るのが肉体におけるセックスなのである。
「だからこそ、なんだけれども。“魂同士の交わり”程は行かないにしても、それなりの一体感や恍惚感を、肉体のみのセックスでも味わう事が出来るんだ、それがさっきも言った、“スローセックス”や“房中術”を取り入れたモノなんだけれども元々、セックスを行う際には相手に対する“最低限度の愛情”と言うモノが、絶対に必要になって来る。重ねて言うけれどもそれが無ければそもそも自分以外の存在との間にセックスなんて、出来る訳が無いからね。自然状態においては特にそうだよ、例えばそれが“暴力で強制されました”とか“断りたくてもどうにもならない状況へと追いやられてしまいました”、“お金をもらった上での割り切りです”等という状況下でも無い限りかは、まず間違っても受け入れたくなんか無いだろう。・・・それにそんな相手とのセックスって、ちっとも気持ち良くなんか無かったと、僕は経験者の女性から聞かされた事があるけれども、いずれにしてもそんなモノだよ」
“だけど”と蒼太は言う、“中にはさっきも言ったように女性を開発したり調教したりする事の出来る男がいる”とー。
「そう言う人って言うのは本当に、セックスへの持っていき方が上手いんだ。勿論ムード作りが、だけじゃない、本番における“床あしらい”も非常に優れたモノがあって、女性に愛の言葉や罵りの雑言を掛けたり囁いたりすると同時にその性感帯を的確に見抜いてそこをネチネチと責め上げて行くんだよ、じっくりと時間を掛けてね。かと思うと時折激しいピストンやら愛撫やらで女の子を“燃え上がらせたままで”、“何度となくイカせる”事が出来るらしいんだよ、しかもセックス自体がまた長くて、何時間も何時間も、何度も何度も繰り返し繰り返し行うそうだ、場合によっては中出し込みでね。するとどうなるのか、と言えば女性は正常な感覚を奪われてしまうほどに蕩けて敏感になっている所へ持ってきてそこから更に極上の快楽を与えられる。しかも自分の性感帯を開発もされてしまう上に、場合によっては例の“房中術効果”による“一体感”すらも生まれて来るんだよ、そうなると女性はもう、その男性に対してはメロメロになってしまう」
“挙げ句の果てには”と蒼太は続けるモノの、“例の心の作用によって、どこまでも快楽を求めて行ってしまうんだよ、別に大して好きでも無い、気持ちも何も乗っていない相手であってもね”と。
「何のことは無いよ、全部肉体に起因している“正常な反射現象の連続”もしくは“それらの重複”に過ぎないんだけれども。それを何も解っていない人はやれ“自分は屈服してしまった”だの、“自分から求めてしまった”だの、“この人と深い部分まで交わってしまった”だの、“この人に作り変えられてしまった”だの意味不明な事を言い出すんだよ。挙げ句の果てには“自分はこの人の事が好きなのかも知れない”等と思い込んでしまう女性(ひと)までいるそうなんだけれども、そうなって来るともう、完全に相手の思う壺なんだ。しかも厄介な事にこれは、相手がそう言った手練手管を知っている場合にはどんなセックスにおいても起こり得る事なんだよ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・断っておくけれども。これらは間違っても“愛情”なんかじゃない。どちらかといったら“心酔”に近いモノなんだよね、それも女性の方からの一方的な、ね。いいや、もっとハッキリと言ってしまえば“勘違い”と断言してしまっても良いだろう。何故ならばさっきも言ったと思うけれどもこれらはあくまでも“肉体の持つ反射現象の重複”によってもたらされているに過ぎない、だからそこには本来の、自分の意志も愛情も何も、何ら関係して来るもんじゃ無いんだよ、自分で勝手にそうやって、思い込んじゃってるだけなんだな」
「ねえソーくん!!」
するとそれを聞いていたノエルが不思議そうな顔をして聞いて来た、“それじゃあセックスにおける快楽には愛とか気持ちとかは関係無いの?”と。
「肉体における反応現象って言われちゃうと、確かにそうかなって思っちゃうんだけれども・・・。でも私の場合、“この娘可愛い”って思える子の方が、燃え上がるって言うか、凄く気持ち良くなれるんだよね・・・」
「さっき言ったじゃないですか、“愛とか気持ちのある方が格段に気持ちいいんですよ”って・・・」
蒼太が続けるモノの要はするにそれらがあると、相手に対して全神経と感覚とが向くようになり、その結果、与えられる快楽に対して人はますますシャープになれる、ましてやそれらが大好きな人との間に為されたモノだ、と思うと尚のこと、気持ち良くて心地好いモノとなるのであり、それが深まれば深まる分だけ激しく燃え上がる事が出来るのである。
「“相手の事が愛しくて愛しくて堪らない”、だからこそ“もっと来て欲しいし、自分の全てを奪って欲しい、貪って欲しい”。それで何もかも忘れさせて欲しい、そう思うようになります。そうだろう?メリー・・・」
「う、うん、そうだけど・・・。でもなんでそんな事が解るの・・・?」
「だって僕も同じだもの!!」
蒼太があっけらかんとそう言うモノの彼だって行為の最中にメリアリアの事が可愛くて可愛くて仕方がなくなりその結果、“もっと欲しい”、“全部貪りたい”、“全部俺のモノにしてやる!!”と言う、己の中にある滾りそのものを爆発させては彼女を抱き締め、犯し、組み伏せては、どこまでどこまでも際限なくイカせ続けて遙かなる高みのその先へといつ果てるともなく打ち昇らせて行くのである。
「だから、解るんだよ、メリーもそうかな・・・って」
「もうっ、あなたったら!!」
“チュ・・・ッ!!”と堪らなくなってまた、最愛の夫の唇を奪うとメリアリアはその身体ごと、彼に全てを委ねるかのようにしてスリスリと擦り寄せ続けては、密着させて来るモノの、そんな彼女をしっかりと横から抱き締めたままで蒼太は自身も彼女の頭部へと頬を当てると同時にその肉体を、少し強めに寄り添わせた。
「ねえあなた・・・」
「・・・ん。なんだい?メリー」
「私ね、私。また“したく”なっちゃったの。だから・・・」
“あとで、抱いてね?”と耳元で告げる妻に堪らない程の可愛らしさを覚えた蒼太は彼女の頭にキスをするとそのハニーブロンドの金髪を優しく何度も撫で返すがメリアリアは夫にこうやって、頭を撫でてもらうのが大好きだった。
自分が彼氏に愛されているんだ、大切にされているんだ、と言うことが身体を通して感じられて、心の中から一層、喜びが溢れ出して来るモノのそんな彼氏とのセックスは、本当に飛んでしまう位に気持ち良くて心地好く、かつ堪らないモノがあった、自分が自分で無くなる程の超越的な官能とエクスタシーの連続と重複、愛しい彼と一つに解けきって行く時の、あの何物にもまさる位に凄まじい恍惚感と確かなまでの暖かさ。
それら全てが一遍に襲い掛かって来ては彼女を満たし、その意識を超絶の果ての更に向こう側にまで追いやって行ってしまうのであるモノの、そんな愛し合う事の喜びも、女としての悦楽の全ても蒼太から教えてもらったメリアリアの精神も肉体も早くも疼きっ放しとなってしまい、夫を求めて止まらなくなってしまっていた、早く彼に抱かれたくて抱かれたくて堪らなくなり、口の中がカラカラに渇いてアソコがジュンと潤んでしまうが、一方で。
蒼太もまた、妻との行為を反芻させては人知れずに昂ぶり続けていたモノの、実際問題として、メリアリアとのセックスは比類無い程に激しくて、恐ろしい位にまで濃厚である、それは単なる肉体的な反応現象に起因するモノばかりでは決してなくて、精神的要素もまた、多分に含まれていたのであるがやはり、そう言った意味でも“愛”、そして“愛情”と言うのは偉大だと、蒼太はつくづく考えていた。
これが無ければそもそも論として自分の中に相手を受け入れよう等という気はさらさら起きなかった訳であるし、それよりなにより相手と一つに交わろうとする意志自体が生まれて来なかったに違いなく、そう言った意味においてもこの“魂からの迸りの煌めきが感情になったモノ”に一定の敬意と注目とを払わざるを得ない。
(この“煌めき”の尊さは、確かさは。本当に素晴らしいモノがある、何を以てしたとしても、決して代替の利かない程に・・・!!)
そこまで思い至った時、蒼太はメリアリアへと再び意識を向けてはその身をしっかりと抱き寄せるモノの、そんな二人の愛の軌跡は自身と相手の本質そのものに至るまでに影響を及ぼし合っていて、それが所謂(いわゆる)“ミラーリング”にみられるような同調現象を引き起こしては二人の仲をますます強固なモノへとしていたのである、そんな最愛の夫からの。
気持ちの籠もった愛の抱擁にメリアリアは一瞬、ピクリと反応を示してしかし、特に抵抗する訳でも無くそのまま彼に身を任せた上に、むしろ自分から愛しそうにグイグイと、その白い全身や整った顔と頬とを擦り返して来るのだったが、本当は彼女だって蒼太ともっと引っ付いていたかったのであり、それ故にー。
人前でちょっと恥ずかしかったけれどもそれでも、勇気を出して甘えてみたのだ。
「ううう・・・っ!!!」
二人がそんな事をしながらラブラブしているとー。
「あーっ、あーっ!!?あっついなぁ~っ。熱くて熱くて堪らないなぁ~っ!!!もぉーっ(`Д´)(`Д´)(`Д´)」
蒼太の左隣に座っていたノエルがそう言って襟元をパタパタとし始めた、蒼太達にはそんなつもりは無かったモノの、どうやら見せ付けるような格好になってしまったらしい。
「いいなーっ、羨ましいなーっ。私も彼氏欲しいなぁーっ!!!ラブラブしたいなぁーーー(。>A<。)(。>A<。)(。>A<。)」
「その内出会えますよ、ノエルさんも・・・」
「って言うか。言って無かったっけ?“好きな男性(ひと)がいる”って・・・!!!」
「グスッ、ううっ!!!・・・うん」
メリアリアから掛けられたその言葉に、ちょっと涙ぐみながらも答えるモノの確かに、この時ノエルには好きな人がいた、遠い親戚に当たる4歳年下の男の子“レアンドロ・ド・ヴェルジック”だ。
元々が元気はつらつなスポーツ少年であった彼はしかし、フットボールと出会ってから一気にその才能に覚醒して行った、ジュニアクラブに所属してからと言うモノ名声はうなぎ登りに上がり続けて今では有名チームからの誘いすらあるそうである。
性格も明るくて爽やか系なスポーツイケメンだった彼はだから、女子達からの人気も根強くて現にファンクラブが結成されるに至っていたのであるモノの、そんな彼の事を。
ノエルは密かに好いていた、それは忘れもしない19歳になったサマー・バケーションの事である、当時ルクセンブルクの郊外へと避暑に来ていたノエル一家はそこで久方振りとなる、レアンドロ一家との再会を果たしたのだがその際に。
ノエルは彼に心を奪われてしまった、気さくな笑顔で話し掛けてくれる彼の姿を見た時からドキドキが止まらなくなり、それが一気に弾けたのがレアンドロの実家が所有していたフットボール・コートで地元のチームの練習試合に参加させてもらっていた彼の姿を見た時だ。
試合の最中の彼は本当に格好良くて輝いていた、少なくともノエルにはそう見えたしそう感じもしたのであるが、特に試合後に、チームメイトとはにかみながら会話をしていた彼の姿を見た時にー。
ノエルは恋に落ちてしまった、それ以降、寝ても覚めても彼の事ばかり考えるようになってしまい、自分でもどうにもならなくなってしまうがしかし、ではその胸に宿っている熱い思いを彼に伝えられたのか、と言えばそれは果たせておらずにおりその結果、実に5年間にも渡って悶々として満たされない日々を過ごしている、と言う訳であった。
「・・・・・」
「・・・・・」
「ハアァァ・・・ッ!!!」
とノエルは熱い溜息を吐き出すモノのそのアンニュイな表情はまさしく恋する乙女のそれであり、それは蒼太とメリアリアをして“この人にこんな一面もあったのか!!!”と思わず感心させてしまうモノの、しかし。
「だけどノエルさん、不思議です。どうして告白しなかったんですか?あなたならそこら辺、勢いでどうとでもなりそうなモノなのですけど・・・」
「本当よね、いつもあんなに自分の欲望に正直なあなたなのに。なんでそう言うとこばっかり初心なのかしら?」
「あのねソーくん、メリアリアちゃん。私だって女の子なんだよ?告白はテキトーにじゃなくて、ちゃんと会って行いたいの!!!」
二人の言葉にノエルが反論するモノの彼女はそう言うところはキチンとケジメを付けないと許せない性質(たち)であり、するのならば真正面から堂々と行いたいと考えていたのである。
しかし。
「本当はさ?私だってもっと早くに告白するつもりだったよ?だけどさ、いざ真正面から見つめられると何も言えなくなっちゃうって言うかさ。緊張しちゃって上手く喋れなくなっちゃうんだ~・・・(>o<)(>o<)(>o<)」
「いや、まあ。それは解りますけれどね・・・」
「それだけじゃ、無いんだぁ~・・・」
とノエルが語るが実はノエルが今のように身嗜みに気を使うようになったのは17歳を過ぎた辺りからであって、それまでは必要最低限度のオシャレしか、して来なかったのである。
「家はさぁ~、片親だったでしょぉ?事実上。パパは一生懸命に会いに来てくれたんだけども、それだって月に2、3日位しか無くてさぁ~。ずうぅぅっとママにお世話掛けっ放しだったんだぁ~・・・!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「だからさぁ、あんまりママに心配とか掛けたくなくて。それに私も“オタク系女子”だったから、外見とか気にしてなかったんだよねぇ~、あんまり・・・(・_・;)(・_・;)(・_・;)」
そう言うとノエルは“ハアァァ・・・ッ!!”と溜息を吐き出すモノの、要するにレアンドロはそんなズボラだった時の彼女を知っておりそれ故に、告白を行ったとしてもその成果に今一自信を持つことが、出来ないでいたのである。
それに加えて。
「家の親戚ってさあぁ~、どこも彼処も忙しいのよ、色んな“公務”やら何やらでねぇ~。だから二人っきりで会いたくっても中々、その時間が取れないでいたのぉ~(>o<)(>o<)(>o<)」
「なるほどね、そう言う事だったんですか・・・!!」
「あなたが中々、告白出来なかった理由。何となく解った気がする・・・!!」
それを聞いた蒼太達がようやく合点が行ったかのように何度も頷いて見せるモノのしかし、問題はその後に起きた。
「そーゆう訳で私もさぁ。なんか悶々としちゃってさぁ~っ。それ以来なんだよねえぇぇ、女の子達とやりまくってても、なんか今一気分が乗り切れないのは・・・!!!」
「・・・・・は?」
「・・・今、なんて言ったの。ノエルッ!!!」
次の瞬間、ノエルから放たれた言葉を聞いて蒼太とメリアリアは思わず耳を疑ってしまった、“何を言っているんだろう?この人は”と心底理解が追い付かずに半ば呆然としてしまうが、しかし。
「ええっ!!?いや、だからさ。女の子達とやりまくっていても、レアンドロの顔が思い浮かばれて来て・・・」
「当たりめーだろ、そんなのっ!!!」
「あなた、自分の心に恥ずかしく無いわけっ!!?」
蒼太とメリアリアが思わず絶叫するモノのこの時、彼等の中ではある逆転現象が起きていた、それは即ち、今まではノエルの事を“どうしようもない所もあるけれども尊敬すべき友人”だと思っていたのが、それが“尊敬すべき所はあるがどうしようもない友人”へと様変わりしてしまったのであった。
「ノエルさん、それは無いですよ。あんまりです!!!」
「レアンドロが、可哀想だわ。罪悪感とか湧かないの!!?」
「ええっ!!?う、う~ん。そりゃ、まあ。ね・・・?」
真面目に信じられない目つきで此方を見つめる二人に対してノエルは流石にしどろもどろになりながら応えるモノの、実際には彼女も罪悪感を感じてはおり、それ故にここ数ヶ年の間はそれほどに、女の子達にも手を出さずにいた訳である。
「で、でもさでもさ?まだ告白した訳じゃないし~っ。恋人同士にもなっていないから、セーフって事で!!!」
「何を言っているんですか、ノエルさん!!!」
「完全にアウトだわ。それは無いわよ、ノエル!!!」
「え、えぇぇ~・・・(;゜д゜)(;゜д゜)(;゜д゜)」
二人から凄い剣幕で詰め寄られて、ますますタジタジとなってしまうモノの実際に彼女もある種の罪悪感を覚えて自問自答を繰り返していた訳でありそれ故に、いつものように奔放に振る舞う事が、出来なくなっていたのであった。
「今まではさぁ、殆ど三日に一片とか。それ位のペースでやりまくってたんだけれども。なんかレアンドロに申し訳無くてさ、自分でも自分で“なにやってるんだろう?”って思うようになっちゃって。だからそれ以来、あんまり出来なくなっちゃったんだぁ~・・・(・_・;)(・_・;)(・_・;)」
「・・・・・」
「あんたねぇ・・・っ!!!」
その言葉を聞いた蒼太とメリアリアは思わず“はあぁぁ~っ!!!”と何度目になるか解らない溜息を、心の底から吐き出して行ったモノの、この時二人はようやくにしてノエルの行動、言動等に対する合点が行ったのであり、要するに彼女なりに心の葛藤を抱えていたノエルはそれ故に、ちょっとした欲求不満になってしまっていたのであって、だからこそ、人前であんな奇行に走ってしまっていたのであろう、多分。
(・・・それでここ最近、バカみたいに“やりてぇやりてぇ”って言いまくっていたって訳か!!!)
(レアンドロへの“恋心”と欲望とが鬩ぎ合いをし続けていて。その結果として頭の中がオーバーヒートしてしまっていたのね・・・!!?)
そう分析して自分達を納得させるモノの、そう言った気持ちや疑問が湧いてくるようであれば、まだやり直しは利くと言うモノであり、蒼太達はだから、必死の説明を試みる。
「ノエルさん、自分で自分のピュアな部分を裏切ってしまってはダメですよ。そう言うことをやっている人って必ず後でしっぺ返しをくらうんですよ?」
「大好きな人がいるのであれば、その人にちゃんと操を立てて、自分自身を律するべきだわ。その人に最も美しくて純粋な自分を捧げる為にも・・・!!!」
「う、うーん・・・!!!」
その言葉にノエルは思わず呻いて少し考え込んでしまうモノの正直に言って蒼太やメリアリアの言うことは良く解る、それが正しい事だとも感じる、しかしー。
「ノエルさん、それがさっき言っていた“心の抵抗”です。あなたは本当はどうすれば良いのが、よく解っているでしょう?」
「ノエル、自分に正直になって?そして心に勝って。お願い・・・!!!」
「・・・・・っ!!!」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・解ったわ!!!」
暫しの自問自答の末に、ノエルが告げた“私、レアンドロに告白する!!!”とそう言って。
「ちゃんと告白して、この問題に決着を着けて。前に進めるようにするわ!!!」
「おお~・・・っ!!?」
「それでこそ、ノエルよっ!!!」
と、二人は驚くと同時に感心してしまうモノの、この思い切りの良さこそが彼女の持っている魅力であって、そうと決まれば話は早かった。
「私、暫くは“マンマンセックス”は封印する、レアンドロと向き合って、そして彼と結ばれてっ。“チンマンセックス”をするためにっ!!!」
「・・・・・」
「・・・あ、ああ。そう!!!」
と、ノエルから為された“謎の決意宣言”を聞いた瞬間、蒼太とメリアリアは今度こそ本当にゲンナリとしてしまっていた、もう半ば、この年上ハーフの友人の事も、彼女の行おうとしている一世一代の大博打の事も心底どうでもよくなってしまい、今はただただ“もうこれ以上、何も喋らないでくれ”、“黙って座っていてくれ”と、それ以外の感想を、一切持てなくなってしまっていたのである。
「よっしゃあ、待ってなさいよ?レアンドロッ。これからこのノエル様が、お前に告白しに行ってやるぞぉーっ!!?ファイトッ、オーッ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ほら、ソーくんも。メリアリアちゃんもっ!!!一緒に頑張るぞぉっ。オーッ!!!」
「オ、オォ~・・・ッ!!!」
「・・・・・」
一人燃え上がっているノエルを他所に、二人は殆ど脱力しまくってしまっていたのであるが、そうこうしているその内に。
ようやくにしてタクシーは、空の玄関口である羽田空港へと到着した、急いでドライバーさんにそれまでの代金を支払うと、蒼太達は大急ぎでプライベート・ジェットの乗り場へと向かうモノの、ここは一般の搭乗口とは別棟の、それ専用の搭乗窓口があって、そこで受付から出入国の確認、荷物の検査、航空機の準備が出来るまでの待機と搭乗まで必要な、ありとあらゆる過程、設備を満足に熟すための施設が整えられていたのだ。
それら全てを終えて蒼太達が待合室で寛いでいると、20歳代と思われる二人の外国人男性と二人の外国人女性とがノックと共に入室して来るモノのその内男性二人はパイロットであり、女性達はパーサーであった、ノエルに彼等を紹介される傍らで蒼太達はその心身の状況をくまなくチェックしてはオーラ等も判別し、その上で“大丈夫”と言う太鼓判を押した、四人には特に、異状な箇所など全く無くて完全に“シロ”、つまりは味方であったのだ。
残る問題はー。
(飛行機とパラシュートか・・・)
(この二つに細工をされてしまっていた場合、もうどうする事も出来ないからね・・・)
そう思うと蒼太達はまた、案内をされたプライベート・ジェットの基幹部分たる操縦席やエンジン、客室にいたるまでの外側や内側、そしてパラシュート等を、何度も何度も念入りなまでにチェックして回るがそれらのどこにも、悪意のある人の手の加えられた形跡は全く無くて、ノエルの言った通りに安全である事が伺えた。
「ふうぅぅ・・・っ!!!」
「大丈夫、問題無いみたい・・・!!!」
二人で顔を見合わせあった夫婦は共に安堵の溜息を漏らすとその上でノエルに頭を下げると同時に謝意を示した。
「ごめんなさい、ノエルさん。特に問題はありませんでした・・・」
「貴女の言った通りだったわね。本当に申し訳なかったわ、それにどうも有り難う!!!」
「あははは~っ。全然良いよ~、気にしないよ~(o´∀`)b(o´∀`)b(o´∀`)b」
と礼儀を尽くす二人に対してノエルはいつもの調子で応じた、本人は全く気にしていないのだろう、精神面にも肉体面にも力みや変動は感じられない。
「さぁっ。じゃあ早く行きましょーっ( ^o^)ノ( ^o^)ノ( ^o^)ノ追っ手が私達の事に気が付いて、ここまでやって来ない内にねぇ~っ!!!」
その言葉に、蒼太とメリアリアは互いにコクンと頷き合うと颯爽とジェットに乗り込んでノエル共々VIPルームで寛ぎながらも思い出の詰まっていた“大八洲皇国”を後にした。
目指す先はもう一つの故国であり、思い出の詰まった始まりの地、“ガリア帝国”であるー。
~第二部・完~
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読者の皆様方、こんばんは。
ハイパーキャノンと申します。
皆様方の暖かな御声援、御愛顧のお陰をもちましてここに、第二部を無事に完結させる事が出来ました、本当に、どうも有り難う御座いました。
また読んでいて至らない部分ですとか(大筋の部分は絶対にブレないようにいたしましたが、それでも)自分の都合で表面的には迷走させてしまった箇所など、反省すべき点も多々残りました、皆様方におかれましてはその度毎に余計な御心配、御迷惑、そして御不快な思いをさせてしまい、本当に失礼を致しました、大変申し訳御座いませんでした。
それらがありましても変わらぬ応援、評価、ブックマーク等いただきまして、何とかここまで来る事が出来ました、重ね重ねの御恩情、大変感謝致しております。
今後蒼太君達はもう一つの故郷であります“ガリア帝国”へと帰りまして、この世界における“ドラクロワ・カウンシル”であります“ACO”即ち“アンチ・クライスト・オーダー”との間に激戦を繰り広げて行く事になります(他にも“レウルーラ”等ともです)。
まだまだ書かなければならないことは山ほど御座いますが、どうかもう暫くの間はお付き合いしてやって下さいませ。
また最後にもう一つ、本当は“薬”に関する話も入れたい、と思っていたのですが話の内容が余りにも膨大になって纏まりに欠けてしまう事や、その結果として読者の皆様方を混乱させてしまいかねなかった為に、敢えて中止させていただきました、どうぞご理解下さいませ。
結論から申し上げさせていただきますと、私個人としては例えば、“麻薬”ですとか“違法薬物”のような、危険なモノ(そう言ったモノに頼るのは絶対にダメだと思っています、何故ならばあれは、一部の脳内物質をわざと“超”が幾つか付くほどに、無理矢理多量に分泌させてはネットワークを混乱させて、その結果として“魂”との間に正常なやり取りが出来なくさせてしまうからです。つまり“人間を人間で無くしてしまうモノ”だからです、そう言うのはちょっと・・・)以外であれば、“個人が許される範囲、許容範囲で使うのであれば”、そしてもっと言ってしまえば“肉体に副作用や無理の掛からない範疇であるのならば”、場合によっては用いられるのもOKだと思っています(勿論、それだって例えば“オリンピック”のように、持って生まれて来た肉体的、或いは精神的素質と個人個人の極限までの努力、それらによって優劣を決するような大会に持ち込むのは“いけないこと”だと思っていますが)。
と申しますのは仮に“薬”を使って身体を強化する場合、それだってその対象者に伸び代が無ければ無駄な事なのであって、要するに“薬”によって肉体の一部(もしくは全て)が強化、発達した、と言うのはそれは、“薬”と言う“切っ掛け”によってその人の持つ“潜在的な力”が発揮されて来た、と見る事が出来る、と思うからです(あくまで個人の感想で御座います、生意気を言ってしまい、申し訳御座いません)。
あと一応、お断りをさせていただきますが、だからと言って蒼太君やメリアリアちゃんが薬に頼る事はありません(主人公サイドがそれではちょっと違う気が致しますし、それにやっぱり蒼太君もメリアリアちゃんも先に挙げさせていただきました通りに、あくまでも持って生まれて来た肉体的、精神的素質と個人個人の極限までの努力によって勝利を得るべきと考えておりますので。←特に蒼太君はそう言う家系の生まれと言いますか、あれ程凄い両親達の血を引いておりますので・・・)。
そう言う事で御座います、最後の最後まで長々と、また生意気な事ばかり書き連ねてしまい、大変申し訳御座いませんでした、ただこれらの事は今後の物語を進めて参ります関係上、どうしてもその根幹に関わって参ります事柄で御座いましたので、失礼とは思ったのですけれどもそれでもどうしても、と言うことで記載させていただきました、どうぞ御了承下さいませ。
皆様方におかれましてはどうかどうか、お体と心、そして精神とを日々御自愛いただきまして、そしてどうかまた、第三部が始まりましたならば変わらぬ御声援、御愛顧の程を、どうかよろしくお願い申し上げます。
長文、駄文失礼致しました。
敬具。
ハイパーキャノン。
より正確に言うのならば“意識”こそが“自分”です、この世界を、周囲を、存在達を感じて認識している部分こそが即ち“自分”なのです(だから“自ら分かる”って書くのです)
またメリアリアちゃんと言うのはとても一途で真面目で誰よりも深い愛情を蒼太君に抱いています(本当の彼女は非常なまでに純粋でいじらしく、そして健気な女性なのです)、なので何があっても蒼太君の事を忘れられないのです。
そんな彼女がもし、誰かに掠(さら)われて酷い事をされたとしても、それでもメリアリアちゃんは蒼太君の事を思い続けるでしょう(“自分の事は忘れて”等と口先では言ったとしてもです)。
このお話ではもし仮にそうなってしまった場合のメリアリアちゃんの心情も描写しています(蒼太君目線で話は進みますがもし何かあった場合は“彼女”は間違いなくこうするでしょう)、ピンと来られた方にお尋ねしますが皆様方の中でその時、“彼女”はどう言った行動や反応を示しますか?
それらを思い浮かべながらお読み下さると幸いです(またこのお話は前話であります“許しの刻と報われの空”、そして第三部冒頭の“心の働き”、“セイレーンの岐路”も合わせてお読みいただきますとより理解が深まろうかと思われます)。
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「ま、まあその話はおいて置くとして・・・。でもまあ好きな人がいない子供達に交わり合う事の楽しさを広げる事自体は、問題ないと思うんだぁ~(´▽`)ノ(´▽`)ノ(´▽`)ノ」
「いやいや問題、大ありでしょ!?」
ノエルの言葉に蒼太がすかさず突っ込むが仮に女性同士の行為の場合であっても、それが元で心に傷を負ってしまう娘だっているのだし、それに処女膜(ハジメテ)だって破れてしまう可能性もある、確かに子供が出来るリスクは無いからそこら辺に関して言えば、遊びの延長線上のような感覚で出来るのであろうが決して万全でも無ければ安全とも言えないモノであった。
「でもさぁ~、ソーくん不思議だよねぇ?こんな事をしている私が言うのもなんだけれども、“セックス”って愛が無くても出来ちゃうモノなのかなぁ~(・_・;)(・_・;)(・_・;)だってエッチしている私にも、あの娘達にも恋愛感情なんて無いんだよぉ~っ???」
「“セックス”=必ずしも“愛”ではありませんからね」
そんなノエルの言葉に蒼太が答えた。
「でもやっぱり、僕としては“最高の愛情表現の一つ”であると思っているんですよ。例えばノエルさんなんかも実際に、相手を選ぶ際って必ず自分の好みだったり、“この娘だったらいいかな?”って言う子を選んでいるんでしょ?決して無作為に選んでいる訳では無いじゃないですか」
「まあ、そりゃね?」
とその言葉を受けてノエルが頷くモノの確かに言われる通りで、ノエルが相手となる少女を選ぶ場合は必ず先ずは年齢の確認と好きな人の存在の是非、そしてー。
その娘が、“あり”か“なし”かを見極めるのだが例えばこれが従妹だったり親戚だったりする場合だとそうそう無い事なのであるが、反対に、赤の他人が相手となってくるとどうしても、ちょっと申し訳ない言い方をすれば中には“清潔感が足りない”だったり“感性が合わない”、もしくは“生理的に受け付けない”等の理由で却下する場合が結構多く、選り好みにはだから、慎重を期する必要があった。
「僕はやっぱり“セックス”には愛が必要だと思います、それは例えば“恋愛感情”ですとか“純粋なる愛情”とまで言われる程に、真摯で確かで燃え上がるような、そんな崇高でハッキリとしたモノではなかったとしても、それでも“意識しない愛”と言うんでしょうか?とにかく“必要最低限度の愛”と言ったモノは、絶対に必要になってくると思うんですよ。こんな事を言ってしまうのは些か失礼なのですけれども人が自然状態にあるとして、即ち相手を自由に選べる状況下にあるとした場合、やっぱり“自分が嫌だと思う人物や存在”だったり“生理的に受け付けない人”とのセックスって無理があるでしょう?そこには“こんなヤツを相手(合い手)になんかしたくない!!”と言う断固とした強い拒絶の意思、感性が働くからなんです。そこにはもう、愛(合い)は無いんですよ」
「・・・・・」
「なるほどね」
と、そこまで話を聞いた瞬間、ノエルが大きく頷くモノの、つまりは“愛のない(と思われている)セックス”をする際にあってすらもやはり、それでも“最低限、相手を受け入れるに足りるだけの愛が必要不可欠”と言う事であり、これは(そう言った意味で)“経験豊富な”彼女からしてみれば確かに、頷ける言葉ではあった。
「さっきソーくん、言ってたもんね?“嫌だと思う相手と言うのは基本的には自分にとって必要の無い存在だ”と。確かにそれは頷けるわ、それにそんな相手と無理をしてやった所で絶対に気分も乗らないだろうし。ちっとも気持ち良くもなれないだろうしね?」
「ええ、やっぱりノエルさんもそうだと思いますけど、“なんなの?この娘・・・”って言う子とするよりも“可愛い”と思う子の方が燃え上がると思うんですよね?夢中になれるって言うか。それは事実だと思います」
とそれを受けて蒼太が再び頷くモノの確かに、セックス自体はすれば誰もが“それなりの快感”を得ることが出来るのであるが、これは肉体の持つ機能、能力に由来する。
と言うのは考えてみれば当たり前な事なのであるが、男女とも性感帯を的確に刺激されればされる程、気持ち良くなれるモノなのであり、セックスと言うのは基本的には、そんなお互いがもっとも効率的に快楽を得るための方法が形となった行為なのだ。
ただし。
「それだけじゃありません」
蒼太は語るが人間とはどうしても“愛”を求めるモノなのであり、“心”もっと言ってしまえば“気持ち”を大切にする生き物なのである。
これは現に、気持ちが向いている相手とのセックスの方が、単に義務感や仕事で行われるそれよりも段違いに気持ち良く、満たされるモノである事をみても納得の行く思想であるが、では何故、気持ちの向いている相手とのセックスの方が、仮に受け入れる事が出来ていたとしても、特に愛情も何も抱いていないその他のそれに比べて格段なまでに燃え上がるのか、と言われるとそれは、意識や神経と言ったモノが、全てその人へと向き切るからに他ならない。
要するに感覚が相手へと向けて集中し尽くして行くのであり、その結果として与えられる刺激に対して身体が敏感に反応するようになって行き、快楽が倍増して行くからなのであるが、それだけではない。
それが本当に、愛し合っている人との間に為される行為、交わりと言うのはそこに更に“愛情”が加わって来るのであるが、するともう、それ以外の相手の事等問題にならない位にその人の事が愛しくて愛しくて堪らなくなり、“その全てを受け入れて抱き止め”、それどころか“もっと欲しい”、“一つになりたい”とでも言うかのように全身全霊で相手を求めて貪るようになって行く。
つまりどこまでも相手との行為に夢中になって燃え上がる事が出来る訳なのであるが、それに加えてもう一つ、そう言う状態で続けられるセックスにおいてはそれ以外の人物との間に為されるそれらとは比べ物にならない位に、お互いの“気”が奥の奥まで混じり安くなるのであり、特にこれは結合を解かずに二人でずっとラブラブして行っていれば行っている程加速していくモノなのであって、そしてその結果として二人に非常に強い一体感、解け合うような恍惚感をもたらすようになって行くのだ。
それが世間一般で言われている“スローセックス”、もしくは“房中術”と呼ばれているモノの正体であり、愛する人とのセックスで心も身体も満たされる要因の一つとなっているのであるモノの、ただし。
「気を付けなければいけないのは、これらが好きでも無い相手との間にも引き起こされてしまう可能性がある、と言うことだ」
蒼太が再び語り始めるモノのやはり、セックス=必ずしも愛と言う訳では決してなく、それによって得られる快感というのは基本的には単なる肉体の刺激に対する反応でしかない。
「まずはそこの部分を理解していないと、とんでも無い事に陥る場合があるんだよ。勿論さっきも言ったように、気持ちが向いている相手との方が、実際に気持ち良くもなれるし、心地好くもなれるモノなんだよ、確かにね。ましてや愛し合っている者同士なら尚更だけれども・・・。一方で例えば、世の中には“女の人のあしらい方”っていうのかな?要するに“ムード作りやセックスの上手い人”って言うのが確かに居る。で、大抵そう言う人と言うのは大なり小なりこの事については知っているんだ、そしてそれらを利用する形で女の子達を落としに掛かってくる。そう言う“調教の仕方”みたいなのを知っているんだな、そう言う人達のセックスと言うのは実際にはだから、一発やって“はい終わり”では無いんだよ、その後も凄いじっくりゆっくりと、そして時には激しくしながら時間を掛けて続くんだ。“女は一度イカせてからが本番だ”と言う事を知っているからね。僕も」
と蒼太は言った、“異世界も含めて世界中を旅して来たから色んな人から話を聞いたよ”とそう告げて。
「・・・・・」
「色んな、話・・・?」
ノエルの言葉に蒼太が“うん”と言って頷くモノの例えば蒼太はメリアリアを開発する際に、“ある事”をしたのであるがそれは体中を撫でたりキスをしたりした時に、メリアリアがピクッと反応を示す事があった場合、“ここどんな感じ?”と聞いてみて“良く解らない”、“変な感じがする”と言ったらそれは未発見な性感帯である可能性の方が高いと判断、後は彼女の反応を見ながらそこを重点的に刺激したり、また或いは一度イカせた後で身体が敏感になっている内に彼方此方を愛撫しては気持ちの良い部分を見つける、と言った事を焦らず徹底的なまでに繰り返したのだ。
結果。
今ではメリアリアはすっかりと蒼太に開発され尽くしてしまい、言葉責めや焦らしプレイ等の相乗効果も相俟って完全に彼専用の愛妻肉便器と化してしまっていたのであるが、何故蒼太がそんな事をしたのか、と言えばそれは、女の子と言うのは初めての内は快感自体がまだ良く解っていないために“なんかムズムズする”と言った反応を示す事があり、また慣れて来た後でも恥じらいからそれに準じる言葉を返してしまう場合があるから、だったのである。
“神界”を含めた異世界の各地を転戦する内に、その手の匠な人達数名から話を聞かされていた蒼太はだから、早速にしてそれを実際の彼女との性交に活かして取り入れては何度となく試し、その反応を探り続けて、ようやくの事でメリアリアの心と身体とを自分専用へと染め上げて行ったのだ。
(これを連続してやられてしまうと“自分とは何者か”と言う事について、そして“心について”何も知らないでいる女の子と言うモノはほぼ確実に“落ちて”しまう。それは何故かと言うと相手に“心酔”してしまうからだ。“私はこの人によって快楽を教えられた”、“この人によって開発されてしまったんだ”、“作り変えられてしまったんだ”等と思ってしまうからな・・・)
“もし”と蒼太は思うが“もしも最初からメリーがこの事を知っていたとするならば”即ち“自分がやろうとしている事を察知していたのならばどうだったであろうか”と。
(抵抗しただろうか?いいやメリーならば多分、僕の事をそれでも受け入れてくれた筈だ。僕には解る!!!)
改めてそう思うが元々、ずっと直ぐ側にいて彼女を見続けるのみならず、繋がり続けて来た彼にはだから、彼女の気持ちがある程度は感じ取れるようになっていた、即ちー。
“あなたにだったら良い”、“あなただから良いの”と言うそれであって、現に蒼太のメリアリアに対する調教と言ったモノは、恐ろしい程にすんなりと進んでいったし、そしてー。
今現在のこの姿、この関係へと収まっている次第であったがそんな蒼太が一つだけ、気掛かりな点があった。
それは夫として妻に失礼と言うよりも、本来であれば絶対にあってはならない考えなのであったが“もしメリアリアが自分以外の何者かによって掠(さら)われるか何かしてここまでの調教を、それも連続して受け続けてしまっていたとしたならば、その時彼女はどうしたであろうか”と言うモノだったのであり、そしてそれを思った時に蒼太の心の中は、悲しみでいっぱいになってしまった。
(・・・恐らく。メリーの事だから心までが屈服させられてしまうような事は何があっても有り得なかっただろうし、よしんばそこまで行ってしまっていたとしたならばもう、間違っても二度と再び僕の元へと会いに来てくれるような真似は、戻って来てくれるような真似はしなかったに違いない。この子は昔からそう言う所、うんと頑固で絶対に妥協を許さない子だったからなぁ。自分に嘘の付けない子だったから。だから“自分はもう、汚されてしまった”とかなんとか言って、此方の“祈り”が届いて心の傷が癒えるまでは、そして何より自分自身を許せるようになるまでは何があっても決して僕には会おうとはしてくれなかっただろうし、仮にもし、会ってくれたとしてもその後の人生も共に生き続けてくれるような事は、歩んでくれるような事は、間違ってもしてくれなかっただろう!!!)
蒼太が思うがメリアリアはその辺りは凄く不器用で真面目で一本気な女の子だ、そんな彼女だったから恐らくは相手に屈服させられてしまった、もしくは汚されてしまった自分自身がやるせなくて許せなくて仕方が無く、またその事実が彼女の中で絶対的な意味を持って来る訳であって、そしてそれ故にだからこそ助け出された後であっても“自分には最早蒼太に愛される資格はない”、“愛情を向ける資格もない”等と考えてしまい、その結果としてだから、此方がどれ程心の籠もった言葉を投げ掛け続けようとも(祈りが通じるまでの間は)絶対に応じてくれなかったであろうし、またはその口から“側にいて?”とか“側に居させて?”、“愛してる”等と言う台詞が飛び出して来る事自体が、まず有り得なかったであろう事は、想像に難くない事象であった。
それに。
(なによりかによりの話として。この子の放つ“魂の煌めきの迸り”が失われてしまっていた可能性が非常に高い。あれはメリー自身の内側に秘されている“霊性なる根源部分”、その底の底から湧き上がってくる“確かなる愛の輝きの顕現”、“本質の光”そのものが“極限まで凝縮されたモノ”だからな。その根幹と言うべきか、軸となるべき“僕への思い”、“暖かさ”と言ったモノが揺らいでしまっている状況下において発現する事が出来るような代物では、間違ってもないモノなんだ!!!)
そう思って蒼太は改めて妻の魂へと向けて意識を集中させてみるモノの、そのプリズムのように七色に光り輝く崇高なまでに純粋なる霊性の煌めきは些かも損なわされることなく超然とそこにあり続けていたのであって、それどころかいっそ神々しいまでにますます、その照り返しの美しさ、強さを増して来ていた。
その上。
(僕の色が、混じって来ている・・・!!!)
と彼は正確に見て取るモノのそこには確かに白を基調とした、全てを刺し貫いて行くかのような強烈にして眩いばかりの無限なる光の波動が入り交じって放たれるようになって来ており、反対に彼の魂の中にも、どこまでも澄み渡るように無色透明な、それでいて鮮やかなまでの七色の輝きを放つ部分が存在するようになって来ていたのであるが、遙かな時空を超えて響き合う、彼等夫婦の互いへの思いの丈は遂には極限を超えてまで増大して来てしまっており、そしてその結果としてその愛は、“魂同士の共鳴”どころか“混ざり合い”まで引き起こさせていたのであって、それは蒼太をして“ついにここまで来た・・・!!”と言う、ある種の感慨をもたらすのに充分な程の喜びと法悦とを覚えさせていたのである。
「・・・・・っ!!」
「蒼太・・・!?」
ちょっとだけビックリしたような、キョトンとした表情を浮かべたままでメリアリアが此方を見つめて来るモノの、感極まってしまった蒼太はだから、堪らなくなって思わず妻を、少しだけ強めに力を込めて自身へと更に抱き寄せたのだがそんな夫の行動に最初は戸惑いを覚えていたメリアリアも直ぐに自身も嬉しくなって、その身を思いっ切り擦り寄せ返した。
(メリーとここまで来られたのは、本当に良かったのだけれども・・・)
“もし”とそんな妻との幸せな一時を過ごしつつも、蒼太は更に考えを巡らせてみた、“例えメリーが大変な事になってしまったとしてもそれでも、僕達の間に子供がいたとしたならどうだっただろう、違っただろうか?”と、しかし。
想像をしてみた所で結果はやはり同様であった、“こんな汚れてしまった母親などとあなた達は一緒にいてはいけないわ!!?”と言って、此方がどれだけ引き止めても決して聞かずに山奥の村か修道院かにでも籠もって夫や子供達の為にと密かに祈りを捧げ続けながら、毎日をひっそりと過ごし続けていた事だっただろう、メリアリアとはそう言う女性だったのだ。
「・・・・・っ!!!」
そこまで考えた時に蒼太は頭(かぶり)を振って慌ててその考えを振り解くモノの、それはとても痛々しくてどうしようもない物語であり何があってもそんな未来など、来させる訳にはいかなかった。
「・・・はあぁぁっ!!!」
(いけない、いけない。頑張るんだぞ?蒼太・・・!!!)
そんなクソッタレな世界線等を、間違っても生み出させない為にも蒼太は腹の底から息を吐き出すと同時に何としてでも“妻を守る”と言う決意を新たにしたのであった。
「・・・・・っ。蒼太?」
「どうしたの?ソーくん・・・」
そんな彼をメリアリアとノエルは不思議そうな表情を浮かべて見つめるモノの、それに対して蒼太は“ゴメンね、何でも無いよ!!!”とそう告げると話の軌道を元に戻した。
「続けるけれども。基本的にはセックスの快楽と言うモノは、肉体に起因する。あと房中術なんかもそう、あれは男性の気がもっとも集中している男根を、女性の気が溜め込まれている女陰へと挿入して結合させる事で徐々に二人の気が混じり合い、そしてその結果として、強い一体感が生み出されて来る仕組みになっているんだよ。そしてこれが更に進んで来ると、恍惚感までもが生み出されて来る訳なんだけれども。これらは全て肉体に起因している能力であり、当たり前の反応現象でしかない」
“ところが”と蒼太は続けた、“それを何も知らない人が誤解して、勝手に変な風に落ちて行くんだ”とー。
「・・・・・?」
「どう言う事・・・?」
「それを説明する前にまず、人の心とはどう言うモノか、と言う事に対する説明が必要になるんだけれども・・・。まず一つ目として“心”も“肉体の一部”であること、そして二つ目は、心とは単に感情を司っているだけではなくて、“基本的には快楽を求めるように作られている”と言う事が挙げられる。これは例えるならば美味しいステーキを食べた時に、“もっと食べたい”と思うでしょ?気持ちいいマッサージなんかを受けた時にも、“もっとやって欲しいなぁ~”って思いますよね?あれですよ、あれ。何だったら身体が凝っている時に、“伸び”をする感覚って言ったら解りますかね?ああ言ったモノなんです、心の働きって言うモノは。そしてそれと同じ事が」
“セックスにおいても起きるんですよ”と蒼太は続けるモノの元来、セックスは子孫繁栄の為の大切な儀式であると同時にお互いの愛情を確認し合う為の、一番ハッキリした形でのコミュニケーションの一つなのであって、そしてそれ故に、お互いに気持ちが通い合っているモノの方が遥かに官能的で情熱的なそれになることは疑う余地の無い事実であったながそれだけではない、かてて加えて愛し合っているセックス、即ち相手に意識を向けているセックスと言うのは繰り返せば繰り返しただけ、“ある変化”が起きてくる。
何かと言えばそれは、“肉体や性器が相手のそれらに合うように変化してくる”と言うモノであり、そしてその結果として余計にその人との行為においての快感が得やすくなっていくのである。
「ねえ、メリー・・・」
「んん。なぁに?あなた・・・」
「人前で、こんな事を言うのは夫婦におけるマナー違反と言うか、申し訳ない事なんだけれども・・・。君とセックスした時に、恐ろしい位の恍惚感と言うか幸福感と言うか・・・。とにかくお互いに物凄いまでの愛欲と愛情とに満たされて、包まれた事があっただろう?」
「あったわ!!!」
と、唐突に夫から掛けられたその言葉に、それでも彼女(メリアリア)は一も二も無く頷いて答えた。
「本当に頭の中が真っ白くなって、身体が宙に浮いていて・・・。でもそれだけじゃない、深い部分であなたと繋がっているのが、交じり合っているのがハッキリと感じられて。それが凄く尊くて、有り難くて、気持ち良くて心地好かったわ、言葉に出来ない位に凄かった、最高だったの。本当に確かな愛しさが後から後から湧き上がってくる感じなのっ!!!」
「そうだ」
蒼太が頷くモノの正直に言って確かに、魂のレベルにおいても、愛する相手と交わり合うこと、繋がり合う事と言うのは途方もなく愛しくて気持ち良く、心地良いモノであり、そしてそれらをこの三次元的な世界においても“擬似的に”体験する事が出来るのが肉体におけるセックスなのである。
「だからこそ、なんだけれども。“魂同士の交わり”程は行かないにしても、それなりの一体感や恍惚感を、肉体のみのセックスでも味わう事が出来るんだ、それがさっきも言った、“スローセックス”や“房中術”を取り入れたモノなんだけれども元々、セックスを行う際には相手に対する“最低限度の愛情”と言うモノが、絶対に必要になって来る。重ねて言うけれどもそれが無ければそもそも自分以外の存在との間にセックスなんて、出来る訳が無いからね。自然状態においては特にそうだよ、例えばそれが“暴力で強制されました”とか“断りたくてもどうにもならない状況へと追いやられてしまいました”、“お金をもらった上での割り切りです”等という状況下でも無い限りかは、まず間違っても受け入れたくなんか無いだろう。・・・それにそんな相手とのセックスって、ちっとも気持ち良くなんか無かったと、僕は経験者の女性から聞かされた事があるけれども、いずれにしてもそんなモノだよ」
“だけど”と蒼太は言う、“中にはさっきも言ったように女性を開発したり調教したりする事の出来る男がいる”とー。
「そう言う人って言うのは本当に、セックスへの持っていき方が上手いんだ。勿論ムード作りが、だけじゃない、本番における“床あしらい”も非常に優れたモノがあって、女性に愛の言葉や罵りの雑言を掛けたり囁いたりすると同時にその性感帯を的確に見抜いてそこをネチネチと責め上げて行くんだよ、じっくりと時間を掛けてね。かと思うと時折激しいピストンやら愛撫やらで女の子を“燃え上がらせたままで”、“何度となくイカせる”事が出来るらしいんだよ、しかもセックス自体がまた長くて、何時間も何時間も、何度も何度も繰り返し繰り返し行うそうだ、場合によっては中出し込みでね。するとどうなるのか、と言えば女性は正常な感覚を奪われてしまうほどに蕩けて敏感になっている所へ持ってきてそこから更に極上の快楽を与えられる。しかも自分の性感帯を開発もされてしまう上に、場合によっては例の“房中術効果”による“一体感”すらも生まれて来るんだよ、そうなると女性はもう、その男性に対してはメロメロになってしまう」
“挙げ句の果てには”と蒼太は続けるモノの、“例の心の作用によって、どこまでも快楽を求めて行ってしまうんだよ、別に大して好きでも無い、気持ちも何も乗っていない相手であってもね”と。
「何のことは無いよ、全部肉体に起因している“正常な反射現象の連続”もしくは“それらの重複”に過ぎないんだけれども。それを何も解っていない人はやれ“自分は屈服してしまった”だの、“自分から求めてしまった”だの、“この人と深い部分まで交わってしまった”だの、“この人に作り変えられてしまった”だの意味不明な事を言い出すんだよ。挙げ句の果てには“自分はこの人の事が好きなのかも知れない”等と思い込んでしまう女性(ひと)までいるそうなんだけれども、そうなって来るともう、完全に相手の思う壺なんだ。しかも厄介な事にこれは、相手がそう言った手練手管を知っている場合にはどんなセックスにおいても起こり得る事なんだよ」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・断っておくけれども。これらは間違っても“愛情”なんかじゃない。どちらかといったら“心酔”に近いモノなんだよね、それも女性の方からの一方的な、ね。いいや、もっとハッキリと言ってしまえば“勘違い”と断言してしまっても良いだろう。何故ならばさっきも言ったと思うけれどもこれらはあくまでも“肉体の持つ反射現象の重複”によってもたらされているに過ぎない、だからそこには本来の、自分の意志も愛情も何も、何ら関係して来るもんじゃ無いんだよ、自分で勝手にそうやって、思い込んじゃってるだけなんだな」
「ねえソーくん!!」
するとそれを聞いていたノエルが不思議そうな顔をして聞いて来た、“それじゃあセックスにおける快楽には愛とか気持ちとかは関係無いの?”と。
「肉体における反応現象って言われちゃうと、確かにそうかなって思っちゃうんだけれども・・・。でも私の場合、“この娘可愛い”って思える子の方が、燃え上がるって言うか、凄く気持ち良くなれるんだよね・・・」
「さっき言ったじゃないですか、“愛とか気持ちのある方が格段に気持ちいいんですよ”って・・・」
蒼太が続けるモノの要はするにそれらがあると、相手に対して全神経と感覚とが向くようになり、その結果、与えられる快楽に対して人はますますシャープになれる、ましてやそれらが大好きな人との間に為されたモノだ、と思うと尚のこと、気持ち良くて心地好いモノとなるのであり、それが深まれば深まる分だけ激しく燃え上がる事が出来るのである。
「“相手の事が愛しくて愛しくて堪らない”、だからこそ“もっと来て欲しいし、自分の全てを奪って欲しい、貪って欲しい”。それで何もかも忘れさせて欲しい、そう思うようになります。そうだろう?メリー・・・」
「う、うん、そうだけど・・・。でもなんでそんな事が解るの・・・?」
「だって僕も同じだもの!!」
蒼太があっけらかんとそう言うモノの彼だって行為の最中にメリアリアの事が可愛くて可愛くて仕方がなくなりその結果、“もっと欲しい”、“全部貪りたい”、“全部俺のモノにしてやる!!”と言う、己の中にある滾りそのものを爆発させては彼女を抱き締め、犯し、組み伏せては、どこまでどこまでも際限なくイカせ続けて遙かなる高みのその先へといつ果てるともなく打ち昇らせて行くのである。
「だから、解るんだよ、メリーもそうかな・・・って」
「もうっ、あなたったら!!」
“チュ・・・ッ!!”と堪らなくなってまた、最愛の夫の唇を奪うとメリアリアはその身体ごと、彼に全てを委ねるかのようにしてスリスリと擦り寄せ続けては、密着させて来るモノの、そんな彼女をしっかりと横から抱き締めたままで蒼太は自身も彼女の頭部へと頬を当てると同時にその肉体を、少し強めに寄り添わせた。
「ねえあなた・・・」
「・・・ん。なんだい?メリー」
「私ね、私。また“したく”なっちゃったの。だから・・・」
“あとで、抱いてね?”と耳元で告げる妻に堪らない程の可愛らしさを覚えた蒼太は彼女の頭にキスをするとそのハニーブロンドの金髪を優しく何度も撫で返すがメリアリアは夫にこうやって、頭を撫でてもらうのが大好きだった。
自分が彼氏に愛されているんだ、大切にされているんだ、と言うことが身体を通して感じられて、心の中から一層、喜びが溢れ出して来るモノのそんな彼氏とのセックスは、本当に飛んでしまう位に気持ち良くて心地好く、かつ堪らないモノがあった、自分が自分で無くなる程の超越的な官能とエクスタシーの連続と重複、愛しい彼と一つに解けきって行く時の、あの何物にもまさる位に凄まじい恍惚感と確かなまでの暖かさ。
それら全てが一遍に襲い掛かって来ては彼女を満たし、その意識を超絶の果ての更に向こう側にまで追いやって行ってしまうのであるモノの、そんな愛し合う事の喜びも、女としての悦楽の全ても蒼太から教えてもらったメリアリアの精神も肉体も早くも疼きっ放しとなってしまい、夫を求めて止まらなくなってしまっていた、早く彼に抱かれたくて抱かれたくて堪らなくなり、口の中がカラカラに渇いてアソコがジュンと潤んでしまうが、一方で。
蒼太もまた、妻との行為を反芻させては人知れずに昂ぶり続けていたモノの、実際問題として、メリアリアとのセックスは比類無い程に激しくて、恐ろしい位にまで濃厚である、それは単なる肉体的な反応現象に起因するモノばかりでは決してなくて、精神的要素もまた、多分に含まれていたのであるがやはり、そう言った意味でも“愛”、そして“愛情”と言うのは偉大だと、蒼太はつくづく考えていた。
これが無ければそもそも論として自分の中に相手を受け入れよう等という気はさらさら起きなかった訳であるし、それよりなにより相手と一つに交わろうとする意志自体が生まれて来なかったに違いなく、そう言った意味においてもこの“魂からの迸りの煌めきが感情になったモノ”に一定の敬意と注目とを払わざるを得ない。
(この“煌めき”の尊さは、確かさは。本当に素晴らしいモノがある、何を以てしたとしても、決して代替の利かない程に・・・!!)
そこまで思い至った時、蒼太はメリアリアへと再び意識を向けてはその身をしっかりと抱き寄せるモノの、そんな二人の愛の軌跡は自身と相手の本質そのものに至るまでに影響を及ぼし合っていて、それが所謂(いわゆる)“ミラーリング”にみられるような同調現象を引き起こしては二人の仲をますます強固なモノへとしていたのである、そんな最愛の夫からの。
気持ちの籠もった愛の抱擁にメリアリアは一瞬、ピクリと反応を示してしかし、特に抵抗する訳でも無くそのまま彼に身を任せた上に、むしろ自分から愛しそうにグイグイと、その白い全身や整った顔と頬とを擦り返して来るのだったが、本当は彼女だって蒼太ともっと引っ付いていたかったのであり、それ故にー。
人前でちょっと恥ずかしかったけれどもそれでも、勇気を出して甘えてみたのだ。
「ううう・・・っ!!!」
二人がそんな事をしながらラブラブしているとー。
「あーっ、あーっ!!?あっついなぁ~っ。熱くて熱くて堪らないなぁ~っ!!!もぉーっ(`Д´)(`Д´)(`Д´)」
蒼太の左隣に座っていたノエルがそう言って襟元をパタパタとし始めた、蒼太達にはそんなつもりは無かったモノの、どうやら見せ付けるような格好になってしまったらしい。
「いいなーっ、羨ましいなーっ。私も彼氏欲しいなぁーっ!!!ラブラブしたいなぁーーー(。>A<。)(。>A<。)(。>A<。)」
「その内出会えますよ、ノエルさんも・・・」
「って言うか。言って無かったっけ?“好きな男性(ひと)がいる”って・・・!!!」
「グスッ、ううっ!!!・・・うん」
メリアリアから掛けられたその言葉に、ちょっと涙ぐみながらも答えるモノの確かに、この時ノエルには好きな人がいた、遠い親戚に当たる4歳年下の男の子“レアンドロ・ド・ヴェルジック”だ。
元々が元気はつらつなスポーツ少年であった彼はしかし、フットボールと出会ってから一気にその才能に覚醒して行った、ジュニアクラブに所属してからと言うモノ名声はうなぎ登りに上がり続けて今では有名チームからの誘いすらあるそうである。
性格も明るくて爽やか系なスポーツイケメンだった彼はだから、女子達からの人気も根強くて現にファンクラブが結成されるに至っていたのであるモノの、そんな彼の事を。
ノエルは密かに好いていた、それは忘れもしない19歳になったサマー・バケーションの事である、当時ルクセンブルクの郊外へと避暑に来ていたノエル一家はそこで久方振りとなる、レアンドロ一家との再会を果たしたのだがその際に。
ノエルは彼に心を奪われてしまった、気さくな笑顔で話し掛けてくれる彼の姿を見た時からドキドキが止まらなくなり、それが一気に弾けたのがレアンドロの実家が所有していたフットボール・コートで地元のチームの練習試合に参加させてもらっていた彼の姿を見た時だ。
試合の最中の彼は本当に格好良くて輝いていた、少なくともノエルにはそう見えたしそう感じもしたのであるが、特に試合後に、チームメイトとはにかみながら会話をしていた彼の姿を見た時にー。
ノエルは恋に落ちてしまった、それ以降、寝ても覚めても彼の事ばかり考えるようになってしまい、自分でもどうにもならなくなってしまうがしかし、ではその胸に宿っている熱い思いを彼に伝えられたのか、と言えばそれは果たせておらずにおりその結果、実に5年間にも渡って悶々として満たされない日々を過ごしている、と言う訳であった。
「・・・・・」
「・・・・・」
「ハアァァ・・・ッ!!!」
とノエルは熱い溜息を吐き出すモノのそのアンニュイな表情はまさしく恋する乙女のそれであり、それは蒼太とメリアリアをして“この人にこんな一面もあったのか!!!”と思わず感心させてしまうモノの、しかし。
「だけどノエルさん、不思議です。どうして告白しなかったんですか?あなたならそこら辺、勢いでどうとでもなりそうなモノなのですけど・・・」
「本当よね、いつもあんなに自分の欲望に正直なあなたなのに。なんでそう言うとこばっかり初心なのかしら?」
「あのねソーくん、メリアリアちゃん。私だって女の子なんだよ?告白はテキトーにじゃなくて、ちゃんと会って行いたいの!!!」
二人の言葉にノエルが反論するモノの彼女はそう言うところはキチンとケジメを付けないと許せない性質(たち)であり、するのならば真正面から堂々と行いたいと考えていたのである。
しかし。
「本当はさ?私だってもっと早くに告白するつもりだったよ?だけどさ、いざ真正面から見つめられると何も言えなくなっちゃうって言うかさ。緊張しちゃって上手く喋れなくなっちゃうんだ~・・・(>o<)(>o<)(>o<)」
「いや、まあ。それは解りますけれどね・・・」
「それだけじゃ、無いんだぁ~・・・」
とノエルが語るが実はノエルが今のように身嗜みに気を使うようになったのは17歳を過ぎた辺りからであって、それまでは必要最低限度のオシャレしか、して来なかったのである。
「家はさぁ~、片親だったでしょぉ?事実上。パパは一生懸命に会いに来てくれたんだけども、それだって月に2、3日位しか無くてさぁ~。ずうぅぅっとママにお世話掛けっ放しだったんだぁ~・・・!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「だからさぁ、あんまりママに心配とか掛けたくなくて。それに私も“オタク系女子”だったから、外見とか気にしてなかったんだよねぇ~、あんまり・・・(・_・;)(・_・;)(・_・;)」
そう言うとノエルは“ハアァァ・・・ッ!!”と溜息を吐き出すモノの、要するにレアンドロはそんなズボラだった時の彼女を知っておりそれ故に、告白を行ったとしてもその成果に今一自信を持つことが、出来ないでいたのである。
それに加えて。
「家の親戚ってさあぁ~、どこも彼処も忙しいのよ、色んな“公務”やら何やらでねぇ~。だから二人っきりで会いたくっても中々、その時間が取れないでいたのぉ~(>o<)(>o<)(>o<)」
「なるほどね、そう言う事だったんですか・・・!!」
「あなたが中々、告白出来なかった理由。何となく解った気がする・・・!!」
それを聞いた蒼太達がようやく合点が行ったかのように何度も頷いて見せるモノのしかし、問題はその後に起きた。
「そーゆう訳で私もさぁ。なんか悶々としちゃってさぁ~っ。それ以来なんだよねえぇぇ、女の子達とやりまくってても、なんか今一気分が乗り切れないのは・・・!!!」
「・・・・・は?」
「・・・今、なんて言ったの。ノエルッ!!!」
次の瞬間、ノエルから放たれた言葉を聞いて蒼太とメリアリアは思わず耳を疑ってしまった、“何を言っているんだろう?この人は”と心底理解が追い付かずに半ば呆然としてしまうが、しかし。
「ええっ!!?いや、だからさ。女の子達とやりまくっていても、レアンドロの顔が思い浮かばれて来て・・・」
「当たりめーだろ、そんなのっ!!!」
「あなた、自分の心に恥ずかしく無いわけっ!!?」
蒼太とメリアリアが思わず絶叫するモノのこの時、彼等の中ではある逆転現象が起きていた、それは即ち、今まではノエルの事を“どうしようもない所もあるけれども尊敬すべき友人”だと思っていたのが、それが“尊敬すべき所はあるがどうしようもない友人”へと様変わりしてしまったのであった。
「ノエルさん、それは無いですよ。あんまりです!!!」
「レアンドロが、可哀想だわ。罪悪感とか湧かないの!!?」
「ええっ!!?う、う~ん。そりゃ、まあ。ね・・・?」
真面目に信じられない目つきで此方を見つめる二人に対してノエルは流石にしどろもどろになりながら応えるモノの、実際には彼女も罪悪感を感じてはおり、それ故にここ数ヶ年の間はそれほどに、女の子達にも手を出さずにいた訳である。
「で、でもさでもさ?まだ告白した訳じゃないし~っ。恋人同士にもなっていないから、セーフって事で!!!」
「何を言っているんですか、ノエルさん!!!」
「完全にアウトだわ。それは無いわよ、ノエル!!!」
「え、えぇぇ~・・・(;゜д゜)(;゜д゜)(;゜д゜)」
二人から凄い剣幕で詰め寄られて、ますますタジタジとなってしまうモノの実際に彼女もある種の罪悪感を覚えて自問自答を繰り返していた訳でありそれ故に、いつものように奔放に振る舞う事が、出来なくなっていたのであった。
「今まではさぁ、殆ど三日に一片とか。それ位のペースでやりまくってたんだけれども。なんかレアンドロに申し訳無くてさ、自分でも自分で“なにやってるんだろう?”って思うようになっちゃって。だからそれ以来、あんまり出来なくなっちゃったんだぁ~・・・(・_・;)(・_・;)(・_・;)」
「・・・・・」
「あんたねぇ・・・っ!!!」
その言葉を聞いた蒼太とメリアリアは思わず“はあぁぁ~っ!!!”と何度目になるか解らない溜息を、心の底から吐き出して行ったモノの、この時二人はようやくにしてノエルの行動、言動等に対する合点が行ったのであり、要するに彼女なりに心の葛藤を抱えていたノエルはそれ故に、ちょっとした欲求不満になってしまっていたのであって、だからこそ、人前であんな奇行に走ってしまっていたのであろう、多分。
(・・・それでここ最近、バカみたいに“やりてぇやりてぇ”って言いまくっていたって訳か!!!)
(レアンドロへの“恋心”と欲望とが鬩ぎ合いをし続けていて。その結果として頭の中がオーバーヒートしてしまっていたのね・・・!!?)
そう分析して自分達を納得させるモノの、そう言った気持ちや疑問が湧いてくるようであれば、まだやり直しは利くと言うモノであり、蒼太達はだから、必死の説明を試みる。
「ノエルさん、自分で自分のピュアな部分を裏切ってしまってはダメですよ。そう言うことをやっている人って必ず後でしっぺ返しをくらうんですよ?」
「大好きな人がいるのであれば、その人にちゃんと操を立てて、自分自身を律するべきだわ。その人に最も美しくて純粋な自分を捧げる為にも・・・!!!」
「う、うーん・・・!!!」
その言葉にノエルは思わず呻いて少し考え込んでしまうモノの正直に言って蒼太やメリアリアの言うことは良く解る、それが正しい事だとも感じる、しかしー。
「ノエルさん、それがさっき言っていた“心の抵抗”です。あなたは本当はどうすれば良いのが、よく解っているでしょう?」
「ノエル、自分に正直になって?そして心に勝って。お願い・・・!!!」
「・・・・・っ!!!」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・・・」
「「・・・・・」」
「・・・解ったわ!!!」
暫しの自問自答の末に、ノエルが告げた“私、レアンドロに告白する!!!”とそう言って。
「ちゃんと告白して、この問題に決着を着けて。前に進めるようにするわ!!!」
「おお~・・・っ!!?」
「それでこそ、ノエルよっ!!!」
と、二人は驚くと同時に感心してしまうモノの、この思い切りの良さこそが彼女の持っている魅力であって、そうと決まれば話は早かった。
「私、暫くは“マンマンセックス”は封印する、レアンドロと向き合って、そして彼と結ばれてっ。“チンマンセックス”をするためにっ!!!」
「・・・・・」
「・・・あ、ああ。そう!!!」
と、ノエルから為された“謎の決意宣言”を聞いた瞬間、蒼太とメリアリアは今度こそ本当にゲンナリとしてしまっていた、もう半ば、この年上ハーフの友人の事も、彼女の行おうとしている一世一代の大博打の事も心底どうでもよくなってしまい、今はただただ“もうこれ以上、何も喋らないでくれ”、“黙って座っていてくれ”と、それ以外の感想を、一切持てなくなってしまっていたのである。
「よっしゃあ、待ってなさいよ?レアンドロッ。これからこのノエル様が、お前に告白しに行ってやるぞぉーっ!!?ファイトッ、オーッ!!!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ほら、ソーくんも。メリアリアちゃんもっ!!!一緒に頑張るぞぉっ。オーッ!!!」
「オ、オォ~・・・ッ!!!」
「・・・・・」
一人燃え上がっているノエルを他所に、二人は殆ど脱力しまくってしまっていたのであるが、そうこうしているその内に。
ようやくにしてタクシーは、空の玄関口である羽田空港へと到着した、急いでドライバーさんにそれまでの代金を支払うと、蒼太達は大急ぎでプライベート・ジェットの乗り場へと向かうモノの、ここは一般の搭乗口とは別棟の、それ専用の搭乗窓口があって、そこで受付から出入国の確認、荷物の検査、航空機の準備が出来るまでの待機と搭乗まで必要な、ありとあらゆる過程、設備を満足に熟すための施設が整えられていたのだ。
それら全てを終えて蒼太達が待合室で寛いでいると、20歳代と思われる二人の外国人男性と二人の外国人女性とがノックと共に入室して来るモノのその内男性二人はパイロットであり、女性達はパーサーであった、ノエルに彼等を紹介される傍らで蒼太達はその心身の状況をくまなくチェックしてはオーラ等も判別し、その上で“大丈夫”と言う太鼓判を押した、四人には特に、異状な箇所など全く無くて完全に“シロ”、つまりは味方であったのだ。
残る問題はー。
(飛行機とパラシュートか・・・)
(この二つに細工をされてしまっていた場合、もうどうする事も出来ないからね・・・)
そう思うと蒼太達はまた、案内をされたプライベート・ジェットの基幹部分たる操縦席やエンジン、客室にいたるまでの外側や内側、そしてパラシュート等を、何度も何度も念入りなまでにチェックして回るがそれらのどこにも、悪意のある人の手の加えられた形跡は全く無くて、ノエルの言った通りに安全である事が伺えた。
「ふうぅぅ・・・っ!!!」
「大丈夫、問題無いみたい・・・!!!」
二人で顔を見合わせあった夫婦は共に安堵の溜息を漏らすとその上でノエルに頭を下げると同時に謝意を示した。
「ごめんなさい、ノエルさん。特に問題はありませんでした・・・」
「貴女の言った通りだったわね。本当に申し訳なかったわ、それにどうも有り難う!!!」
「あははは~っ。全然良いよ~、気にしないよ~(o´∀`)b(o´∀`)b(o´∀`)b」
と礼儀を尽くす二人に対してノエルはいつもの調子で応じた、本人は全く気にしていないのだろう、精神面にも肉体面にも力みや変動は感じられない。
「さぁっ。じゃあ早く行きましょーっ( ^o^)ノ( ^o^)ノ( ^o^)ノ追っ手が私達の事に気が付いて、ここまでやって来ない内にねぇ~っ!!!」
その言葉に、蒼太とメリアリアは互いにコクンと頷き合うと颯爽とジェットに乗り込んでノエル共々VIPルームで寛ぎながらも思い出の詰まっていた“大八洲皇国”を後にした。
目指す先はもう一つの故国であり、思い出の詰まった始まりの地、“ガリア帝国”であるー。
~第二部・完~
ーーーーーーーーーーーーーー
読者の皆様方、こんばんは。
ハイパーキャノンと申します。
皆様方の暖かな御声援、御愛顧のお陰をもちましてここに、第二部を無事に完結させる事が出来ました、本当に、どうも有り難う御座いました。
また読んでいて至らない部分ですとか(大筋の部分は絶対にブレないようにいたしましたが、それでも)自分の都合で表面的には迷走させてしまった箇所など、反省すべき点も多々残りました、皆様方におかれましてはその度毎に余計な御心配、御迷惑、そして御不快な思いをさせてしまい、本当に失礼を致しました、大変申し訳御座いませんでした。
それらがありましても変わらぬ応援、評価、ブックマーク等いただきまして、何とかここまで来る事が出来ました、重ね重ねの御恩情、大変感謝致しております。
今後蒼太君達はもう一つの故郷であります“ガリア帝国”へと帰りまして、この世界における“ドラクロワ・カウンシル”であります“ACO”即ち“アンチ・クライスト・オーダー”との間に激戦を繰り広げて行く事になります(他にも“レウルーラ”等ともです)。
まだまだ書かなければならないことは山ほど御座いますが、どうかもう暫くの間はお付き合いしてやって下さいませ。
また最後にもう一つ、本当は“薬”に関する話も入れたい、と思っていたのですが話の内容が余りにも膨大になって纏まりに欠けてしまう事や、その結果として読者の皆様方を混乱させてしまいかねなかった為に、敢えて中止させていただきました、どうぞご理解下さいませ。
結論から申し上げさせていただきますと、私個人としては例えば、“麻薬”ですとか“違法薬物”のような、危険なモノ(そう言ったモノに頼るのは絶対にダメだと思っています、何故ならばあれは、一部の脳内物質をわざと“超”が幾つか付くほどに、無理矢理多量に分泌させてはネットワークを混乱させて、その結果として“魂”との間に正常なやり取りが出来なくさせてしまうからです。つまり“人間を人間で無くしてしまうモノ”だからです、そう言うのはちょっと・・・)以外であれば、“個人が許される範囲、許容範囲で使うのであれば”、そしてもっと言ってしまえば“肉体に副作用や無理の掛からない範疇であるのならば”、場合によっては用いられるのもOKだと思っています(勿論、それだって例えば“オリンピック”のように、持って生まれて来た肉体的、或いは精神的素質と個人個人の極限までの努力、それらによって優劣を決するような大会に持ち込むのは“いけないこと”だと思っていますが)。
と申しますのは仮に“薬”を使って身体を強化する場合、それだってその対象者に伸び代が無ければ無駄な事なのであって、要するに“薬”によって肉体の一部(もしくは全て)が強化、発達した、と言うのはそれは、“薬”と言う“切っ掛け”によってその人の持つ“潜在的な力”が発揮されて来た、と見る事が出来る、と思うからです(あくまで個人の感想で御座います、生意気を言ってしまい、申し訳御座いません)。
あと一応、お断りをさせていただきますが、だからと言って蒼太君やメリアリアちゃんが薬に頼る事はありません(主人公サイドがそれではちょっと違う気が致しますし、それにやっぱり蒼太君もメリアリアちゃんも先に挙げさせていただきました通りに、あくまでも持って生まれて来た肉体的、精神的素質と個人個人の極限までの努力によって勝利を得るべきと考えておりますので。←特に蒼太君はそう言う家系の生まれと言いますか、あれ程凄い両親達の血を引いておりますので・・・)。
そう言う事で御座います、最後の最後まで長々と、また生意気な事ばかり書き連ねてしまい、大変申し訳御座いませんでした、ただこれらの事は今後の物語を進めて参ります関係上、どうしてもその根幹に関わって参ります事柄で御座いましたので、失礼とは思ったのですけれどもそれでもどうしても、と言うことで記載させていただきました、どうぞ御了承下さいませ。
皆様方におかれましてはどうかどうか、お体と心、そして精神とを日々御自愛いただきまして、そしてどうかまた、第三部が始まりましたならば変わらぬ御声援、御愛顧の程を、どうかよろしくお願い申し上げます。
長文、駄文失礼致しました。
敬具。
ハイパーキャノン。
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葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
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