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3 初夜
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「間もなく国王陛下が参られます」
そう先触れを告げられてどのくらいの時が経っただろう。
リリアーナはそれを聞いてから寝室のあちこちを落ち着きなく動き回った。
ーベッドに腰掛けていたほうがいいかしら…。
ーそれだと如何にも待っていたと言わんばかりだから、ソファーの方がいいかしら…。
そんな事を考えながらベッドに腰掛けたり、ソファーに移動したりを繰り返していたが、一向にアロイスが訪れる気配はなかった。
…もう、今夜はこのまま来ないのかもしれないわね…。
アロイスを待つのを諦めて一人で寝ようとソファーから腰を浮かしかけた時、ようやく寝室の扉が開かれた。
扉は開けるのを躊躇うような動きでゆっくりと開かれ、そこにアロイスの姿があった。
風呂に入った後なのかバスローブ姿のアロイスはその場に立ったまま、なかなか部屋の中に入ろうとはしなかった。
リリアーナを見つめる目は、いつもルイーズに向けている眼差しと同じとは思えないほど憎悪に満ちていた。
その目を見た途端、リリアーナは自分がアロイスに歓迎されていない事を実感した。
アロイスは諦めたように大きくため息をつくと、扉を閉めてリリアーナの所に近寄ってきた。
アロイスが近付くにつれて、リリアーナは自分の着ている夜着が薄く透けているのを思い出した。
…少しはこの姿を見てドキドキしてくれるのかしら…。
だが、そんな考えが甘い事をリリアーナはすぐに思い知らされる。
リリアーナから少し離れた位置に立ったアロイスは、リリアーナに手を差し伸べて立ち上がらせる事すらしなかった。
リリアーナの夜着が透けている事に気付いたアロイスは、憎々しげに口元を歪めた。
「…立ってベッドに行け」
今まで聞いた事のないような低い声で告げられて、リリアーナはピクリと体を震わせた。
アロイスにこんな一面もあるとは…。
リリアーナがゆっくりと立ち上がりベッドへと歩きだすと、その後をアロイスもついて来た。
ベッドの側にリリアーナが立つとアロイスは更に命令してきた。
「自分で脱いで横になるんだ」
それを聞いた途端、リリアーナは泣きそうになった。
よく読んでいた恋愛小説で恋人同士が結ばれる時は、男性が女性をお姫様抱っこしてベッドまで連れて行っていた。
そして優しくキスをしながら女性の服を一枚ずつ脱がしていく。
露わになった女性の裸体を見て「綺麗だ」と褒めてくれる。
そんな展開を夢見ていたのに、アロイスはそのどれもリリアーナにしてはくれないようだ。
悲しさと悔しさが入り混じった感情のまま、震える手で夜着を脱いで一糸纏わぬ姿になりベッドに横になった。
チラリとアロイスに目をやると彼はバスローブを脱いでいるところだった。
バスローブの下には何も身に着けておらず、リリアーナは羞恥で目を反らした。
初めて見る男性の裸体に心臓がバクバクしている。
ギシリとベッドが軋んでアロイスがベッドに上がって来たのがわかった瞬間、グイと両足を広げられた。
あっと声を上げる間もなく鋭い痛みが下半身を貫いた。
痛みに耐えているうちにアロイスの動きが止まり、掴まれていた腰から手が離された。
そのままアロイスはベッドから下りるとバスローブを羽織り、そそくさと部屋を出て行った。
下腹部に違和感を覚えながら体を起こすとベッドの上には小さな血の染みが出来ていた。
初めて男性に身を任せたのに、アロイスはリリアーナを気遣う事もなく、抱き締めてさえくれなかった。
ただ精を吐き出しただけで、娼婦のような扱いにリリアーナは悔しさを募らせた。
いくらルイーズに子供が出来ないからと言ってこの仕打ちはないだろう。
それでもこれから体を重ねて行けばいつかは寄り添ってくれるかもしれない…。
悔しい思いをしながらもリリアーナアロイスと結ばれた事が嬉しかった。
そして固く心に誓ったのだ。
絶対にルイーズより先に子供を身籠ってみせると…。
そう先触れを告げられてどのくらいの時が経っただろう。
リリアーナはそれを聞いてから寝室のあちこちを落ち着きなく動き回った。
ーベッドに腰掛けていたほうがいいかしら…。
ーそれだと如何にも待っていたと言わんばかりだから、ソファーの方がいいかしら…。
そんな事を考えながらベッドに腰掛けたり、ソファーに移動したりを繰り返していたが、一向にアロイスが訪れる気配はなかった。
…もう、今夜はこのまま来ないのかもしれないわね…。
アロイスを待つのを諦めて一人で寝ようとソファーから腰を浮かしかけた時、ようやく寝室の扉が開かれた。
扉は開けるのを躊躇うような動きでゆっくりと開かれ、そこにアロイスの姿があった。
風呂に入った後なのかバスローブ姿のアロイスはその場に立ったまま、なかなか部屋の中に入ろうとはしなかった。
リリアーナを見つめる目は、いつもルイーズに向けている眼差しと同じとは思えないほど憎悪に満ちていた。
その目を見た途端、リリアーナは自分がアロイスに歓迎されていない事を実感した。
アロイスは諦めたように大きくため息をつくと、扉を閉めてリリアーナの所に近寄ってきた。
アロイスが近付くにつれて、リリアーナは自分の着ている夜着が薄く透けているのを思い出した。
…少しはこの姿を見てドキドキしてくれるのかしら…。
だが、そんな考えが甘い事をリリアーナはすぐに思い知らされる。
リリアーナから少し離れた位置に立ったアロイスは、リリアーナに手を差し伸べて立ち上がらせる事すらしなかった。
リリアーナの夜着が透けている事に気付いたアロイスは、憎々しげに口元を歪めた。
「…立ってベッドに行け」
今まで聞いた事のないような低い声で告げられて、リリアーナはピクリと体を震わせた。
アロイスにこんな一面もあるとは…。
リリアーナがゆっくりと立ち上がりベッドへと歩きだすと、その後をアロイスもついて来た。
ベッドの側にリリアーナが立つとアロイスは更に命令してきた。
「自分で脱いで横になるんだ」
それを聞いた途端、リリアーナは泣きそうになった。
よく読んでいた恋愛小説で恋人同士が結ばれる時は、男性が女性をお姫様抱っこしてベッドまで連れて行っていた。
そして優しくキスをしながら女性の服を一枚ずつ脱がしていく。
露わになった女性の裸体を見て「綺麗だ」と褒めてくれる。
そんな展開を夢見ていたのに、アロイスはそのどれもリリアーナにしてはくれないようだ。
悲しさと悔しさが入り混じった感情のまま、震える手で夜着を脱いで一糸纏わぬ姿になりベッドに横になった。
チラリとアロイスに目をやると彼はバスローブを脱いでいるところだった。
バスローブの下には何も身に着けておらず、リリアーナは羞恥で目を反らした。
初めて見る男性の裸体に心臓がバクバクしている。
ギシリとベッドが軋んでアロイスがベッドに上がって来たのがわかった瞬間、グイと両足を広げられた。
あっと声を上げる間もなく鋭い痛みが下半身を貫いた。
痛みに耐えているうちにアロイスの動きが止まり、掴まれていた腰から手が離された。
そのままアロイスはベッドから下りるとバスローブを羽織り、そそくさと部屋を出て行った。
下腹部に違和感を覚えながら体を起こすとベッドの上には小さな血の染みが出来ていた。
初めて男性に身を任せたのに、アロイスはリリアーナを気遣う事もなく、抱き締めてさえくれなかった。
ただ精を吐き出しただけで、娼婦のような扱いにリリアーナは悔しさを募らせた。
いくらルイーズに子供が出来ないからと言ってこの仕打ちはないだろう。
それでもこれから体を重ねて行けばいつかは寄り添ってくれるかもしれない…。
悔しい思いをしながらもリリアーナアロイスと結ばれた事が嬉しかった。
そして固く心に誓ったのだ。
絶対にルイーズより先に子供を身籠ってみせると…。
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