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森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編

キリアトップ会談(稲生)

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 キリア王朝、王都執政室に軍の柱石たる
14柱の将軍職の内、6人が集合していた。
執政官は、6人が席に着くと、開口一番、
「どうやらバルザースとレズェエフで
大規模な戦が起きるような気配がある。
大森林からの魔獣や魔物の侵入以外に
隣国の動きも注意する必要がある」
と言った。

それに呼応するように一人の将軍が、
「バルザースが動けぬとなると
お隣さんが欲をかいて、ちょっかいを
出して来るかもしれませぬな」
と続けて、笑った。幾人かの将軍も同様に笑った。

「それにしても随分とタイミングが良いことよ。
突然の魔物の頻繁な侵攻に盗賊団の頻発による治安の低下。
何ともあの国のやりそうなことよ」

「偶然にしては少々、出来過ぎだな。
執政官は、あいつらが侵攻してくるような情報を
掴んでいるのか?」

現在のキリア王朝で発生しているトラブルと
国境線の防衛任務の除き、4名もの将軍が
討伐に動いていた。

「いや、同じような状況のようだ。
あちらはあちらで我が王朝を疑っているようだ。
あの国は諜報ルートからかなり状況が掴めている。
問題はバルザースとベルトゥル、レズェエフだ。
もたらされる情報では今回の戦の件がどうも解せぬ。
信頼ができ、かつ情報を分析できる人物を
ベルトゥルに送り込みたい。
適任者を推挙してくれ」

「おう、じゃあ、稲生でいいだろう。
バルザースにもベルトゥルにも
繋がりがあるし。丁度、良い」
とワイルド将軍が即、推挙した。

「ふん、稲生なら、問題ないだろうが、
誰が説得すんだ、あの嫁を。俺は御免だぞ」
と別の将軍が即座に答えた。
他の将軍もどうやら同じ意見のようだった。

「リンの説得か。それは、一番、交渉事に
長けたエイヤの仕事だな。執政官殿、決まりだな」
とワイルドが念を押した。

「ふむ、他にも幾人か派遣するとするが、
稲生は確定とするか。
今まで支払った分くらいの仕事はして貰うかの」
と己の言いぐさが楽しかったのか、
からからと執政官は笑った。

「お待ちください。稲生の件、なぜ私が?
推挙したワイルド将軍がリンの説得はすべきかと」
とエイヤは必死に発言をしたが、どのメンバーも
ふれたくない話題なのか、他の人選に関して、
話を進めていた。

その後の会議中、諦めたのかエイヤの表情は
終始、すぐれなかった。
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