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オマケ
ソルレヴェンテの怒り(R15)
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R15です。
メルフィのその後のお話ですので、少し暴力や残虐シーンがあります。ご注意下さい。
_____
精霊監獄に入れられたメルフィは……太陽の精霊王ソルレヴェンテによって、焦熱地獄を味わされていた。
「あぁ、あぁあ!」
鉄板の上に寝かされ、ソルレヴェンテの力で熱され焦がされた。死ぬギリギリのラインまで熱された。
死ぬ直前に、月の精霊王と水の精霊王の力で傷は癒されるが、鉄板は熱されたまま……一瞬で再び火傷を負わされる。
そこに、ネージュがメルフィの顔めがけて大量の冷たい水をぶっかけた……
すると、水が高熱の鉄板に触れ蒸発し……爆発を引き起こした。
「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
『ふん……』
『……はぁ、仕方ないわね』
再び死にかけたメルフィだが、ため息をついたオプスキュリテによって顔や体に負った傷は癒された。そして、その体は鉄板の上から下ろされ床に転がされた。その行為に、メルフィは許されたのかと勘違いした。
「あ、ぁ、あ、助けてくれるの?ねぇ!」
ソルレヴェンテは、何も答えない。
ただ、表面上だけの笑顔をメルフィに向けただけだった……
それを、メルフィは勘違いしたのだ……
この精霊を自分の味方につければ、助けて貰えると……笑顔を向けて貰えてるのだから、自分に好意を持ってくれてるんだと。
その場にいた他の精霊王は、呆れた視線を向けるが、メルフィは気付かなかった。ソルレヴェンテに集中していたから。
『あいつ、馬鹿だろ…あのソルレヴェンテが、超大切にしている精霊妃を傷付けられて、この程度で許すもんか』
『本当よねぇ。あれだけ傷付けておいて、ちょっと死にかけた程度で許すわけないわよ』
『そうね……まぁ、自業自得ね』
月の精霊王オプスキュリテと水の精霊王ネージュ、炎の精霊王エリュプシオンがコソコソと話している。
『そういや、ヴィントは?あいつも来る気満々だったろ…』
『それはね、王の仕事をサボってたせいね』
『あぁ、やっぱりね…最近、風が濁ってると思った……』
『フェルゼンはね、ヴィントに連れてかれたのよ。そのうち来るでしょ』
ネージュは言った…ヴィントが精霊界の一角、風の王の住処に行かなければならなくなった日……
✾✾✾✾✾
『俺一人だけ仲間外れなんてヤダっ!フェルゼンも連れてくからっ!』
『断りたいのだが…………仕事をキチンとしなかったヴィントが悪いのであって…何故、我まで付き合わされなければならない』
フェルゼンの抗議は、ヴィントの風に阻まれ一緒に精霊界に帰って行った。
『理不……』
フェルゼンの最後の言葉もまた、風に阻まれ最後まで仲間の元には届かなかったが、言いたい事は伝わっていた。
✾✾✾✾✾
ネージュがフェルゼンの話をしていた間メルフィは、ソルレヴェンテによって与えられる全身を貫く鋭い痛みに苛まれていた。
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”」
(なんで?!どうして?!私は!ソルレヴェンテに許されたんじゃないのぉ?!)
ソルレヴェンテは……先程と変わらず、表面上に笑みを浮かべている。
……が、優しげな笑みに比べ目は笑っていない。
どす黒く暗い笑みを、メルフィだけが優しいげな笑みと勘違いしている。
「ね”ぇ?!どうしてぇ?!ゾルざまぁ!!」
メルフィは、痛みに耐えソルレヴェンテを見つめるが……ソルレヴェンテは冷たい笑みを向けるだけ。メルフィの言葉に返事すらしない。
『むだむだ!ソルにオマエの声は届いてねぇよ』
エリュプシオンは、メルフィに聞こえるように大声で言ってのけ豪快に笑った……その時、突風が駆け抜けヴィントとフェルゼンが降り立ったのは。
『間に合った?!まだ殺してないよね?!』
『相変わらず、風が雑だ…』
慌てたようなヴィントの声に、風で乱れた髪を直すフェルゼン。
『遅かったな、ヴィント……』
そこに、暗くどす黒い声が響く。
『わっ!!びっくりした…脅かすなよ、ソル』
『待っていたぞ、お前もシオンも手を貸せ…』
切り刻み、灰にし、窒息させても我の怒りは収まらぬ……何度も何度も、幾度殺しても気は晴れぬ。
……一思いに殺す事も出来ぬ。
ソルレヴェンテは、目の前の死にかけた女を睨み……一度目を瞑ると、ネージュ達に視線を送った。
メルフィの怪我を癒せという意味を込めた視線……
ネージュもオプスキュリテも、何も言わなかった。
自分が大切にする妃を傷付けた者の末路だと、厳しい視線をメルフィに送るだけ……
もし自分が、ソルレヴェンテの立場なら……同じ事をしただろうから……と。
この場にいる精霊王は、いや……この場に居ないノクトールやレーヴェも、自分の愛する妃に手を出されれば、ソルレヴェンテと同じ事をしただろう……と。
みな分かっていた……
だから、誰もソルレヴェンテを止めないし、手も貸すのだ。
「ね”ぇ!!だずげでよぉ!!お、おね"がいだがらぁ!!なんでもずる"がらぁ!!」
「ね"ぇ!!」と怪我が治され意識を取り戻すと、メルフィは懇願するように精霊王を見つめた。
けれど、彼女のお願いに耳を貸す精霊は誰一人としていない。
彼女は、何度死ぬ思いをしても許されず、死と生を繰り返し続けたのだった。
……が、最終的には……死後の世界に送られ、そこでも永遠に終わる事のない地獄を味わうのだった。
~完~
_____
長くお待たせしました(*ᴗˬᴗ)⁾
メルフィのその後のお話ですので、少し暴力や残虐シーンがあります。ご注意下さい。
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精霊監獄に入れられたメルフィは……太陽の精霊王ソルレヴェンテによって、焦熱地獄を味わされていた。
「あぁ、あぁあ!」
鉄板の上に寝かされ、ソルレヴェンテの力で熱され焦がされた。死ぬギリギリのラインまで熱された。
死ぬ直前に、月の精霊王と水の精霊王の力で傷は癒されるが、鉄板は熱されたまま……一瞬で再び火傷を負わされる。
そこに、ネージュがメルフィの顔めがけて大量の冷たい水をぶっかけた……
すると、水が高熱の鉄板に触れ蒸発し……爆発を引き起こした。
「ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
『ふん……』
『……はぁ、仕方ないわね』
再び死にかけたメルフィだが、ため息をついたオプスキュリテによって顔や体に負った傷は癒された。そして、その体は鉄板の上から下ろされ床に転がされた。その行為に、メルフィは許されたのかと勘違いした。
「あ、ぁ、あ、助けてくれるの?ねぇ!」
ソルレヴェンテは、何も答えない。
ただ、表面上だけの笑顔をメルフィに向けただけだった……
それを、メルフィは勘違いしたのだ……
この精霊を自分の味方につければ、助けて貰えると……笑顔を向けて貰えてるのだから、自分に好意を持ってくれてるんだと。
その場にいた他の精霊王は、呆れた視線を向けるが、メルフィは気付かなかった。ソルレヴェンテに集中していたから。
『あいつ、馬鹿だろ…あのソルレヴェンテが、超大切にしている精霊妃を傷付けられて、この程度で許すもんか』
『本当よねぇ。あれだけ傷付けておいて、ちょっと死にかけた程度で許すわけないわよ』
『そうね……まぁ、自業自得ね』
月の精霊王オプスキュリテと水の精霊王ネージュ、炎の精霊王エリュプシオンがコソコソと話している。
『そういや、ヴィントは?あいつも来る気満々だったろ…』
『それはね、王の仕事をサボってたせいね』
『あぁ、やっぱりね…最近、風が濁ってると思った……』
『フェルゼンはね、ヴィントに連れてかれたのよ。そのうち来るでしょ』
ネージュは言った…ヴィントが精霊界の一角、風の王の住処に行かなければならなくなった日……
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『俺一人だけ仲間外れなんてヤダっ!フェルゼンも連れてくからっ!』
『断りたいのだが…………仕事をキチンとしなかったヴィントが悪いのであって…何故、我まで付き合わされなければならない』
フェルゼンの抗議は、ヴィントの風に阻まれ一緒に精霊界に帰って行った。
『理不……』
フェルゼンの最後の言葉もまた、風に阻まれ最後まで仲間の元には届かなかったが、言いたい事は伝わっていた。
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ネージュがフェルゼンの話をしていた間メルフィは、ソルレヴェンテによって与えられる全身を貫く鋭い痛みに苛まれていた。
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”」
(なんで?!どうして?!私は!ソルレヴェンテに許されたんじゃないのぉ?!)
ソルレヴェンテは……先程と変わらず、表面上に笑みを浮かべている。
……が、優しげな笑みに比べ目は笑っていない。
どす黒く暗い笑みを、メルフィだけが優しいげな笑みと勘違いしている。
「ね”ぇ?!どうしてぇ?!ゾルざまぁ!!」
メルフィは、痛みに耐えソルレヴェンテを見つめるが……ソルレヴェンテは冷たい笑みを向けるだけ。メルフィの言葉に返事すらしない。
『むだむだ!ソルにオマエの声は届いてねぇよ』
エリュプシオンは、メルフィに聞こえるように大声で言ってのけ豪快に笑った……その時、突風が駆け抜けヴィントとフェルゼンが降り立ったのは。
『間に合った?!まだ殺してないよね?!』
『相変わらず、風が雑だ…』
慌てたようなヴィントの声に、風で乱れた髪を直すフェルゼン。
『遅かったな、ヴィント……』
そこに、暗くどす黒い声が響く。
『わっ!!びっくりした…脅かすなよ、ソル』
『待っていたぞ、お前もシオンも手を貸せ…』
切り刻み、灰にし、窒息させても我の怒りは収まらぬ……何度も何度も、幾度殺しても気は晴れぬ。
……一思いに殺す事も出来ぬ。
ソルレヴェンテは、目の前の死にかけた女を睨み……一度目を瞑ると、ネージュ達に視線を送った。
メルフィの怪我を癒せという意味を込めた視線……
ネージュもオプスキュリテも、何も言わなかった。
自分が大切にする妃を傷付けた者の末路だと、厳しい視線をメルフィに送るだけ……
もし自分が、ソルレヴェンテの立場なら……同じ事をしただろうから……と。
この場にいる精霊王は、いや……この場に居ないノクトールやレーヴェも、自分の愛する妃に手を出されれば、ソルレヴェンテと同じ事をしただろう……と。
みな分かっていた……
だから、誰もソルレヴェンテを止めないし、手も貸すのだ。
「ね”ぇ!!だずげでよぉ!!お、おね"がいだがらぁ!!なんでもずる"がらぁ!!」
「ね"ぇ!!」と怪我が治され意識を取り戻すと、メルフィは懇願するように精霊王を見つめた。
けれど、彼女のお願いに耳を貸す精霊は誰一人としていない。
彼女は、何度死ぬ思いをしても許されず、死と生を繰り返し続けたのだった。
……が、最終的には……死後の世界に送られ、そこでも永遠に終わる事のない地獄を味わうのだった。
~完~
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長くお待たせしました(*ᴗˬᴗ)⁾
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