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オマケ

精霊王歓迎会

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『という訳で!私とノクトールが仲間入りしたお祝いパーティをするわよっ!』
『こういうのは開いてもらうのであって、自分から開くものでもないだろうに』
『煩いわよっノクトールっ!セラフィと離されたからって、私に文句を言わないで』

はぁ、なんで私がこんなパーティに参加しなければならない……

発端は、あるじ様だった……



✾✾✾✾✾

「ノクトールあのね、公…お父様がね、お友達を招待して親交を深めたらどうかって言ってくれてね」

数日後に、クロムウェル公爵邸でガーデンパーティをする事になったそうです。
共に精霊妃を競った相手や、精霊妃を招待して親交を深めると言ってましたね。

「だからね、もし良ければノクトールも精霊王の皆さんと親交を深めたらどうかな?」
『はぃ?』
『あら、いい考えじゃない!賛成よ私!』

コーネリア令嬢も一緒だったから、煩わしいレーヴェもそこにいて、

しかも……親交を深める?

冗談じゃありません。そんなことしたら、主様と離れなきゃいけなくなるじゃないですか!

『嫌です。主様と離れるなんて、絶対に!お断りさせて頂きます』

私は懇願するように、前足を主様の膝の上に乗せた。キラキラした瞳で見つめれば、主様は大抵私に優しくしてくれた。ここで更に首を傾げれば完璧……

「あのね、ノクトール。親交を深めるのは大事だよ。だからね、ノクトールも精霊王様達と仲良くね」

そう言って主様は私の背中を優しく撫でた。

(ふふん、残念でしたぁ!)

くっ!、レーヴェの心の声が聞こえてくるようだ……っ!

✾✾✾✾✾

という事があったからだ!

『それでずっと、不貞腐れてたってわけか』
『ソルと一緒ということかな』

エリュプシオンが豪快に笑い、フェルゼンはソルレヴェンテと一緒だとぬかしおった。

アレよりはマシだろうとノクトールは思ったが、他の王達はソルレヴェンテと同格に愛が重く、残虐で主の事になると見境がないと理解していた。

実際セラフィに手を出したものは、彼女の知らない所でかなり酷い目にあっているのだから。

『そう言えば、今日はソルもキュリーも来るのかしら?』

キュリーは、オプスキュリテの事らしい。

『後輩が企画したパーティだもん、来るって言ってたよ』

ヴィントがエリュプシオンの上で大の字になって寝ながら答えた。

……

そう言えば、精霊王のこの姿を見るのは初めてだな。

……

ヴィンテは、ハリネズミ……私より小さなものがいると言うのは嬉しいものだな。

ネージュは、ペンギン
エリュプシオンは、クマ……あの大きさは正直羨ましい…あれだけ大きければ、私も主様を背中で寝かせて……いやいや、なんでもありません。

フェルゼンは、シカで
ソルレヴェンテは、ヒョウ。
オプスキュリテは、キツネだな。……しっぽが9本ある。

『でも、グレイスの状態、まだ悪いんでしょ?来れるの?』
『そのグレイスが、送り出したんだって。自分も無理ない範囲で、セラのパーティに参加するからって』

(チッ)

『宛が外れて残念だったわね!ノクトール?』

はぁ、仕方ない。
付き合うとするか……




それから数時間……


『まだ、飲むつもりか……』 
『あったり前でしょ?!』

レーヴェは、近くにあった酒瓶の中にくちばしを突っ込み、ひっくり返してがぶ飲みした。

レーヴェの、その飲みっぷりにエリュプシオンが感銘を受け、さっきから一緒に飲んでいた。

ヴィントは、相変わらずフェルゼンに絡んでいる。フェルゼンも、文句を言いながらも相手してやるんだから面倒見のいいやつだよなと思う。

ネージュとオプスキュリテは、女子同士の会話という事で、近寄ることすら出来ないが……同じ女子、というか女子思考ならば……

ノクトールは、そっとレーヴェの方を見た。

レーヴェは酔っ払って、エリュプシオンや他の精霊王に絡んでいる。

……巻き込まれる前に、離れるか……


そして、少し風に当たりに外に出れば、同じように風に当たっていたソルレヴェンテが居た。

『先客が居たのですね』
『……お前も飲むか?』
『…頂きます』

ソルレヴェンテが、前足で差し出した酒器を同じく前足で受け取る。

静かな眼差しで、外を見るソルレヴェンテに私は何も言えなかった。

きっと、恐らく、グレイスの事を考えているのだろう。それか……グレイスの声を聞いているのか……

『セラフィとは、上手くいっているのか?』

そう思っていたら、思わぬ言葉を聞いた。まさか、主様との仲を聞かれるとは思わなかったからだ。

けれど……

『ええ、主様とは相思相愛ですから』
『……そうか』
『ええ』

この方なりに、私達の心配をしていたんですね。

『のぅ、ノクトール』
『はい』

私は、この方の偏見を捨てるべきなのでしょうね。こんなにも私達を思ってくれているのですから。

『……この会は、いつ終わる?』
『……はぃ?』

紺のうさぎと金の豹が顔を突き合わせる中、豹が真剣な面持ちでうさぎを見つめ問いかける。

『我は、いつまでここに居るべきなのだ?もう既にかなりの時間が経っておる。もう離れても問題ないと思わぬか?』

……前言撤回です。

この方は、私達のことを思っていた訳じゃありません。早く帰りたいが故に、私達を心配する素振りを見せただけです!

クソ野郎ですっ!

ノクトールは表情には出さず、ニコニコと微笑みがらも内心はソルレヴェンテを罵倒していた。

だが、そんなノクトールをソルレヴェンテは、優しげな表情で見つめていたのだった。


さらに数時間後

『あら?ここに居たの?2人だけで、なんかズルいじゃなぃ?』
『オプスキュリテ殿』
『お前か……』
『あら?その言い方。貴方の暴走を止めてあげたの私なのよ?もう少し敬って貰ってもいいと思うけど?』

オプスキュリテは、ソルレヴェンテの背中に前足を乗せと上半身を乗せて、体重をかけた。

だがソルレヴェンテは、重たいと文句も言わず『その件は、既に感謝と品物を贈ったであろう』と言い返した。

『あー!!何でここに居るのよ!探したのよっ?!』

騒がしいのが、やって来たな。
それに、酔っ払った他の王も集まってきた。

みんなで鼻を突き合わせ、盃を傾け酒を楽しむ。



以外にも悪くないのかも知れないな……こんな時間も…


主がいれば、完璧ですが……


『仕方ありませんね』








『いや、我慢できません!もう無理です!帰りますっ!主様~!!』
『なっ、狡いぞ!ノクトールっ!私も帰るっ!姫っっ!!』

私とソルレヴェンテは、主様のいるガーデンパーティに乗り込んだのでした。


~完~

────

オマケ、あと2話で終わりです。
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