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本編
閑話 邂逅
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この話は、閑話になります(*ᴗˬᴗ)⁾
本編の5年前の話です。
紛らわしくて、申し訳ありません。
軽い登場人物詳細
当時月の精霊王 オプスキュリテ(女性思考)
当時月の精霊妃 カイリオ(男性)
少女は、セラフィ
月の子は、ノクトール
✾✾✾✾✾
5年前
「これで全部か?」
『ええ』
濃紺色の長い髪を風に靡かせながら答えたのは、この国の精霊王の1人。
月の精霊王 オプスキュリテ
傍らにいるは、月の精霊王オプスキュリテのパートナー……
月の精霊妃 カイリオ
『カイリオ、私…アレが食べたいわ』
「は?」
オプスキュリテが指さした先には、クレープという菓子を頬張った若い女性達が居た。
カイリオはオプスキュリテを一瞥し「俺に買って来いと言うのか?」と問いかけ、その問いにオプスキュリテは頷きを持って返した。
短い溜息の後、カイリオは屋台に向かって走り出した。
オプスキュリテは、走って行くカイリオを暫く眺め空を見上げる。
真昼の太陽の輝きは、月の精霊にとって毒に等しいもの。日傘を差していても強い輝きに、瞳を閉じて視線を俯かせると小さな足音が目の前で止まった。
オプスキュリテが視線を上げると、青みがかかった銀の髪をした幼い少女が心配そうに顔で手を伸ばしてきた。
「大丈夫?お姉さん」
『え?』
「具合悪い?誰か呼ぶ?」
オプスキュリテは驚いていた。
自分を認識できる人間がいた事に……
(あぁ、もしかしてこの子が……)
『大丈夫よ、ありがとう』
少女は一瞬微笑んだかと思うと、次の瞬間には視線を俯かせ悲しそうにオプスキュリテを覗き込んだ。
「……ねぇ、お姉さん」
『なぁに?』
「お姉さんから、この子と同じ気配がするの」
そう言って少女は、胸元から小さな紫銀色の光玉を出してきた。
(月の精霊の子……)
小さな光玉は、月の精霊の子だった。
しかし、とても小さく姿をとることも話すことも出来ない、すぐにでも消えてしまいそうな小さく弱い精霊の子だった。
今も光を纏っていられてるのは、一重にこの少女がそれを望んでいるから……
(そして、月の子も少女のそばにいる事を望んでいる……)
「お姉さん、お姉さんにお願いがあるの」
『お願い?』
「お姉さんの傍なら、この子死なない気がするの……だから……その」
『私に引き取って欲しいの?でも、この子は貴方の大切な子じゃないの?』
「大切だから。大切で大事なお友達だから、お姉さんに託すの」
その方が良いって、強く思ったの、と少女は力強く言った。その瞳は、真っ直ぐにオプスキュリテを見つめて。
オプスキュリテは、渡された月の子を包み込み
(良いの?本当に?)
と問いかけた。
『…、……』
月の精霊の子は、返事をする様に微かに明滅する。
(そう……貴方がそう決めたのなら、もう何も言わないわ)
その時、クレープを買いに行っていたカイリオが帰ってきた。その手に2つのクレープを持って。
「よっ、コイツと友達になってくれたのか?コレ食うか?」
『あらカイリオ、気が利くわね。2つ買ってきてくれたの?』
「見えたからな」
「お前はいちごが好きだろ?」と言って、オプスキュリテにいちごが沢山乗ったクレープを渡し、少女には「バナナ好きか?」と言ってチョコのかかったクレープを渡した。
「美味いから、食ってみろ」
『カイリオの奢りだから、お金は気にしなくてもいいのよ?』
「お前なぁ。まっ、そういうこった!」
カイリオは、特に気にした様子もなく笑った。
少女は渡されたクレープを恐る恐る口に運ぶ。
『美味しい?』
オプスキュリテに問われた少女は、小さく頷いた。
だが……
「_!__!」
「っ!!」
『なに?』
ビクッと少女の肩が震える。
公園の向こうから、大柄な男性が声を荒らげていた。
ガタガタと震え始めた少女は、クレープをカイリオに返し小さく会釈した。寂しそうに光玉を見つめ……
「もう行かなきゃ……ごめんね、守ってあげられなくて……」
『……、…』
小さな精霊の子は何かを訴えるように、光を明滅させた。少女はもう一度「ごめんね」と言って、精霊の子に触れ先程の男性の方に走って行った。
そして、頭を下げたのにも関わらず、男性は少女の頬を張り倒した。
『なんてこと……』
「オプスキュリテ……あの子は……」
『あなたの後輩になる子よ。そして、……きっとこの子は……ふふ』
「どうした?」
『カイリオ、私達の次代は安泰よ』
「そうか」
(月の子よ、強くおなりなさい。大切な守りたい者がいるのなら、誰よりも何よりも強くなって守っておあげなさい)
『……』
(ワ タ シ ノ ア ル ジ、イ ツ カ、カ ナ ラ ズ……)
セラフィ9歳、月の精霊ノクトールの魂との出会いだった。
本編の5年前の話です。
紛らわしくて、申し訳ありません。
軽い登場人物詳細
当時月の精霊王 オプスキュリテ(女性思考)
当時月の精霊妃 カイリオ(男性)
少女は、セラフィ
月の子は、ノクトール
✾✾✾✾✾
5年前
「これで全部か?」
『ええ』
濃紺色の長い髪を風に靡かせながら答えたのは、この国の精霊王の1人。
月の精霊王 オプスキュリテ
傍らにいるは、月の精霊王オプスキュリテのパートナー……
月の精霊妃 カイリオ
『カイリオ、私…アレが食べたいわ』
「は?」
オプスキュリテが指さした先には、クレープという菓子を頬張った若い女性達が居た。
カイリオはオプスキュリテを一瞥し「俺に買って来いと言うのか?」と問いかけ、その問いにオプスキュリテは頷きを持って返した。
短い溜息の後、カイリオは屋台に向かって走り出した。
オプスキュリテは、走って行くカイリオを暫く眺め空を見上げる。
真昼の太陽の輝きは、月の精霊にとって毒に等しいもの。日傘を差していても強い輝きに、瞳を閉じて視線を俯かせると小さな足音が目の前で止まった。
オプスキュリテが視線を上げると、青みがかかった銀の髪をした幼い少女が心配そうに顔で手を伸ばしてきた。
「大丈夫?お姉さん」
『え?』
「具合悪い?誰か呼ぶ?」
オプスキュリテは驚いていた。
自分を認識できる人間がいた事に……
(あぁ、もしかしてこの子が……)
『大丈夫よ、ありがとう』
少女は一瞬微笑んだかと思うと、次の瞬間には視線を俯かせ悲しそうにオプスキュリテを覗き込んだ。
「……ねぇ、お姉さん」
『なぁに?』
「お姉さんから、この子と同じ気配がするの」
そう言って少女は、胸元から小さな紫銀色の光玉を出してきた。
(月の精霊の子……)
小さな光玉は、月の精霊の子だった。
しかし、とても小さく姿をとることも話すことも出来ない、すぐにでも消えてしまいそうな小さく弱い精霊の子だった。
今も光を纏っていられてるのは、一重にこの少女がそれを望んでいるから……
(そして、月の子も少女のそばにいる事を望んでいる……)
「お姉さん、お姉さんにお願いがあるの」
『お願い?』
「お姉さんの傍なら、この子死なない気がするの……だから……その」
『私に引き取って欲しいの?でも、この子は貴方の大切な子じゃないの?』
「大切だから。大切で大事なお友達だから、お姉さんに託すの」
その方が良いって、強く思ったの、と少女は力強く言った。その瞳は、真っ直ぐにオプスキュリテを見つめて。
オプスキュリテは、渡された月の子を包み込み
(良いの?本当に?)
と問いかけた。
『…、……』
月の精霊の子は、返事をする様に微かに明滅する。
(そう……貴方がそう決めたのなら、もう何も言わないわ)
その時、クレープを買いに行っていたカイリオが帰ってきた。その手に2つのクレープを持って。
「よっ、コイツと友達になってくれたのか?コレ食うか?」
『あらカイリオ、気が利くわね。2つ買ってきてくれたの?』
「見えたからな」
「お前はいちごが好きだろ?」と言って、オプスキュリテにいちごが沢山乗ったクレープを渡し、少女には「バナナ好きか?」と言ってチョコのかかったクレープを渡した。
「美味いから、食ってみろ」
『カイリオの奢りだから、お金は気にしなくてもいいのよ?』
「お前なぁ。まっ、そういうこった!」
カイリオは、特に気にした様子もなく笑った。
少女は渡されたクレープを恐る恐る口に運ぶ。
『美味しい?』
オプスキュリテに問われた少女は、小さく頷いた。
だが……
「_!__!」
「っ!!」
『なに?』
ビクッと少女の肩が震える。
公園の向こうから、大柄な男性が声を荒らげていた。
ガタガタと震え始めた少女は、クレープをカイリオに返し小さく会釈した。寂しそうに光玉を見つめ……
「もう行かなきゃ……ごめんね、守ってあげられなくて……」
『……、…』
小さな精霊の子は何かを訴えるように、光を明滅させた。少女はもう一度「ごめんね」と言って、精霊の子に触れ先程の男性の方に走って行った。
そして、頭を下げたのにも関わらず、男性は少女の頬を張り倒した。
『なんてこと……』
「オプスキュリテ……あの子は……」
『あなたの後輩になる子よ。そして、……きっとこの子は……ふふ』
「どうした?」
『カイリオ、私達の次代は安泰よ』
「そうか」
(月の子よ、強くおなりなさい。大切な守りたい者がいるのなら、誰よりも何よりも強くなって守っておあげなさい)
『……』
(ワ タ シ ノ ア ル ジ、イ ツ カ、カ ナ ラ ズ……)
セラフィ9歳、月の精霊ノクトールの魂との出会いだった。
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