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リクエストによる番外編(アンナ視点)ーー残酷注意! 閲覧注意!
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アンナ視点
流血、死の描写あり。閲覧注意! 苦手な方は読まないでくださいませ。
(私はリリを殺してはいない。死んでくれたらいいのに、とは思っていたけれど自分で手を下すなんてそんなバカなことをするもんですか!)
「この性悪女が諸悪の根源です! この身の程知らずがリリ様の命を狙ったことは明白です」
侍女達が寄ってたかって私に罪を着せる。どうかしているわ。
「やめてよ! どこにそんな証拠があるのよ! あるなら見せなさいよ」
私は悔しくてその日のパーティの出席者全員に向かって怒りの声を上げたのだった。だってその場にいる全ての貴族達も私を”人殺しの娼婦”と呼んだから。
酷すぎると思う。私はもちろん娼婦なんかではない! れっきとした男爵令嬢なんだから・・・・・・
さらに私はリリの妹アニーから頬を強くぶたれたわ。
(なんでぶたれなきゃならないの? こんなのおかしいわよっ! 私はなんにも悪くない!!)
倍の力でアニーの頬を殴ったらマスカ侯爵家のお抱え騎士達から羽交い締めにされて、汚いジメジメした地下牢に閉じ込められたのである。その前に騎士達から10回以上も頬を張り飛ばされた。
(酷すぎる・・・・・・なんて血も涙もない奴らなの?)
「お前がリリ様を殺そうと犯行をロメオに持ちかけたのだろう?」
「お前がロメオに毒薬を渡したんだろう?」
寝ることもままならないほど毎日、毎晩この質問がされるのだった。一秒だって寝かせてはくれない。少しでもウトウトすれば冷水を浴びせられたり針を体に刺される。
「お願いだから寝かせてよ。もう限界だわ」
すっかり憔悴して懇願する私に、取り調べ係の役人達は渋い顔つきでこう言ったのだ。
「お前に愛しい夫を寝取られたリリ様はきっといつだって寝られなかっただろうよ。お前の行動がどれだけリリ様の精神を追い詰めたのかわかっているのか?」
「そうさ。寝られないってぼやく等、言語道断だ! リリ様はもう文句を言うことも眠ることもできないんだぞ!」
「ばかみたい! リリはもう死んでいるのよ? 永眠っていうぐらいだから寝っぱなしにきまっているわ」
ついそんな言葉を呟いてしまい、思いっきり靴底で腹を蹴られたのだった。
それから数日後のことだ。
「おい、先にロメオを処刑するからその目でよく見ておけよ!」
そんな言葉と一緒に引きずるように外に連れ出された私は長い階段をひたすら登らされる。
どす黒くシミのついた処刑台はかなりの年代物である。断頭台と言われる刃の部分は欠けており錆だらけだった。
(こんなので人間の体が切れるのかしら?)
想像するだけで気持ち悪いけれどついそんな感想が漏れてしまいそうなボロボロの刃だった。
しばらくすると真っ青な顔をしたロメオが登って来たが、私の姿は目に入っていないようだ。人は極限まで追い詰められると視界まで狭くなるのね。恐怖でひきつったロメオの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。
そして・・・・・・その刃こぼれが目立つ死を誘う道具は、鈍い音とともにロメオのクビをはねる。いや・・・・・・クビは少しも切れていない。ロメオは一気に死ねずに、あまりの痛みに手足をばたつかせているばかり・・・・・・まるでまな板で料理される魚みたいに・・・・・・ばたばたうごめく手足は血まみれだ。
(なんの冗談なの? これって・・・・・・)
ほんの少しづつしか切れない刃はわざとなのだ。仰向けに寝かされて目を閉じることもできないように固定されたロメオは「殺してくれ・・・・・・お願い・・・・・・殺して」と、うわごとのように呟いていた。
(怖い、怖い、怖い、怖いよぉ。これが罰なの? こんなの無理だ。こんな痛そうな恐ろしい刑なんて嫌だ。死にたくない。痛いのは嫌だ。怖い・・・・・・嫌だ、嫌だ、いやだぁーー)
「お願いします。こんな・・・・・・こんな痛そうな死に方は嫌です・・・・・・」
震える声を振り絞って死刑執行人に懇願するが、告げられたのは私の死刑執行日の予告だった。
「お前の執行日は明日だよ。今日は愛する男の苦しむ様を見てぐっすり寝ることだな。今日だけは寝ていいさ。お前が寝られる最期の晩だ。嬉しいだろう?」
そんなことを言われても寝られるわけがなかった。地下牢の冷たいベッドで寝ようとしてもロメオの苦しみぬいた凄まじい形相が目に浮かぶ。焼き付いて離れない凄惨な鮮血だらけの最期。
堪えきれない嘔吐が襲う。血と排泄物の匂いで充満した死刑執行のその場所には真っ赤な薔薇が投げ込まれていた。悪い冗談だ。
あれより酷い光景なんて想像できない。私はどうしたらいいの? ただ贅沢がしたかっただけなのに・・・・・・これほどまでの代償を払うことになるなんて思いもしなかったのだ。
(怖いよ。助けて・・・・・・誰か助けて・・・・・・いっそ今自分で死んでしまおう)
だがそう思ったのも束の間、これでは死ねないことに私は気がついた。手足を縛られ猿ぐつわを噛まされ自害ができないように放置された私には、自ら命を絶つこともできないのだった。
୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧
明日で番外編完結です! アンナの死刑執行とアンナとロメオの両親の処分を描きます。
新年早々残酷描写で恐縮です(•́ε•̀;ก)💦
流血、死の描写あり。閲覧注意! 苦手な方は読まないでくださいませ。
(私はリリを殺してはいない。死んでくれたらいいのに、とは思っていたけれど自分で手を下すなんてそんなバカなことをするもんですか!)
「この性悪女が諸悪の根源です! この身の程知らずがリリ様の命を狙ったことは明白です」
侍女達が寄ってたかって私に罪を着せる。どうかしているわ。
「やめてよ! どこにそんな証拠があるのよ! あるなら見せなさいよ」
私は悔しくてその日のパーティの出席者全員に向かって怒りの声を上げたのだった。だってその場にいる全ての貴族達も私を”人殺しの娼婦”と呼んだから。
酷すぎると思う。私はもちろん娼婦なんかではない! れっきとした男爵令嬢なんだから・・・・・・
さらに私はリリの妹アニーから頬を強くぶたれたわ。
(なんでぶたれなきゃならないの? こんなのおかしいわよっ! 私はなんにも悪くない!!)
倍の力でアニーの頬を殴ったらマスカ侯爵家のお抱え騎士達から羽交い締めにされて、汚いジメジメした地下牢に閉じ込められたのである。その前に騎士達から10回以上も頬を張り飛ばされた。
(酷すぎる・・・・・・なんて血も涙もない奴らなの?)
「お前がリリ様を殺そうと犯行をロメオに持ちかけたのだろう?」
「お前がロメオに毒薬を渡したんだろう?」
寝ることもままならないほど毎日、毎晩この質問がされるのだった。一秒だって寝かせてはくれない。少しでもウトウトすれば冷水を浴びせられたり針を体に刺される。
「お願いだから寝かせてよ。もう限界だわ」
すっかり憔悴して懇願する私に、取り調べ係の役人達は渋い顔つきでこう言ったのだ。
「お前に愛しい夫を寝取られたリリ様はきっといつだって寝られなかっただろうよ。お前の行動がどれだけリリ様の精神を追い詰めたのかわかっているのか?」
「そうさ。寝られないってぼやく等、言語道断だ! リリ様はもう文句を言うことも眠ることもできないんだぞ!」
「ばかみたい! リリはもう死んでいるのよ? 永眠っていうぐらいだから寝っぱなしにきまっているわ」
ついそんな言葉を呟いてしまい、思いっきり靴底で腹を蹴られたのだった。
それから数日後のことだ。
「おい、先にロメオを処刑するからその目でよく見ておけよ!」
そんな言葉と一緒に引きずるように外に連れ出された私は長い階段をひたすら登らされる。
どす黒くシミのついた処刑台はかなりの年代物である。断頭台と言われる刃の部分は欠けており錆だらけだった。
(こんなので人間の体が切れるのかしら?)
想像するだけで気持ち悪いけれどついそんな感想が漏れてしまいそうなボロボロの刃だった。
しばらくすると真っ青な顔をしたロメオが登って来たが、私の姿は目に入っていないようだ。人は極限まで追い詰められると視界まで狭くなるのね。恐怖でひきつったロメオの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。
そして・・・・・・その刃こぼれが目立つ死を誘う道具は、鈍い音とともにロメオのクビをはねる。いや・・・・・・クビは少しも切れていない。ロメオは一気に死ねずに、あまりの痛みに手足をばたつかせているばかり・・・・・・まるでまな板で料理される魚みたいに・・・・・・ばたばたうごめく手足は血まみれだ。
(なんの冗談なの? これって・・・・・・)
ほんの少しづつしか切れない刃はわざとなのだ。仰向けに寝かされて目を閉じることもできないように固定されたロメオは「殺してくれ・・・・・・お願い・・・・・・殺して」と、うわごとのように呟いていた。
(怖い、怖い、怖い、怖いよぉ。これが罰なの? こんなの無理だ。こんな痛そうな恐ろしい刑なんて嫌だ。死にたくない。痛いのは嫌だ。怖い・・・・・・嫌だ、嫌だ、いやだぁーー)
「お願いします。こんな・・・・・・こんな痛そうな死に方は嫌です・・・・・・」
震える声を振り絞って死刑執行人に懇願するが、告げられたのは私の死刑執行日の予告だった。
「お前の執行日は明日だよ。今日は愛する男の苦しむ様を見てぐっすり寝ることだな。今日だけは寝ていいさ。お前が寝られる最期の晩だ。嬉しいだろう?」
そんなことを言われても寝られるわけがなかった。地下牢の冷たいベッドで寝ようとしてもロメオの苦しみぬいた凄まじい形相が目に浮かぶ。焼き付いて離れない凄惨な鮮血だらけの最期。
堪えきれない嘔吐が襲う。血と排泄物の匂いで充満した死刑執行のその場所には真っ赤な薔薇が投げ込まれていた。悪い冗談だ。
あれより酷い光景なんて想像できない。私はどうしたらいいの? ただ贅沢がしたかっただけなのに・・・・・・これほどまでの代償を払うことになるなんて思いもしなかったのだ。
(怖いよ。助けて・・・・・・誰か助けて・・・・・・いっそ今自分で死んでしまおう)
だがそう思ったのも束の間、これでは死ねないことに私は気がついた。手足を縛られ猿ぐつわを噛まされ自害ができないように放置された私には、自ら命を絶つこともできないのだった。
୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧ ⑅ ୨୧
明日で番外編完結です! アンナの死刑執行とアンナとロメオの両親の処分を描きます。
新年早々残酷描写で恐縮です(•́ε•̀;ก)💦
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