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まずは上半身を脱げ?(ダリア男爵視点)
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「メイソンは、かつて公爵夫人だったミランダの子供です。貴方がたでも噂ぐらいは聞いているはずです。この子は王も目をかけている大事な子供ですよ。ですから、王家も立ち会っての裁判にしましょうか? ダリア男爵は、いくらなんでも気がつきませんでしたか? そのジェイコブという子の話はジョナサンからも聞いていますけれど・・・・・・腕時計を盗んだと言ってきたそうじゃぁありませんか? 実に面白い話ですねぇ?」
社交界の重鎮、カトレーネ・トマス前公爵夫人が私に詰め寄ってきた。普通なら、側にも近づけない高貴な家柄だ。ダリア男爵家など、あちらが虎ならこちらは蟻だ。相手にもされない存在だ。
こっちは末端男爵だぞ? そんな高位貴族のゴシップなどいちいち知るか! なにか、トマス公爵夫人が罰をうけたらしいね、ぐらいは知っていたが、雲の上の存在にはそれほど興味はないさ。だから、この子がその息子と言われてもピンとこない。
「カトレーネ・トマス前公爵夫人に申し上げます。私は末端男爵です。高位貴族の噂は、耳にはしますがそれほど詳細には伝わりません。気がつくもなにも・・・・・・無理です・・・・・・ここにそんな身分の子供がいるなどありえないからです! だから、これは仕方がないでしょう? この子供が盗みをしたと言ったのは甥っ子だが、まだ子供です。きっと勘違いでもしたのでしょう。あとで、きつく叱っておきますので・・・・・・」
「ほぉ。そんな愚かな子供の勘違いで、メイソンにムチを打ったというのか?」
トマス公爵は、怒りで目をぎらつかせ、今にも私を殺したそうな目つきだ。
こんな時は、間に誰か入ってもらえるといいんだが・・・・・・
「えぇーと、こちらも、悪いことはしたと思っております。だから、ここは穏便に、偉い方に仲裁で、あ、えっと、公爵様より偉い方はおりませんでした・・・・・・すみません・・・・・・動揺して・・・・・・」
「だから、さきほども言いましたよね? 明日、王宮に出向きなさい。全員です。校長もそこの担任もダリア男爵もですよ? もちろん、そのジェイコブとその父親もね! では、ごきげんよう! 今日はよく寝ておくことです。当分は寝れないでしょうからね!」
カトレーネ・トマス前公爵夫人とトマス公爵夫妻が去っていき、私達はその場で固まった。
そうして、罪のなすりあいと愚痴をはじめた。
畜生! なんで、こうなったんだ! 私達は、メイソンの入学の際の提出書類を一式また確認した。
ほら、どこにもトマス公爵家の文字はない。
保護者欄には、ただ一人の名前だけだ。
「ジャクステイング」とだけ書いてある。高貴な身分の大事なご子息などと誰が思う? ファミリネームがないのは平民の印だ。だが、この国の王と同じ名前なんか書きやがって。・・・・・・え?・・・・・・王?
「ちょっと、待てよ! ジャクステイング・・・・・・これは平民の名前じゃない・・・・・・家名が下につかないのは平民だけじゃない・・・・・・この国のキング・・・・・・。王様は一人しかいないから、ファミリネームはサインの時には書かないんだ」
私は、今になってそんな大事なことに気がついた。 もうダメだ。ダリア男爵家はもう貴族ではきっといられない・・・・・・・
翌日は、私は寝不足のまま、王宮に向かった。王の謁見の間に立たされた私達は、まずは上半身の服を脱ぐように指示されたのだった。・・・・・・これから、一体、なにが始まるんだ?
社交界の重鎮、カトレーネ・トマス前公爵夫人が私に詰め寄ってきた。普通なら、側にも近づけない高貴な家柄だ。ダリア男爵家など、あちらが虎ならこちらは蟻だ。相手にもされない存在だ。
こっちは末端男爵だぞ? そんな高位貴族のゴシップなどいちいち知るか! なにか、トマス公爵夫人が罰をうけたらしいね、ぐらいは知っていたが、雲の上の存在にはそれほど興味はないさ。だから、この子がその息子と言われてもピンとこない。
「カトレーネ・トマス前公爵夫人に申し上げます。私は末端男爵です。高位貴族の噂は、耳にはしますがそれほど詳細には伝わりません。気がつくもなにも・・・・・・無理です・・・・・・ここにそんな身分の子供がいるなどありえないからです! だから、これは仕方がないでしょう? この子供が盗みをしたと言ったのは甥っ子だが、まだ子供です。きっと勘違いでもしたのでしょう。あとで、きつく叱っておきますので・・・・・・」
「ほぉ。そんな愚かな子供の勘違いで、メイソンにムチを打ったというのか?」
トマス公爵は、怒りで目をぎらつかせ、今にも私を殺したそうな目つきだ。
こんな時は、間に誰か入ってもらえるといいんだが・・・・・・
「えぇーと、こちらも、悪いことはしたと思っております。だから、ここは穏便に、偉い方に仲裁で、あ、えっと、公爵様より偉い方はおりませんでした・・・・・・すみません・・・・・・動揺して・・・・・・」
「だから、さきほども言いましたよね? 明日、王宮に出向きなさい。全員です。校長もそこの担任もダリア男爵もですよ? もちろん、そのジェイコブとその父親もね! では、ごきげんよう! 今日はよく寝ておくことです。当分は寝れないでしょうからね!」
カトレーネ・トマス前公爵夫人とトマス公爵夫妻が去っていき、私達はその場で固まった。
そうして、罪のなすりあいと愚痴をはじめた。
畜生! なんで、こうなったんだ! 私達は、メイソンの入学の際の提出書類を一式また確認した。
ほら、どこにもトマス公爵家の文字はない。
保護者欄には、ただ一人の名前だけだ。
「ジャクステイング」とだけ書いてある。高貴な身分の大事なご子息などと誰が思う? ファミリネームがないのは平民の印だ。だが、この国の王と同じ名前なんか書きやがって。・・・・・・え?・・・・・・王?
「ちょっと、待てよ! ジャクステイング・・・・・・これは平民の名前じゃない・・・・・・家名が下につかないのは平民だけじゃない・・・・・・この国のキング・・・・・・。王様は一人しかいないから、ファミリネームはサインの時には書かないんだ」
私は、今になってそんな大事なことに気がついた。 もうダメだ。ダリア男爵家はもう貴族ではきっといられない・・・・・・・
翌日は、私は寝不足のまま、王宮に向かった。王の謁見の間に立たされた私達は、まずは上半身の服を脱ぐように指示されたのだった。・・・・・・これから、一体、なにが始まるんだ?
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