異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
30 / 123
新居編

30 私はスキンヘッドに恐怖する

しおりを挟む
 建物を見上げていると、何処からともなく周囲に轟音が鳴り響いていた。
 
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
 
 なんの音かと周りをキョロキョロしていると、その謎の轟音がこちらに近づいていることに私は気がついた。
 
「ヴェインさんこn―――」

「ヴェイーーーーーーン!!貴様この野郎!!無事だったかこんちくしょうが!!!」

 ヴェインさんに声をかけようとした矢先だった。
 ものすごい強風が吹いたと思ったら、隣りにいたはずのヴェインさんが何処にもいなかった。
 その代わりに、日に焼けた大柄なスキンヘッドのおじさんがいた。
 私が見上げていると、大きな口をにっとさせて私のことを見てきた。
 893的な凶悪な表情で私を見下ろしていた、スキンヘッドなおじさんはお腹に響くようなドスの利いた低い声で話しかけてきたのだ。
 
「あ?何だ嬢ちゃん?迷子か?しゃーねーなぁ。おい、ヴェインこの野郎、この嬢ちゃんを家まで送ってやれや!!」

「ちょっと!!中隊長!!何してくれてんですか!!突然殴りかからないでくださいっていつも言ってるでしょうが!!」

 髪と服が乱れた状態のヴェインさんが、服の汚れを手で払いながら近づいてきて言った。
 ヴェインさんの後ろの壁を見ると、冗談みたいだけど、ヴェインさんが衝突してできたであろう穴が空いていた。
 
「ヴェインさん!!えっ?大丈夫ですか!!」

「ああ、悪かったなシズ。いつものことだから大丈夫だよ」

 何気なく言った、ヴェインさんのいつものこと宣言に私は恐ろしくなったよ。
 だって、出会い頭に暴言を吐きつつ殴りかかる人がいるだなんて思っても見なかったんだもん。
 
「中隊長……、シズが怖がるので離れてください」

「は?これだからイケメンは!!爆ぜろ!!」

「はぁ。ヴェイン・ラズロ、アグローヴェ・ラズロ。只今帰還しました。帰還途中で、この子を保護したため、連れてまいりました。この子は、シズヤ・カスミです。今日から俺とアークの部屋で暮らすので一応中隊長に報告しに参りました」

 そう言って、ビシッと敬礼ポーズで話すヴェインさんは決っていたけど、中隊長と言われたスキンヘッドのおじさんが、下から睨めつける様にガンを飛ばしている姿が異様な雰囲気を醸し出していた。
 
「そうか、後で入居届出しておけ。それと、お前がいないせいで書類が鬼のように溜まってるからよろしく~。おっと、それと寮の壁は薄いから、夜は静かに頼むぞ~。でないと、両隣と真下の者から、「毎日、ヴェイン補佐殿がお盛ん過ぎて、興奮して眠れません!!抜いても抜いても直ぐに硬くなってきりがありません!!」ってな!!!!がはははは!!!」

「ちゅ、中隊長!!なっ、なんてことを!!シズとはそんなんじゃないですから!!」

「なんだ?まだ抱いてないのか?お前のその顔面なら、迫れば直ぐにまt―――」

「中隊長……」

「やばっ!!おっと、急用ができた!!俺は、ちょっと馴染みのねえちゃんのところじゃなくて、巡回にいってくらぁ~」

 嵐のような人だったなぁ。
 それが私が、中隊長さんに抱いた印象だった。
 でも、ヴェインさんすごく怒ってるけど、どうしたんだろう?

「兄様……。中隊長は、通常運転でしたね……。でも、あのエロトークを聞くと帰ってきたと思えるのは、どうかと思いますけど……」

「はぁ。そうだな。でも、シズの入居はあっさり許可が出てよかったよ」

「そうですね。それでは、一先ず寮に行って荷物を置いてから商業組合と役所に行きましょうか」

 こうして、二人の住む騎士団の寮に向かったけど、私は寮について直ぐにここで生活していけるのか自信がなくなったよ。
 というか、無理だと悟ったよ。
 
 
 
 二人に案内されて、四階建ての建物に到着した。
 二人の借りている部屋は、四階端から三番目の部屋だった。
 中は、思ったよりも広くて、リビングと簡単なキッチン、洗面所と部屋が3つあった。
 ヴェインさんは、一部屋空いているからそこを使っていいと言ってくれたので、私は物珍しげに部屋を見回していた。
 ヴェインさん曰く、キッチンはあるけど、基本的に寮にある食堂でご飯が出されるから、そこで食事を摂っているので、キッチンはお茶を用意するくらいしか使わないそうだ。
 
 一通り部屋を見回していて、さっきの中隊長さんが言っていた言葉を思い出した。
 
「確かに、壁は薄そうですね。これは、ご近所さんに迷惑にならないようにしないといけませんね。でも、どうして壁が薄いとヴェインさんが興奮するんですか?あれ?違ったような?えっと、壁が硬くて抜けないでしたっけ?あれ?!う~ん、違うなぁ?ヴェインさんに興奮する?」

 私が、中隊長さんの言葉を思い出しつつ、ああでもないこうでもないと言っていると、ヴェインさんが慌てながら話しかけてきた。
 
「そうだ!!シズ!!それよりも、食堂を案内するよ!!」

「はい。分かりました?」

 急にどうしたんだろう?もしかしてヴェインさんお腹でも空いたのかな?
 そうだよね。朝ごはんは食べたけど、そろそろお昼も近い時間だしね。
 そんなことを考えていると、一階にある大きな食堂に案内された。
 ここは、寮に入っているものなら誰でも使っていいそうだ。
 
「よし、これで寮の案内は終わりだ」

「えっ?終わりですか?」

「ああ?どうした?」

 えっ、ヴェインさん……。とっても大事なことを2つも忘れてます!!
 
「お風呂は……」

「ああ。残念だけどここには大衆浴場は無いから、各自部屋で体を拭くか、寮から出たところにある大衆浴場を使うしか無いな」

「そうですか……」

 はぁ、やっぱりか。話には聞いていたけど、お風呂に入れないのは辛いよ……。
 でも、もう一つは案内忘れだよね!!そうだと言ってよ!!

「えっと……、お……」

「お?」

「あの……、お、おトイレは……」

「あぁ。無いぞ?」

「……………………!?」

 えっ?今、なんて?聞き間違いだよね?そうだと言って!! 
 
「えっと、え?…………、え!!!!!」

「ん?どうした?もしかしてしたくなったのか?それなら部屋に行こう」

 あっ、良かった。聞き間違いだったみたい。そうだよね。無いわけないもん。きっと、一階にはないって言う意味だよね…………?
 あれ?でも、二人の部屋にそれらしい部屋はなかったような?あれ?あれれ?
 
 そして私は、本当の絶望を知ることとなるのだった。



「いっ、いやーーーー!!ヴェ、ヴェインさんのエッチ!!変態!!バカバカ!!バカーーーーーーー!!!」
しおりを挟む
感想 160

あなたにおすすめの小説

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています

如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」 何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。 しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。 様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。 この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが…… 男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

転生したら地味ダサ令嬢でしたが王子様に助けられて何故か執着されました

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
皆様の応援のおかげでHOT女性向けランキング第7位獲得しました。 前世病弱だったニーナは転生したら周りから地味でダサいとバカにされる令嬢(もっとも平民)になっていた。「王女様とか公爵令嬢に転生したかった」と祖母に愚痴ったら叱られた。そんなニーナが祖母が死んで冒険者崩れに襲われた時に助けてくれたのが、ウィルと呼ばれる貴公子だった。 恋に落ちたニーナだが、平民の自分が二度と会うことはないだろうと思ったのも、束の間。魔法が使えることがバレて、晴れて貴族がいっぱいいる王立学園に入ることに! しかし、そこにはウィルはいなかったけれど、何故か生徒会長ら高位貴族に絡まれて学園生活を送ることに…… 見た目は地味ダサ、でも、行動力はピカ一の地味ダサ令嬢の巻き起こす波乱万丈学園恋愛物語の始まりです!? 小説家になろうでも公開しています。 第9回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作品

処理中です...