異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ

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新居編

29 私と王都セスランス

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 準備ができたため、早速ヴェインさんから借りた地図とゲーム内で作ったスクロールを使うことにした。
 その前に、念の為二人に声を掛けた。
 
「万が一転送時にばらばらになっては大変なので、二人共私に掴まってくださいね」

 私がそう声をかけると、二人は顔を見合わせてから困ったような表情で言ったのだ。
 
「えっと……、何処に掴まればいいかな……?」

 ヴェインさんが困惑気にそう言ったので、私はどうしたらいいのかと首を傾げてから私の体で掴まれそうな場所を考えた。
 まず、手は無理だった。
 両手に地図とスクロールがあるので、手が塞がっている。
 じゃぁ、肩?でも、もし手を滑らせて肩から手が外れて、離れ離れになったらと思うとちょっとそれは怖くて却下ね。
 う~ん、腰?服?う~む、なんかしっくりこないなぁ……。
 そうだ!!
 いい案が考え浮かんだ私は、ヴェインさんに抱きつきながら言った。
 
「はい。アーくん、後ろから私にくっついて、ヴェインさんの背中に腕を回して。ヴェインさんは、アーくんの背中に腕を回してしっかり私達を抱きしめてくださいね」

 完璧だ!!これぞサンドイッチ作戦!これなら、バッチリだね。
 いや……、ちょっと苦しいかも。私の駄肉が邪魔で苦しい!!早くスクロールを使っちゃおう!!

「むっ、胸が!柔らかい……、はっ!精神集中!精神集中!!」

 頭上でヴェインさんが何やらブツブツ言っていたけど、駄肉が押しつぶされて苦しかった私は、ヴェインさんを気遣う余裕もなく転送のカウントダウンに入っていた。
 
「それじゃ、カウント0で飛びます。3、2、1、0」

 カウント0で発動させたスクロールは、一瞬の光を放った後に期待通りの効果を発揮してくれた。
 光が治まると、街道らしき道の端に私達は立っていた。
 三人で抱き合った格好のまま、周辺に視線を巡らせていると、ヴェインさんとアーくんが声を上げていた。
 
「シズ!!アーク!!成功だ!!あそこに見えるのは、王都セスランスだ!!帰ってきた」

「シズ!!兄様!!王都に帰ってきました!!凄い!一瞬で帰ってこれました!!」

「良かった……。成功して……」

 二人は慌てて私から離れていったけど、私はと言うと、押しつぶされていた駄肉が解放されたことで息苦しさから逃れることの出来たことと、転送が成功したという二重の意味で安堵の息を吐いていた。
 
 私が物珍しそうに周りをキョロキョロしていると、ヴェインさんが私の頭を優しく撫でながら言った。
 
「よし、それじゃ王都に入ろうか。手続きとかは俺がやっておくから、シズは何も心配しなくていいからな」

 そう言って、まだ少しだけボンヤリとしていた私の手を引いて歩き出していた。
 アーくんもヴェインさんを追うように歩き出していた。
 少し歩くと、遠目には見えていたけど近くで見ると更に立派に感じられる大きな城壁が街を囲むように建てられていた。
 その城壁の門には、門番と思われる二人組の男性が門を通る人をチェックしているのが見えた。
 ヴェインさんは、そんな門番らしき二人組の男性に声を掛けていた。
 
「カルロス、ジョン!!久しぶりだな!」

 ヴェインさんに声を掛けられた二人は、一瞬驚いた顔をした後に、表情を緩めてヴェインさんの背中をバンバン叩きながらも歓迎していた。
 
「ヴェイン!!やっぱり生きてたんだな!!良かったよかった!!」

「迷子からの生還おめでとう。中隊長が仕事を片付けてくれる人間がいないと不便だって嘆いてたぞ~」

「生きてた。それと、迷子じゃない。はぁ、中隊長……」

 三人がそんな感じで盛り上がっていたけど、門番の男性二人がチラチラと私のことを見ていることに気がついてしまった。
 ある程度は慣れたつもりでも、やっぱり向けられる視線が怖くて、ついヴェインさんの背中に隠れてしまっていた。
 ヴェインさんの背中は大きくて温かくって、くっついているとなんだか安心できた。
 
「おいおい。迷子からの帰還と思いきや、美少女を伴っての帰還とは流石俺たちのヴェインパイセン!!そこにシビれる憧れる~」

「んまっ!あたしたちがこんなに心配していたっていうのに。男の人ってやぁねぁ~」

「んもぅ!!本当よね!!これだからイケメンは嫌よねぇ~」

 何故かオカマ口調で絡んできた二人にヴェインさんは呆れたように言った。
 
「違うから。この子は、ちょっとした経緯で保護したんだ」

「ふ~ん」

「そういう訳で、この子は俺が保護者として面倒見るから」

「はいはい。お幸せに~」

 三人のやり取りは、よく分からなかったけど中に入っていいみたいで良かった。
 門番の男性とすれ違う時、なんだか分からないけどニヤニヤした顔で見られた気がして、少し怖くなったけどヴェインさんが私の手をぎゅって握ってくれたから頑張れる気がしたんだ。
 
 門を抜けた先で、私は目の前に広がるファンタジーな街並みに目を奪われていた。
 昔のヨーロッパみたいな、石造りの街並みに、鎧やローブを身にまとったファンタジーな格好の人達が行き来する姿は夢みたいな光景だった。
 
 ヴェインさんに手を引かれて歩きながら、目の前に広がる異世界情緒あふれる街並みを物珍しそうに見ているうちに、目的地に着いてようだった。
 
「シズ、ここが俺とアークが所属している騎士団の中隊本部だ」

 そう言ってヴェインさんが教えてくれた、石造りの建物を私は見上げていた。
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