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運命の番だから辛い
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◆◆◆◆◆
僕は花木に対して怒りを感じていた。僕から正樹を奪っておきながら、彼を蔑ろにし過ぎだ。運命の番だからって、そんな事が許されるの?
「正樹の運命の番だからって、彼に甘え過ぎてない?運命の番なら何でも許されるの?他人の結婚式に乱入して、僕のパートナーを奪って。僕はその為に沢山のものを失ったよ?世間の笑い者にもなった。仕事も失って無職だよ。でも、正樹の相手が運命の番だから仕方ないって我慢した。だけど、花木さんには我慢ならない。なんなんだよ、君は!」
僕は感情に任せて、花木に怒鳴り声をあげていた。花木は俯きながら聞いていたが、やがて顔を上げて口を開いた。
「正樹さんと僕は、婚姻し伴侶となりました。直人さんはもう部外者です!貴方は、運命の番の事を理解していない。僕だって辛いのに!正樹さんがショーで他のオメガを抱くのに、平気な訳がないでしょ。直人さんにも彼氏が出来たみたいだし、もう僕たちに関わるのは止めてください!」
ムカつく。
「僕と雄一は幼馴染みで、彼は彼氏じゃないよ。離婚したばかりで、そう簡単に彼氏を作れる訳がないだろ!それから、僕が正樹の行動に口出しするのは慰謝料の為だから。彼が本業をクビになったら、お金を貰えないもの!」
「そうですか。彼氏ではないのですね」
花木は小さく呟くと不意に動き出した。その突然の動作に戸惑っていると、彼が冷蔵庫から箱を取り出した。そして、テーブルに箱をおいて蓋をとった。中身は高級チョコレートだった。思わずチョコに手を出すところだった。チョコ大好き!
「なにこれ?」
「正樹さんが言っていました。直人さんはチョコレートが大好きだって。チョコレートを食べると何時も機嫌が良くなって・・可愛くなるって。僕だって、直人さんに嫉妬をしています」
「僕が可愛くって、えっ!正樹が本当にそんな事を言ったの?」
「嘘はつきません。お客様、そろそろショーが開演しますのでお部屋を失礼します。ショーの間はスタッフは客室に入ってはいけない決まりになっておりますので、失礼します」
「あ、はい」
なんだか、チョコレートの登場で一気に気が緩んでしまった。花木が部屋を出ていくのを確認してから、チョコレートを摘まんだ。そして、口に放り込む。甘いチョコに心がほどけていく。
「ねえ、雄一」
「ん?」
「なんで黙っていたの?」
「オメガ同士の口喧嘩に圧倒された」
「口喧嘩じゃないよ。僕は正当な主張をしただけ。それより、チョコを食べた僕は少しは可愛くなった?」
僕はチョコを2つ摘まむと口に放り込む。高級チョコの2つ食べとか贅沢すぎる。頬をモグモグさせていると、 雄一が呆れた表情を浮かべながら口を開いた。
「まあ、リスみたいではあるな」
「なんだ、可愛くなってるじゃないか!リスのモグモグは癒しでしかない。んっ?」
突然、室内の照明が落ちた。雄一が不審がっていたので僕は説明した。
「ショーの始まりだよ、雄一」
「そうか」
ソファーの前の壁がマジックミラーになっている。今から、ショーが始まるようだ。
◆◆◆◆◆
僕は花木に対して怒りを感じていた。僕から正樹を奪っておきながら、彼を蔑ろにし過ぎだ。運命の番だからって、そんな事が許されるの?
「正樹の運命の番だからって、彼に甘え過ぎてない?運命の番なら何でも許されるの?他人の結婚式に乱入して、僕のパートナーを奪って。僕はその為に沢山のものを失ったよ?世間の笑い者にもなった。仕事も失って無職だよ。でも、正樹の相手が運命の番だから仕方ないって我慢した。だけど、花木さんには我慢ならない。なんなんだよ、君は!」
僕は感情に任せて、花木に怒鳴り声をあげていた。花木は俯きながら聞いていたが、やがて顔を上げて口を開いた。
「正樹さんと僕は、婚姻し伴侶となりました。直人さんはもう部外者です!貴方は、運命の番の事を理解していない。僕だって辛いのに!正樹さんがショーで他のオメガを抱くのに、平気な訳がないでしょ。直人さんにも彼氏が出来たみたいだし、もう僕たちに関わるのは止めてください!」
ムカつく。
「僕と雄一は幼馴染みで、彼は彼氏じゃないよ。離婚したばかりで、そう簡単に彼氏を作れる訳がないだろ!それから、僕が正樹の行動に口出しするのは慰謝料の為だから。彼が本業をクビになったら、お金を貰えないもの!」
「そうですか。彼氏ではないのですね」
花木は小さく呟くと不意に動き出した。その突然の動作に戸惑っていると、彼が冷蔵庫から箱を取り出した。そして、テーブルに箱をおいて蓋をとった。中身は高級チョコレートだった。思わずチョコに手を出すところだった。チョコ大好き!
「なにこれ?」
「正樹さんが言っていました。直人さんはチョコレートが大好きだって。チョコレートを食べると何時も機嫌が良くなって・・可愛くなるって。僕だって、直人さんに嫉妬をしています」
「僕が可愛くって、えっ!正樹が本当にそんな事を言ったの?」
「嘘はつきません。お客様、そろそろショーが開演しますのでお部屋を失礼します。ショーの間はスタッフは客室に入ってはいけない決まりになっておりますので、失礼します」
「あ、はい」
なんだか、チョコレートの登場で一気に気が緩んでしまった。花木が部屋を出ていくのを確認してから、チョコレートを摘まんだ。そして、口に放り込む。甘いチョコに心がほどけていく。
「ねえ、雄一」
「ん?」
「なんで黙っていたの?」
「オメガ同士の口喧嘩に圧倒された」
「口喧嘩じゃないよ。僕は正当な主張をしただけ。それより、チョコを食べた僕は少しは可愛くなった?」
僕はチョコを2つ摘まむと口に放り込む。高級チョコの2つ食べとか贅沢すぎる。頬をモグモグさせていると、 雄一が呆れた表情を浮かべながら口を開いた。
「まあ、リスみたいではあるな」
「なんだ、可愛くなってるじゃないか!リスのモグモグは癒しでしかない。んっ?」
突然、室内の照明が落ちた。雄一が不審がっていたので僕は説明した。
「ショーの始まりだよ、雄一」
「そうか」
ソファーの前の壁がマジックミラーになっている。今から、ショーが始まるようだ。
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