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第九章 覚悟を決める
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『ねぇ、ここの問題って……』
授業が終わった休み時間に、友達に近づいて行ってノートを開いた。さっきの授業で一箇所だけ答えを聞き逃してしまったのだ。
『え? やだ、分かんないよー、ミナちゃん頭いいじゃん、あたしに聞かないでーっ』
ノートを見てもいないのに、分からないと言って首を振る。答える気は初めからないみたいだ。
『ねえ、昨日のバトルめっちゃ楽しかったよねー? そういえば、ミナちゃんはゲーム、やらないの?』
本当はみんなと楽しくおしゃべりがしたい。
『ミナちゃんはゲームなんてしないよ! 頭いいしあたし達みたいなゲームバカとは頭の出来が違うんだよ』
『あー、そっかぁ。だよねぇ』
『ごめーん』と、笑いながら去っていく後ろ姿に、持っていたノートを握りしめた。二人とはずっと、友達だと思っていた。だけど、たまたまとった百点。自慢しようなんて気持ちはなかった。ただ、良かったねって言ってほしかっただけなのに。
『えー、すご。あたし達とはやっぱ出来が違うわ』
『そうだね、あたしなんて恥ずかしくて見せられない』
高学年になってすぐ、急に二人があたしから距離を取り始めた。
あたしは、頭がいいわけでも、勉強が好きなわけでもない。二人が勝手なイメージを持ってしまっただけ。
あの日から、話の輪には入れてくれるけれど、あたしといることが楽しいと思ってくれているのかが、分からなくなった。友達と素直に笑い合えないから、学校も勉強も嫌いだった。
ママとは、喧嘩をしたままこっちへきたんだ。きっと、まだ怒っているんだろう。許してくれないんだろう。
ママはいつも、弟のトキばかり可愛がっている。あたしはお姉ちゃんだから、もう大きいからと、先に生まれたことや生まれたばかりのトキよりも十歳年が離れているからとか、そんな理由でなんだっていつも後回しにされてきた。
ママは、トキだけのママじゃないでしょ。あたしのママでもあるのに。聞いてほしいことが、今までたくさんあったのに。いつか聞いてくれるだろうって、ずっと、我慢してた。
『なんでママはあたしの話を聞いてくれないの!? いっつもトキばっかり! あたしが話してることも頷いてるだけで、全然内容入ってないよね? そーなんだ、でいっつも終わり! ちゃんと聞いてよ、なんで適当なの? トキもママも嫌い、大っ嫌い!』
突然、こっちに来る前にママと喧嘩したことを思い出してしまった。
学校でもうまくいかない。
家でもうまくいかない。
きっと、そんなあたしのことを見かねたパパが、今回の旅行を提案してくれたんだ。
『ミナ、パパと一緒に旅行してこないか』
『旅行……?』
『そう、今から』
『今から!?』
驚くあたしに構わずに準備を始めるパパに、とりあえず自分の着替えや必要なものをつめたキャリーバックを引っ張って、お気に入りのショルダーバックを持って、初めての遠出をしにきたんだ。
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