親父の再婚相手が俺の元カノだった件について

アンジェロ岩井

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部活の時間。そして、遊びの時間

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翌日も忘れ掛けそうになったが、起きた後になんとかそれを思い出し、慌てて机の上に置いてあった紙を鞄の中に詰め込む。

それから、放課後には小町の奴に忘れずに紙を手渡し、文芸部へと入部する。
文芸部の部室は部活棟の中でも端の方にあって、他の部室と比べてもあまり、繁盛しているとはいえない。

だが、設備は中々に充実しており、部屋の奥に置かれた巨大な本棚にはジャンルとを問わず様々な本が所狭しと並んでおり、それを読んだり、或いは原稿用紙を開いて書いたりするための大きな机が中央に置かれており、その周りにはパイプ椅子が置かれていた。

そこには、俺をこの道に引き入れた小町以外に、三人の男女が椅子の上に座り、膝の上に手を置き、恭しい様子で俺を待ち構えていた。
そして、俺が小町が用意してくれた椅子に座ると、彼らは一斉に頭を下げて、

「ようこそ、我が文芸部へ!」

と、大きな声で歓迎の言葉を述べてくれた。それを聞いて、俺は堪らずに頬の筋肉を緩ませてしまう。
文芸部は最初の小町の説明通り、本を読んだり、書いたりする部活であり、入ったからには俺もその行動をしなければなるまい。

正直、本など漫画雑誌以外は殆ど読んだ事がない俺だが、これを機会に色々と読んでいるのも悪くはあるまい。
取り敢えず、今日は部活の先輩、桃寺満福ももでらまんぷくさんの書いた短編小説を読ませてもらい、明日、その感想を言う事になった。

桃寺さんの書く小説は俗に言う恋愛小説で、読んでいる俺も思わずときめいてしまうほどに美しく素晴らしい小説であった。
先輩の書いた、大金持ちの男と苦学生の少女との恋物語はそれだけ、魅力的であったのだ。

俺は感慨に耽っていると、不意に肩を揺さぶられてしまう。
先輩の書いた物語の世界から現実へと引き戻された俺は思わず背後を振り向くと、そこには小町が心配そうな顔で俺を覗き込んでいた。

「ねぇ、桐生。もう、学校終わる時間だよ?そろそろ帰った方がいいんじゃあない?」

小町にそう言われて、俺は慌てて周りを見渡すと、そこには窓から差し込む夕陽が俺と小町の両名を照らしていた。
それに、学校のチャイムも帰宅を促している。

やむを得ず、俺は鞄を下げて、小町と共に家へと向かう。
烏の鳴く声をBGMに、俺と小町は適当な雑談を交えながら、歩いていく。
そして、手を振って、適当なところで別れると、そのまま家に帰るのがいつもの俺のルートだが、今日はなぜか寄り道をしたくなってしまい、俺は別の場所へと向かう。

なんでそうなったのかは分からないが、今日はなんとなく外に居たい気分だったのだ。
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