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気まずい家庭状況

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成る程、親父の言わんとする事は分かった。
それに、俺の元カノの言い分も分かる。だが、なぜ、俺にだけ内緒にしていた。
俺はそこまで期待されていなかったのだろうか。

と、言うか、この二ヶ月の間、親父はよく家を空けていたが、まさか、そんな事をしていたとは……。
俺が家で、ゲームをしたり、漫画を読んだりしている間、親父は俺の元カノとイチャついていたという訳か。
俺は何も言わずに、親父にくっ付く、俺の元カノを訝しげに眺め、その後に鋭い視線で親父を射抜く。

「なぁ、親父、ちょっと説明してくれよ。なんかさぁ、最近、帰りがさぁ、遅いと思ってたんだよ」

「黙っていたのは悪いとは思ってる。けど……」

「けどなんだよ?」 

いけない。自然と口調が尖ってしまう。
俺が心の中で自分を責めていると、俺の元カノが強く叫ぶ。

「待ってよ!確かに、内緒にしてた事は悪かったけどさ、そこまで怒らなくても良いじゃん!自分のお父さんでしょ?」

「これが、自分の親父だから怒ってんだよ!それに、お前も、お前だ!俺が振られるのと同時に、俺の親父と付き合いやがって!当て付けか!?え!?俺への当て付けか!?」

今度は俺を振った元カノにも怒りが向いてしまう。信じられない。俺があれだけ貢いだのに、振り向かなかったのに、よりにもよって、俺の親父に靡いてしまうとは。

積もり積もった怒りが爆発したらしく、俺は二人にあらんばかりの怒声と理不尽な説教とを浴びせていく。
ハァハァと息が切れる頃になり、親父はようやく口を開く。

「すまなかったな。お前に内緒にしていて……」

「あたしもごめんね、悪かったなとは思ったけど、途中で言ったら、ショックを受けるかなと思ってさ」

何を言う。こんな状況で、いきなり告げられた方がショックを受けるわい。
それに、俺の新しい母親がかつての元カノって、俺は学校でどんな顔をすれば良い。

「その点については心配いらん。卒業までは隠匿する事にしておくから」

成る程、そういう事か。いいだろう。その手にも俺は乗ってやろう。
俺も学校で揶揄われるのは嫌だからな。
俺は二人に合意の言葉を述べる。そして、そのまま階段を登り、自分の部屋へと戻っていく。

そして、今後のあいつの、涼子の部屋についてベッドの上で考えていく。
俺の家は一軒家だがあまり広くはない。下の部屋は台所とトイレ、そして昔、お袋と親父が使っていた寝室だけで、二階は俺の部屋と物置に使っている部屋のみ。

物置に使っている部屋を退けるのは難しいから、やはり、涼子は俺の元カノ兼義母はかつての寝室を使うのだろうか。
そう考えていると、俺の体を眠気が襲っていく。

次第に、俺は夢の世界へと落ちていく。こんなにも早く夢の世界にいけるとは思ってもいなかった。
俺が夢の世界に入ると、俺はそのまま夢の世界で楽しんでいた。
天国のようなお花畑で俺が黄昏ていると、不意に大きな揺れを感じる。

やがて、お花畑も景色が歪み、気が付けば、俺は見慣れた自室の光景を眺めていた。
横には、ご立腹した様子の涼子。彼女は口を尖らせて、

「服のまま眠ったら、駄目だよ!寝る時はちゃんとパジャマに着替えなさい!」

と、まるで、母親のような事を言って、俺を怒鳴る。
いや、待て、法的には既に俺の母親か。
俺は苦笑しながら、ベッドの上から起き上がった。
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