79 / 211
サラマンダー・パシュート編
お姫様のサラマンダー狩り
しおりを挟む
「そうか、テメェ、そんなに死にてぇのか、なら、お望み通りに引導を渡してやろう!」
男はそう叫ぶと、背後や自身の体の周囲に玉を作り出し、その玉を両手で構えていた長銃に入れていく。
エネルギー波で一杯になった長銃を私に向けて、彼は笑顔で引き金を引く。
だが、私は怯まない。代わりに男に向かって自身の手に持っている拳銃の引き金を引く。
乾いた音が部屋の中に響き渡っていく。私は男の方を見てみたが、やはり弾は届いていなかったらしい。
男は得意そうな顔を浮かべて私を狙う。その様は無力な兎を狙う狼のようだ。
私は懸命にその場を駆け、狼から逃れるべく体を屈めてその場から逃げていく。
男はそれを狙って舌舐めずりをし、何度も私が逃げる度に砲撃を行なっていく。
見た目は単なる銃に過ぎないのにその実は全く持って未知数。
加えて、あの男は先程、発狂した時に見知らぬ土地の名前を、いや見知らぬ土地の名前ではない。
私はトーキョーなる街を聞いた事があった。確か、ピーターがそんな土地の名前を口に出していたような気がする。
そうすれば、あの男はピーターと同じ種類の人間になってしまう。
要するに、私たちの相手にした事のない人種の人間なのだ。
言われてみれば宇宙人に近い存在だと言えるのかもしれない。
その未知の世界の記憶を持った男が未知の武器を構えて立っていたのだ。
この世界には無い知識を持つ男に魔法で作り出された未知の兵器。
相手にするには部が悪いだろう。中には恐怖を感じて逃げてしまう人間もいるかも知れない。
それでも私は負けられないのだ。この男を倒し、サラマンダーを壊滅させてこの国人々を救うまでは。
私は声を張り上げて、自分の左手の掌を広げて相手が魔法を放つ瞬間に魔法を吸収していく。
だが、私の前に登場したのは先程と同様の玉。今度は桃色であったが何の違いがあるというのだろうか。
私の失望と共に例のエリートの男がけたたましい声を上げて笑う。
「フッハッハッ、惨めだな!クソ女!ぼくの魔法を吸い取ったのはいいけれども、吸収したのは単なる一個の玉ッ!ここから出るのはこの銃の部品となる小型のロボットだけだよぉ~この間抜けがッ!」
『ろぼっと』なる単語が何なのかは分からないが、きっと一部品にしか過ぎない物の事なのだろう。
大きく声を張り上げて、悔しさの雄叫びを叫ぼうとした時だ。桃色の玉が私の銃の中へと入り込む。
そして、私の持っている回転式の拳銃が先程の玉と同じ桃色に輝いていく。
私は思わず息を呑む。もしや、あの男の魔法を吸収した際に銃組み立ての召喚の過程を吹っ飛ばして、ここに来たのではないのか。
だが、過程を省略するなんて今までにあったのだろうか。これまではどんな魔法でも攻撃に至るまでの過程があった場合にはその過程まで吸収した筈では無かったか。
それが一番省略された?私は首を傾げたい気分であったのだが、何より疑問に思っているのはあの男であったに違いない。あの男は首を傾げて、
「あり得ない、ぼくの魔法の過程を省略するなんて!このエネルギーの波長を持つ玉を銃はこの玉から出てきた小型のロボットが合体して出来たこいつだけなんだッ!どうして、普通の銃でしか無いのに、貴様にそんな真似ができる!?」
「さぁ、何でかしら?分からないけれど、出来たのよ。でも、もしかしたらーー」
私は一度言いかけた『魔法の進化』という言葉を飲み込め。そもそも魔法というのは生き物ではないのだ。成長などする筈が無いではないか。
代わりに、私はふてぶてしい顔で笑って、
「何でもないわ。奇跡が起きたとでも言っておきましょうか」
「奇跡?一体何を言ってやがる。テメェら負け犬どもに奇跡なんて起こるはずがねぇだろ、そんなものは負け犬どもの遠吠えに過ぎないんだッ!」
男は長銃の銃口を私に向ける。同時に周囲から多くの玉が長銃の中に入っている事に気が付く。
男は先程、私の言った『奇跡が起きた』という言葉を否定するために、長銃の引き金を絞り、エネルギー波を放っていく。
私がそれに合わせて玉の宿る拳銃の引き金を引いたたために、虹色のエネルギー波と桃色のエネルギー波が互いにぶつかり合う。
最初こそ虹色のエネルギー波が押していたのだが、徐々にピンク色のエネルギー波が押し戻していく。
私はこの流れを逃さないために両手に握っていた拳銃を前方へと押していく。
愛銃のフレームがこのエネルギーに耐え切れなかったのか、音を立てて割れ始めていく。
だが、構う事なく私は前へと拳銃を押し出す。
私の手により、前方に押し出された拳銃はとうとう圧力に耐え切れずに破裂してしまう。
だが、拳銃が壊れた目的は甲斐はあったらしい。
桃色のエネルギー波は虹色のエネルギー波動を押し出し、男を飲み込む。
桃色のエネルギーに飲み込まれた男は大きな悲鳴を上げて地面の上へと放り出されてしまう。
全身を火に焼かれたような火傷に見舞われていたのだが、どうも彼は死んでいなかったらしい。
瀕死の体で床を這いながら、出口の方向へと向かって行く。
男は瓦礫まみれの出入り口周辺に来ると油断したのか、お化けのような顔をさらに歪めさせて、
「ちくしょう……死んでたまるもんかよ。オレさえ生きていれば組織なんてまた立て直せる……だからオレは死なないようにーー」
「死なないようにする?それはあまりにも虫が良すぎるんじゃあないかしら?」
私は這い出そうとする男の手の甲を踏みながら言う。
男は手の痛みを訴えるものの私はその場からは動こうとしない。
冷ややかな視線で、あの男を見下ろすような調子で、
「このままあなたが大人しくしているんだったら、このまま病院に連れて行ってあげるわ。でも、暴れるんらだったら、ここまでね……」
私は足を男の手の甲から離し、戦いの間、この部屋で息を潜めていた仲間の元へと向かおうとしたが、その言葉を聞いて焦ったのか、男は口をパクパクとさせて私に縋り付いてくる。
「お願いだッ!頼むッ!病院に連れて行ってくれ!何でもするからッ!」
私は溜息を吐いて、男を助けようと手を差し伸べようとしたが、男は最後の力を振り絞って私を羽交い締めにしていく。
そして、得意な顔で大きな声を上げて笑いながら、
「どうだッ!大人しくしろよッ!テメェらが妙な真似をすればこの女の首を絞め落とすからなッ!」
男の言葉を通りに私の首が男の両腕によって締められていく。
やはり、情けを掛けたのが間違いだったようだ。私は自分の甘さを悔いた。
男はそう叫ぶと、背後や自身の体の周囲に玉を作り出し、その玉を両手で構えていた長銃に入れていく。
エネルギー波で一杯になった長銃を私に向けて、彼は笑顔で引き金を引く。
だが、私は怯まない。代わりに男に向かって自身の手に持っている拳銃の引き金を引く。
乾いた音が部屋の中に響き渡っていく。私は男の方を見てみたが、やはり弾は届いていなかったらしい。
男は得意そうな顔を浮かべて私を狙う。その様は無力な兎を狙う狼のようだ。
私は懸命にその場を駆け、狼から逃れるべく体を屈めてその場から逃げていく。
男はそれを狙って舌舐めずりをし、何度も私が逃げる度に砲撃を行なっていく。
見た目は単なる銃に過ぎないのにその実は全く持って未知数。
加えて、あの男は先程、発狂した時に見知らぬ土地の名前を、いや見知らぬ土地の名前ではない。
私はトーキョーなる街を聞いた事があった。確か、ピーターがそんな土地の名前を口に出していたような気がする。
そうすれば、あの男はピーターと同じ種類の人間になってしまう。
要するに、私たちの相手にした事のない人種の人間なのだ。
言われてみれば宇宙人に近い存在だと言えるのかもしれない。
その未知の世界の記憶を持った男が未知の武器を構えて立っていたのだ。
この世界には無い知識を持つ男に魔法で作り出された未知の兵器。
相手にするには部が悪いだろう。中には恐怖を感じて逃げてしまう人間もいるかも知れない。
それでも私は負けられないのだ。この男を倒し、サラマンダーを壊滅させてこの国人々を救うまでは。
私は声を張り上げて、自分の左手の掌を広げて相手が魔法を放つ瞬間に魔法を吸収していく。
だが、私の前に登場したのは先程と同様の玉。今度は桃色であったが何の違いがあるというのだろうか。
私の失望と共に例のエリートの男がけたたましい声を上げて笑う。
「フッハッハッ、惨めだな!クソ女!ぼくの魔法を吸い取ったのはいいけれども、吸収したのは単なる一個の玉ッ!ここから出るのはこの銃の部品となる小型のロボットだけだよぉ~この間抜けがッ!」
『ろぼっと』なる単語が何なのかは分からないが、きっと一部品にしか過ぎない物の事なのだろう。
大きく声を張り上げて、悔しさの雄叫びを叫ぼうとした時だ。桃色の玉が私の銃の中へと入り込む。
そして、私の持っている回転式の拳銃が先程の玉と同じ桃色に輝いていく。
私は思わず息を呑む。もしや、あの男の魔法を吸収した際に銃組み立ての召喚の過程を吹っ飛ばして、ここに来たのではないのか。
だが、過程を省略するなんて今までにあったのだろうか。これまではどんな魔法でも攻撃に至るまでの過程があった場合にはその過程まで吸収した筈では無かったか。
それが一番省略された?私は首を傾げたい気分であったのだが、何より疑問に思っているのはあの男であったに違いない。あの男は首を傾げて、
「あり得ない、ぼくの魔法の過程を省略するなんて!このエネルギーの波長を持つ玉を銃はこの玉から出てきた小型のロボットが合体して出来たこいつだけなんだッ!どうして、普通の銃でしか無いのに、貴様にそんな真似ができる!?」
「さぁ、何でかしら?分からないけれど、出来たのよ。でも、もしかしたらーー」
私は一度言いかけた『魔法の進化』という言葉を飲み込め。そもそも魔法というのは生き物ではないのだ。成長などする筈が無いではないか。
代わりに、私はふてぶてしい顔で笑って、
「何でもないわ。奇跡が起きたとでも言っておきましょうか」
「奇跡?一体何を言ってやがる。テメェら負け犬どもに奇跡なんて起こるはずがねぇだろ、そんなものは負け犬どもの遠吠えに過ぎないんだッ!」
男は長銃の銃口を私に向ける。同時に周囲から多くの玉が長銃の中に入っている事に気が付く。
男は先程、私の言った『奇跡が起きた』という言葉を否定するために、長銃の引き金を絞り、エネルギー波を放っていく。
私がそれに合わせて玉の宿る拳銃の引き金を引いたたために、虹色のエネルギー波と桃色のエネルギー波が互いにぶつかり合う。
最初こそ虹色のエネルギー波が押していたのだが、徐々にピンク色のエネルギー波が押し戻していく。
私はこの流れを逃さないために両手に握っていた拳銃を前方へと押していく。
愛銃のフレームがこのエネルギーに耐え切れなかったのか、音を立てて割れ始めていく。
だが、構う事なく私は前へと拳銃を押し出す。
私の手により、前方に押し出された拳銃はとうとう圧力に耐え切れずに破裂してしまう。
だが、拳銃が壊れた目的は甲斐はあったらしい。
桃色のエネルギー波は虹色のエネルギー波動を押し出し、男を飲み込む。
桃色のエネルギーに飲み込まれた男は大きな悲鳴を上げて地面の上へと放り出されてしまう。
全身を火に焼かれたような火傷に見舞われていたのだが、どうも彼は死んでいなかったらしい。
瀕死の体で床を這いながら、出口の方向へと向かって行く。
男は瓦礫まみれの出入り口周辺に来ると油断したのか、お化けのような顔をさらに歪めさせて、
「ちくしょう……死んでたまるもんかよ。オレさえ生きていれば組織なんてまた立て直せる……だからオレは死なないようにーー」
「死なないようにする?それはあまりにも虫が良すぎるんじゃあないかしら?」
私は這い出そうとする男の手の甲を踏みながら言う。
男は手の痛みを訴えるものの私はその場からは動こうとしない。
冷ややかな視線で、あの男を見下ろすような調子で、
「このままあなたが大人しくしているんだったら、このまま病院に連れて行ってあげるわ。でも、暴れるんらだったら、ここまでね……」
私は足を男の手の甲から離し、戦いの間、この部屋で息を潜めていた仲間の元へと向かおうとしたが、その言葉を聞いて焦ったのか、男は口をパクパクとさせて私に縋り付いてくる。
「お願いだッ!頼むッ!病院に連れて行ってくれ!何でもするからッ!」
私は溜息を吐いて、男を助けようと手を差し伸べようとしたが、男は最後の力を振り絞って私を羽交い締めにしていく。
そして、得意な顔で大きな声を上げて笑いながら、
「どうだッ!大人しくしろよッ!テメェらが妙な真似をすればこの女の首を絞め落とすからなッ!」
男の言葉を通りに私の首が男の両腕によって締められていく。
やはり、情けを掛けたのが間違いだったようだ。私は自分の甘さを悔いた。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる