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第十九話
第二王子の美容事情
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(あぁ、王子。そうして無防備にさらけ出すお姿もなんて美しいのでしょう。ローズオイルにまみれた真珠のようなお肌は、まるで黄金真珠のようです。そしてしなやかな体つき、細身の筋肉質でまるで野生の豹よう。濡れた金色の髪は本当に黄金みたいだ……)
なんて鼻の下伸ばしてうっとりしてる場合かっ! 俺!! いやほら、数日ぶりにお姿を拝見したものだからつい舞い上がっちまって。
今、王子が蛍光ピンク頭から、生まれたままの姿で全身エステを受けているところを間近で見ている。施術しやすいようにだと思うがシングル用のベッドに、俯せで寝ており目を閉じて施術を受けている王子。黄金色の長い睫毛は絹糸みたいに繊細だ。
この時の蛍光ブルー頭はアシスタント役、という感じのようだ。どんな風に施術しているのかしっかり見ておかないと。
あれから再び迎えに来たリアンに最上階……三十階の王子専用美容ルームへとやってきた。移動方法は空飛ぶ絨毯、いや、ホントだって。
三階の踊り場で、リアンが胸のポケットから出した白い笛……ほら、体育教師の必需品の一つのホイッスル、みたいな感じの……を一吹き(音は出ないのな)すると、だ。上の方から畳二畳分ほどの赤い絨毯がふわーっ降りて来て度肝を抜かれたよ。漫画で描いたら目ん玉が飛び出る感じだろう。その絨毯は俺達の足元まで降りてきた。リアンはその上に乗ると「さぁ、あなたも。初めて乗る方は真ん中あたりで膝を抱えて座るのをお勧めします。安定するので」との事。まさか、空飛ぶ絨毯で移動? まさに……空飛ぶ絨毯だった。言われた通り素直に真ん中あたりで体育座りしたら、(てか白装束で体育座りってなんか遺体を樽の中に入れる時みたいな感じしてブルッときた)「行きますよ」とリアンは声をかけ、また笛を一吹きした途端ふわっと絨毯は浮かびあがった。リアンは平然と立って乗っている。
最上階の踊り場に着くと、絨毯は俺達がおりてからふわっと天上に向かって上っていった。よく見たら、いくつも赤い絨毯が天井に並んでいる。リアンによると、十五階より上に行く時はエレベーターよりも早いんだってさ。万が一落ちても、絨毯が助けに向かうし安全な乗り物らしい。本当かなぁ。なんか不安定で怖かった……いや、ほんの少しだけな。専用の白い笛で呼び出し、心の中で目的の階を言えばその階の踊り場に着くそうだ。普段は天井付近で待機、魔術が原動力になっているとの事。正に異世界だな。
白い笛、渡してもらったけど移動はエレベーターでいいかなー、なんて思ったのは内緒な?
最上階は、王子のエステルーム、風呂場、美容室、フィッティングルーム(と言っても余裕で十六畳くらいある)、音楽鑑賞室、映画鑑賞室、仮眠室……全て王子の美容に関する部屋が集結していた。この階の一番奥に、蛍光縦ロール頭兄弟の部屋があるらしい。まさに、第二王子の専属美容担当近侍だ。今居るのはエステルームだ。
俺を送り届けてから仕事があるのか、王子にお辞儀をして去っちまったリアン。少しだけ心細く感じた。もうすっかり、リアンに頼ってたんだな、俺。もっとしっかりしないとな。
さてさて何やらやたら偉そうだった│蛍光縦ロ-ル頭《やつら》。悔しいけど事実、本当にテクニックは極上だと思う。ド素人の俺でもその手つきで分かるくらいだ。また、アシスタントに徹している蛍光ブルー頭、実際に施術している蛍光ピンク頭、双子だけあって本当に息がピッタリだ。以心伝心は本当の話だったんだな。
全身エステが終わると、二人がかりで丁寧に王子の体を拭き、純白のバスローブを着せるとゆったりと腰を下ろせるリクライニングチェアに移動。そこでネイルの施術に入るようだ。今回も施術者は蛍光ピンク頭、アシスタントは蛍光ブルー頭だ。蛍光ブルー頭は衣装やヘアメイク担当らしいから、その時は蛍光ピンク頭がアシスタント役になるのだろう。
あれ? だけど……何だろう? 大人しくされるがままの王子。口元に笑顔を絶やさないけど、……けど、何だか寂しそうな瞳。気のせいだろうか? 瞳の色が、どこか憂いの影を秘めたロンドンブルートパーズみたいに見えたんだ。ロンドンの空みたいに少しくすんだ暗い青色。
そんな寂し気な王子も守ってあげたくなって素敵だけど、何だろう? 酷く孤独に見えたんだ。
なんて鼻の下伸ばしてうっとりしてる場合かっ! 俺!! いやほら、数日ぶりにお姿を拝見したものだからつい舞い上がっちまって。
今、王子が蛍光ピンク頭から、生まれたままの姿で全身エステを受けているところを間近で見ている。施術しやすいようにだと思うがシングル用のベッドに、俯せで寝ており目を閉じて施術を受けている王子。黄金色の長い睫毛は絹糸みたいに繊細だ。
この時の蛍光ブルー頭はアシスタント役、という感じのようだ。どんな風に施術しているのかしっかり見ておかないと。
あれから再び迎えに来たリアンに最上階……三十階の王子専用美容ルームへとやってきた。移動方法は空飛ぶ絨毯、いや、ホントだって。
三階の踊り場で、リアンが胸のポケットから出した白い笛……ほら、体育教師の必需品の一つのホイッスル、みたいな感じの……を一吹き(音は出ないのな)すると、だ。上の方から畳二畳分ほどの赤い絨毯がふわーっ降りて来て度肝を抜かれたよ。漫画で描いたら目ん玉が飛び出る感じだろう。その絨毯は俺達の足元まで降りてきた。リアンはその上に乗ると「さぁ、あなたも。初めて乗る方は真ん中あたりで膝を抱えて座るのをお勧めします。安定するので」との事。まさか、空飛ぶ絨毯で移動? まさに……空飛ぶ絨毯だった。言われた通り素直に真ん中あたりで体育座りしたら、(てか白装束で体育座りってなんか遺体を樽の中に入れる時みたいな感じしてブルッときた)「行きますよ」とリアンは声をかけ、また笛を一吹きした途端ふわっと絨毯は浮かびあがった。リアンは平然と立って乗っている。
最上階の踊り場に着くと、絨毯は俺達がおりてからふわっと天上に向かって上っていった。よく見たら、いくつも赤い絨毯が天井に並んでいる。リアンによると、十五階より上に行く時はエレベーターよりも早いんだってさ。万が一落ちても、絨毯が助けに向かうし安全な乗り物らしい。本当かなぁ。なんか不安定で怖かった……いや、ほんの少しだけな。専用の白い笛で呼び出し、心の中で目的の階を言えばその階の踊り場に着くそうだ。普段は天井付近で待機、魔術が原動力になっているとの事。正に異世界だな。
白い笛、渡してもらったけど移動はエレベーターでいいかなー、なんて思ったのは内緒な?
最上階は、王子のエステルーム、風呂場、美容室、フィッティングルーム(と言っても余裕で十六畳くらいある)、音楽鑑賞室、映画鑑賞室、仮眠室……全て王子の美容に関する部屋が集結していた。この階の一番奥に、蛍光縦ロール頭兄弟の部屋があるらしい。まさに、第二王子の専属美容担当近侍だ。今居るのはエステルームだ。
俺を送り届けてから仕事があるのか、王子にお辞儀をして去っちまったリアン。少しだけ心細く感じた。もうすっかり、リアンに頼ってたんだな、俺。もっとしっかりしないとな。
さてさて何やらやたら偉そうだった│蛍光縦ロ-ル頭《やつら》。悔しいけど事実、本当にテクニックは極上だと思う。ド素人の俺でもその手つきで分かるくらいだ。また、アシスタントに徹している蛍光ブルー頭、実際に施術している蛍光ピンク頭、双子だけあって本当に息がピッタリだ。以心伝心は本当の話だったんだな。
全身エステが終わると、二人がかりで丁寧に王子の体を拭き、純白のバスローブを着せるとゆったりと腰を下ろせるリクライニングチェアに移動。そこでネイルの施術に入るようだ。今回も施術者は蛍光ピンク頭、アシスタントは蛍光ブルー頭だ。蛍光ブルー頭は衣装やヘアメイク担当らしいから、その時は蛍光ピンク頭がアシスタント役になるのだろう。
あれ? だけど……何だろう? 大人しくされるがままの王子。口元に笑顔を絶やさないけど、……けど、何だか寂しそうな瞳。気のせいだろうか? 瞳の色が、どこか憂いの影を秘めたロンドンブルートパーズみたいに見えたんだ。ロンドンの空みたいに少しくすんだ暗い青色。
そんな寂し気な王子も守ってあげたくなって素敵だけど、何だろう? 酷く孤独に見えたんだ。
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