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第15章 火の国ルシファーランド強制招待編
第410話 ゲートで着いた先は?
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ステラーシアさんのゲートを抜けるとそこには――
「「「ようこそおいでくださいました、アルトラ様!」」」
メイド姿をした大勢のヒトたちがずらっと真ん中を空けて整列、私のために屋敷へ続く花道を作ってくれている。
先にゲートをくぐったフレアハルト、アリサ、レイアはその人数に圧倒されていた。
「えぇっ!?」
何だこの派手な歓迎は!?
あ、そういえば、以前我が家に来た火の国からの誘拐未遂犯曰く、『メイドは五十人は用意致しましょう』などと宣っていた。 (第300話参照)
この花道は本当に五十人くらいいるかもしれない。
もしかしてこれがそう?
私を見る沢山の目に圧倒されて気付いていなかったが、少し遠くの前方に焦点を合わせると今まで見たどんな家よりもでっかい家。
「えぇっ!? でっかい家!!」
そういえば、これも言ってた!! 『住む家はルシファー様に次ぐ宮殿のようなお住まいに』とかなんとか。まさに宮殿のような大豪邸。 (第300話参照)
まさか本当に用意されているとは!! まだ移住を了承してもいないのに!?
私の後ろからゲートをくぐり抜けて来たステラーシアさんに声をかけられる。
「これからアルトラ様が生活される家でございます」
「……いや、私はまだ移住するとは……」
何と言う断りづらさ! 思わず声が出せず小声になってしまった!
先だって用意されているとこうも断りづらいのか!
「では中をご案内致しますので参りましょう」
「いや、私は……」
ステラーシアさんはずんずん先へ行ってしまった。
私はその後ろを付いてメイドたちの花道を歩きながら宮殿のような邸宅へ歩いて行く。
彼女らのそばを通過する度に、両横のメイドがお辞儀する。
正直言って、私が歩を進める度にメイドさんたちがウェーブが起こるようにお辞儀してくれるというのは気持ち良くないわけではない。
が、移住を断ること前提でここへ来ているため、心中困惑の度合いがかなり強い……
「こちらがエントランスでございます」
「おぉ……」
言葉を失うとはこのことだ。
凄く広い空間に磨き抜かれた床に絨毯、天井には豪華なシャンデリア、正面には二階へと続く二対の階段が左右にある。階段にまで絨毯引いてあるよ……
買ったらきっと億では済まない。
「ア、アルトラ……あの天井の派手なのは何だ……?」
「ああ、あれはシャンデリアって言う電灯の一種だよ」
「電灯ですか~!? あんなのアルトレリアで見たことありませんけど!? うちの町にある電灯なんてただの一本の長い棒じゃないですか!」
そりゃ、あんなの買える余裕なんか無いし、吊るす場所もないよ……
もしうちの町の建物であれを吊るしたら、床に擦り付けてしまうし、あれだけで部屋を占領してしまうわ……
「落ちてくることはないのでしょうか……? 重そうですけど……」
「それは大丈夫でしょ」
うちの町の建物なら、天井ごと剥がれ落ちそうだけど……
他にも高そうな調度品まで置いてある。もうこの空間だけでアルトレリアの普通の一軒家が一つ二つ入りそうなくらい広さがある。
ただ、残念なことに土足で入るらしい。土禁文化の私としてはここだけはいただけない。
「まずはアルトラ様がこれから生活される部屋からご紹介いたしましょう」
真っ先に連れて行かれた場所は二階の奥の部屋。
「この場所で生活していただきます」
部屋は立派な椅子と机が置かれた執務室のような場所。本も沢山あって書斎のようにも見える。
「隣の部屋は寝室になっております」
仕事部屋の隣が寝室!?
これを私だけで使えるのか。パーソナルスペースに誰も居ない生活なんてどれくらい振りかしら。今は居候が二人とカイベル、あと度々クリューが訪れるから、ただでさえ狭い家が更に手狭だし。
狭い邸宅だった日本に住んでいる時に、書斎を持つことは夢の一つであった。
ちょっとだけ心が傾く。
「沢山本がありますね」
アリサが食いつく。アルトレリアにはまだ有志が作った、所謂同人誌しか売られていないから、こういったきちんとした書物は珍しいのだろう。
亜空間収納ポケット内に樹の国から寄付された本があるから、早いとこ図書館が立ってくれれば町のみんなが本に触れられるようになるのだけど……
「でも……絵付きの本はありませんね……字ばかりで見難いです」
レイアは絵があった方が良いらしい。
フレアハルトはあまり興味が無さそうに、本をペラペラめくっている。
「他の部屋も順に説明していきます」
この後に訪れたのが、応接室、トイレ、風呂、メイドたちの生活スペース、執事の生活スペース、遊戯室まであるらしい。
◇
トイレ――
トイレはかなり広めにスペースが確保されていて解放感が凄い
「トイレ広いですよ! フレハル様!」
「これは……落ち着かんな……トイレはこじんまりしておった方が良い」
これはフレアハルトと同意見。広いと私も落ち着かない。
「一つしか無いんですか?」
「いえ、従業員用は別に……」
これだけメイドさんが居ればそりゃそうか。ここは家の関係者が使う用ってわけね。
◇
風呂――
風呂は大浴場だった。リナさんの家の大浴場よりも更に大きい。
「砂漠で泊まった宿の露天風呂より広いですね~」
「従業員も入るからなんじゃない?」
「これが個人の家のお風呂なのですか? わたくしたちの住む賃貸の何十倍の広さがありますけど……」
そう聞くと庶民と選ばれた者との違いを痛感させられるわ……うっ、精神的にダメージが……
◇
更には遊技場まで完備……ジムのようなトレーニングルームも付いていた。
「おい! アルトラ何だか楽しいのがあるぞ!」
トレーニング器具を上げ下げしている。
持ち上げてる重さを見ると、二百キロ……それを苦も無く凄い早さで何十回も繰り返す。
「これは何のための道具なのだ?」
「トレーニングだけど……」
「楽しいが、この程度の重さでは我にはトレーニングにならんな」
何百キロ単位のものを軽々持ち上げられる彼らが異常なだけで、普通の亜人は人間と大して変わらない。
フレアハルトには物足りないかもしれないが、これはアルトレリアにジムとして根付かせるのも良いかもしれない。
「アルトラ様、あれは何ですか?」
「卓球台ってヤツだね」
魔界にもあるんだな……
「ボールは他にもありますよ」
と言ってステラーシアさんが出してきたのは、サッカーボールに野球ボールにバレーボールと。よく見知った形のものだ。
「この国に球団とかあるんですか?」
経済的に困窮している国であっても、あるのはおかしくはないが……スポーツのイメージが湧かない。
「球団……とは何ですか?」
あれ? ボールはあるのに球団は無いのか?
「そのボールを使ってチームを組んで戦うんですよ。そのチームの所属団体が球団」
「いえ、このボールは昔からあるものでして、この屋敷の元の持ち主が物珍しいからと商人から購入したものです。お昼休みなどにはこれを使ってメイドたちが遊ぶことはありますが……」
案内されている間に疑問が湧いて来たため、質問してみることにした。
「あの……ここって別の誰かが住んでるんじゃないんですか?」
『元の持ち主』って言ってたし、その人物はどこへ行った?
まさか私が来るってことで追い出したのか?
「ここは現ルシファー様が宰相をしていた間に使っていた邸宅です。前代ルシファー様が崩御され、王城へ移られて二十五年ほど経ちますが今も綺麗に手入れされています」
「王様の元邸宅!?」
住んでいないにも関わらず、メイドを雇って全ての部屋、施設がきちんと手入れされていて、埃一つ無いほど綺麗にしてあった。余程大事にされているのだろう。
そんなのに住まわせられるってことは、本当の本当に重要人物として見られてるってことか。だとしたら移住を断ったことによる反動が凄そうだが……生きて帰れるのか私は?
「ステラーシアさんは王様とはどういったご関係なんですか?」
「はい、幼少の頃に奴隷商から拾っていただいて、以来ずっとお仕えしています。わたくしを連れ回していた奴隷商曰く、卵の時に盗賊から買い取ったそうで、物心着く時分には奴隷商と共に各地を渡り歩いておりました。自分がどこの出身かも分かりません」
「なに!? ステラーシア殿を売買しておったのか!? その奴隷商許せんな。見つけ出して焼き尽くしてやる」
「あ、きっともうお亡くなりになられていると思いますよ。その奴隷商は亜人でしたので」
卵の頃に売られたって……彼女、ドラゴンだって言うからには、この見た目なら二百歳付近のはず。
ルシファーはそれ以上の年なのか? 七大国会談で見た時には若そうに見えたが少なくとも二百歳以上ってことか。
「現在のルシファー様も……『傲慢』の大罪を継承する前は、国民の話に耳を傾ける素晴らしい方だったのですが……」
少し表情が曇った。彼女もルシファーの振る舞いには心を痛めているようだ。
「さて、お次の部屋へ参りましょう」
◇
「ここが厨房です。この家で働く者の食事を作っています」
シェフまで付いてるの!?
あ、でもカイベルに敵うシェフなんか存在せんか。
とは言え、巨大な大豪邸に至れり尽くせりの生活には憧れる。ちょっと住みたくなってきた。
しかし、次のフレアハルトの言葉に我に返る。
「アルトラ、口も出さずに各部屋の説明を聞いておったが、お主火の国に移住するのを了承するのか? アルトレリアはどうする?」
ああ……時々的確に核心を突いてくれる……あなたを連れて来て正解だったわ。私に断る決意を取り戻してくれてありがとう。
ここでハッキリと決着を付けておかないとズルズルと沼にハマって余計に言い出し難くなってしまう。
「「「ようこそおいでくださいました、アルトラ様!」」」
メイド姿をした大勢のヒトたちがずらっと真ん中を空けて整列、私のために屋敷へ続く花道を作ってくれている。
先にゲートをくぐったフレアハルト、アリサ、レイアはその人数に圧倒されていた。
「えぇっ!?」
何だこの派手な歓迎は!?
あ、そういえば、以前我が家に来た火の国からの誘拐未遂犯曰く、『メイドは五十人は用意致しましょう』などと宣っていた。 (第300話参照)
この花道は本当に五十人くらいいるかもしれない。
もしかしてこれがそう?
私を見る沢山の目に圧倒されて気付いていなかったが、少し遠くの前方に焦点を合わせると今まで見たどんな家よりもでっかい家。
「えぇっ!? でっかい家!!」
そういえば、これも言ってた!! 『住む家はルシファー様に次ぐ宮殿のようなお住まいに』とかなんとか。まさに宮殿のような大豪邸。 (第300話参照)
まさか本当に用意されているとは!! まだ移住を了承してもいないのに!?
私の後ろからゲートをくぐり抜けて来たステラーシアさんに声をかけられる。
「これからアルトラ様が生活される家でございます」
「……いや、私はまだ移住するとは……」
何と言う断りづらさ! 思わず声が出せず小声になってしまった!
先だって用意されているとこうも断りづらいのか!
「では中をご案内致しますので参りましょう」
「いや、私は……」
ステラーシアさんはずんずん先へ行ってしまった。
私はその後ろを付いてメイドたちの花道を歩きながら宮殿のような邸宅へ歩いて行く。
彼女らのそばを通過する度に、両横のメイドがお辞儀する。
正直言って、私が歩を進める度にメイドさんたちがウェーブが起こるようにお辞儀してくれるというのは気持ち良くないわけではない。
が、移住を断ること前提でここへ来ているため、心中困惑の度合いがかなり強い……
「こちらがエントランスでございます」
「おぉ……」
言葉を失うとはこのことだ。
凄く広い空間に磨き抜かれた床に絨毯、天井には豪華なシャンデリア、正面には二階へと続く二対の階段が左右にある。階段にまで絨毯引いてあるよ……
買ったらきっと億では済まない。
「ア、アルトラ……あの天井の派手なのは何だ……?」
「ああ、あれはシャンデリアって言う電灯の一種だよ」
「電灯ですか~!? あんなのアルトレリアで見たことありませんけど!? うちの町にある電灯なんてただの一本の長い棒じゃないですか!」
そりゃ、あんなの買える余裕なんか無いし、吊るす場所もないよ……
もしうちの町の建物であれを吊るしたら、床に擦り付けてしまうし、あれだけで部屋を占領してしまうわ……
「落ちてくることはないのでしょうか……? 重そうですけど……」
「それは大丈夫でしょ」
うちの町の建物なら、天井ごと剥がれ落ちそうだけど……
他にも高そうな調度品まで置いてある。もうこの空間だけでアルトレリアの普通の一軒家が一つ二つ入りそうなくらい広さがある。
ただ、残念なことに土足で入るらしい。土禁文化の私としてはここだけはいただけない。
「まずはアルトラ様がこれから生活される部屋からご紹介いたしましょう」
真っ先に連れて行かれた場所は二階の奥の部屋。
「この場所で生活していただきます」
部屋は立派な椅子と机が置かれた執務室のような場所。本も沢山あって書斎のようにも見える。
「隣の部屋は寝室になっております」
仕事部屋の隣が寝室!?
これを私だけで使えるのか。パーソナルスペースに誰も居ない生活なんてどれくらい振りかしら。今は居候が二人とカイベル、あと度々クリューが訪れるから、ただでさえ狭い家が更に手狭だし。
狭い邸宅だった日本に住んでいる時に、書斎を持つことは夢の一つであった。
ちょっとだけ心が傾く。
「沢山本がありますね」
アリサが食いつく。アルトレリアにはまだ有志が作った、所謂同人誌しか売られていないから、こういったきちんとした書物は珍しいのだろう。
亜空間収納ポケット内に樹の国から寄付された本があるから、早いとこ図書館が立ってくれれば町のみんなが本に触れられるようになるのだけど……
「でも……絵付きの本はありませんね……字ばかりで見難いです」
レイアは絵があった方が良いらしい。
フレアハルトはあまり興味が無さそうに、本をペラペラめくっている。
「他の部屋も順に説明していきます」
この後に訪れたのが、応接室、トイレ、風呂、メイドたちの生活スペース、執事の生活スペース、遊戯室まであるらしい。
◇
トイレ――
トイレはかなり広めにスペースが確保されていて解放感が凄い
「トイレ広いですよ! フレハル様!」
「これは……落ち着かんな……トイレはこじんまりしておった方が良い」
これはフレアハルトと同意見。広いと私も落ち着かない。
「一つしか無いんですか?」
「いえ、従業員用は別に……」
これだけメイドさんが居ればそりゃそうか。ここは家の関係者が使う用ってわけね。
◇
風呂――
風呂は大浴場だった。リナさんの家の大浴場よりも更に大きい。
「砂漠で泊まった宿の露天風呂より広いですね~」
「従業員も入るからなんじゃない?」
「これが個人の家のお風呂なのですか? わたくしたちの住む賃貸の何十倍の広さがありますけど……」
そう聞くと庶民と選ばれた者との違いを痛感させられるわ……うっ、精神的にダメージが……
◇
更には遊技場まで完備……ジムのようなトレーニングルームも付いていた。
「おい! アルトラ何だか楽しいのがあるぞ!」
トレーニング器具を上げ下げしている。
持ち上げてる重さを見ると、二百キロ……それを苦も無く凄い早さで何十回も繰り返す。
「これは何のための道具なのだ?」
「トレーニングだけど……」
「楽しいが、この程度の重さでは我にはトレーニングにならんな」
何百キロ単位のものを軽々持ち上げられる彼らが異常なだけで、普通の亜人は人間と大して変わらない。
フレアハルトには物足りないかもしれないが、これはアルトレリアにジムとして根付かせるのも良いかもしれない。
「アルトラ様、あれは何ですか?」
「卓球台ってヤツだね」
魔界にもあるんだな……
「ボールは他にもありますよ」
と言ってステラーシアさんが出してきたのは、サッカーボールに野球ボールにバレーボールと。よく見知った形のものだ。
「この国に球団とかあるんですか?」
経済的に困窮している国であっても、あるのはおかしくはないが……スポーツのイメージが湧かない。
「球団……とは何ですか?」
あれ? ボールはあるのに球団は無いのか?
「そのボールを使ってチームを組んで戦うんですよ。そのチームの所属団体が球団」
「いえ、このボールは昔からあるものでして、この屋敷の元の持ち主が物珍しいからと商人から購入したものです。お昼休みなどにはこれを使ってメイドたちが遊ぶことはありますが……」
案内されている間に疑問が湧いて来たため、質問してみることにした。
「あの……ここって別の誰かが住んでるんじゃないんですか?」
『元の持ち主』って言ってたし、その人物はどこへ行った?
まさか私が来るってことで追い出したのか?
「ここは現ルシファー様が宰相をしていた間に使っていた邸宅です。前代ルシファー様が崩御され、王城へ移られて二十五年ほど経ちますが今も綺麗に手入れされています」
「王様の元邸宅!?」
住んでいないにも関わらず、メイドを雇って全ての部屋、施設がきちんと手入れされていて、埃一つ無いほど綺麗にしてあった。余程大事にされているのだろう。
そんなのに住まわせられるってことは、本当の本当に重要人物として見られてるってことか。だとしたら移住を断ったことによる反動が凄そうだが……生きて帰れるのか私は?
「ステラーシアさんは王様とはどういったご関係なんですか?」
「はい、幼少の頃に奴隷商から拾っていただいて、以来ずっとお仕えしています。わたくしを連れ回していた奴隷商曰く、卵の時に盗賊から買い取ったそうで、物心着く時分には奴隷商と共に各地を渡り歩いておりました。自分がどこの出身かも分かりません」
「なに!? ステラーシア殿を売買しておったのか!? その奴隷商許せんな。見つけ出して焼き尽くしてやる」
「あ、きっともうお亡くなりになられていると思いますよ。その奴隷商は亜人でしたので」
卵の頃に売られたって……彼女、ドラゴンだって言うからには、この見た目なら二百歳付近のはず。
ルシファーはそれ以上の年なのか? 七大国会談で見た時には若そうに見えたが少なくとも二百歳以上ってことか。
「現在のルシファー様も……『傲慢』の大罪を継承する前は、国民の話に耳を傾ける素晴らしい方だったのですが……」
少し表情が曇った。彼女もルシファーの振る舞いには心を痛めているようだ。
「さて、お次の部屋へ参りましょう」
◇
「ここが厨房です。この家で働く者の食事を作っています」
シェフまで付いてるの!?
あ、でもカイベルに敵うシェフなんか存在せんか。
とは言え、巨大な大豪邸に至れり尽くせりの生活には憧れる。ちょっと住みたくなってきた。
しかし、次のフレアハルトの言葉に我に返る。
「アルトラ、口も出さずに各部屋の説明を聞いておったが、お主火の国に移住するのを了承するのか? アルトレリアはどうする?」
ああ……時々的確に核心を突いてくれる……あなたを連れて来て正解だったわ。私に断る決意を取り戻してくれてありがとう。
ここでハッキリと決着を付けておかないとズルズルと沼にハマって余計に言い出し難くなってしまう。
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