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第15章 火の国ルシファーランド強制招待編
第409話 フレアハルトに……!?
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衛兵の待機所を過ぎて更に内部へと進入。
外壁内にあるらしい応接室……よりももうワンランク上の部屋に見えるところへと通された。
重要人物の緊急の訪問用に通される、そういった部屋に見える。
「ソファに腰かけてお待ちください」
移住の断りに来ただけなのに、こんな良い部屋へ通されるなんて……
わざわざ断り難くしてるのかな……?
いや、もしかしたら断ることさえ想定していない? 普通に重要人物の対応かしら?
部屋にある巨大で目立つ絵画に目が留まった。
見覚えのある人物をモデルにした絵画が飾られている。
七大国会談で一度だけ目にしただけだが、この顔に覚えがある。
「モデルは今代のルシファーかな……」
『傲慢』を司る大罪だけあって、自己主張が強い。描かれた絵画の態度も偉そうだ。
室内は煌びやかな装飾に赤絨毯、置いてある調度品も高そうだ。色とりどりの花も飾られている。
今座っているソファや目の前にあるテーブルも高そう。
VIP待遇ってわけか。この状況で移住を断るのは中々心の強さが要りそうだ。
少し待っていたところ、若い女性がやって来た。
「アルトラ様、ようこそお越しくださいました。わたくし今後のあなたの身の回りのお世話を仰せつかっております、ステラーシアと申します」
新しくお世話係として就いたのは、年齢は二十代前半ほどに見える落ち着いた女性。金と水色のグラデーションをした綺麗な髪の毛に白い肌、ぱっちりおめめで赤い瞳の美人さん。身長は私より頭一つくらい大きいから百六十センチくらい。
街の最も外側にあるであろう外壁にある応接室にすぐに来られたということは、私が来るまでここで何日も待機していたのかもしれない。
「あ、はい、よろしくお願いします」
こ、こんな仰々しく対応されると、断りに来たのが悪いことのように思えてしまうわ……
それに今“今後の”って言った……やはり私が断ることを想定されてない対応。
「では、アルトラ様がおいでになった際には真っ先にお連れするようにと仰せつかっておりますので、まずはそこへご案内致します」
「あ、いや、私は……」
「さあ、こちらへどうぞ」
有無を言わさないな……
少々困惑していたところ、彼女が魔法を使う。
使ったのは空間転移魔法。
なっ!? このヒト、空間魔術師!?
空間魔術師寄越すんなら、なぜアルトレリアの時点で寄越さないんだ!?
彼女が来てくれればわざわざ一週間弱もかけて歩いて来る必要も無かったのに。
それは別のこととして、ここは断りを入れておかないと。
「いや、連れもいるので突然の離れ離れはちょっと……」
「ではお連れの方々も一緒にお連れしましょう」
そう言った後に、指をパチンと打ち鳴らすと三つのゲートが出現。
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
先ほど外壁にある門付近で別れたフレアハルト、アリサ、レイアがそれぞれのゲートから出て来た。
「ど、どこだここは!? 突然ゲートが現れたと思ったら吸い込まれて………………何だ、アルトラではないか。お主がやったのか?」
「いや、私じゃない」
「では誰がやったと?」
「こちらの方が……」
手で指し示した。
「おお……ア、アルトラ! こ、この方は、この女性はどなたなのだ!?」
何だ? フレアハルトの様子がおかしい。
「え~と……ステラーシアって言うらしいけど……それよりどうしたの? 口調がおかしいよ?」
「ほ、惚れた! 一目惚れだ!」
「「「ええぇぇっ!?」」」
私、アリサ、レイアが驚きの声を上げる。
「いやいや、だって亜人だよ!?」
「何を言っておる、この方はドラゴンだぞ? 持っている魔力が段違いではないか!」
「うっそ……」
ドラゴンで空間魔法使い!? それって物凄いチート性能なのでは?
確かに強い魔力を持ってるなとは思っていたけど……
どおりでゲート三つもいっぺんに出して大丈夫なはずだ。普通の亜人の空間魔術師だと日に十数回程度が限界だということは以前この目で確認している。 (第117話参照)
一度に三つも同時に出したら、相乗効果で消費魔力が激増してすぐに枯渇してしまうだろう。ドラゴンの持つ膨大な魔力なら三つ同時に出しても十分可能ってわけだ。
ドラゴンで二十代前半に見えるってことは……このヒトも二百歳付近の年ってことか。フレアハルトと年が近いのか。だったら目移りしてもおかしくはないけれど……
そんなことを考えていたら、フレアハルトが跪いてステラーシアさんの手を取り、彼女の顔を真っ直ぐに見て更にトンデモナイことを言いだした。
「ステラーシア殿、我と契りを結んでほしい」
コイツ、初対面の女性に何言ってんのーーー!!?
それは結婚しようって言ってるのと同じでしょ!!?
いや、落ち着け、もしかしたらドラゴンの間ではこれは普通のことなのかもしれない。一応それとなく二人に確認を!
「アリサ、レイア、レッドドラゴンって初対面でプロポーズするのが普通のことなの?」
「プロポーズ……って何ですか? 結婚しようとか、ツガイになろうってやつですか?」
「そうそうそれそれ!」
「そんなわけないじゃないですかぁ~、何も知らない相手なのに」
「わたくしたちも突然のツガイ宣言に驚いてるところで……」
やっぱり私の考えは普通だった!
二人に確認を取っている間にフレアハルトの方の話が進む。
「こんな気持ちになったのはお主、いや! 貴女が初めてだ! どうか我と、いや私と契りを!」
普段使いの口調から丁寧な口調に取り繕って猛アピール。
「と、突然困ります……」
トンデモナイことを言われたステラーシアさんはかなり困惑している様子。
そりゃそうだ! いくらなんでも初対面でプロポーズなんてあり得ない!
急いでフレアハルトを引き剥がしに動く。
「そ、そうですよね! すみません、すぐやめさせますから! ほら! フレアハルト! 離れて!」
『梃子でも動かない!』、そんな強い意志を感じる。
「は~な~れ~ろ~~!」
彼女から引き剥がそうとするも押しても引いても岩のように動かない。
コイツって、私の中の認識としてはもっとふわふわした根無し草のような生態だという認識だったけど、ここまで強固な意志を示すことがあるとは……
私の焦った行動を思ってか、ステラーシアさんが口を開く。
「あ……その……アルトラ様、この方のお名前は何と?」
「え? フレアハルトですけど……」
「ではフレアハルト様、アルトラ様がお困りになっておられますので、その話は後々ということで」
「はい! そうします!」
いつになく素直な返事。ようやくステラーシアさんから離れた。
離れた後も彼女の動向を目で追うフレアハルト。
凄い……いつもの威厳さや威圧感がかけらも無くなってる……
これは完全にお熱を上げてるわ……
フレアハルトが彼女から離れたところで、ステラーシアさんがようやく落ち着いて口を開いた。
「コホンッ、改めまして、皆様、わたくしこれよりアルトラ様の身の回りのお世話を仰せつかったステラーシアと申します。以後お見知りおきください。これより皆様をとある建物へとご案内致します。それでは空間転移ゲートへどうぞ」
再びゲートを出現させた。
とりあえず行ってみるしかないか。
事前予告も無しにいきなり王様の御前に連れて行かれるなんてことはないだろう。
私がそんなことを思案していると――
「あ、フレハル様早いよ!」
「アルトラ様を待たないのですか?」
「良い、我はステラーシアを信用する」
――フレアハルトが早々に入って行ってしまった。
「ちょ、そんな無警戒に……」
まだ今しがた会ったばかりなのに……
そこまで本気で惚れてしまったということか……
これは……フレアハルトが熱を上げてる間は、しばらく正常な判断は期待しない方が良いかもしれないな……
「危険なところではないですよ」
ニコリっと笑いかけながらステラーシアさんにそう言われるが……首都へ着いて早々、サンドニオさんともレドナルドさんとも違う、全く知らないヒトを突然お世話係に付けられて、突然どこかへ行かなければならないなんて言われたら普通は最大限警戒する。
とは言え、もうフレアハルトはゲートの先に行ってしまったから、この場で考えていても仕方ない。渋々ながら私も彼らに続いた。
外壁内にあるらしい応接室……よりももうワンランク上の部屋に見えるところへと通された。
重要人物の緊急の訪問用に通される、そういった部屋に見える。
「ソファに腰かけてお待ちください」
移住の断りに来ただけなのに、こんな良い部屋へ通されるなんて……
わざわざ断り難くしてるのかな……?
いや、もしかしたら断ることさえ想定していない? 普通に重要人物の対応かしら?
部屋にある巨大で目立つ絵画に目が留まった。
見覚えのある人物をモデルにした絵画が飾られている。
七大国会談で一度だけ目にしただけだが、この顔に覚えがある。
「モデルは今代のルシファーかな……」
『傲慢』を司る大罪だけあって、自己主張が強い。描かれた絵画の態度も偉そうだ。
室内は煌びやかな装飾に赤絨毯、置いてある調度品も高そうだ。色とりどりの花も飾られている。
今座っているソファや目の前にあるテーブルも高そう。
VIP待遇ってわけか。この状況で移住を断るのは中々心の強さが要りそうだ。
少し待っていたところ、若い女性がやって来た。
「アルトラ様、ようこそお越しくださいました。わたくし今後のあなたの身の回りのお世話を仰せつかっております、ステラーシアと申します」
新しくお世話係として就いたのは、年齢は二十代前半ほどに見える落ち着いた女性。金と水色のグラデーションをした綺麗な髪の毛に白い肌、ぱっちりおめめで赤い瞳の美人さん。身長は私より頭一つくらい大きいから百六十センチくらい。
街の最も外側にあるであろう外壁にある応接室にすぐに来られたということは、私が来るまでここで何日も待機していたのかもしれない。
「あ、はい、よろしくお願いします」
こ、こんな仰々しく対応されると、断りに来たのが悪いことのように思えてしまうわ……
それに今“今後の”って言った……やはり私が断ることを想定されてない対応。
「では、アルトラ様がおいでになった際には真っ先にお連れするようにと仰せつかっておりますので、まずはそこへご案内致します」
「あ、いや、私は……」
「さあ、こちらへどうぞ」
有無を言わさないな……
少々困惑していたところ、彼女が魔法を使う。
使ったのは空間転移魔法。
なっ!? このヒト、空間魔術師!?
空間魔術師寄越すんなら、なぜアルトレリアの時点で寄越さないんだ!?
彼女が来てくれればわざわざ一週間弱もかけて歩いて来る必要も無かったのに。
それは別のこととして、ここは断りを入れておかないと。
「いや、連れもいるので突然の離れ離れはちょっと……」
「ではお連れの方々も一緒にお連れしましょう」
そう言った後に、指をパチンと打ち鳴らすと三つのゲートが出現。
「うおっ!?」
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
先ほど外壁にある門付近で別れたフレアハルト、アリサ、レイアがそれぞれのゲートから出て来た。
「ど、どこだここは!? 突然ゲートが現れたと思ったら吸い込まれて………………何だ、アルトラではないか。お主がやったのか?」
「いや、私じゃない」
「では誰がやったと?」
「こちらの方が……」
手で指し示した。
「おお……ア、アルトラ! こ、この方は、この女性はどなたなのだ!?」
何だ? フレアハルトの様子がおかしい。
「え~と……ステラーシアって言うらしいけど……それよりどうしたの? 口調がおかしいよ?」
「ほ、惚れた! 一目惚れだ!」
「「「ええぇぇっ!?」」」
私、アリサ、レイアが驚きの声を上げる。
「いやいや、だって亜人だよ!?」
「何を言っておる、この方はドラゴンだぞ? 持っている魔力が段違いではないか!」
「うっそ……」
ドラゴンで空間魔法使い!? それって物凄いチート性能なのでは?
確かに強い魔力を持ってるなとは思っていたけど……
どおりでゲート三つもいっぺんに出して大丈夫なはずだ。普通の亜人の空間魔術師だと日に十数回程度が限界だということは以前この目で確認している。 (第117話参照)
一度に三つも同時に出したら、相乗効果で消費魔力が激増してすぐに枯渇してしまうだろう。ドラゴンの持つ膨大な魔力なら三つ同時に出しても十分可能ってわけだ。
ドラゴンで二十代前半に見えるってことは……このヒトも二百歳付近の年ってことか。フレアハルトと年が近いのか。だったら目移りしてもおかしくはないけれど……
そんなことを考えていたら、フレアハルトが跪いてステラーシアさんの手を取り、彼女の顔を真っ直ぐに見て更にトンデモナイことを言いだした。
「ステラーシア殿、我と契りを結んでほしい」
コイツ、初対面の女性に何言ってんのーーー!!?
それは結婚しようって言ってるのと同じでしょ!!?
いや、落ち着け、もしかしたらドラゴンの間ではこれは普通のことなのかもしれない。一応それとなく二人に確認を!
「アリサ、レイア、レッドドラゴンって初対面でプロポーズするのが普通のことなの?」
「プロポーズ……って何ですか? 結婚しようとか、ツガイになろうってやつですか?」
「そうそうそれそれ!」
「そんなわけないじゃないですかぁ~、何も知らない相手なのに」
「わたくしたちも突然のツガイ宣言に驚いてるところで……」
やっぱり私の考えは普通だった!
二人に確認を取っている間にフレアハルトの方の話が進む。
「こんな気持ちになったのはお主、いや! 貴女が初めてだ! どうか我と、いや私と契りを!」
普段使いの口調から丁寧な口調に取り繕って猛アピール。
「と、突然困ります……」
トンデモナイことを言われたステラーシアさんはかなり困惑している様子。
そりゃそうだ! いくらなんでも初対面でプロポーズなんてあり得ない!
急いでフレアハルトを引き剥がしに動く。
「そ、そうですよね! すみません、すぐやめさせますから! ほら! フレアハルト! 離れて!」
『梃子でも動かない!』、そんな強い意志を感じる。
「は~な~れ~ろ~~!」
彼女から引き剥がそうとするも押しても引いても岩のように動かない。
コイツって、私の中の認識としてはもっとふわふわした根無し草のような生態だという認識だったけど、ここまで強固な意志を示すことがあるとは……
私の焦った行動を思ってか、ステラーシアさんが口を開く。
「あ……その……アルトラ様、この方のお名前は何と?」
「え? フレアハルトですけど……」
「ではフレアハルト様、アルトラ様がお困りになっておられますので、その話は後々ということで」
「はい! そうします!」
いつになく素直な返事。ようやくステラーシアさんから離れた。
離れた後も彼女の動向を目で追うフレアハルト。
凄い……いつもの威厳さや威圧感がかけらも無くなってる……
これは完全にお熱を上げてるわ……
フレアハルトが彼女から離れたところで、ステラーシアさんがようやく落ち着いて口を開いた。
「コホンッ、改めまして、皆様、わたくしこれよりアルトラ様の身の回りのお世話を仰せつかったステラーシアと申します。以後お見知りおきください。これより皆様をとある建物へとご案内致します。それでは空間転移ゲートへどうぞ」
再びゲートを出現させた。
とりあえず行ってみるしかないか。
事前予告も無しにいきなり王様の御前に連れて行かれるなんてことはないだろう。
私がそんなことを思案していると――
「あ、フレハル様早いよ!」
「アルトラ様を待たないのですか?」
「良い、我はステラーシアを信用する」
――フレアハルトが早々に入って行ってしまった。
「ちょ、そんな無警戒に……」
まだ今しがた会ったばかりなのに……
そこまで本気で惚れてしまったということか……
これは……フレアハルトが熱を上げてる間は、しばらく正常な判断は期待しない方が良いかもしれないな……
「危険なところではないですよ」
ニコリっと笑いかけながらステラーシアさんにそう言われるが……首都へ着いて早々、サンドニオさんともレドナルドさんとも違う、全く知らないヒトを突然お世話係に付けられて、突然どこかへ行かなければならないなんて言われたら普通は最大限警戒する。
とは言え、もうフレアハルトはゲートの先に行ってしまったから、この場で考えていても仕方ない。渋々ながら私も彼らに続いた。
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