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第9章 七大国会談編
第238話 町の今後の構想
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「でも、良い報せばかりじゃなくてね、五ヵ国には国として認めてもらえたけど、火の国と氷の国の二ヵ国からは認められなかった」
「認めてもらえてないとどうなるんですか?」
「何が起こるかわからない。極端なことを言うと、何も起こらない可能性もあるし、突然攻め込まれる可能性もある」
「「「えっ!?」」」
「それって、七大国会談に行く前と変わってないんじゃないですか!?」
「いや、そうでもないかな。他の五ヵ国とは協定を結ぶことができたから、もし万が一いずれかの国に攻められた場合は、防衛に協力してもらえることになってる。おいそれと攻撃しようなんてことは出来ないと思う。まあ極端な話だから、協定を結んでないからと言って、攻められることはまず無いと思って良いよ」
氷の国の魔王が頑として認めないという態度を取っていたのは気になるけど、現時点では特別恨まれることもしてはいないし、大丈夫でしょう。
「それで、五大国と協定を結ぶにあたって、大使館を新設しないといけないことになったから、その建設地の整地をお願いしたい」
「大使館って初めて聞きましたけど、何ですか?」
『他国の特命全権大使が~~』なんて話したところで『特命全権大使ってなんですか?』って聞かれるだけよね、きっと。
「え~と、他国、つまりアルトレリア以外に住んでる人たちの中の代表者が、現地に住んで公務を行う場所って感じかな。例えば『水の国の人がアルトレリアに住んで仕事する』みたいな」
「他国の? トーマスさんやリナさん、ドワーフさんたちは大使ってことですか?」
「違うぞ、俺たちは自分の意思でここに住んでるから大使じゃあない。自分の意思だからいつだって自国へ帰れるわけだ」
え゛!? フィンツさん、まさか帰る予定があるのかしら……?
ただ説明しただけ?
確かにいつでも帰って良いとは言ってるけど……
「じゃあ、何が違うんですか?」
「国が任命して派遣するってところが違うところかな。ここにいるアクアリヴィアの人たちは、何をしても自国に対しての責任は無いけど、大使となるとその行動は国の意思と同じで、責任重大となるってところかしら。だから大使が派遣された国に対して狼藉を働けば、外交問題になり兼ねないし、対応がまかり間違えば最悪の場合、戦争に発展することもある、逆も然り、私たちが相手の大使に酷いことをすれば、その国への印象が悪くなってしまう。あと、基本的に自国優先で動くってとこかしらね。アルトレリアの中に『外国の制度が適用される土地がある』って考えたら良いかな。で、良いのよねカイベル?」
詳しくは知らんけど、多分こんな感じだと思う。
制度の部分は『法律』に置き換えるのが適切だろうけど、まだここに法律って概念が無いから『制度』ってことで説明しておく。
「はい、概ねその通りです」
「それで、その大使が公務、生活するための大使館を建てる場所を作ってほしいってことで、ダイクーにも来てもらったの」
「ああ、その建物の建設予定地を整地するんだな。こんな仕事をくれるとは、『悪いようにはしない』ってのはホントだったな」 (第215話参照)
「え、ええそうね……」
ホントはこんな結果になるとは想定してなかったけど……結果オーライ?
「そういうわけで、五大国分の大使館予定地の整地をお願いしたい」
「って言っても、町中にはもうでかい建物立てるスペースが無いが……それはどうすれば良いんだ? レッドトロルが来た時でさえ、川の向かい側に (アルトラ様が)新しい町を作ったくらいだぞ?」
そういえばそうだ!
町を拡張する必要があるかもしれない。それに連れて、役所の位置も移動させる必要があるかも。
と言うことは……ガルムやらピビッグやら野生の獣が入って来ないように、壁の外側に新しい壁を作らないといけないってことになるかな。
「う~ん……じゃあ壁の外側に、もう二、三個の壁を作ろうか。今後人口の増加が予想されるし」
でも、これで全然人口増加しなかったら、私はとんだピエロ (※)よね……
(※とんだピエロ:笑わせるつもりもないのに笑い者になってしまったという意味)
まあ、いずれにせよ、大使館建設のスペースを確保しなければならないことには変わりないから、とりあえずもう一枚壁を作ろう。
「壁作った後に、壁内にいるガルムとかピビッグとかどうするんですか?」
「そりゃ、追い出すしかないよね。もしくは捕まえて美味しくいただくか」
あ、今わかった。地球では度々野生動物が住処を追われるって話があったけど、こうやって住処を追われて行くのね……
とは言え、各国交流するなら町の開発しないと仕方がない。
「あと、川も延長しないといけないですよね?」
「確かに……」
「そうね、各地に浄水施設と土地、及び道の舗装。大使館建設となると、近くにアルトレリア役所の分館も必要かな」
と言うか……新しく建つ方が本館になる可能性が濃厚だけど……その場合はゼロ距離ドアを移設する必要があるかも。
あと、各国を集められるような議場も必要なのかしら? この辺りは全然わからない。
これは新開発は結構大変かも……
「とりあえず、壁をもう一枚作るのは決定事項ということで。私が基礎を作って、自警団と生態調査部と私でガルム他野生動物を追い出すから、ダイクー、建築部で正式な壁作り、及び河川の延長、浄水施設などの重要施設の敷設をお願いします。その後に大使館の建設予定地を」
「結構大変な作業になりそうだな……」
これ半年かそこらで行けるかぁ~?
見通しが甘かったかもしれない……
「人員募集しておくか。フレハルにも手伝ってもらいてぇが……アイツはこの気温だと動かないからなぁ……」
フレハルか……「寒いから何とかしてくれ」って言ってたな……
「フィンツさん、ドワーフさんの方でもお手伝いお願いできますか?」
「う~ん……ただでさえ通貨制度開始でアドバイスしてくれってのが多いからなぁ……ちと厳しいな。ウォルタのお嬢さんが引き連れて来たドワーフたちもほとんど帰っちまったしな」
リナさんが家建設のために連れて来たドワーフさんたちは、建設が終わって、その後通貨の製造が終わった後に帰ってしまったらしい。
「そうですか……」
それは困ったな……
「まあダイクーたちには技術を叩き込んだから、大丈夫だと思うぞ?」
「だと良いんですが……」
以前の川工事の時は、みんな手に職を持ってなかったから人員が集まってくれたけど……今はそれぞれの職業を持っている亜人が多い。人員募集で集まってくれれば良いけど……
もし無理なようなら、駐在員派遣の日にちを先延ばしにしれもらわないといけないかも。
あと言うべきことは……ああ、あれも言っておかないと!
「あ、そうそう大使館に関して、もう一つ言うことがあって、こちらからも各五大国に大使を派遣しないといけない」
「派遣? この町から外国へ行かせるということですか?」
「そうなるね。大使って相互だからね」
……
…………
………………
「だだだ、誰に行かせるんですか! こ、この町に外国に行きたいなんて者が――」
「はい! 私に行かせてください!」
クリスティンが率先して手を挙げた。
そういえば彼女は前々から外国へ行って学びたいとか言ってたな。
「じゃあクリスティンにお願いします」
「はい!」
「リーヴァントと副役所長、他に外国へ行きたいって亜人を募集しておいてもらえる?」
「一般からもですか?」
「いや、役所内であと四人代表者の選出をお願い。それとそのお付きとして行くサポート役を五人。護衛として行く亜人を自警団から十人募集しておいて」
派遣する人数としてはかなり少ない気がするけど……生憎人手がそれほど多いわけではないから仕方がない。
「役所から十人も送るんですか!? 役所職員が三分の二になってしまいますが……」
「ごめんね、現状だと役所にいる亜人たちが一番頭が良いから、そこから行ってもらうより他ないの。何も分からない者を外国にやるわけにはいかないし。これらの選出を三月中旬までにお願い」
「外国との交流って大変なんですね……役所で働いてもらう方も補充しなければなりませんね」
「実際に派遣されるのは八月くらいになると思うから、それまでに引継ぎまで済ませておかないといけないね」
しかし、会談中にトライアさんが言ってたことが気になる。
『あそこは全ての大国と繋がっているので、中立地帯でさえなければ本来は流通の要所のはずですから!』
という文言。
このことだけで判断するなら、今後この町はかなりの人口流入が予想される。大量に人数が押し寄せることになるかもしれない。
そう考えた直後――
「認めてもらえてないとどうなるんですか?」
「何が起こるかわからない。極端なことを言うと、何も起こらない可能性もあるし、突然攻め込まれる可能性もある」
「「「えっ!?」」」
「それって、七大国会談に行く前と変わってないんじゃないですか!?」
「いや、そうでもないかな。他の五ヵ国とは協定を結ぶことができたから、もし万が一いずれかの国に攻められた場合は、防衛に協力してもらえることになってる。おいそれと攻撃しようなんてことは出来ないと思う。まあ極端な話だから、協定を結んでないからと言って、攻められることはまず無いと思って良いよ」
氷の国の魔王が頑として認めないという態度を取っていたのは気になるけど、現時点では特別恨まれることもしてはいないし、大丈夫でしょう。
「それで、五大国と協定を結ぶにあたって、大使館を新設しないといけないことになったから、その建設地の整地をお願いしたい」
「大使館って初めて聞きましたけど、何ですか?」
『他国の特命全権大使が~~』なんて話したところで『特命全権大使ってなんですか?』って聞かれるだけよね、きっと。
「え~と、他国、つまりアルトレリア以外に住んでる人たちの中の代表者が、現地に住んで公務を行う場所って感じかな。例えば『水の国の人がアルトレリアに住んで仕事する』みたいな」
「他国の? トーマスさんやリナさん、ドワーフさんたちは大使ってことですか?」
「違うぞ、俺たちは自分の意思でここに住んでるから大使じゃあない。自分の意思だからいつだって自国へ帰れるわけだ」
え゛!? フィンツさん、まさか帰る予定があるのかしら……?
ただ説明しただけ?
確かにいつでも帰って良いとは言ってるけど……
「じゃあ、何が違うんですか?」
「国が任命して派遣するってところが違うところかな。ここにいるアクアリヴィアの人たちは、何をしても自国に対しての責任は無いけど、大使となるとその行動は国の意思と同じで、責任重大となるってところかしら。だから大使が派遣された国に対して狼藉を働けば、外交問題になり兼ねないし、対応がまかり間違えば最悪の場合、戦争に発展することもある、逆も然り、私たちが相手の大使に酷いことをすれば、その国への印象が悪くなってしまう。あと、基本的に自国優先で動くってとこかしらね。アルトレリアの中に『外国の制度が適用される土地がある』って考えたら良いかな。で、良いのよねカイベル?」
詳しくは知らんけど、多分こんな感じだと思う。
制度の部分は『法律』に置き換えるのが適切だろうけど、まだここに法律って概念が無いから『制度』ってことで説明しておく。
「はい、概ねその通りです」
「それで、その大使が公務、生活するための大使館を建てる場所を作ってほしいってことで、ダイクーにも来てもらったの」
「ああ、その建物の建設予定地を整地するんだな。こんな仕事をくれるとは、『悪いようにはしない』ってのはホントだったな」 (第215話参照)
「え、ええそうね……」
ホントはこんな結果になるとは想定してなかったけど……結果オーライ?
「そういうわけで、五大国分の大使館予定地の整地をお願いしたい」
「って言っても、町中にはもうでかい建物立てるスペースが無いが……それはどうすれば良いんだ? レッドトロルが来た時でさえ、川の向かい側に (アルトラ様が)新しい町を作ったくらいだぞ?」
そういえばそうだ!
町を拡張する必要があるかもしれない。それに連れて、役所の位置も移動させる必要があるかも。
と言うことは……ガルムやらピビッグやら野生の獣が入って来ないように、壁の外側に新しい壁を作らないといけないってことになるかな。
「う~ん……じゃあ壁の外側に、もう二、三個の壁を作ろうか。今後人口の増加が予想されるし」
でも、これで全然人口増加しなかったら、私はとんだピエロ (※)よね……
(※とんだピエロ:笑わせるつもりもないのに笑い者になってしまったという意味)
まあ、いずれにせよ、大使館建設のスペースを確保しなければならないことには変わりないから、とりあえずもう一枚壁を作ろう。
「壁作った後に、壁内にいるガルムとかピビッグとかどうするんですか?」
「そりゃ、追い出すしかないよね。もしくは捕まえて美味しくいただくか」
あ、今わかった。地球では度々野生動物が住処を追われるって話があったけど、こうやって住処を追われて行くのね……
とは言え、各国交流するなら町の開発しないと仕方がない。
「あと、川も延長しないといけないですよね?」
「確かに……」
「そうね、各地に浄水施設と土地、及び道の舗装。大使館建設となると、近くにアルトレリア役所の分館も必要かな」
と言うか……新しく建つ方が本館になる可能性が濃厚だけど……その場合はゼロ距離ドアを移設する必要があるかも。
あと、各国を集められるような議場も必要なのかしら? この辺りは全然わからない。
これは新開発は結構大変かも……
「とりあえず、壁をもう一枚作るのは決定事項ということで。私が基礎を作って、自警団と生態調査部と私でガルム他野生動物を追い出すから、ダイクー、建築部で正式な壁作り、及び河川の延長、浄水施設などの重要施設の敷設をお願いします。その後に大使館の建設予定地を」
「結構大変な作業になりそうだな……」
これ半年かそこらで行けるかぁ~?
見通しが甘かったかもしれない……
「人員募集しておくか。フレハルにも手伝ってもらいてぇが……アイツはこの気温だと動かないからなぁ……」
フレハルか……「寒いから何とかしてくれ」って言ってたな……
「フィンツさん、ドワーフさんの方でもお手伝いお願いできますか?」
「う~ん……ただでさえ通貨制度開始でアドバイスしてくれってのが多いからなぁ……ちと厳しいな。ウォルタのお嬢さんが引き連れて来たドワーフたちもほとんど帰っちまったしな」
リナさんが家建設のために連れて来たドワーフさんたちは、建設が終わって、その後通貨の製造が終わった後に帰ってしまったらしい。
「そうですか……」
それは困ったな……
「まあダイクーたちには技術を叩き込んだから、大丈夫だと思うぞ?」
「だと良いんですが……」
以前の川工事の時は、みんな手に職を持ってなかったから人員が集まってくれたけど……今はそれぞれの職業を持っている亜人が多い。人員募集で集まってくれれば良いけど……
もし無理なようなら、駐在員派遣の日にちを先延ばしにしれもらわないといけないかも。
あと言うべきことは……ああ、あれも言っておかないと!
「あ、そうそう大使館に関して、もう一つ言うことがあって、こちらからも各五大国に大使を派遣しないといけない」
「派遣? この町から外国へ行かせるということですか?」
「そうなるね。大使って相互だからね」
……
…………
………………
「だだだ、誰に行かせるんですか! こ、この町に外国に行きたいなんて者が――」
「はい! 私に行かせてください!」
クリスティンが率先して手を挙げた。
そういえば彼女は前々から外国へ行って学びたいとか言ってたな。
「じゃあクリスティンにお願いします」
「はい!」
「リーヴァントと副役所長、他に外国へ行きたいって亜人を募集しておいてもらえる?」
「一般からもですか?」
「いや、役所内であと四人代表者の選出をお願い。それとそのお付きとして行くサポート役を五人。護衛として行く亜人を自警団から十人募集しておいて」
派遣する人数としてはかなり少ない気がするけど……生憎人手がそれほど多いわけではないから仕方がない。
「役所から十人も送るんですか!? 役所職員が三分の二になってしまいますが……」
「ごめんね、現状だと役所にいる亜人たちが一番頭が良いから、そこから行ってもらうより他ないの。何も分からない者を外国にやるわけにはいかないし。これらの選出を三月中旬までにお願い」
「外国との交流って大変なんですね……役所で働いてもらう方も補充しなければなりませんね」
「実際に派遣されるのは八月くらいになると思うから、それまでに引継ぎまで済ませておかないといけないね」
しかし、会談中にトライアさんが言ってたことが気になる。
『あそこは全ての大国と繋がっているので、中立地帯でさえなければ本来は流通の要所のはずですから!』
という文言。
このことだけで判断するなら、今後この町はかなりの人口流入が予想される。大量に人数が押し寄せることになるかもしれない。
そう考えた直後――
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